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S&P500(エスアンドピー500)の今後(2026年5月)の見通しと4月の振り返り

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2026年5月1日

 

S&P500(エスアンドピー500)の2026年4月の振り返りと、2026年5月の見通し、注目イベント、投資戦略についてご紹介します。

本記事のポイントは、次の3つです。

ポイント

  1. 4月のS&P500は10.4%高と5年5か月ぶりの大幅高
  2. 5月はイラン戦争の行方を巡って上下に振れる不安定な展開に
  3. 13日の週から主要企業の2026年第1四半期決算発表がスタート

詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。

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2026年4月のS&P500(エスアンドピー500)を振り返り

4月のS&P500種株価指数は前月比10.4%高と急反発し、2020年11月以来の値上がり率を記録しました。過去1年間では17%高となります。

<4月は主要3指数が大幅に反発(過去1か月)>4月は主要3指数が大幅に反発(過去1か月)

出典:TradingView

米国・イスラエルとイランの軍事衝突を巡る過度な警戒感が和らいだことで、株高に乗り遅れる恐怖「FOMO」が強まり、米株式相場を押し上げています。半導体関連銘柄で構成する米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も18日続伸して最高値を更新しており、人工知能(AI)需要の拡大を背景として半導体株などAI関連銘柄に投資マネーが集中しました。

S&P500セクター別に過去1か月の騰落率をみると、「情報通信(IT、20.8%高)」や「通信サービス(18.5%高)」などが大きく値上がりしています。一方、全11業種中で唯一、「エネルギー(7.0%安)」が売りに押されました。

<S&P500業種別の株価パフォーマンス(過去1か月)>S&P500業種別の株価パフォーマンス(過去1か月)

出典:TradingView

ファクター別ではハイテク系の比率が高い「S&P500グロース指数」が月初来14.8%高、「S&P500バリュー指数」が同5.8%高と、グロース優位の展開となりました。

<S&P500グロース指数(白線)とバリュー指数(青線)の推移(年初来)
(2026年初を100として指数化)S&P500グロース指数(白線)とバリュー指数(青線)の推移(年初来)(2026年初を100として指数化)

出典:S&Pグローバル

個別銘柄ではインテル(ティッカーシンボル:INTL、過去1か月で2.3倍)やサンディスク(SNDK、同86.5%高)、シーゲイト・テクノロジー(STX、同81.5%高)など、AI半導体やメモリーなどに投資マネーが集中しました。

一方、チャーター・コミュニケーションズ(CHTR、33.8%安)やトラクター・サプライ(TSCO、23.4%安)など、決算が市場予想を下回った銘柄を中心に大きく値下がりしています。

3日に発表された3月の雇用統計は、非農業部門の就業者数が前月から17万8,000人増と、市場予想の5万9,000人増を大幅に上回りました。

<非農業部門の就業者数(前月からの増減幅、千人)>非農業部門の就業者数(前月からの増減幅、千人)

出典:米労働省

過去分については、2026年1月が3万4,000人増の16万人増に上方修正された一方、2月分は4万1,000人減の13万3,000人減に下方修正されています。労働市場の趨勢を把握するうえで重要な直近3か月平均は6万8,000人増になりました。

失業率は4.3%と前月から改善し、市場予想の4.4%を上回っています。セントルイス連銀の推計によると、月1.5万〜8.7万人の雇用増なら失業率も安定すると言われています。2月からの反動に加えて労働参加率が下がっているものの、総じて労働市場は底堅いと言えるでしょう。

10日に発表された3月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.3%の伸びを示し、約2年ぶりの大きさとなりました。エネルギーと食品を除くコア指数は同2.6%上がっています。両指数は2月まで鈍化傾向であったものの、イラン戦争の影響が出はじめている状況です。

<米CPIの推移(%)>米CPIの推移(%)

出典:米労働省

物価の瞬間風速を示す季節要因をならした前月比の伸びは0.9%となり、ロシアがウクライナへの侵略をはじめた後の2022年6月(1.3%)以来の高さを記録しました。CPIの項目別でみると、ガソリンなどのエネルギーが同10.9%と大きく伸びています。

イラン戦争の影響を受け、ガソリン価格の高騰などインフレが懸念されている状況です。全米自動車協会(AAA)によると、米国のレギュラーガソリン価格は1ガロン(約4リットル)あたり4.3ドルと、心理的節目の4ドルを超えた状態が続いています(4月30日時点)。

