企業分析方法

カオナビ(4435)

[ 業種:情報・通信業 ]

  • 公開日:2019年6月7日
成長性 5.0
割安性 1.0
収益性 4.0
財務健全性 2.0

クラウドを使った人材管理システム『カオナビ』を運営するカオナビ(4435)について、企業分析しました(カオナビの公式ホームページ)。使ったツールは、SBI証券の「会社四季報」、GMOクリック証券の「財務分析ツール」、マネックス証券の「銘柄スカウター」です。(分析担当:西尾)

カオナビ(4435)の注目ポイントは、以下の2点です。

  • 成長性が高い
  • 収益性が高い

さっそく、順番に見ていきましょう!

注)分析方法や予測、結果などは管理人の個人的な見解です。
銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。

1.基礎情報

1-1.基礎情報

売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
17億円 ▲0.7億円 ▲0.9億円 ▲1億円

※売上高、営業利益、経常利益、当期純利益は、2019年3月期の実績値です。

※数字の前についている「▲」は「-(マイナス)」の意味です。たとえば、▲100億円の場合は、100億円の赤字ということになります。

時価総額 PER(予) PBR(実) 配当利回り(予)
501億円 -倍 37.16倍 -%

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

1-2.株価推移 (最近3ヶ月間)

株価推移 (最近3ヶ月間)

(出典:SBI証券

→最新の株価チャートは、こちら(SBI証券のホームページ)から確認できます。

1-3.事業内容の要約

企業情報

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

カオナビは、クラウドを使った人材管理システム『カオナビ』を運営している企業です。従業員の顔や名前、経験、評価、スキルなどの人材情報を一括で管理できるのが特徴となっています。カオナビが登場するまでは、従業員ひとり一人のデータは、エクセルなどを使って管理しなければならず、情報も散らばってしまうためとても手間でした。カオナビは、社内の人材管理の効率の悪さを解消してくれる、すばらしいツールです。

ビジネスモデルは、人材管理システム『カオナビ』を提供し、利用者から1年分の利用料金を、契約時にまとめて受け取るというものです。このビジネスモデルを「サブスクリプション」と言います。また、契約が2年以上続くと、毎年の契約更新日に1年分の利用料金が入ってくる仕組みになっています。そのため、顧客が増えれば増えるほど、毎年カオナビに振り込まれるお金が増えていくのです。

サブスクリプションモデルの最大のメリットは、毎年まとまったお金が手に入るということです。後ほど解説しますが、自由に使える現金をたくさん持つことになるので、サービスの拡充などの投資に回すことができます。しかも、銀行からの借金とは違って、返済しなくてよいという利点もあります。今後は、同様のビジネスモデルを持つ企業が増えていきそうですね。

1-4.直近の業績をチェック

今期進捗状況 - 経常利益

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

※1Q、2Q、3Qの「Q」とは、「Quarter」の頭文字で、日本語に直すと「四半期(3か月)」となります。

業績のチェックポイントは、「経常利益の進捗率」です。この数値は、マネックス証券の銘柄スカウターでチェックできます。会社の業績が、過去よりも好調なのか不調なのかを知ることができます。

カオナビは、経常利益が赤字なので、進捗率は出ていません。この場合の注目ポイントは、次の2点です。

  • 今期4Qの経常利益が、コンセンサス(専門家が予想した業績)を超えられるか(コンセンサスとの比較
  • 前期3Qと4Qの進捗率と比べて、今期の進捗率はどうなるか(前期との比較

まずは、コンセンサスとの比較についてです。カオナビの最新決算では経常利益が赤字となっていますが、コンセンサスによると、今期は黒字になると予想しているようです。市場の投資家は、このコンセンサスを超えることを見越して株を買っていることが多いので、万が一コンセンサスを下回ると、株が売られることになります。

4Qの経常利益がコンセンサスを超えそうかどうかは、1Q~3Qの進捗率を追うことで予想できます。目標値である2.8億円に対して、四半期ごとに着実に業績を伸ばしているようであれば、特に問題はないでしょう。ただし、四半期の業績がコンセンサスの数値と程遠い場合は、コンセンサスに届かない可能性があるので、注意する必要があります。

続いて、前期との比較についてです。基本的に、企業の四半期業績は毎年同じような動きをするのですが、まれに前期よりも進捗率が高くなったり、低くなったりすることがあります。高くなっている場合は、業績が急拡大している可能性が高く、低くなっている場合は、業績が悪化している可能性が高いと言えます。進捗率のブレがあった場合は、四半期ごとの決算短信を読んで、理由を探してみましょう。

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2.なぜカオナビに注目したのか?

