企業分析方法

マークラインズ(3901)

[ 業種:情報・通信業 ]

  • 公開日:2019年7月12日

法人向けに自動車産業の情報サイトを運営するマークラインズ(3901)について、企業分析しました(マークラインズの公式ホームページ)。使ったツールは、SBI証券の「会社四季報」、GMOクリック証券の「財務分析ツール」、マネックス証券の「銘柄スカウター」です。(分析担当:西尾)

マークラインズ(3901)の注目ポイントは、以下の2点です。

  • 成長性が高い
  • ビジネスモデルが優れている
  • 国内で大きなシェアを獲得している

さっそく、順番に見ていきましょう!

注)分析方法や予測、結果などは管理人の個人的な見解です。
銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。

1.基礎情報

1-1.基礎情報

売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
20億円 7億円 7億円 5億円

※売上高、営業利益、経常利益、当期純利益は、2018年12月期の実績値です。

時価総額 PER(予) PBR(実) 配当利回り(予)
243億円 39.2倍 11.79倍 0.97%

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

1-2.株価推移 (最近3年間)

株価推移 (最近3年間)

(出典:SBI証券

→最新の株価チャートは、こちら(SBI証券のホームページ)から確認できます。

1-3.事業内容の要約

企業情報

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

マークラインズのメイン事業は、自動車産業向け情報サイトの運営です。自動車産業の情報を必要としている法人に会員になってもらい、毎月決まった金額の利用料を受け取る「サブスクリプション型」のビジネスモデルとなっています。

サブスクリプション型のビジネスモデルの良いところは、下の2つです。

  • ①毎月(または毎年)まとまったお金が手に入る
  • ②会員を囲い込むことができる(ストック型のビジネスモデル)

毎月まとまったお金が手に入るので、マークラインズはそのお金を使って事業に投資できます。銀行からお金を借りなくてもよいため、利息などの無駄な出費を減らせます。さらに、会員を囲い込むことができるため、多額の広告宣伝費をかけなくても良いというメリットもあります。

また、会員向けにコンサルティングや人材紹介もおこなっており、サイト以外にも収益源を確保していることも強みです。会員のかゆいところに手が届くように、さまざまなサービスをおこなっているため、“法人が登録したいと思えるサイト”に仕上がっています。

1-4.直近の業績をチェック

今期進捗状況 - 経常利益

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

※1Q、2Q、3Qの「Q」とは、「Quarter」の頭文字で、日本語に直すと「四半期(3か月)」となります。

業績のチェックポイントは、「経常利益の進捗率」です。この数値は、マネックス証券の銘柄スカウターでチェックできます。会社の業績が、過去よりも好調なのか不調なのかを知ることができます。

ポイントは、「今期と前期の進捗率を比べる」ことです。今期は25.6%で、前期は26.4%でした。今期は前期よりも0.8ポイント悪化していますが、これくらいは誤差の範囲内と考えて良いでしょう。もし2Q以降の進捗率が前期と大きく離れた場合、無理な予想を出している可能性が高いので、注意しておきましょう。

また、「今期末の業績をシミュレーションする」ことも大切です。マークラインズは、四半期の業績があまりブレないので、1Qの経常利益がそのまま4Qまで続くと考えてみましょう。「228百万円×4=912百万円」となるので、会社予想の890百万円を上回るかもしれません。

なぜ進捗率をチェックするかというと、会社がリリースした計画に実績が届かない場合、その会社が置かれている状態が悪くなっている可能性があるからです。こうなると、思ったように成長しなくなります。悪い兆候を早めに察知できるよう、進捗率は四半期ごとにチェックするのがおすすめです。

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2.なぜマークラインズに注目したのか?