CPIの前月比での伸びや足元のガソリン価格を踏まえると、家計の負担が急速に膨らんでいることがうかがえます。

消費者の景況感は急速に悪化している状況です。10日に米ミシガン大学が発表した4月の消費者態度指数(速報値)は47.6と、前月から5.7ポイント低下し、統計開始の1952年以来で最低となりました。

ただし、同調査は米国とイランが一時停戦を発表する前に行われたものであることに留意が必要です。調査責任者のジョアン・スー氏は「イラン情勢に起因する供給の混乱が終息し、ガソリン価格が落ち着くという確信を消費者が得れば、経済見通しは改善するだろう」と述べています。

21日に発表された3月の米小売売上高は前月比1.7%増の7,521億ドルと、市場予想の1.4%増を上回りました。

<米小売売上高(前月比増減率、季節調整済み、百万ドル)>米小売売上高(前月比増減率、季節調整済み、百万ドル)

出典:米商務省

<米小売売上高推移(季節調整済み、百万ドル)>米小売売上高推移(季節調整済み、百万ドル)

出典:米商務省

イラン戦争を受けた原油高により、業種別ではガソリンスタンドが前月比15.5%と、1992年の統計開始以来、過去最高の伸び率となっています。燃料高による額面の売上高が大きく拡大しているほか、税還付の影響が一時的に出ているとみられることから、底堅い消費が続くか注視する必要があるでしょう。

29日まで開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)では事前の予想通り3会合連続で政策金利を据え置きました。政策金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利は3.5~3.75%となります。

<FF金利の推移(%)>FF金利の推移(%)

出典:セントルイス連銀

イラン戦争を受けてガソリン高が家計に重くのしかかり、米ミシガン大の消費者態度指数は過去最低を更新しました。米連邦準備理事会(FRB)が重視する米個人消費支出(PCE)物価指数(3月)は前年同月比の上昇率は3.5%と、同理事会が物価目標とする2%を上回る水準で推移しています。

そのようななか、今回のFOMCでは3名の参加者が将来的な金融緩和を示唆するような文言を盛り込むことに反対しており、金融緩和に消極的なタカ派寄りにシフトしていることがうかがえます。

30日に発表された2026年1〜3月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)は前期比年率2.0%増と、前期(2025年10~12月期、0.5%増)を上回る底堅さを示しました。

<米国のGDP推移(前期比年率増減率、%)>米国のGDP推移(前期比年率増減率、%)

出典:商務省

項目別では、設備投資が10.4%増と大きな伸びとなっています。一方、GDPの7割を占める個人消費は1.6%増と、前期の1.9%増から鈍化しました。

4~6月期のGDPは前期より減速すると予想されています。イラン戦争が続くなかでガソリン高が家計に重くのしかかり、個人消費に悪影響を及ぼす可能性があります。

2026年5月のS&P500(エスアンドピー500)の見通し

5月の米株市場は底堅く推移すると予想します。

マクロ面は不安定な情勢が続く見込みです。

米国・イスラエルとイランの軍事衝突の停戦交渉が膠着状態となるなか、米国では連邦議会の承認がないままはじめた戦争は60日以内の撤収を求める戦争権限法に基づき、5月1日に軍の撤収期限を迎えます。ホルムズ海峡の封鎖の長期化に伴って原油の高止まりも懸念されており、トランプ大統領をはじめとする停戦交渉を巡るヘッドライン(ニュースの見出し)に一喜一憂する展開が続くでしょう。

トランプ氏は同月14~15日に訪中する予定です。貿易交渉や台湾問題への対応を図るとみられています。

直近では米財務省が国内外の金融機関に対し、イラン産原油を受け入れる中国の独立系製油所との取引に関われば制裁対象になる可能性があると警告を出しました。中国はイラン産原油の9割を引き取っており、原油を巡るイラン制裁が強化されれば、間接的に中国経済にも影響を与えうるため、中国の動向を注視する必要があるでしょう。

FOMC議長のパウエル氏は5月15日に議長の任期が満了する予定です。FRBの独立性を保つべく、当面の間は理事(常に投票権がある)に留まる意向を表明しました。

インフレが警戒され、経済の先行き見通しの不透明感が強まるとともにFOMCがタカ派寄りの内容となるなか、次期議長と目されるウォーシュ元理事はむずかしいかじ取りを強いられることになるでしょう。なお、ウォーシュ氏は利下げやバランスシートの縮小といった考えを持っており、その動向が注目されます。

市場では2026年内の追加利下げ観測は後退している状況です。米金利先物の値動きから金融政策を予想する「CME FedWatchツール」によると、2026年12月のFOMCで政策金利を維持する確率が85%になります(4月29日時点)。

