企業分析方法

ハイデイ日高(7611)

[ 業種:飲食業 ]

  • 公開日:2019年6月14日

低価格ラーメンチェーン『日高屋』を運営するハイデイ日高(7611)について、企業分析しました(ハイデイ日高の公式ホームページ)。使ったツールは、SBI証券の「会社四季報」、GMOクリック証券の「財務分析ツール」、マネックス証券の「銘柄スカウター」です。(分析担当:西尾)

ハイデイ日高(7611)の注目ポイントは、以下の2点です。

  • 新規出店によって成長が見込める
  • コストを削減しつつ、利益を出すビジネスモデルを持っている

さっそく、順番に見ていきましょう!

注)分析方法や予測、結果などは管理人の個人的な見解です。
銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。

1.基礎情報

1-1.基礎情報

売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
419億円 47億円 47億円 31億円

※売上高、営業利益、経常利益、当期純利益は、2019年2月期の実績値です。

時価総額 PER(予) PBR(実) 配当利回り(予)
765億円 24.5倍 3.05倍 1.79%

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

1-2.株価推移 (最近3年間)

株価推移 (最近3年間)

(出典:SBI証券

→最新の株価チャートは、こちら(SBI証券のホームページ)から確認できます。

1-3.事業内容の要約

企業情報

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

ハイデイ日高は、低価格ラーメンチェーン『日高屋』を、首都圏を中心に展開している企業です。駅を中心に集中出店するドミナント方式をとっており、一定の範囲内に店舗が集中しているのが特徴です。

ビジネスモデルは、消費者に対してラーメンなどの飲食物を提供し、その対価を受け取るというものです。中華そば390円という低価格帯で、サラリーマンや学生が足を運びやすい商品設計にしています。また、同じ低価格帯の飲食店である、『吉野家』や『マクドナルド』のすぐ近くに出店しているのが特徴です。これは、吉野家やマクドナルドに飽きた消費者が、同じ価格帯の日高屋に流れてくることが見込めるからです。

1-4.直近の業績をチェック

前期進捗状況 - 経常利益

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

※1Q、2Q、3Qの「Q」とは、「Quarter」の頭文字で、日本語に直すと「四半期(3か月)」となります。

直近業績のチェックポイントは、「前期の経常利益進捗率」です。この数値は、マネックス証券の銘柄スカウターで確認できます。会社の業績が、過去よりも好調なのか不調なのかを知ることに役立つ指標です。

2019年6月5日現在、最新の決算は2019年2月期(前期)のものです。前期の経常利益進捗率は96.8%となっており、会社がはじめに計画していた経常利益には到達していません。この原因は、人件費の高騰によるものです。

飲食店は、料理を作ったり運んだりする人が必要な事業なので、どうしても人件費の負担が重くなります。最近は人手不足が問題になるほど、従業員を集めることがむずかしくなっています。そのため、人を集めるには賃金を上げるしかなく、人件費が増えてしまうのです。

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2.なぜハイデイ日高に注目したのか?

ハイデイ日高(7611)に注目した理由は、次の2点です。

1つ目は、『新規出店によって成長が見込める』ことです。ハイデイ日高は、これまで店舗数を増やすことで業績を伸ばしてきており、2019年2月期決算時点で429店舗を運営しています。今後は、首都圏を中心に600店舗体制を目指していくため、これまでどおり業績の拡大が見込めるのです。

2つ目は、『コストを削減しつつ利益を出すビジネスモデルを持っている』ことです。まずは、コスト削減の部分をご紹介します。ハイデイ日高のようなチェーン店は、全国展開しているイメージを持つ人が多いでしょう。しかし、ハイデイ日高の店舗網を確認すると、首都圏の駅周辺に集中しています。

このように、特定の場所に集中して店舗を展開することを、ドミナント方式といいます。店舗をドミナント方式で展開すると、一定の区域内に複数の店舗が集まるため、食材などを配達する手間を、最小限に抑えることができるメリットがあります。配達には人手やガソリン代などがかかりますが、このコストを削減できるのもドミナント方式の強みです。

また、食材を自社の工場で製造していることも、コスト削減に一役買っています。大量に食材を仕入れ、大量に加工することになるので、1食あたりの人件費や機械の費用を下げることができるのです。このように、ハイデイ日高はさまざまな効率化を積み重ね、コストを削減しています。

続いて、利益を出すビジネスモデルについてご紹介します。『日高屋』は、ラーメンを1杯390円で食べられる店として有名です。そのため、1杯390円のラーメンに占める食材費や人件費の割合が大きく、ラーメン1杯あたりの利益率が低くなってしまいます。そこで、価格が高めの季節限定商品アルコール類を提供することで、利益率を高めているのです。

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3.財務諸表分析

3-1.貸借対照表

貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

ハイデイ日高の貸借対照表です。有価証券報告書には数字しか書かれていないので、上に載せたGMOクリック証券の財務分析ツールを使うと、その中身を目でチェックできるので便利です。

