コラム・資料室

高配当は株主にとって本当にお得か?

株式市場では、配当金がたくさんもらえる企業が人気を集めているようです。しかし、配当金が多いことは、株主にとって本当にお得な銘柄なのでしょうか?これについて掘り下げて考えてみたいと思います。(高配当株については、“高配当株一覧表”のページでもまとめています)

まず、“配当”とは?についてですが、基本的な定義としては、『企業が稼いだ利益の一部を株主に現金で還元する行為』となります。例えば、3月末が毎年決算の企業でしたら、3月末頃の権利確定日にその企業の株を保有していれば、のちに株主は配当金を受け取ることができます(配当についての詳しい解説はこちらで復習してください)。企業から現金が送られてくるということは、株主にとっては臨時収入のように感じられて、なんかうれしくなってきますよね♪

しかし、この配当金を受け取るという行為、なんか不思議だと思いませんか?高配当株が人気があるのなら、他の会社も配当を出しまくって人気を取ればいいような気もします…(笑)。これについては、配当の原資となる部分を突いてみると見えてきます。

企業が稼いだ利益は、まず企業のサイフに入ります。このサイフに入ってきたお金を企業の中で再投資(もしくは内部留保)に当てるのか、配当などでサイフの外に出し株主還元をするかの選択になります。もし株主還元ばかりしてしまったら、肝心の再投資ができなくなってしまいます。再投資ができなくなってしまっては、企業が経済活動をできなくなってしまうので本末転倒です。 

配当金のしくみ

上の図でいくと、企業のサイフ(=株主のもの)100万円から配当金(=株主のもの)を10万円支払って企業のサイフ(=株主のもの)は90万円残ります。株主は10万円の配当金を新たに手に入れたように感じますが、実は、上の図“すべてが株主のもの”なので、配当金を払ったとしても、サイフのまま現金をため込んでおいたとしても、配当金を手に入れた後も株を保有しているので、株主からみた企業の価値には変化がないのです。

むしろ、配当金としてサイフから出す場合には、そのたびに税金がかかってくるので、よくないオペレーションといえるのかもしれません(税金は20%です)。これを見ると、配当金という形での株主還元をするより、企業内で投資先を見つけて事業を成功させ、さらに成長(株価上昇)してほしいものですね。だって、我々はそのために株式投資をしているのですから…(笑)。

あと、勘違いしやすいのが、増配(配当の増加)したときに“株価上昇”という形で株式市場が反応することです。配当金を増やすということは、企業のサイフからさらにお金が出て行ってしまうことであり、企業のサイフも企業価値の中に含まれると考えられるので、株価にはマイナス要因のはずです。それなのに株価は上に反応します…不思議ですね。もちろん、「増配できるぐらいウチは業績がいいですよ~」というアナウンス効果にもなるので、それを無視することはできませんが。

☆結論としては、『企業にとって、新しい投資先が見つからず、企業の中に内部留保していても資金効率が悪くなるので、余ったお金を配当として投資家に支払う(資金を返す)こと』は合理的といえると思います。配当金として資金を投資家に返すので、他の会社に投資をしてくださいという意味にもとれます。しかし、企業の成長ステージが成長期にあたり、お金が必要なのにもかかわらず、配当金を増やして資金を投資家に返している企業はよくわかりません。あまり投資したくないですね(笑)。