<FedWatch(2026年12月FOMC)>FedWatch(2026年12月FOMC)

出典:CME Group

ミクロ面の好調な企業業績が株式相場を下支えしています。

4月24日時点において、S&P500構成企業の約3割が2026年第1四半期決算を発表するなか、そのうち84%の企業の1株あたり利益(EPS※1)がポジティブサプライズとなりました(出所:ファクトセット)。過去10年間の平均である76%を上回っています。

※1 EPSとは、「Earnings Per Share」の略で、企業の「収益力」と「成長力」を評価する際に使われる指標の1つで、1株あたりの利益がどれだけあるのかを示すものです。基本的に数値が高いほど企業の収益力は高いとみることができます。

さらに、EPS成長率は前年同期比15.1%と、3月末時点の13.1%から上方修正されており、過去10年間の平均である10.3%を上回っています。

先行き見通しをみても、2026年第2四半期は20.6%、第3四半期は22.7%、第4四半期は20.4%、2026年通年は18.6%と、企業業績は総じて堅調に推移する見込みです。

ただし、セクター別でみると、エネルギーやITなどは大幅増益が見込まれる一方、生活必需品や不動産などはS&P500平均を下回り、セクター間で偏りがあることに留意が必要でしょう。

<S&P500業種別の利益成長率見通し(2026年、カレンダーイヤー)>S&P500業種別の利益成長率見通し(2026年、カレンダーイヤー)

出典:ファクトセット

S&P500構成銘柄の予想PER(12か月フォワード、※2)は20.9倍と、過去5年の平均である19.9倍、過去10年平均の18.9倍と比較して再び割高感が意識される水準で推移しています。

※2 PERは「Price Earnings Ratio」の略で、日本語では「株価収益率」と呼ばれます。株価が1株あたりの利益の何倍にあたるかを示す指標です。PERが高いほど、投資家はその企業の将来性や成長性を高く評価していると考えられます。

<S&P500のPERの推移(12か月フォワード)>S&P500のPERの推移(12か月フォワード)

出典:ファクトセット

投資戦略、注目イベント

ウォール街では強気姿勢を堅持するストラテジストが増えています。

最近ではJPモルガン・チェースがS&P500の年末目標を現在の水準(4月30日終値)より5.4%高い7,600ポイントへ引き上げました。地政学的な不安定さは懸念されるものの、テクノロジーおよびAI分野の見通し改善が相場を引き上げるとみています。

S&P500は4月に2桁の株高を演じ、テクニカル的には過熱感が強まっていることから、スピード調整の売りに押される場面がみられるかもしれません。利が乗っている銘柄は幾分かは利益確定をして投資規律を保つべきと言えますが、企業業績はしっかりしていることから、調整した場面は優良銘柄を安く仕込む買い場になるでしょう。

また、相場をリードするAI分野のなかでは選別物色の動きが続いており、好業績でなおかつ需給がひっ迫する領域、例えばメモリーや電力インフラ関連などは今後も投資マネーの流入が期待できそうです。

ポートフォリオがハイテク株に偏っているのであれば、ディフェンシブ性が高いヘルスケアや生活必需品などを加えることでポートがより強固になるでしょう。

2026年5月の主な経済指標スケジュール
日付 イベント
5月1日 ISM製造業景況感指数
5月5日 ISM非製造業景況感指数
5月6日 ADP雇用統計
5月8日 雇用統計/ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)
5月12日 CPI
5月14日 小売売上高
5月28日 個人消費支出(PCE)デフレータ

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まとめ

2026年5月の米国株式市場は、地政学リスクや金融政策を巡る不透明感が引き続き意識されるものの、堅調な企業業績を背景に底堅く推移する展開が見込まれます。

米国・イスラエルとイランの軍事衝突や原油価格の動向、各国の政治・外交イベントなどにより短期的には相場が上下に振れる可能性がありますが、企業の利益成長は引き続き力強く、株式市場の下支え要因となっています。

一方で、S&P500は高値圏で推移しており、バリュエーション面では割高感も意識される水準です。短期的には利益確定売りやスピード調整が入る場面も想定されるため、投資においては冷静な判断が求められます。

今後の投資戦略としては、好業績が見込まれる銘柄の押し目を狙いつつ、AI関連やインフラなど成長分野への投資を軸とする一方、ヘルスケアや生活必需品などのディフェンシブ銘柄を組み合わせることで、バランスの取れたポートフォリオを構築することが重要です。

引き続き、金融政策の方向性やインフレ動向、地政学リスクの変化を注視しながら、中長期的な視点での投資判断が求められる局面と言えるでしょう。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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