カオナビ(4435)に注目した理由は、次の2点です。

1つ目は、『成長性が高い』ことです。現在の日本では人手不足が深刻です。そのため、企業では採用活動を積極的におこなうことはもちろん、従業員の適材適所を見極めて、効率よく事業を運営することが求められています。そのような流れの中で、クラウドを使って人材の一括管理ができる『カオナビ』は、企業にとって導入のメリットが多く、契約社数が伸びていくと考えられます。

2つ目は、『収益性が高いビジネスモデル』であることです。カオナビのようなITサービスは、導入する企業が増えれば増えるほど、利益率が高くなる傾向にあります。カオナビは現在契約社数を増やしている段階であり、2024年には100億円の達成を目指しています。今後も契約社数は増えると考えられるので、売上高が増えるにつれて収益性も高まっていくでしょう。

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3.財務諸表分析

3-1.貸借対照表

貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

カオナビの貸借対照表です。有価証券報告書には数字しか書かれていないので、上に載せたGMOクリック証券の財務分析ツールを使うと、その中身を目でチェックできるので便利です。

2018年の貸借対照表について、『①現金等(水色の部分)』と、『②前受収益(ピンク色の部分)』、『③株主資本(黄色の部分)』に注目しましょう。

①現金等が多い理由は、次の2点です。

  • サブスクリプション型のビジネスモデルだから
  • 2019年にIPOして資金調達したから

1-3でご説明したとおり、カオナビはサブスクリプション型のビジネスモデルです。毎年、利用者から年間の利用料金が前払いで入ってくるので、現金をたくさん持つことができるのです。また、2019年にIPOしたため、その際に調達した現金も多く含まれています。

②前受収益が多いのも、サブスクリプション型のビジネスモデルが関係しています。利用者から受け取る年間の利用料金は、サービスを提供する前に前払いで受け取ります。そのため、会計処理上「前受収益」として、負債に計上されるのです。

ちなみに、サブスクリプション型の事業の成長性をチェックするときには、「前受収益の伸び」を確認しましょう。前受収益が増えているということは、顧客が増えていることを意味するからです。カオナビや似たような企業に投資する際は、四半期ごとにチェックするのがおすすめです。

③株主資本が多い理由は、2019年にIPOをして資金調達したことが影響しています。実際に中身を見ると、IPOによって資本金が約6億円増えています。

貸借対照表についてまとめます。カオナビはサブスクリプション型のビジネスモデルなので、現金等と前受収益が多くなります。また、2019年におこなったIPOによって資金調達したため、現金等と株主資本が大きくなっています。

3-2.損益計算書

過去~現在~未来まで4年分

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の図は、過去4年分の損益計算書をグラフ化したものです。売上高は順調に右肩上がりに、営業利益は2018年に少し悪化したものの、2019年には大幅に上昇しています。

2018年に営業利益が悪化したのは、少し無理して広告宣伝や営業人材の確保をおこなったからです。サービスの認知度を上げ、契約社数を増やしていかないと、営業利益を黒字転換させることはできません。売上高を伸ばして営業利益を黒字にするための先行投資として、多額の販管費を投下したようですね。

2019年には、売上高も伸びて営業利益も改善しているので、一定の効果が出せていると考えられます。2019年も積極的に先行投資をおこなっているので、コンセンサスどおり今期に黒字化できるといいですね。

3-3.キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー分析(簡易版)

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

上のグラフは、カオナビのキャッシュフロー(CF)を表したものです。2019年は、「営業CF:+、投資CF:-、財務CF:+、フリーCF:+」となっています。金額は、「営業CF:1.7億円、投資CF:▲0.5億円、財務CF:10.7億円、フリーCF:1.3億円」です。

営業CFとフリーCF(営業CFと投資CFの合計)は、2019年にプラスに転換しました。先行投資の効果が出て、本業の赤字額が減ったことが影響しているようです。

財務CFが大幅にプラスとなっているのは、2019年のIPOによって、たくさんの現金が入ってきたことが関係しています。IPOをした直後の企業は、このように財務CFが大幅にプラスになることが多くあります。

