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日本郵政(ゆうちょ銀行、かんぽ生命)のIPOを徹底攻略
- お知らせ
- 日本郵政株のIPO申込は終了しました。
9月10日に日本郵政・ゆうちょ銀行・かんぽ生命3社の上場が正式に承認され、各社の想定価格(公募価格の見通し)が出そろいました(上場日は11月4日)。それぞれのPER(2015年3月期実績ベース)を見てみると、日本郵政が12.6倍、ゆうちょ銀行が17.1倍、かんぽ生命保険が15.9倍となっています。ただ、3社ともに2016年3月期は利益が減少する見通しですので、実質的に割安と言えるものはないように思います。
また、新聞などでは各社の予想配当利回りが注目されているようなので、こちらも見ておきましょう。
想定価格 | 予想1株あたり配当 | 配当利回り | |
---|---|---|---|
日本郵政 | 1,350円 | 23円(×年2回=46円) | 3.41% |
ゆうちょ銀行 | 1,400円 | 25円(×年2回=50円) | 3.57% |
かんぽ生命 | 2,150円 | 56円 | 2.60% |
同業他社の予想配当利回り(9月14日時点)を見てみると、三菱UFJフィナンシャルグループが2.4%程度、三井住友フィナンシャルグループが3.2%程度、第一生命保険が1.8%程度となっています。郵政グループ3社の予想配当利回りは、相対的にかなり高い水準となっており、こちらに注目が集まる展開になると、初値上昇の期待がぐんと高まります!
日本経済新聞など、各メディアから多数の報道がすでに出ていますが、「2015年11月に、日本郵政がIPOする」ことになりました!(子会社のゆうちょ銀行、かんぽ生命も同時にIPOします) →新規公開株(IPO)の魅力
3社合わせて時価総額が10兆円を上回る超大型案件ですので、IPOに申し込めば、当選する確率はかなり高いです。そこで、今回はどのようなケースであれば、これらのIPOで利益が期待できるかを考えてみようと思います。
相場が活況なとき
IPOに当選した場合、当選した方(売り手)は、その株を高値で売ってはじめて利益を手にすることができます。今回の日本郵政のIPOは、規模がとんでもなく大きいので、買い手の人数が足りないと一気に値崩れしてしまい、安値で売らなければならなくなってしまいます。
よって、より多くの買い手が見込める「相場が活況な時期(みんな儲かっているとき)」に上場することが重要になってきます。IPOの申し込みがはじまったときに、相場があまり活況でなければ、申し込むのをやめておいた方がよいでしょう。
公募価格が割安なとき
多くの買い手が見込めるとき、公募価格(IPOに当選すると、購入できる価格)が、利益に対して割安であれば、より高値で売れる可能性が高いです。そこで、IPOに申し込む前に、想定価格(公募価格の見通し)が発表されますので、これををもとに割安度を調べておきましょう。
☆割安度をはかるときは、PER(仮条件÷1株あたり利益)を使います。これが15倍以下に収まるようであれば、一般的に割安と言え、IPOで利益を出せる可能性が高いです。
成長性があるとき
いくら株価が割安であっても、その会社に成長性がなければ(上場後すぐに業績が悪化するなど)、 誰もその株を買ってくれません。最低でも、「この先少しは成長するだろう」と思われなければ、これだけの規模のIPOの売りはさばけないでしょう。とりあえず、以下に日本郵政とゆうちょ銀行、かんぽ生命の財務諸表を用意しましたので、ざっくり見ていきましょう!
