企業分析方法

SFPホールディングス(3198)

[ 業種:飲食業 ]

  • 公開日:2019年10月8日

「磯丸水産」や「鳥良商店」などの居酒屋を運営するSFPホールディングス(3198)について、企業分析しました(SFPホールディングスの公式ホームページ)。使ったツールは、SBI証券の「会社四季報」、GMOクリック証券の「財務分析ツール」、マネックス証券の「銘柄スカウター」です。(分析担当:西尾)

SFPホールディングス(3198)の注目ポイントは、M&Aによって成長が見込めることです。

さっそく、見ていきましょう!

注)分析方法や予測、結果などは管理人の個人的な見解です。
銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。

1.基礎情報

1-1.基礎情報

売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
378億円 29億円 32億円 20億円

※売上高、営業利益、経常利益、当期純利益は、2019年2月期の実績値です。

時価総額 PER(予) PBR(実) 配当利回り(予)
566億円 35.3倍 3.54倍 1.18%

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

1-2.株価推移 (最近3年間)

株価推移 (最近3年間)

(出典:SBI証券

→最新の株価チャートは、こちら(SBI証券のホームページ)から確認できます。

1-3.事業内容の要約

企業情報

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

SFPホールディングスは、手羽先唐揚専門店の「鳥良商店」や、海鮮系食材専門店の「磯丸水産」などの居酒屋を運営しています。直営店だけでなく、フランチャイズ(以下、FC)展開をおこない、店舗数を拡大中です。

ビジネスモデルは、鶏肉や魚を仕入れて料理したものを、客に売ってお金を受け取る、典型的な飲食店のモデルです。生ものを扱うため、食材の保存ができません。仕入れたら、その日のうちに売り切らなければならないため、“いかに客を集められるか”が重要なポイントとなります。

磯丸水産を例に出すと、生ものを売り切るために、以下2つの戦略を取っています。

  • ①若い層とシニア層をダブルで取り込む
  • ②24時間営業にして夜勤明けの客を囲い込む

①の戦略は、休日の昼間に磯丸水産へ行くとよくわかります。夜間よりも低価格なアルコール目当ての若い層と、海鮮丼目当てのシニア層が多く店に来ています。幅広い層に刺さるメニューを用意して来店客数を増やし、その日のうちに仕入れた魚介類を売り切っているのです。

②のように24時間営業にすると、ほかの飲食店が閉まっている時間帯の客を取り込めます実際、飲食店や病院、消防署などで働く夜勤明けの客が明け方に多くやって来るそうです。そのため、1日あたりの来店客数が増えるため、その日のうちに売り切れるのです。

1-4.直近の業績をチェック

今期進捗状況 - 経常利益

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

※1Q、2Q、3Qの「Q」とは、「Quarter」の頭文字で、日本語に直すと「四半期(3か月)」となります。

業績のチェックポイントは、「経常利益の進捗率」です。この数値は、マネックス証券の銘柄スカウターでチェックできます。会社の業績が、過去よりも好調なのか不調なのかがわかります。

ポイントは、「今期と前期の進捗率比較」です。今期は39.1%で、前期は25.8%でした。今期は前期よりも13.3ポイント良くなっています。この理由は、前年よりも新規出店や業態転換した店舗数が減ったため、コストが抑えられたからです。

現在の進捗率のまま成長すれば、通期の業績が予想を上回りそうです。しかし、2020年2月期は不採算店舗の撤退やM&Aなど出費が多くなる予定なので、最終的には会社予想どおりの業績になると予想できます。

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2.なぜSFPホールディングスに注目したのか?

