企業分析方法

メルカリ(4385)

[ 業種:情報・通信業 ]

  • 公開日:2019年5月14日
成長性 4.0
割安性 1.0
収益性 3.0
財務健全性 2.0

フリマアプリ『メルカリ』を運営するメルカリ(4385)について、企業分析しました(メルカリの公式ホームページ)。使ったツールは、SBI証券の「会社四季報」、GMOクリック証券の「財務分析ツール」、マネックス証券の「銘柄スカウター」です。(分析担当:西尾)

メルカリ(4385)の注目ポイントは、以下の2点です。

  • 国内・海外ともに成長性が高い
  • 営業利益率アップが見込める

さっそく、順番に見ていきましょう!

注)分析方法や予測、結果などは管理人の個人的な見解です。
銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。

1.基礎情報

1-1.基礎情報

売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
358億円 ▲44億円 ▲47億円 ▲70億円

※売上高、営業利益、経常利益、当期純利益は、2018年3月期の実績値です。

※数字の前についている「▲」は「-(マイナス)」の意味です。たとえば、▲100億円の場合は、100億円の赤字ということになります。

時価総額 PER(予) PBR(実) 配当利回り(予)
4,820億円 -倍 7.94倍 -%

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

1-2.株価推移 (最近1年間)

株価推移 (最近3年間)

(出典:SBI証券

→最新の株価チャートは、こちら(SBI証券のホームページ)から確認できます。

1-3.事業内容の要約

企業情報

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

メルカリは、日本最大のフリーマーケットアプリ『メルカリ』を運営している会社です。月間アクティブユーザー数※1は、2019年6月期2Q現在で1,236万人であり、サービスをリリースして以来、毎月増え続けています。ほかにも、本やCD・DVD専用の『メルカリ カウル』やブランド査定付きフリマアプリ『メルカリ メゾンズ』、シェアサイクルの『メルチャリ』の運営も手掛けています。

フリマアプリ『メルカリ』のビジネスモデルについて、かんたんに説明しましょう。

1.不用品を処分したいユーザーが、メルカリに不用品を出品
2.商品を探しているユーザーが、メルカリでほしいものを検索し購入
3.購入者がメルカリに代金を支払う
4.出品者が商品を発送
5.購入者に商品が到着したことが確認できたら、メルカリが出品者に代金を振り込む

以上のような流れで、取引ができます。そのため、「お金を振り込んだのに商品が届かない」といった詐欺が起きないように作られています(この仕組みを「エスクロー決済」といいます)。つまり、メルカリは「商品の買い手から預かった代金を、商品の売り手に送金する、収納代行の会社」といえますね。

2014年からは、アメリカでもフリマアプリ『メルカリ』を展開しています。アメリカ事業単体の業績は、赤字が続いている状態です。山田社長によると、「短期的な赤字はよろこんで受け入れる」と話しており、向こう数年間は赤字が続くものの、ユーザー数が増えることによって、いずれは黒字化していくと考えられます。

※1 月間アクティブユーザー数とは、『メルカリ』などのアプリの場合、1ヶ月間にアプリにログインした人数を表します。会員登録しただけでなく、実際にアプリにログインして使った人数を把握することで、「使われている=売上を出しているアプリかどうか」が判断できます。

1-4.直近の業績をチェック

今期進捗状況 - 経常利益

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

※1Q、2Q、3Qの「Q」とは、「Quarter」の頭文字で、日本語に直すと「四半期(3か月)」となります。

業績のチェックポイントは、「経常利益の進捗率」です。この数値は、マネックス証券の銘柄スカウターでチェックできます。会社の業績が、過去よりも好調なのか不調なのかを知ることができます。

メルカリの場合、経常利益が赤字となっているため、進捗率が表示されていません。赤字の主な原因は、広告宣伝費の増加です。現在、主力のフリマアプリ『メルカリ』の利用者を増やすべく、テレビCMなどに多額の資金を使っているため、広告宣伝費が増え、利益が圧迫されています。2019年6月期第2四半期決算短信によると、多額の広告宣伝費を使った結果、利用者は増えているようです。赤字額は大きくなっていますが、その分結果が付いてきているので、我慢できる赤字と言えますね。

