企業分析方法

ソニー(6758)

[ 業種:電気機器 ]

  • 公開日:2019年8月19日

『プレステ4』や『ウォークマン』、『テレビ』などを作っているソニー(6758)について、企業分析しました(ソニーの公式ホームページ)。使ったツールは、SBI証券の「会社四季報」、GMOクリック証券の「財務分析ツール」、マネックス証券の「銘柄スカウター」です。(分析担当:西尾)

ソニー(6758)の注目ポイントは、以下の2点です。

  • 自動運転車向け半導体や、プレステ4の後継機で業績成長が見込める
  • 社長交代後、利益率が上昇している

さっそく、順番に見ていきましょう!

注)分析方法や予測、結果などは管理人の個人的な見解です。
銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。

1.基礎情報

1-1.基礎情報

売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
8兆6,657億円 8,942億円 1兆116億円 9,163億円

※売上高、営業利益、経常利益、当期純利益は、2018年12月期の実績値です。

時価総額 PER(予) PBR(実) 配当利回り(予)
7兆4,559億円 14.7倍 1.90倍 -%

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

1-2.株価推移 (最近3年間)

株価推移 (最近3年間)

(出典:SBI証券

→最新の株価チャートは、こちら(SBI証券のホームページ)から確認できます。

1-3.事業内容の要約

企業情報

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

企業概要や取扱商品を見るだけでも、かなり幅広く事業を展開していますね。主力事業がどれかわかりにくいので、セグメント構成をチェックします。これは、マネックス証券の銘柄スカウターの上部にある“セグメント業績”をクリックすると見られます。

セグメント構成

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

右側の売上構成比の円グラフによると、主力事業は「ゲーム&ネットワークサービス」だとわかります。次いで、「金融」と「ホームエンタテインメント&サウンド」となっていますね。このように、幅広く事業をおこなっている会社は、どの事業に力を入れているのかを、セグメント構成から読み取りましょう。特に、主力事業は業績に与えるインパクトが大きくなるため、確認しておく必要があります。

主力事業がわかったら、各事業内容のチェックも必要です。慣れないうちは全体像の把握に時間がかかりますが、ひとつずつ整理していきましょう。

事業名 事業内容
ゲーム&
ネットワークサービス
プレイステーション4を中心として、ゲームや映画・音楽などの配信をおこなう。プレイステーション4の本体を買ってもらい、ゲームソフトや映画・音楽などに課金してもらうビジネスモデル。
金融 ソニー生命保険やソニー損害保険、ソニー銀行を展開。金融事業の売上高のうち、ほとんどが生命保険事業によるもの。
ホームエンタテイメント&
サウンド
テレビやブルーレイレコーダーなどを製造。テレビのブランド名は「ブラビア」。
映画 スパイダーマンやキングダムなどの映画を制作。映画事業の本社はアメリカ。
半導体 自動運転車向けや5G通信向けの半導体を製造。半導体は今後需要が高まるため注目の事業。
音楽 CDの販売や楽曲配信などをおこなう。乃木坂46や米津玄師、X JAPANな国内の有名アーティストのほか、海外のアーティストも所属。
イメージング・プロダクツ&
コミュニケーション
テレビ局などが使う、放送用装置やテレビカメラを製造。映画館向けのプロジェクターやビデオ会議システムなども開発。
モバイル・
コミュニケーション
スマートフォン「Xperia」を製造するほか、インターネット通信サービス「So-net」を運営。

事業内容をざっくりと把握したので、直近の決算を見てみましょう。

1-4.直近の業績をチェック

今期進捗状況 - 経常利益

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

※1Q、2Q、3Qの「Q」とは、「Quarter」の頭文字で、日本語に直すと「四半期(3か月)」となります。

業績のチェックポイントは、「経常利益の進捗率」です。この数値は、マネックス証券の銘柄スカウターでチェックできます。会社の業績が、過去よりも好調なのか不調なのかが分かります。

ポイントは、「今期と前期の進捗率を比べる」ことです。今期は30.0%で、前期は32.9%でした。今期は前期よりも2.9ポイント悪化していますが、これくらいは誤差の範囲内と考えて良いでしょう。もし2Q以降の進捗率が前期と大きく離れると、無理な予想を出しているかもしれないので、注意しておきましょう。

進捗率をチェックする理由は、会社がリリースした計画に実績が届かない場合、その会社が置かれている状態が悪くなっている可能性があるからです。こうなると、思ったように成長しなくなります。悪い兆候を早めに察知できるよう、進捗率は四半期ごとにチェックするのがおすすめです。

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2.なぜソニーに注目したのか?

