1. ホーム
  2. 株式投資関連のコラム
  3. 株式用語
  4. ダークプール取引とは?PTSとの違いや、使える証券会社をわかりやすく解説します

ダークプール取引とは?PTSとの違いや、使える証券会社をわかりやすく解説します

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年12月1日

ダークプールとは、東証などの取引所を通さず、証券会社が投資家同士の注文を付け合わせる(マッチング)取引です。ダークプールを使うと、通常の取引より有利な株価で取引できたり、売買手数料が優遇されたりします。

このコラムでは、ダークプールの意味やメリット、ダークプールが使える証券会社などを、株初心者向けにわかりやすく解説します。

ダークプールとは?

ダークプールとは、東証などの取引所を通さず、証券会社が投資家同士の注文を付け合わせる(マッチング)取引です。正式名称は「dark pool of liquidity」で、日本語に訳すと「見えない流動性」の意味です。通常の株取引の場合は板情報で注文状況がわかりますが、ダークプールの場合は投資家の注文価格や注文数量などの流動性が外部から見えず、匿名性が確保されているため、このように呼ばれています。

もともとは機関投資家向けのサービスでしたが、2018年4月にSBI証券がはじめたのを皮切りに、松井証券auカブコム証券などが参入しました。最近では、スマホ証券のSMART+も対応しています。

<これまでの株取引と、ダークプールを利用した株取引の違い>

ダークプールのイメージ図

ダークプールの特徴

ダークプールの特徴は、注文状況(板情報)が開示されないので、誰かが入れた注文にあわせて注文をぶつけるといった、戦略的な注文を回避できます。大口注文になると一気に株価が動く場合もありますので、そのようなリスクを減らし、株価の安定に繋げられます。

また、取引所を介さないで売買するため、取引コストを下げられます。そして、ダークプールは立会外市場で取引されるため、そのなかでどれだけ値動きをしたとしても、東証などの市場に直接的な影響はありません(間接的に影響することはあります)。取引所よりも細かい単位で売買ができるため、取得単価の変動を抑えられます。

個人投資家がダークプールを使うメリット

株取引をメインにしている個人投資家にとって、かなりメリットの大きいサービスです。代表的なメリットは下記2点です。

  • 通常の取引よりも、有利な株価で取引できる可能性がある
  • 売買手数料が優遇される

通常の取引よりも、有利な株価で取引ができる可能性がある

ダークプールは、例えば今まで東証でしか買えなかったA銘柄が、東証の立会外取引である“ToSTNeT市場”からも買えるようになります。証券会社は、この2つの市場から有利な株価を自動で判別して、売買をおこないます(個人投資家は市場を自分で選べません)。具体例に見てみましょう。

(例)A社の株価

  • 東証 … 500円
  • ToSTNeT … 490円

上記を見ると、東証よりもToSTNeT市場のほうが10円安いですね。株を買うのに100株必要だとすると、500円×100株=50,000円(東証)、490円×100株=49,000円(ToSTNeT)となり、その差額は1,000円になります。

ここから、マッチングの成功報酬として証券会社に一定金額を支払う場合もありますが、30%支払ったとしても700円分得したことになります。東証の株価のほうが安い場合もありますが、従来どおりの取引になるだけで、マッチングの成功報酬も発生しません。

もう一つ、取引所の多くは1円単位で売買されますが、ダークプールは0.1円単位で売買されます。売買単位が細かい分、取引所よりも有利な価格で取引できる可能性があります。

売買手数料が優遇される

ダークプールの手数料は、通常の株式売買手数料に対して、割引された手数料設定にしている証券会社が多いです(すべての証券会社で安くなるわけではありません)。その理由は「ダークプールの特徴」でも少し触れましたが、ダークプールは取引所を介さないで売買するため、証券会社が取引所に対して売買手数料を支払う必要がないからです。

その分、投資家に対して売買手数料を安く設定できます。証券会社側は売買手数料を安くしたとしても、メリット1でご説明したとおり、成功報酬が入るような仕組みにしておけば、投資家からの手数料をもっと引き下げられる可能性があります。

ダークプールが使える証券会社は?