マークラインズ(3901)に注目した理由は、次の3点です。

 

1つ目は、『成長性が高い』ことです。日本国内ではかなり大きなシェアを獲得していますが、海外に目を向ければ進出の余地が残っています。この点で、まだまだ成長できるポテンシャルが高い会社ではないでしょうか。

 

2つ目は、『ビジネスモデルが優れている』ことです。冒頭でも紹介したとおり、「サブスクリプション型×ストック型」という強いビジネスモデルを2つも持っています。そのため、業績がブレにくく、利用者も離れにくいメリットがあると考えています。

 

3つ目は、『国内で大きなシェアを獲得している』ことです。1つ成功事例を持っているので、日本での収益をベースにして他の国でも展開ができるでしょう。今後の展開が楽しみです。

 

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3.財務諸表分析

3-1.貸借対照表

貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

マークラインズの貸借対照表です。有価証券報告書には数字しか書かれていないので、上に載せたGMOクリック証券の財務分析ツールを使うと、その中身を目でチェックできるので便利です。

2018年の貸借対照表について、『①現金等(水色の部分)』と、『②買入債務(ピンク色の部分)』、『③株主資本(黄色の部分)』に注目しましょう。

①現金等が多い理由は、利益率が高くお金が貯まりやすいことと、サブスクリプション型のビジネスモデルだからです。利益率が高い分、多くの現金が手元に残るため、自然と現金が増えます。そして、サブスクリプション型のビジネスモデルでは、定期的にまとまったお金が入ってくるので、現金がどんどん増えていくというわけです。

②買入債務が多い理由も、サブスクリプション型のビジネスモデルが関係しています。GMOでは「買入債務」と書かれていますが、実際の財務諸表を見ると中身の多くは「前受金」です。これは、法人が毎月(または毎年)マークラインズに対して払っている利用料金のことです。法人からまとまったお金を受け取ることになるため、前受金がたくさん計上されています。

③株主資本が多い理由は、利益率が高くお金が貯まりやすいからです。手元にたくさんお金が残り、それが株主資本の中の「利益剰余金」という部分に貯まっていくため、株主資本の割合が大きくなります。

貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

続いて、10年分の貸借対照表です。こちらも『①現金等(水色の部分)』と、『②買入債務(ピンク色の部分)』、『③株主資本(黄色の部分)』に注目していきます。

①現金等は、毎年順調に増えています。2013年から2014年にかけて、現金が一気に増えていますが、これは上場によってたくさん現金が入ってきたからです。

②買入債務も、毎年順調に増えています。これは前受金が増えているということなので、会員数が毎年確実に増えていることがわかります。

③株主資本も、毎年しっかりと増えています。利益率が高く、お金が貯まりやすいことがよくわかりますね。また、2013年から2014年にかけては、上場によって資本金が増えたことが関係しています。

3-2.損益計算書

過去~現在~未来まで8年分

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の図は、過去~現在~未来まで8年分の損益計算書をグラフ化したものです。売上高の営業利益も右肩上がりで、言うことはありません。着実に会員を増やしていることがよくわかりますね。この調子で、会員を増やしていってほしいです。

四半期ごとの業績

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の図は、マークラインズの損益計算書を、四半期ごとにグラフ化したものです。特に季節要因はなく、売上高も営業利益も右肩上がりになっています。

収益性

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の図は、マークラインズの収益性の変化を表したグラフです。売上高営業利益率(以下、営業利益率)とROEに注目しましょう。

営業利益率は、ここ3年間は35~36%と高い水準を保っています。原材料費がほとんどかからず、一度顧客を囲い込んでしまえば新たに広告宣伝費を使う必要がないため、高い営業利益率が維持できているというわけです。

営業利益率が横ばいとなっているのは、認知度をアップさせるために展示会をおこなったことや、人件費のかかるコンサルティング事業が好調だったことが影響しています。

ROEは、2013年から2015年にかけて下がり、その後横ばいでした。ROEが低下した理由は、2014年に上場して株主資本が増えたからです。ROEは、純利益を株主資本で割って計算するため、上場などで株主資本が増えると数値が小さくなります。ROEの数値は、直近3年間で25%付近という高い水準を維持しています。この点からも優良企業だと判断できます。

3-3.キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー分析(簡易版)

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

上のグラフは、マークラインズのキャッシュフロー(CF)を表したものです。まずは、最も新しい2018年のキャッシュフローをチェックします。「営業CF:5.6億円、投資CF:▲1.6億円、財務CF:▲1.6億円、フリーCF:3.9億円」となっています。

チェックポイントは、営業CFの範囲内で投資や借金の返済をおこなっているかです。つまり、投資CFと財務CFの合計支出額が、営業CFの金額よりも下回っている状態です。このCF計算書を健全型と呼び、会社のあるべき姿をあらわしています。