ソニー(6758)に注目した理由は、次の2点です。

1つ目は、『業績成長が見込める』ことです。主力のゲーム事業で「プレステ4」の後継モデルの発売が予定されていることに加え、今後、市場規模が大きくなる自動運転車向けの半導体(CMOSセンサー)を作っていることから、業績のさらなる成長が見込めます。

2つ目は、『社長交代後に利益率が上昇している』ことです。経営者が変わり、業績に良い変化が起きました。経営方針の転換は、投資のチャンスになり得ます。そこで、内部でどのような変化が起きていたのか、分析しました。

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3.財務諸表分析

3-1.貸借対照表

貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

ソニーの貸借対照表です。有価証券報告書には数字しか書かれていないので、上に載せたGMOクリック証券の財務分析ツールを使うと、その中身を目でチェックできるので便利です。

2018年の貸借対照表について、『①長期投資等(左下の水色の部分)』と、『②その他負債等(薄いピンク色の部分)』に注目しましょう。

①長期投資等の内訳は、投資有価証券です。Spotifyなどの株式を持っているため、長期投資等の項目が膨らんでいます。

②その他負債等の内訳は、保険契約債務と生命保険ビジネスにおける契約者勘定です。聞きなれない勘定科目ですが、かんたんに言うと生命保険で預かったお金です。

貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

続いて、10年分の貸借対照表です。こちらは、『①その他負債等(薄いピンク色の部分)』と『②株主資本(黄色の部分)』に注目しましょう。

①その他負債等は、右肩上がりになっています。生命保険や損害保険の販売が順調だとわかりますね。

②株主資本は、2010年から2012年にかけて減っていますが、これは2009年から2012年にかけて当期純損失が発生しており、利益を蓄えられなかったためです。当期純損失が発生した原因は、子会社の業績悪化や投資損失の発生です。

その後も、2014年と2015年に当期純損失が発生していますが、2016年以降は黒字に戻ったため、株主資本が増えています。

3-2.損益計算書

過去~現在~未来まで14年分

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の図は、過去~現在~未来まで14年分の損益計算書をグラフ化したものです。売上高は頭打ちとなっていますが、営業利益(赤色の折れ線グラフ)が右肩上がりになっています。

この理由は、主力のゲーム事業と音楽事業の営業利益率が高まっているためです。下に、セグメント別の営業利益率推移のグラフを載せました。2018年以降、赤枠部分のゲーム事業と音楽事業の利益率が高まっていますね。

セグメント別営業利益率の推移

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

ゲーム事業の利益率が高くなった理由として、プレステ4用ゲームソフトをサブスクリプション型で配信しはじめ、その会員が増えたためです。音楽事業の場合も、ソニーミュージックに所属する海外アーティストを中心に、SpotifyやApple Musicといったサブスクリプション型の音楽配信サービスでの再生回数が増え、営業利益率が押し上げられました。

※サブスクリプション…「月額980円で音楽を聴き放題」のように、毎月決められた金額を支払うと、サービスが自由に使えるシステムです。電車の定期券のようなイメージです。

収益性

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の図は、ソニーの収益性の変化を表したグラフです。売上高営業利益率(以下、利益率)とROEに注目しましょう。

営業利益率は、2017年ごろまで4%以下と収益性の低い状態が続いていました。しかし、2018年には営業利益率が8.6%と改善します。これは、ゲーム事業や音楽事業の利益率が高まったからです。

ROEも営業利益率と同じように、2017年ごろまでは1ケタで推移しています。特に、2009年から2015年にかけては、ほぼ毎年マイナスとなっています。この理由は、会社全体で利益が出せなかったからです。しかしながら、ゲーム事業と音楽事業のビジネスモデルが変わったため、2018年以降はROEが10%を超えるようになりました。

このように、収益性が高まった背景には、経営者の交代が大きく関わっています。収益性が高まる土台を作ったのは、2012年に社長になった平井氏です。ソニーを収益性の高い会社にするべく、不採算事業の切り離しや、収益性の高い事業(ゲーム事業や音楽事業)への集中を進めました。

その結果、2018年にこれまでの構造改革が花開き、収益性が格段に高くなりました。構造改革を成功させた平井氏は、2018年をもって社長を退任。現在は平井氏の参謀だった吉田氏に経営が引き継がれています。平井氏の考え方を受け継ぐ経営者なので、今後も収益性を高める経営がおこなわれるでしょう。このように、経営者の交代で収益性が上がる場合があり、投資のチャンスと言えます。

3-3.キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー分析(簡易版)

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

上のグラフは、ソニーのキャッシュフロー(CF)を表したものです。まずは、最も新しい2019年のキャッシュフローをチェックします。「営業CF:1.3兆円、投資CF:▲1.3兆円、財務CF:▲0.1兆円、フリーCF:▲0.05兆円」となっています。

チェックポイントは、営業CFの範囲内で投資や借金の返済をおこなっているかです。つまり、投資CFと財務CFの合計支出額が、営業CFの金額よりも下回っている状態です。このCF計算書を健全型と呼び、会社のあるべき姿をあらわしています。

