CAGR(年平均成長率)を使えるようにする

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2022年12月19日

突然ですが、CAGR(年平均成長率)ってご存知ですか?ちょっと聞き慣れない言葉かもしれません…。 「う~ん、また厄介そうなものが出てきたなぁ~、アルファベット4文字って嫌な予感…」と毛嫌いしないでください。CAGRはみなさんの味方ですよ(笑)!

ここで紹介したのは、CAGR(Compound Annual Growth Rate)を使えるようになると、なにかと便利だからなんです。例えば次のような表を見てください。これは、A社の売り上げ推移を示しました。

売上高推移

この表から売り上げの推移を読み取って、毎年平均して何%ずつ売り上げが成長しているのか計算できますか?前年度からの伸び率(単年の伸び率)は割り算をすることで、簡単に計算できますが(上表参照)、3年分の平均、5年分の平均を計算しようとすると迷ってしまいますよね。(少なくとも私は迷っていました…)

例えば2000年から2002年までの3年分の推移を見てみましょう。

(1)2002年で売り上げが【100→140億円】へと40%増えています。
(2)年度別に見てみると、2000年から2001年までは20%成長をしており、2001年から2002年までは17%成長しています。

この間の年平均成長率を求める時に、前者(1)を使って、40%÷2(年)=20%と単純計算してしまっては大間違いですし、後者(2)を使って、20%+17%=37% 37%÷2(年)=18.5%と計算しても間違いです。

ではこの場合、どう計算したらよいのでしょうか?ここで、CAGRの登場なのです。例題の場合の計算式は以下の通りになります。

CAGRの計算式

CAGR計算式
※↑式の解説は下のおまけにあります

よって、上記の式に代入すると、

n年度の売り上げ…140億円
初年度の売り上げ…100億円
n…3年目

=(140/100)^(1/〔3-1〕)-1≒18.3%  A. 18.3% (注←は、べき乗です)

CAGRグラフ

べき乗の計算がむずかしいという方は、エクセルシートに計算を任せてしまってください。計算式を作っておけば、エクセルが勝手に計算をしてくれますよ。

エクセル計算式

エクセルでの計算もむずかしいという方に向けて、CAGRのシミュレーションツールを作成しました。初年度の売り上げ、n年度の売り上げ、経過年数nを入力後、計算ボタンを押してください。

1:初年度の売上高(万円)  万円
2:n年度の売上高(万円)  万円
3:経過年数n  年

-%

さて、ここで疑問ですよね。どうして、このわけがわからない変な式で、CAGR(年平均成長率)が求まるのかを解説します(少々煩雑なので、数式で頭が痛くなってきた方は、CAGRの公式を丸暗記していただければ結構です。ここでは“おまけ”要素とします)。

---------------------------ここからはおまけです---------------------------

CAGR(年平均成長率)を言い換えると、次のような式で表すことができます。

計算式

(1+年平均成長率)^経過年数n-1×初年度の売り上げ=n年度の売り上げ…①

例題とは異なる事例として、具体的に数字を入れるとよくわかります。

年平均成長率:10% 初年度売り上げ:100億の場合

  • 1年目の売り上げ=(1+10%)^(1-1)×100億=100億円 ←1年目は成長しませんので
  • 2年目の売り上げ=(1+10%)^(2-1)×100億=110億円
  • 3年目の売り上げ=(1+10%)^(3-1)×100億=121億円

↑この辺りで、上記の式で複利計算がされていることが理解できますでしょうか?

CAGRの式は上記①の式を移項するだけです。

  • 両辺を初年度の売り上げで割り算します。(初年度売り上げが右辺に移項)
    (1+年平均成長率)^経過年数n-1=n年度の売り上げ/初年度の売り上げ
  • 両辺を経過年数 1/(n-1)乗をします。(経過年数 1/(n-1)乗が右辺に移項)
    (1+年平均成長率)=(n年度の売り上げ/初年度の売り上げ)^(経過年数 1/n-1
  • 両辺から1を引きます(1が右辺に移項)。
    年平均成長率=(n年度の売り上げ/初年度の売り上げ)^(経過年数 1/n-1)-1

---------------------------以上で、CAGRの公式ができるまでは終了---------------------------

ここまでCAGRを解説いたしました。このように一見、万能そうに見えるCAGRですが、私は欠点が2つあると思います。一つ目は、どこの値をとっているかで、CAGRが大きく変わってしまうことです。例題の2005年(前年比+67%)のように売り上げが急に大きく伸びた年は、その数字が平均に大きく影響してしまいます。

もう一つは、CAGRの数字は過去の結果に過ぎず、今後もこの成長率が約束されたものではないということです。当たり前のことですね…。CAGRは過去業績分析に適していると思いますが、将来分析予測にそのまま使ってしまうのは危険だと思います。永遠に同じ成長率を保って、成長し続ける会社など、ありえませんから。

以上2点に気をつけて使ってください。

☆試しにCAGRを使ってみてください。使っていくことで自分のものになるはずです!

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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