3-4.企業価値評価(株価と理論株価の関係)

企業価値評価

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

※↑具体的な図の見方やツールの使い方などは、こちら(財務分析ツールの紹介)をご参考ください。

(図の見方)
株価理論株価” となっていれば割安です。

「売上成長率」、「営業利益率」、「償却」、「設備投資」は過去3年の値を、「割引率」は推奨値を使って、理論株価を出してみました。カオナビの場合、2019年5月27日現在の株価9,240円に対して、理論株価▲6,295円であり、割高であると言えます。

理論株価がマイナスとなっているのは、理論株価を計算する際の元となる「事業の価値」がマイナスだからです。本業で利益を出せていない(赤字になっている)企業は、計算上事業価値がマイナスになってしまうのです。

(ツールの使い方〔手順〕)
口座開設(GMOクリック証券) → ログイン → 『株式』 → 銘柄を選ぶ → 『財務分析』

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4.将来予想

4-1.今後のシナリオ(将来予測)

今後は、広告宣伝や営業人材への積極的な投資が実を結び、売上高の増加と営業利益の黒字転換が起きると予想しています。また、一定の売上高に到達してしまえば、広告宣伝や人件費を増やす必要がなくなるので、販管費率が低下して、営業利益率が上昇するのではないでしょうか。

PER別の株価

ここで、向こう2年間の予想株価を計算してみましょう。予想株価は、「EPS×PER」で計算できます。

まずは、2020年3月期の予想株価から計算してみます。決算短信には予想EPSが公表されていなかったので、SBI証券で配信されている、会社四季報の予想EPSである46円を使います。続いてPERですが、現在はEPSが赤字なのでPERがわかりません。そこで、カオナビが属する「情報・通信」業界の平均PERである15倍を使って計算すると、2020年3月期の予想株価は700円となります。

続いて、2021年3月期の予想株価を計算してみましょう。現時点では、2021年の予想EPSはどこにも公表されていないので、過去の成長率から推測する必要があります。2017年から2019年までのEPSの年平均成長率は37%と計算されるので、2020年3月期の予想EPSである46円に掛けると、2021年3月期の予想EPSは62円と計算できます。

こちらもEC業界の平均PER15倍で計算してみると、2021年3月期の予想株価は900円となります。

つまり、2019年5月27日現在の株価の10分の1程度が、適正な株価だと言えそうです。EPSが黒字になった瞬間に株価が下がるわけではありませんが、適正な株価よりもかなり高い株価が付いていることには、注意しておくと良いでしょう。

4-2.今後考えられるリスク

今後考えられるリスクは、競争の激化です。

カオナビが主戦場とする業界は、成長市場であることに加え、参入障壁が高くないため、多くの企業が目をつけています。そのため、競合が増えていき、競争が激しくなる可能性が高いのです。万が一、カオナビよりも優れたサービスが登場した場合は、顧客を奪われてしまうかもしれません。こうなると、売上高が減ってしまうので、注意が必要です。

5.カオナビを分析するときに参考にした、無料のサービス

ツール 提供している
証券会社
ポイント
会社四季報 SBI証券 銘柄選択に向いています!
財務分析ツール GMOクリック証券 バリュー投資に向いています!
銘柄スカウター マネックス証券 簡易分析に向いています!

※いずれのサービスも、各証券会社に口座開設していれば、無料で使えます♪

6.まとめ

カオナビは、契約社数が増えることで業績が伸びていく企業です。そのためには広告宣伝費や営業人材に投資する必要があるため、黒字化した後も販管費が重い時期が続くでしょう。しかし、一定の売上高水準にたどり着ければ、販管費を大幅に増やす必要がなくなるので、営業利益率が上昇していくのではないでしょうか。

「クラウド・人材・サブスクリプション」といった人気テーマが集まった企業が、今後どのように成長していくのかとても楽しみですね。

注)ここで紹介している分析方法や結果等は個人的な視点のもので、銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。
注)このページの分析は、2019年5月27日現在の情報に基づいています。同日以降に発表されたIR情報は反映していませんので、あらかじめご了承ください。

分析担当 西尾のプロフィール

・やさしい株のはじめ方の資産運用担当
・ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員の資格あり
・年間200銘柄以上を分析中

Twitter「@kabuotaku758」でも情報発信中です!