2018年の貸借対照表について、『①現金等(水色の部分)』と『②有形固定資産(緑色の部分)』、『③無形固定資産(薄い緑色の部分)』、『④株主資本(黄色の部分)』に注目しましょう。

①現金等が多いのは、飲食店ならではの理由です。飲食店は、商品を提供することで現金を受け取るビジネスなので、どうしても手持ちの現金が多くなってしまいます。さらに、ハイデイ日高の場合は、カード決済を受け付けておらず、支払い方法が現金決済のみに限定されています。このことも、現金が多い要因となっているようです。

ちなみに、決済方法を現金のみにしているのは、銀行からの借金に頼らず資金調達するためだと考えられます。ここで、ハイデイ日高のお金の動き方を追ってみましょう。ハイデイ日高の場合、仕入れた食材は翌日には使い切っており、支払期限は仕入れから1か月後でした。

ここで、支払方法を現金払いに限定すると、ラーメンの提供と同時に現金が入ってくることになります。この現金は、支払期限の1か月後までハイデイ日高の財布の中に入っているので、ハイデイ日高は支払期限まで、そのお金を自由に使うことができます。そのため、有利子負債に頼ることなく、新規出店や店舗改装ができているというわけです。お金を効率よく使っている事例のひとつですね。

②有形固定資産が多い理由は、自社で店舗と工場を持っているためです。ハイデイ日高は直営店での運営が基本なので、店舗や厨房設備が多く、有形固定資産が膨らんでしまいます。また、自社で使う食材の加工工場を持っていることも、有形固定資産を膨らませる要因のひとつです。

③無形固定資産が多いのも、自社で店舗や工場を持っていることが関係しています。実は、無形固定資産の多くは店舗に対してかかる敷金や保証金で占められているのです。今後も、店舗数が増えるのにしたがって、無形固定資産が増えていくでしょう。

④株主資本が多い理由は、収益性の高いビジネスモデルで、利益を毎年蓄積できているためです。2.なぜハイデイ日高に注目したのか?でもご紹介したとおり、ドミナント方式での店舗展開や自社工場での食材製造、季節限定商品やアルコール類の提供が、功を奏しています。

貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

今度は、過去10年分の貸借対照表の推移をチェックしましょう。10年分さかのぼってチェックすることで、「分析している企業が、どのように変化してきたか」がわかります。注目ポイントは、『有形固定資産(緑色の部分)』と『現金(水色の部分)』、『株主資本(黄色の部分)』です。

有形固定資産(緑色の部分)は、店舗数が毎年増えているにもかかわらず、2016年以降増えていません。気になったのでハイデイ日高のIRに問い合わせたところ、2016年以降は新規出店する直営店を賃貸に切り替えたため、有形固定資産が増えなくなったとのことでした。

その結果、現金(水色の部分)が増えています。新規出店のコストが減ったので、手持ちの現金が増えたというわけです。この現金は、店舗の修理や新規出店に使っているそうです。

株主資本(黄色の部分)は、毎年右肩上がりで伸びていることがわかります。収益性の高いビジネスモデルなので、毎年利益が蓄積できているためです。

3-2.損益計算書

過去~現在~未来まで13年分

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の図は、過去から未来にかけて13年分の損益計算書をグラフ化したものです。売上高も営業利益も右肩上がりになっています。店舗数を増やすことで、業績を伸ばすことができているようです。

600店舗体制を目指して出店していくとのことなので、今後も売上高が右肩上がりに伸びると予想できます。ただし、人手不足から人件費の高騰がしばらく続くと考えられるので、営業利益の伸びは鈍化するかもしれません。

四半期ごとの業績

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の図は、ハイデイ日高の損益計算書を、四半期ごとにグラフ化したものです。売上高は四半期ごとに成長していて、特に季節要因はなさそうです。

営業利益は、4Q(本決算)に低くなる傾向が見られますね。これは、4Qだけ経営効率が落ちているわけではありません。3Qと4Qの損益計算書を見比べると、販管費が急激に増えていました。本業に関係するコストを、期末にまとめて計上しているためだと考えられます。

3-3.キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー分析(簡易版)

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

上のグラフは、ハイデイ日高のキャッシュフロー(CF)を表したものです。2018年は、「営業CF:-、投資CF:-、財務CF:+、フリーCF:-」となっています。金額は、「営業CF:41億円、投資CF:▲14億円、財務CF:▲13億円、フリーCF:27億円」です。

本業の稼ぎである営業CFの金額内で、新規出店などの投資と、銀行への借金返済ができています。健全で最も美しいCF計算書といえますね。しかも、過去10年間ずっと同じCFの形となっているのも素晴らしいです。事業環境に大きな変化がなければ、今後も健全なCFが続くと考えて良いでしょう。