SFPホールディングス(3198)に注目した理由は、『M&Aによって成長が見込める』からです。同社は地方の飲食チェーンを運営する会社をM&Aし、売上高を成長させています。今後もM&Aに積極的に取り組む方針を取っているため、売上高の成長が見込めます。

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3.財務諸表分析

3-1.貸借対照表

貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

SFPホールディングスの貸借対照表です。有価証券報告書には数字しか書かれていないので、上に載せたGMOクリック証券の財務分析ツールを使うと、その中身を目でチェックできるので便利です。

2018年の貸借対照表について、『①現金等(水色の部分)』と、『②有形固定資産(ピンク色の部分)』、『③株主資本(黄色の部分)』に注目しましょう。

①現金等が多い理由は、食材の仕入に現金が必要だからです。主力の磯丸水産では、毎日新鮮な魚介類を提供するため、社長自らが漁港に足を運んで仕入れ、店に直送しています。漁港や市場での仕入は現金払いが多いため、現金を大量に持っています。

②有形固定資産が多いのは、飲食店を運営するのに店舗が必要だからです。2019年2月末現在、SFPホールディングスは229店舗を運営しており、その建物が計上されています。ちなみに、土地はすべて借りているようです。

③株主資本が多い理由は、純粋に過去の利益が貯まっているからです。そのため、新規出店の費用も株主資本でまかなえるので、銀行からの借金をする必要がなく、株主資本の割合が高くなっています。

貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

また、SFPホールディングスの貸借対照表には、のれんが計上されています。これは、地方の飲食店のM&Aによって発生したものです。今後も地方の飲食店をM&Aする方針を打ち出しているので、のれんは増えていくと考えられます。

のれんが増えると、損失が発生するリスクが大きくなります。なぜかというと、のれんは目に見えない会社のブランド力の価値なので、M&Aのときに価値の評価をまちがえやすいからです。もし、のれんの価値が実際よりも割高だとわかった場合、のれんと実際の価値の差額を減損損失として計上しなければなりません。

減損損失が発生すると、株主の取り分である純利益が減ってしまいます。最悪の場合、純利益が赤字になることもあります。こうなった場合、株主の利益が蓄えられている純資産が減り、株主の取り分が少なくなるのです。このようなリスクがあるため、M&Aで成長を目指している企業の株を買うときは注意が必要です。

貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

続いて、10年分の貸借対照表です。

まず、2014年から2015年にかけて、貸借対照表が急に大きくなっているのが気になります。この原因は、上場で資金調達したためです。SFPホールディングスは2014年12月に上場し、株式を新たに発行しました。株式発行で手に入れた現金が、流動資産の現金等(水色の部分)と、純資産の株主資本(黄色の部分)に計上されるため、貸借対照表のサイズが大きくなったのです。

また、2017年と2018年にかけて、その他流動資産(薄いオレンジ色の部分)が大きくなっています。これは、持っている現金の一部が、関係会社短期貸付金という勘定科目に変わったからです。

関係会社短期貸付金は、グループ会社にお金を貸したときに発生します。SFPホールディングスは、親会社にお金を貸したため、関係会社短期貸付金が計上されました。2019年には全額手元に返ってきたので、その他流動資産が減っています。

2019年に貸借対照表が小さくなっていますが、これは2018年2月末に、株主でもある親会社から自社株買いをおこなったためです。自社株買いは、一言で表すと株主にお金を返す行為です。そのため、自社株買いをすると株主のお金である純資産が減ります。その結果、貸借対照表自体のサイズも小さくなったというわけです。

3-2.損益計算書

過去~現在~未来まで8年分

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の図は、過去~現在~未来まで8年分の損益計算書をグラフ化したものです。

まず気になるのは、2016年2月期の売上高と営業利益が大きく減っている点です。これは、決算期を9月末から2月末に変えた影響で、2016年だけ5か月分の業績しかないためです。業績が悪化したわけではないので、安心してください。

2016年の特別な要因を除けば、売上高は右肩上がりになっています。2017年以降は売上高の伸びがゆるやかになっていますが、これは新規出店ペースを抑えたためです。

SFPホールディングスの決算説明資料を読むと、鳥良商店や磯丸水産の月次売上高が前年を下回っています。推測ですが、店舗数を急拡大していたころと比べると真新しさがなくなったため、客数が減っていると考えられます。このことから、新業態の開発やM&Aに力を入れるべきだと判断し、出店ペースを抑えているのではないでしょうか。