財務諸表 | 2011年3月 | 2012年3月 | 2013年3月 | 2014年3月 | 2015年3月 |
---|---|---|---|---|---|
経常収益 [売上](百万円) | 17,468,947 | 16,661,440 | 15,849,185 | 15,240,126 | 14,258,842 |
経常利益(百万円) | 956,917 | 1,176,860 | 1,225,094 | 1,103,603 | 1,115,823 |
当期純利益(百万円) | 418,929 | 468,907 | 562,753 | 479,071 | 482,682 |
純資産額(百万円) | 9,999,952 | 10,935,358 | 12,448,197 | 13,388,650 | 15,301,561 |
自己資本比率(%) | 3.4 | 3.7 | 4.2 | 4.6 | 5.2 |
自己資本利益率(%) | 4.3 | 4.5 | 4.8 | 3.7 | 3.4 |
経常収益(売上)が右肩下がりで落ちており、成長性という点では厳しい評価を受けそうです。IPO時に提出される資料の中で、成長戦略をどのように描いているのかチェックが必要です。利益は、かろうじて横ばいで推移しています。日本郵政も、成長性に関して自信を持っていないのか、上場後は純利益の50%以上を配当に回す方針を打ち出しています。成長性がダメなら安定性で勝負といったところでしょうか。
ちなみに、子会社のゆうちょ銀行、かんぽ生命の財務諸表は以下のようになっていますが、基本的に同様の傾向にあります。
財務諸表 | 2011年3月 | 2012年3月 | 2013年3月 | 2014年3月 | 2015年3月 |
---|---|---|---|---|---|
経常収益 [売上](百万円) | 2,205,344 | 2,234,596 | 2,125,888 | 2,076,397 | 2,078,179 |
経常利益(百万円) | 526,550 | 576,215 | 593,535 | 565,095 | 569,489 |
当期純利益(百万円) | 316,329 | 334,850 | 373,948 | 354,664 | 369,434 |
純資産額(百万円) | 9,093,634 | 9,818,162 | 10,997,558 | 11,464,524 | 11,630,212 |
自己資本比率(%) | 4.7 | 5.0 | 5.5 | 5.6 | 5.6 |
自己資本利益率(%) | 3.5 | 3.4 | 3.4 | 3.1 | 3.2 |
財務諸表 | 2011年3月 | 2012年3月 | 2013年3月 | 2014年3月 | 2015年3月 |
---|---|---|---|---|---|
経常収益 [売上](百万円) | 13,375,468 | 12,538,618 | 11,834,920 | 11,233,925 | 10,169,236 |
経常利益(百万円) | 422,207 | 531,388 | 529,375 | 463,506 | 493,169 |
当期純利益(百万円) | 77,276 | 67,734 | 91,000 | 63,428 | 81,758 |
純資産額(百万円) | 1,207,690 | 1,292,077 | 1,464,771 | 1,634,457 | 1,969,143 |
自己資本比率(%) | 1.2 | 1.4 | 1.6 | 1.9 | 2.3 |
自己資本利益率(%) | 6.4 | 5.2 | 6.2 | 3.8 | 4.2 |
今回のまとめ
以上より、成長性に期待するのはむずかしそうなので、なんとか「相場が活況なとき」に、「割安な公募価格」で、IPOしてくれることを祈りましょう。正式にIPOの発表がありましたら、個人的な見解をこのページに掲載しますので、よければまたご覧になってください。
IPOの買い方は、「新規公開株(IPO)の買い方」で詳しく紹介していますので、挑戦しようと考えている方は参考にしてみてください。ちなみに、日本郵政のIPOの主力取り扱い証券会社に、三菱UFJモルガン・スタンレー証券も入ってくると思いますが、そのときは、同グループのauカブコム証券でも多くのIPOの取り扱いがあるので、お忘れなく!
日本郵政グループのIPOの当選期待度(管理人予想)を、証券会社ごとに比較しましたので、下表をご参考に口座開設をしてください(手数料は税込表示です)。
証券会社 | 当選期待度 | 売買手数料 (約定代金50万円まで) |
---|---|---|
auカブコム証券 | 275円 | |
マネックス証券 | 495円 | |
SBI証券 | 275円 | |
松井証券 | 無料 | |
岡三オンライン | 385円 |