マークラインズは、投資CFと財務CFの合計支出額が3.2億円、営業CFは5.6億円なので、健全な会社だと判断できますね。

3-4.企業価値評価(株価と理論株価の関係)

企業価値評価

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

※↑具体的な図の見方やツールの使い方などは、こちら(財務分析ツールの紹介)をご参考ください。

(図の見方)
株価理論株価” となっていれば割安です。

「売上成長率」、「営業利益率」、「償却」、「設備投資」は過去3年の値を、「割引率」は推奨値を使って、理論株価を出してみました。マークラインズの場合、2019年7月1日現在の株価1,907円に対して、理論株価1,023円であり、86%割高であると言えます。

(ツールの使い方〔手順〕)
口座開設(GMOクリック証券) → ログイン → 『株式』 → 銘柄を選ぶ → 『財務分析』

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4.将来予想

4-1.今後のシナリオ(将来予測)

今後も引き続き、日本国内の会員数を増やすことや、周辺ビジネスの強化、そして海外展開を進めていくことになるでしょう。ストック型のビジネスモデルなので、業績が大きく落ち込むことは考えにくいですが、競合が現れて会員数が増えにくくなると、業績の伸びが弱くなるかもしれません。

PER別の株価

ここで、向こう2年間の予想株価を計算してみましょう。予想株価は、「EPS×PER」で計算できます。

まずは、2019年12月期の予想株価から計算してみます。決算短信によれば、2019年12月期の予想EPSは46.87円でしたので、ざっくり47円とします。2019年7月1日現在のPERは40.4倍なので、ざっくりPER40倍として計算してみましょう。すると、2019年12月期の予想株価は1,900円となります。

続いて、2020年12月期の予想株価を計算してみましょう。決算短信には、2020年12月期の予想EPSが載っていないため、SBI証券で配信されている、会社四季報の予想EPSを使います。

会社四季報によると、2020年12月期の予想PESは49.4円なので、ざっくり49円とします。こちらもPER40倍のままだと仮定すると、2020年12月期の予想株価は2,000円となります。

4-2.今後考えられるリスク

今後考えられるリスクは、国内での競合出現海外市場の失敗があります。

日本国内では、今のところマークラインズの情報量の多さが参入障壁となっているため、競合がいない状態です。しかし、情報量さえクリアできれば参入できてしまうため、大企業が資本力を武器に参入してくるかもしれません。そうなった場合、会員が競合に流れてしまい、業績が悪化するリスクがあります。

また、マークラインズは海外進出しようとしていますが、アメリカに競合がいます。その競合よりも質の高いサービスが提供できないと、海外展開が失敗するかもしれません。しかし、競合は自動車産業に特化しているわけではないため、マークラインズの専門性が評価されれば、うまくいくかもしれません。今後の展開に注目しておきたいですね。

5.マークラインズを分析するときに参考にした、無料のサービス

ツール 提供している
証券会社
ポイント
会社四季報 SBI証券 銘柄選択に向いています!
財務分析ツール GMOクリック証券 バリュー投資に向いています!
銘柄スカウター マネックス証券 簡易分析に向いています!

※いずれのサービスも、各証券会社に口座開設していれば、無料で使えます♪

6.まとめ

マークラインズは、情報量の多さを武器に会員数を増やしていける会社です。自動車産業では、AIを使った自動運転の研究が進められており、「自動車に関連したデータ」の需要が高まっています。そのため、自動車メーカーだけではなく、IT企業やベンチャー企業なども会員として取り込めるのではないでしょうか。今後の成長が楽しみな企業ですね。

投資する際は、会員数が増えているかをチェックするとよいです。会員数は、月次データとして会社のホームページで毎月公表されるので、成長スピードが落ちていないか確認しましょう。

注)ここで紹介している分析方法や結果等は個人的な視点のもので、銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。
注)このページの分析は、2019年7月2日現在の情報に基づいています。同日以降に発表されたIR情報は反映していませんので、あらかじめご了承ください。

西尾のプロフィール

・やさしい株のはじめ方の資産運用担当
・ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員の資格あり
・年間200銘柄以上を分析中

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