今後の経営方針を確認すると、業態転換や新業態の開発、他の飲食企業のM&Aをおこない、売上高を伸ばす方針を打ち出しています。

収益性

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の図は、SFPホールディングスの収益性の変化を表したグラフです。「売上高営業利益率(以下、営業利益率)」と「ROE」に注目しましょう。

営業利益率は、2015年をピークに低下しています。これは、人件費が上昇して営業利益率を圧迫しているためです。今後も人手不足から人件費が高い状態が続くと考えられるので、営業利益率もこの水準のまま推移するでしょう。

ROEは、2014年をピークに大きく下落しています。これは、2014年の上場により、純資産の中身である「株主資本」が増えたためです。「ROE=純利益÷純資産」で計算するので、分母の純資産の額が増えると、ROEが小さくなります。

上場後はROE10%以上で推移しています。日本企業のROE平均が、2018年度は9.8%なので、株主から見たら平均的な収益力の企業となります。

四半期ごとの業績

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の図は、SFPホールディングスの損益計算書を、四半期ごとにグラフ化したものです。これを見ると、業績に季節要因があるかがわかります。例えば、毎年1Qの売上高が他の四半期よりも高ければ、1Qに売上高が集中する傾向があると言えます。

SFPホールディングスは、おおむね順調に売上高が伸びているので、季節要因はなく1年を通して安定した業績が出せています。

3-3.キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー分析(簡易版)

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

上のグラフは、SFPホールディングスのキャッシュフロー(CF)を表したものです。まずは、最も新しい2019年のキャッシュフローをチェックします。「営業CF:45.9億円、投資CF:20.5億円、財務CF:▲64.3億円、フリーCF:66.4億円」となっています。

チェックポイントは、営業CFの範囲内で投資や借金の返済をおこなっているかです。つまり、投資CFと財務CFの合計支出額が、営業CFの金額よりも下回っている状態です。このCF計算書を健全型と呼び、会社のあるべき姿をあらわしています。

SFPホールディングスは、投資CFと財務CFの合計支出額が43.8億円、営業CFは45.9億円なので、健全な会社だと判断できます。ただし、投資CFがプラスなので、会社を成長させるための投資をしていない可能性があります。この場合は、CF計算書を確認するべきです。

キャッシュフロー分析(簡易版)

(出典:SFPホールディングスの有価証券報告書)

SFPホールディングスの投資CFの中身は、上の画像のとおりです。「有形固定資産の取得による支出6.9億円」があり、新規出店のために建物を取得していることがわかります。その下には、「貸付金の回収による収入30億円」があります。これは、親会社に貸していたお金を回収したため、計上されています。

つまり、投資CFがプラスなのは、成長のための投資をしていないのではなく、親会社に貸していたお金を回収したためだとわかりました。

3-4.企業価値評価(株価と理論株価の関係)

企業価値評価

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

※↑具体的な図の見方やツールの使い方などは、こちら(財務分析ツールの紹介)をご参考ください。

(図の見方)
株価理論株価” となっていれば割安です。

「売上成長率」、「営業利益率」、「償却」、「設備投資」は直近の値を、「割引率」は推奨値を使って、理論株価を出してみました。SFPホールディングスの場合、2019年10月2日現在の株価2,161円に対して、理論株価1,627円であり、32%割高です。

(ツールの使い方〔手順〕)
口座開設(GMOクリック証券) → ログイン → 『株式』 → 銘柄を選ぶ → 『財務分析』

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4.将来予想

4-1.今後のシナリオ(将来予測)