3-4.企業価値評価(株価と理論株価の関係)

企業価値評価

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

※↑具体的な図の見方やツールの使い方などは、こちら(財務分析ツールの紹介)をご参考ください。

(図の見方)
株価理論株価” となっていれば割安です。

「売上成長率」、「営業利益率」、「償却」、「設備投資」は過去3年の値を、「割引率」は推奨値を使って、理論株価を出してみました。ハイデイ日高の場合、2019年5月30日現在の株価2,029円に対して、理論株価1,491円であり、36%割高であると言えます。

(ツールの使い方〔手順〕)
口座開設(GMOクリック証券) → ログイン → 『株式』 → 銘柄を選ぶ → 『財務分析』

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4.将来予想

4-1.今後のシナリオ(将来予測)

今後も、600店舗体制を目指して新規出店を進めることになるので、業績は右肩上がりで伸びていくでしょう。ただし、その分人件費の負担が重くなるため、営業利益率が悪化する可能性もあります。

そこで、ハイデイ日高では人件費などのコストをオーナーが負担する、フランチャイズ形式の店舗を増やそうとしています。フランチャイズ店が増えると、売上高に占める人件費の割合が小さくなるので、営業利益が上がるという効果が見込めます。今後は、フランチャイズ店舗数の増加に注目しておくべきでしょう。

PER別の株価

ここで、向こう2年間の予想株価を計算してみましょう。予想株価は、「EPS×PER」で計算できます。

まずは、2020年2月期の予想株価から計算してみます。決算短信によれば、2020年2月期の予想EPSは82円です。2019年6月現在のPER25倍を使って掛け算すると、2019年6月期の予想株価は2,000円となります。

続いて、2021年2月期の予想株価を計算してみましょう。決算短信には、2021年2月期の予想EPSが載っていないため、これまでのEPS成長率からEPSを予想していきます。まず、2017年から2020年までのEPS成長率を計算すると、約2%でした。これに2020年の予想EPSを掛けると、2021年2月期の予想EPSは84円と計算できます。

計算した予想EPSと、2019年6月現在のPER25倍を掛け算すると、2021年2月期の予想株価は2,100円となります。

4-2.今後考えられるリスク

今後考えられるリスクは、以下の5点です。

  • ①原材料価格や人件費などのコストが増える
  • ②バイトテロが起きる
  • ③食中毒が起きる
  • ④消費税増税によって売上が落ち込む
  • ⑤キャッシュレス化が進む

①~④は、飲食業に共通するリスクとなります。②と④はニュースや新聞でもよく耳にしますよね。特に、④の影響は飲食業にとってかなり痛手でしょう。しかし、ハイデイ日高のような低価格商品を売りにしている場合は、節約志向の高まりからむしろ客足が伸びるかもしれません。マイナスの影響もプラスの影響もありそうなので、今後に注目です。

⑤のキャッシュレス化は、ハイデイ日高にとってはきびしいものになるかもしれません。なぜなら、現金払いのみにすることで「自由に使えるお金」を手に入れ、店舗の改装や新規出店に使っていたからです。キャッシュレス化が進むと、ラーメンの提供と同時に現金が入らなくなるので、もしかしたら資金繰りに問題が出てくるかもしれません。

5.ハイデイ日高を分析するときに参考にした、無料のサービス

ツール 提供している
証券会社
ポイント
会社四季報 SBI証券 銘柄選択に向いています!
財務分析ツール GMOクリック証券 バリュー投資に向いています!
銘柄スカウター マネックス証券 簡易分析に向いています!

※いずれのサービスも、各証券会社に口座開設していれば、無料で使えます♪

6.まとめ

ハイデイ日高は、店舗数を増やすことで業績が右肩上がりになる企業です。低価格を売りにしつつも、ドミナント方式による店舗展開や値段が高めの季節限定商品・アルコールの提供によって、高い利益率を実現している企業でもあります。コスト増加といった逆風が吹いているので、今後は利益率の数字は少しずつ下がるかもしれませんが、同価格帯の競合企業よりは利益率の高い状態をキープしつつ、業績を伸ばしていくのではないでしょうか。

ただし、2019年は消費税増税が控えているので、消費者の財布のひもが固くなると予想されており、飲食業全体に逆風が吹いています。このような中でも、消費者に飽きられない、魅力あるブランドづくりをして、業績を伸ばしていってほしいですね。

注)ここで紹介している分析方法や結果等は個人的な視点のもので、銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。
注)このページの分析は、2019年6月6日現在の情報に基づいています。同日以降に発表されたIR情報は反映していませんので、あらかじめご了承ください。

西尾のプロフィール

・やさしい株のはじめ方の資産運用担当
・ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員の資格あり
・年間200銘柄以上を分析中

Twitter「@kabuotaku758」でも情報発信中です!