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立会外分売とは?メリット・デメリットの紹介や、本当に儲かるのかを検証

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2024年2月20日

立会外分売(たちあいがいぶんばい)とは、株のバーゲンセールのようなもので、前日終値から数%の割引価格で株を買えて、翌日から売ることができる売買方法です。この記事では、立会外分売のメリット・デメリットの紹介や、本当に儲かるのかを検証しているので、ぜひ参考にしてください。

立会外分売(たちあいがいぶんばい)とは?

立会外分売とは、企業などの大株主が所有する株式を、証券取引所の取引時間外(立会外)に売り出される取引です。一番の特徴は、普通に株取引をするよりも、割引価格でお得に買えることです。分売をおこなった日の終値を基準として、2~5%ほど安い価格で買えます。さらに、株式の購入手数料も無料です。

立会外分売をおこなう予定の銘柄や分売日は、数週間前~前日の間に発表されるため、こまめに証券会社のサイトをチェックする必要があります。バーゲンで掘り出し物を探す感覚ですね!

ただ、毎回この作業をご自身でおこなうのは大変だと思いますので、最新情報はこれから申し込みできる立会外分売の予想と結果でご確認ください。当サイトが定期的に調査して、情報をまとめています。

立会外分売の一例

分売実施日 銘柄 前日終値 分売価格
(割引率)
2020年12月25日 マーケットエンタープライズ(3135) 1,834円 1,778円
3.05%引き
2020年12月23日 クロスフォー(7810) 230円 223円
3.04%引き
2020年12月22日 SREホールディングス(2980) 3,555円 3,448円
3.01%引き

気になるのは、立会外分売が“好材料”なのか“悪材料”なのかということです。たとえ割安で買えたとしても、これが“悪材料”となり、株価が下落してしまっては意味がありません。その判断をするために、企業が立会外分売をする目的を知ることが重要です。

なぜ、立会外分売をするのか?

企業が立会外分売を実施する目的は大きく3つあります。

  1. 株主の数を増やして指定替えをする
  2. 株式の流動性を高める
  3. 資金を調達する

1つ目は、「ジャスダック」、「マザーズ」、「二部」の上場企業がおこなうパターンです。株主の数を増やして、一部上場企業へのステップアップを狙います。一部上場は一流企業の証であり、企業イメージが向上します。

ただし、一部上場企業になるためには、株主が2,200人以上なければなりません。この条件をクリアするために、立会外分売をして株主の数を増やすのです。一部に指定替えになると、投資ファンドなどからの資金が流入しやすくなるため、株価は上がりやすくなります。

2つ目は、投資家が株を売買しやすくするためにおこないます。流動性の高い銘柄は、投資家が狙った金額で売買することができます。例えば、100円の銘柄があって投資家がそれをほしいと思った場合、流動性が高い銘柄は100円で手に入れられます。

一方、流動性が低いと売り手が少ないため、105円、110円などと、欲しい金額の提示がないケースがあるのです。流動性を高めることで売買が活発になり、株主が売買したい金額で取引をすることができます

3つ目は、親会社が資金を調達するためにするためにおこないます。大株主の親会社が、子会社の持株を市場で売却して利益を得ます。親会社にとっては資金を得るメリットがありますが、立会外分売をする子会社にはありません。

通常、投資家にとって①と②は好材料、③は悪材料となります。 立会外分売は、企業が何をしたいのかを理解した上で、中長期での投資をおすすめします。

投資家から見た立会外分売のメリット・デメリットなど

立会外分売は、企業にとっては資金調達や流動性を向上させる有効な手段であることがわかりました。では、投資家にとってはどうでしょうか?投資家から見た、立会外分売のメリット・デメリットを解説します。

立会外分売のメリット

  • 前営業日の終値から、数%割引(平均は3%くらい)で買えてお得
  • 株の購入手数料は無料(売却は有料)

立会外分売のデメリット

  • 前日終値の数%引きで買えたとしても、取引時間開始後、株価が下がるリスクがある
  • 購入できる時間帯は「午後6時頃から翌朝8時頃」のみ
  • 分売予定日は変更になることもあるので、申し込んだ証券会社で確認が必要
  • 申込者が多い場合は、抽選で配分される

投資家にとっては、普通に株取引をするよりも、割引価格でお得に買えることが最大のメリットです。割引価格で購入後に株価が下がるリスクはありますが、そもそも通常より安く購入しているので、ローリスクと捉えて問題ないでしょう。

ここで、立会外分売と似ている、PO(公募・売出)と比較して見ていきます。

立会外分売とPO(公募・売出)の違いは?