ソニーは、投資CFと財務CFの合計支出額が1.4兆円、営業CFは1.3兆円なので、数字だけを見ると健全型ではなく、少し無理して投資している印象を受けます。

しかし、注意が必要なのは、ソニーは金融事業を持っている点です。金融事業で顧客に貸し出したお金は、投資CFのマイナス要因です。実際のCF計算書を見ると、投資CFのほとんどが「金融ビジネスにおける投資及び貸付」となっていました。そのため、投資CFが大きくマイナスになっていても、気にする必要はありません。

3-4.企業価値評価(株価と理論株価の関係)

企業価値評価

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

※↑具体的な図の見方やツールの使い方などは、こちら(財務分析ツールの紹介)をご参考ください。

(図の見方)
株価理論株価” となっていれば割安です。

「売上成長率」、「営業利益率」、「償却」、「設備投資」は過去3年の値を、「割引率」は推奨値を使って、理論株価を出してみました。ソニーの場合、2019年8月15日現在の株価5,838円に対して、理論株価16,159円であり、63%割安であると言えます。

(ツールの使い方〔手順〕)
口座開設(GMOクリック証券) → ログイン → 『株式』 → 銘柄を選ぶ → 『財務分析』

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4.将来予想

4-1.今後のシナリオ(将来予測)

ソニーが掲げる成長シナリオで強調されているのが、「サブスクリプション」です。ゲーム事業はもちろん、音楽や映像事業においても、サブスクリプション形式でコンテンツを提供し、さらなる高収益体質を目指しているようです。

また、自動運転や5Gによって需要が高まると言われている「CMOSセンサー」の生産量を増やすため、積極的に設備投資をおこなうと発表されています。高まる需要に合わせてCMOSセンサーを販売できれば、売上高がさらに高くなるかもしれませんね。

このように、ソニーは今後も成長が見込め、収益性が高い事業に集中し、会社の価値を高めていく方針です。

PER別の株価

ここで、向こう2年間の予想株価を計算してみましょう。予想株価は、「EPS×PER」で計算できます。

まずは、2020年3月期の予想株価から計算してみます。決算短信には2020年3月期の予想EPSが書かれていないので、銘柄スカウターで表示されているEPSを使います。

銘柄スカウターには400.3円と書かれているので、ざっくり400円とします。2019年8月16日現在のPERは14.6倍なので、ざっくりPER15倍として計算してみましょう。すると、2020年3月期の予想株価は6,000円となります。

続いて、2021年3月期の予想株価を計算してみましょう。2021年3月期の予想EPSは、SBI証券で配信されている、会社四季報の予想EPSを使います。

これによると、2021年3月期の予想PESは408.2円なので、ざっくり408円とします。こちらもPER15倍のままだと仮定すると、2021年3月期の予想株価は6,100円となります。

4-2.今後考えられるリスク

今後考えられるリスクは、競合の存在消費行動の変化があります。

まずは、競合の存在についてです。ソニーはゲーム事業や音楽事業、半導体事業などたくさんの事業を持っています。そして、各事業で常に他社と競争しています。万が一競争に負けてしまうと、ソニーの業績が一気に悪くなる可能性があるのです。

続いて、消費行動の変化についてです。ソニーは、ゲーム機や音楽、映画などをさまざまな形で配信し、それを私たち消費者が使っています。もしソニーよりも優れた配信サービスなどが登場した場合、消費者が他社に流れるかもしれません。

このようなことが起きると、ソニーの業績に悪影響が及ぶので、注意しておきましょう。

5.ソニーを分析するときに参考にした、無料のサービス

ツール 提供している
証券会社
ポイント
会社四季報 SBI証券 銘柄選択に向いています!
財務分析ツール GMOクリック証券 バリュー投資に向いています!
銘柄スカウター マネックス証券 簡易分析に向いています!

※いずれのサービスも、各証券会社に口座開設していれば、無料で使えます♪

6.まとめ

ソニーは、社長の交代によって、テレビやパソコン中心の会社から、ゲームや音楽・映画などの総合エンタメの会社に変わっています。エンタメコンテンツの販売方法も、これまでの店頭販売からサブスクリプション型の配信へと変わっています。今後も会員数を増やし、営業利益率が高まっていくでしょう。

また、自動運転や5G向けの半導体を作っているので、この分野が売上高アップに貢献するかもしれません。売上高は8.6兆円、時価総額は7.4兆円と巨大な会社ですが、まだまだ収益性アップが見込めるおもしろい会社ではないでしょうか。

注)ここで紹介している分析方法や結果等は個人的な視点のもので、銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。
注)このページの分析は、2019年8月16日現在の情報に基づいています。同日以降に発表されたIR情報は反映していませんので、あらかじめご了承ください。

西尾のプロフィール

・やさしい株のはじめ方の資産運用担当
・ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員の資格あり
・年間200銘柄以上を分析中

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