続いて、コンセンサスという、“専門家が予想した今期末の業績”に目を通します。2019年6月期通期の企業予想は、▲88億円となっていました。この額は、前年の実績値よりも悪い数値となっています。専門家は、「前年よりも赤字が拡大する」と考えているようですね。

実際の業績がコンセンサスを上回った場合、株価は上がる傾向にあります。コンセンサスと実際の業績を比べれば、株価のゆくえをざっくりと予想できるので、決算ごとにチェックするのがおすすめです。

前年の業績と比較することも大切です。今回は、前期3Qまでの業績と、今期2Qの業績を比べてみましょう。本当は同じ期で比べるべきなのですが、メルカリの場合は前期2Qの業績が出ていないので、前期3Qと比較してみます。前期3Qには経常利益が▲20億円だったのに対し、今期は2Q時点で経常利益が▲37億円となっています。かなり積極的に、広告宣伝費などに投資していることがわかりますね。

メルカリは、莫大な広告宣伝費を使った結果、月間アクティブユーザー数が増えているかがチェックポイントとなります。月間アクティブユーザー数が増えるにつれて、売上高も増えていきますし、月間アクティブユーザー数が一定の水準を超えれば、広告宣伝費を減らして利益率を上げることができます。四半期ごとに、月間アクティブユーザー数の伸びを確認すると良いでしょう。

※直近の決算では売上の伸びの鈍化が見られたため、一時的なものか、今後の業績を慎重に見極める必要があります。

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2.なぜメルカリに注目したのか?

メルカリ(4385)に注目した理由は、次の2点です。

1つ目は、『国内・海外ともに成長性が高い』ことです。まずは、国内の成長性について考えてみましょう。メルカリの成長性を考えるうえで大切なのは、以下の2つの指標です。

  • フリマアプリ『メルカリ』の内部で動くお金の合計額(「総流通総額」や「GMV」といいます)
  • 国内の不用品の市場規模

2019年6月期第2四半期の決算説明会資料によると、2017年12月時点のメルカリ国内事業の総流通総額は約2,900億円です。メルカリが取り扱うのは「不用品」なので、不用品の市場がどれくらいの規模かによって、成長のポテンシャルが決まります。

同じく決算説明会資料によれば、国内の不用品の市場規模は約7.6兆円なのだそうです。単純計算で、メルカリは国内の不用品市場の3.8%しか占めていないので、少し強引ですが96.2%は事業の拡大余地があることがわかりますね。

2つ目は、『営業利益率アップが見込める』ことです。2018年6月期有価証券報告書によると、メルカリは広告宣伝費に約169億円使っています。売上高は約358億円なので、売上高に占める広告宣伝費の割合は約50%です。相当な金額を広告宣伝費に使っていることがわかりますね。

メルカリが、ここまで莫大な資金を広告に使っている背景には、「月間アクティブユーザー数を増やしたい」という考えがあります。ということは、月間アクティブユーザー数が一定数集まってくれば、広告宣伝費を減らすことができるわけです。月間アクティブユーザー数が増えると、売上高も増えます。ここで、広告宣伝費を減らせば、販管費率が下がって営業利益の黒字化や、営業利益率のアップが見込めるのです。

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3.財務諸表分析

3-1.貸借対照表

貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

メルカリの貸借対照表です。有価証券報告書には数字しか書かれていないので、上に載せたGMOクリック証券の財務分析ツールを使うと、その中身を目でチェックできるので便利です。

2018年の貸借対照表について、『①現金等(水色の部分)』と、『②買入債務(ピンク色の部分)』、『③株主資本(黄色の部分)』に注目しましょう。

①現金等が多い理由は、次の2点です。

  • 2018年6月のIPOによって、多額の現金が入ってきたから
  • エスクロー決済をしているので、購入者が支払った代金が、一時的にメルカリに入ってくるから

つまり、メルカリは事業を拡大するにつれて、エスクロー決済によって入ってくる現金が多くなります。事業が成長しているかは、「現金等が着実に増えているか」で確認できるでしょう。

②買入債務が多い理由は、①現金等の理由と被りますが、「エスクロー決済をしているので、購入者が支払った代金が、買入債務(未払金)として計上されるから」です。よって、メルカリの事業が成長しているかは、「買入債務(未払金)が増えているか」でも確認できます。