株をディスカウント価格で手に入れる方法として、POがあります。POは新規で株式を発行したり、発行済みの株を売却したりすることをいいます。立会外分売とPOの違いは、大きく2つあります。

  • 規模
  • 期間

1つ目の規模の違いから説明します。POと立会外分売では、市場に放出する株数が圧倒的に異なります。例えば、オールアバウト(2454)がおこなった立会外分売の株数は70,000株でした。一方、2019年12月11日にエア・ウォーター(4088)がおこなったPOの株数は27,000,000株です。資金調達を目的とするPOは、大量の株式を市場に放出します。

2つ目として、申し込み期間がまったく異なることが挙げられます。立会外分売の申し込みは、先ほど説明したとおり、前日の「夕方から翌日の8時台まで」です。申し込み期間は14時間ほどに限定されています。一方でPOは、申し込みから受け渡し日まで1週間ほどかかります。申し込みを経て株を手に入れ、翌日にすぐ売れる点は、立会外分売の大きなメリットの一つです。

※正確な時間は、証券会社によって異なります

結局のところ、立会外分売は儲かるのか

結論を言いますと、立会外分売はIPOのように、短期的に大きな儲けを出すものではありません。市場に出回る株式数が多くなって希少性が失われるため、歓迎する投資家が少ないからです。2021年9月に立会外分売がおこなわれた銘柄を見てみましょう。右端の“上昇率”に注目してください。

実施日 銘柄
クリックタップで最新株価)
評価 分売株数
申込上限
前日終値
分売価格
(割引率)
翌日始値
上昇率
9/29 キャリアインデックス(6538) b 600,000
10,000
908
889
(2.09%引き)
893
+0.45%
9/22 京極運輸商事(9073) c 148,000
4,500
1,029
988
(3.98%引き)
984
-0.40%
9/22 ツクルバ(2978) c 245,000
1,000
1,092
1,060
(2.93%引き)
1,075
+1.42%
9/17 グラフィコ(4930) c 25,000
500
3,470
3,365
(3.03%引き)
3,455
+2.67%
9/16 佐藤商事(8065) c 350,000
1,000
1,201
1,171
(2.50%引き)
1,195
+2.05%
9/13 ヤマウラ(1780) b 200,000
2,000
934
906
(3.00%引き)
944
+4.19%
9/8 初穂商事(7425) c 31,000
100
1,566
1,519
(3.00%引き)
1,567
+3.16%
9/3 明豊ファシリティワークス(1717) c 600,000
1,000
865
842
(2.66%引き)
860
+2.14%

立会外分売で株を手に入れ、翌日始値で売った場合に得られる利益が損益率です。8銘柄のうち、プラスの銘柄は7社、マイナスが1社です。すべてプラスになる月もあれば、半数ほどマイナスになる月もあります。また、損益率を見てもわかる通り、二桁の利益が出るIPOとは違いがあることがわかると思います。

立会外分売の評価

当サイトでは、「東証プライム昇格を見越した分売であるか?」、「業績が好調か?」、「分売の目的が大株主の売却ではないか?」などの基準を元に、 立会外分売を実施する銘柄を評価しています。

Aは分売価格割れの可能性がもっとも低く、Dに近づくにつれて高くなります。

評価 トレード価格割れの可能性 株価上昇率の目安
a 低い +1%~+5%
b あまりない  0%~+3%
c ある -3%~+3%
d 高い -5%~+1%

※記載の株価上昇率はあくまで目安なので、結果を保証するものではありません。いかなる不利益が生じた際にも当サイトは一切の責任を負いませんので、すべてにおける最終判断はご自身でおこなってください。

立会外分売の発表当日に、「これから申し込みできる立会外分売の予想と結果」や、Twitter「@yasakabu」で発信しているので、ぜひチェック・フォローしてください!

立会外分売におすすめの証券会社

立会外分売に特化したサービスがある証券会社は、とくにありません。また、どの証券会社で申し込んでも、「割引価格」などの条件は同じです。

ただし、複数の証券会社から申し込むことで、当選確率がアップします!他に利用したい取引と合わせて、ニーズに合う証券会社を複数選んで口座開設しましょう。

ネット証券の比較表〔手数料は税込〕(2024年3月現在)
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※1 各種交付書面を郵送から電子交付に変更するだけで、約定金額にかかわらず売買手数料が無料になります。
※2 手数料コースを「ゼロコース」にするだけで、約定金額にかかわらず売買手数料が無料になります。

まとめ

立会外分売は、株をディスカウント価格で手にすることができるチャンスです。しかし、ディスカウント率につられて飛びつくと痛い目に遭うこともあります。企業が何のために立会外分売をするのか、理解したうえで投資をしましょう。企業を理解することが、投資家として成長することの近道になります。

立会外分売の買い方では、実際にSBI証券の取引画面を使って、立会外分売の解説をしていきます。こちらをご覧いただければ、どなたでも取引ができますので、合わせてご覧ください。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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