現状、全ての証券会社でダークプールが使えるわけではありません。2024年3月1日現在、ダークプールによるマッチングサービスを提供しているネット証券は、主に「SBI証券」、「松井証券、「auカブコム証券」、「SMART+」などです。それぞれのサービスの違いをかんたんにまとめました。現状ですと、利用条件されクリアできれば、SBI証券が一番お得に取引できます。

ネット証券
(サービス名)
手数料 成功報酬 利用条件
松井証券
(ベストマッチ)
通常と同じ 差額の30% ・現物取引の投資経験が1年以上ある人
SBI証券
(SBBO-X)
ランクに応じて変動
最大100%割引
なし ・20歳以上かつ国内現物株式の取引経験が1年以上ある人
auカブコム証券
SOR
通常と同じ なし ・以下のいずれかの取引経験が1年以上ある人
(株式現物取引、株式信用取引、先物・オプション・FX)
SMART+
(SMART取引)
無料 差額の50%相当 ・特になし

ダークプールとPTSの違いは?

ダークプールと似ている制度に「PTS(私設取引)」があります。PTSも、ダークプールと同じように東証などの取引所を通さず、証券会社(証券会社グループ)が独自に作った取引システムで取引がおこなわれます。ダークプールとの大きな違いは、投資家が注文状況や株価を外から確認できる点です。

例えばSBI証券の場合、下図のようにボタンでかんたんにPTSと東証の情報を切り替えて、株価などを確認できます。ちなみに、SBI証券は「SOR注文」がありますので、取引所(東証)とPTSの価格が有利なほうを自動的に判別して取引してくれます。

PTS取引画面と通常取引画面の比較

SBI証券のダークプールを使ったマッチングサービス「SBBO-X」の仕組みは、まず機関投資家の注文とマッチングできるかを判定します。取引所(東証など)の株価と比べて有利または同値でマッチングできる場合のみ、ToSTNeTと呼ばれる取引所で取引されます。マッチングしなかった場合は、通常のSOR注文で取引されます。

<SBI証券のマッチングサービス「SBBO-X(エスビービーオークロス)」のイメージ>

SBBO-Xのイメージ図

ダークプールの利用手順は?申し込みは必要?

SBI証券(SBBO-X)の利用手順

SBI証券は、はじめだけ登録が必要です。登録後は、注文時に『SOR』を選ぶだけです(はじめから選ばれています)。

登録手順

口座管理 > お客さま情報 設定・変更 > お取引関連・口座情報 の「国内株式SBBO-Xサービス」で、設定状況『変更』をクリックし、注意事項を確認した上で設定してください。(※条件を満たしていない方は、『変更』ボタンが表示されません)

SBI証券の“SBBO-X“申込画面

松井証券(ベストマッチ)の利用手順

松井証券は、申し込み・登録は不要です。注文時に、【執行条件】欄で『最良』を選ぶだけです(はじめから選ばれています)。

松井証券のベストマッチ注文画面

auカブコム証券(SOR)の利用手順

auカブコム証券は、はじめだけ登録が必要です。登録後は、注文時に『SOR』を選ぶだけです(はじめから選ばれています)。

登録手順

設定・申込 > 電子契約 > 「SOR取引・MSプール取引及びPTS取引約款」で、お手続き『申込』をクリックし、同意書を確認しながら進めてください。

auカブコム証券の“SOR“申込画面

SMART+(SMART取引)の利用手順

SMART+は、申し込み・登録は不要です。注文を出すと、東京証券取引所とダークプールの2か所のうち、有利な価格で取引できるほうへ自動的に注文が送られます。

SMART+

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

ページ上部へ移動