③株主資本が多い理由は、こちらも①現金等の理由と被りますが、「2018年6月のIPOによって、資本金が増えたから」です。

貸借対照表についてまとめます。メルカリは「商品の買い手から預かった代金を、商品の売り手に送金する、収納代行の会社」です。そのため、買い手から預かったお金が、貸借対照表右側の現金等と、左側の買入債務に計上されます。今後も、このビジネスモデルに代わりはないと考えられるので、現金等が大きく、買入債務もそれなりに大きい状態が続くのではないでしょうか。

3-2.損益計算書

過去~現在~未来まで3年分

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の図は、過去3年分の損益計算書をグラフ化したものです。売上高は右肩上がりになっていますが、営業利益は右肩下がりとなっています。売上高が右肩上がりになっている理由は、ユーザー数が増えて、実際にアプリ内で取引する人が増えているからです。

営業利益が右肩下がりとなっている理由としては、広告宣伝費の増加が挙げられます。しばらくは、ユーザー数を増やすために、膨大な広告宣伝費を投下することになるため、営業利益が赤字の状態が続くでしょう。

四半期ごとの業績

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の図は、メルカリの損益計算書を、四半期ごとにグラフ化したものです。上場してからあまり時間が経っていないため、四半期業績が3四半期分しか載っていません。四半期の傾向をつかむには、もう何年か経ってからでないときびしそうです。ただし、2018年6月期の4Qから毎四半期の売上高が伸びていることがわかるので、着実にユーザー数を増やして事業を大きくしていると言えますね。

損益計算書についてのまとめです。売上高は右肩上がり、営業利益は右肩下がりとなっています。原因は、ユーザー数が増えて売上高が伸びているものの、広告宣伝費が増えたことで営業利益が圧迫されているからです。ユーザー数が一定水準以上になって、莫大な広告宣伝費が不要になれば、営業利益が黒字化したり、営業利益率が上がったりするのではないでしょうか。

3-3.キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー分析(簡易版)

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

上のグラフは、メルカリのキャッシュフロー(CF)を表したものです。2018年は、「営業CF:-、投資CF:-、財務CF:+、フリーCF:-」となっています。金額は、「営業CF:▲34億円、投資CF:▲19億円、財務CF:636億円、フリーCF:▲54億円」です。

営業CFが▲34億円となっている理由は、2つあります。1つは「営業CFの源泉となる税金等調整前当期純利益がマイナスであること」、もう1つは「売上高が増えることで、法人税の支払額が増えていること」です。どちらかというと当期純利益がマイナスになっていることの影響が大きくなっているようです。こちらがプラスになるためには、莫大な広告宣伝費が要らなくなるくらいに、ユーザー数を集めることが必要となります。

投資CFが▲19億円となっている理由は、複数あります。代表的なものを挙げると、「投資有価証券の取得による支出」や「有形固定資産の取得」、「敷金の差入れ」があります。

財務CFは、636億円となっています。上のグラフによると、投資CFだけ飛びぬけて大きくなっていますね。この理由は、2018年のIPOによる資金調達で、莫大な資金が入ってきたからです。ちなみに、IPOによってメルカリが資金調達した金額は、570億円です。IPOした企業は、その年の財務CFが大きく膨らむ傾向にあります。

キャッシュフロー計算書についてまとめます。現在、メルカリはユーザー数を増やすため、積極的に広告宣伝費を投下しています。その関係で、営業CFがマイナスとなっているのです。また、2018年にIPOをして資金調達をおこなったため、財務CFが大きくプラスとなっています。決して見栄えの良いCF計算書ではありませんが、積極的に成長投資している姿の現れと言えるでしょう。

3-4.企業価値評価(株価と理論株価の関係)

企業価値評価

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

※↑具体的な図の見方やツールの使い方などは、こちら(財務分析ツールの紹介)をご参考ください。

(図の見方)
株価理論株価” となっていれば割安です。

「売上成長率」、「営業利益率」、「償却」、「設備投資」は過去3年の値を、「割引率」は推奨値を使って、理論株価を出してみました。メルカリの場合、2019年4月23日現在の株価3,140円に対して、理論株価▲480円であり、割高であると言えます。