SFPホールディングスの成長性について考えましょう。同社は現在、主力の鳥良商店や磯丸水産の新規出店を抑え気味にして、業態転換を進めています。一方で、新ブランドを作ったり、M&Aによって地方の飲食店を傘下に収めています。会社の規模が大きくなっているので、これまでのような20~40%の業績成長はむずかしそうですが、10%程度の成長は見込めるのではないでしょうか。

続いて、収益性について考えましょう。飲食店のコストは、食材費と人件費、水道光熱費などがあります。最近はいずれも高くなっており、特に人件費は人手不足から上昇が止まりません。飲食店は今後も高いコストに悩まされると予想できるので、収益性が大きく改善することはないでしょう。

以上から、SFPホールディングスは1桁~10%程度の成長をしつつ、営業利益率はあまり変わらない状態が続くと予想します。

PER別の株価

ここで、向こう2年間の予想株価を計算してみましょう。予想株価は、「EPS×PER」で計算できます。

まずは、2020年2月期の予想株価から計算してみます。決算短信によれば、2020年2月期の予想EPSは61.93円でしたので、ざっくり62円とします。2019年10月1日現在のPERは34.8倍なので、ざっくりPER35倍として計算してみましょう。すると、2020年2月期の予想株価は2,200円となります。

続いて、2021年2月期の予想株価を計算してみましょう。決算短信には、2021年2月期の予想EPSが載っていないため、SBI証券で配信されている、会社四季報の予想EPSを使います。

会社四季報によると、2021年2月期の予想PESは73.8円なので、ざっくり74円とします。こちらもPER35倍のままだと仮定すると、2021年2月期の予想株価は2,600円となります。

4-2.今後考えられるリスク

今後考えられるリスクは、次の2つです。

  • ①のれんの減損リスク
  • ②競合の存在
  • ③自然災害や悪天候

①のれんの減損リスクについて説明します。SFPホールディングスは、地方の飲食店をM&Aし、売上高を伸ばす方針を打ち出しているため、のれんの額が増えていくでしょう。その分、減損損失が発生したときに利益が減るリスクが高くなるので、注意が必要です。

②競合の存在は、どの飲食店も抱えているリスクです。飲食店は参入障壁が低く、たくさんの企業が参入しています。そのため、常に客の取り合いが起きています。商品の魅力や接客サービスなどで競合に客が奪われてしまった場合、業績が悪化するかもしれません。

③自然災害が起きたり天候が悪い日が続いたりすると、外出を控える人が増えます。その結果、飲食店の客足も遠のいてしまうので、業績が悪化します。

SFPホールディングスに投資する場合は、これらのリスクに注意しましょう。

5.SFPホールディングスを分析するときに参考にした、無料のサービス

ツール 提供している
証券会社
ポイント
会社四季報 SBI証券 銘柄選択に向いています!
財務分析ツール GMOクリック証券 バリュー投資に向いています!
銘柄スカウター マネックス証券 簡易分析に向いています!

※いずれのサービスも、各証券会社に口座開設していれば、無料で使えます♪

6.まとめ

居酒屋を全国展開するSFPホールディングスを分析してきました!今後は、同業他社のM&Aで業績が成長するでしょう。ただし、ここ数年は人手不足から人件費が上昇しており、営業利益率を圧迫しています。今後もこの傾向は変わらないと考えられるので、売上高は伸びるものの営業利益率は一定、もしくはわずかに低下する可能性が高いでしょう。

また、メインの鳥良商店や磯丸水産の新規出店を抑え、新業態の開発や同業他社のM&Aに力を入れ始めたので、既存のブランドの成長が止まっているかもしれません新業態がヒットするか、そしてM&Aによって売上高をどこまで増やせるかが、今後の成長のカギになります。

注)ここで紹介している分析方法や結果等は個人的な視点のもので、銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。
注)このページの分析は、2019年10月4日現在の情報に基づいています。同日以降に発表されたIR情報は反映していませんので、あらかじめご了承ください。

西尾のプロフィール

・やさしい株のはじめ方の資産運用担当
・ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員の資格あり
・年間200銘柄以上を分析中

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