(ツールの使い方〔手順〕)
口座開設(GMOクリック証券) → ログイン → 『株式』 → 銘柄を選ぶ → 『財務分析』

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4.将来予想

4-1.今後のシナリオ(将来予測)

今後は、広告宣伝の効果から、月間アクティブユーザー数が増えていくと考えられます。すると、売上高が伸び、莫大な広告宣伝費をかけなくてもよくなるため、営業利益の黒字化や、営業利益率のアップが実現するのではないでしょうか。

PER別の株価

ここで、向こう2年間の予想株価を計算してみましょう。予想株価は、「EPS×PER」で計算できます。

まずは、2019年6月期の予想株価から計算してみます。決算短信によれば、2019年6月期の予想EPSは▲62円です。EPSがマイナスとなっていることから、現在のPERがわかりません。そこで、EC業界の平均PERである50倍を使って計算すると、2019年6月期の予想株価は▲3,100円となります。

続いて、2020年6月期の予想株価を計算してみましょう。決算短信には、2020年6月期の予想EPSが載っていないため、SBI証券で配信されている、会社四季報の予想EPSを使います。

会社四季報によると、2020年6月期の予想PESは▲27円でした。こちらもEC業界の平均PER50倍で計算してみると、2020年6月期の予想株価は▲1,400円となります。

メルカリの場合、予想株価がすべてマイナスとなっています。この理由は、EPSがマイナスだからです。そのため、2019年4月23日の株価3,140円で買うと、少なくとも2年後まではかなり割高が続くことがわかりますね。予想株価がプラスになるためには、EPSがプラスになる必要があります。EPSが黒字化するまで、温かく見守っていきたいですね。

4-2.今後考えられるリスク

今後考えられるリスクは、景気の動向競合の存在があります。

メルカリは、個人間の売買をサポートするサービスです。そのため、有価証券報告書によれば、景気の影響を受けやすいそうです。一般的な小売業であれば、景気が悪化すると取引が減るイメージがあります。しかし、メルカリの場合を考えると、むしろ景気が悪くなるほうが、「不用品を売ってお金に換えたい」と考える人や、「少しでも安くモノを買いたい」と考える人が増えるはずなので、業績には追い風かもしれません。

また、競合の存在もメルカリにとって脅威です。おそらく、多くの人が競合としてイメージするのは、『ヤフオク!』や『ラクマ』でしょう。特に、『ヤフオク!』は利用者数がメルカリの3倍もあり、フリマとしての使い方もできます。「メルカリとヤフオクを比べたときに、メルカリを選ぶ人」をいかに増やせるかが、リスクを減らすカギとなるでしょう。

5.メルカリを分析するときに参考にした、無料のサービス

ツール 提供している
証券会社
ポイント
会社四季報 SBI証券 銘柄選択に向いています!
財務分析ツール GMOクリック証券 バリュー投資に向いています!
銘柄スカウター マネックス証券 簡易分析に向いています!

※いずれのサービスも、各証券会社に口座開設していれば、無料で使えます♪

6.まとめ

メルカリは、月間アクティブユーザー数の増加と、不用品市場でのシェア拡大によって、業績を拡大できる会社だと言えます。しばらくは、広告宣伝費に莫大なお金を使って、月間アクティブユーザー数を増やしていくことになるでしょう。

目標とする月間アクティブユーザー数が集まれば、広告宣伝費を減らすことができるので、営業利益の黒字化や、営業利益率のアップが起きると考えられます。事業が軌道に乗れば、多くのモノとカネ、人が集まるので、プラットフォームとしての魅力が高まります。この結果、さらに多くのモノとカネ、人を引き寄せることとなり、不用品市場でシェアを拡大することができるのではないでしょうか。

投資する場合は、四半期ごとに月間アクティブユーザー数が伸びているかを確認しましょう。黒字化する日が早く来てほしいですね。

注)ここで紹介している分析方法や結果等は個人的な視点のもので、銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。
注)このページの分析は、2019年4月24日現在の情報に基づいています。同日以降に発表されたIR情報は反映していませんので、あらかじめご了承ください。

分析担当 西尾のプロフィール

・やさしい株のはじめ方の資産運用担当
・ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員の資格あり
・年間200銘柄以上を分析中

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