企業分析方法

じげん(3679)

[ 業種:情報・通信業 ]

  • 公開日:2019年5月15日

転職サイト『転職EX』や中古車情報サイト『中古車EX』などのメディアを運営するじげん(3679)について、企業分析しました(じげんの公式ホームページ)。使ったツールは、SBI証券の「会社四季報」、GMOクリック証券の「財務分析ツール」、マネックス証券の「銘柄スカウター」です。(分析担当:西尾)

じげん(3679)の注目ポイントは、以下の2点です。

  • 成長余地が大きい
  • 営業利益率が高い

さっそく、順番に見ていきましょう!

注)分析方法や予測、結果などは管理人の個人的な見解です。
銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。

1.基礎情報

1-1.基礎情報

売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
103億円 33億円 33億円 22億円

※売上高、営業利益、経常利益、当期純利益は、2018年3月期の実績値です。

時価総額 PER(予) PBR(実) 配当利回り(予)
611億円 21.8倍 4.56倍 0.37%

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

1-2.株価推移 (最近1年間)

株価推移 (最近3年間)

(出典:SBI証券

→最新の株価チャートは、こちら(SBI証券のホームページ)から確認できます。

1-3.事業内容の要約

企業情報

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

転職サイト『転職EX』や、中古車情報サイト『中古車EX』などのインターネットメディアを運営している企業です。現在は21サイトを運営しており、いずれのサイトでも「企業と個人のマッチング」に取り組んでいます。

企業と個人のマッチングをより正確におこなうため、じげんでは企業との接点を多く持ち、運営サイトを多角化しています。さらに、多くの個人に使ってもらうため、検索で引っかかりやすいサイト作りを目指しています。

このような取り組みの結果、多くの企業と個人、情報が集まる場所(プラットフォームといいます)ができ上がり、上場してからずっと増収増益を続ける会社となりました。

また、じげんを分析するうえで欠かせないのは、平尾社長の存在です。平尾社長は、大学時代にベンチャー企業2社を立ち上げており、起業家魂を持った人です。大学卒業後はリクルートに入り、じげんの基礎となる事業開発や経営企画について、実績を積み重ねてきました。このように、起業家魂を持った熱い社長が経営している企業という点も、じげんの魅力の一つと言えます。

1-4.直近の業績をチェック

今期進捗状況 - 経常利益

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

※1Q、2Q、3Qの「Q」とは、「Quarter」の頭文字で、日本語に直すと「四半期(3か月)」となります。

業績のチェックポイントは、「経常利益の進捗率」です。この数値は、マネックス証券の銘柄スカウターでチェックできます。会社の業績が、過去よりも好調なのか不調なのかを知ることができます。

しかし、じげんの場合、経常利益の進捗率が公開されていません。なぜなら、会社予想を発表していないからです。このように、会社が業績予想を発表していない場合、マネックス証券の銘柄スカウターで、経常利益の進捗率が確認できないことがあります。

今回は、代わりにコンセンサスという、“専門家が予想した今期末の業績”を使って、進捗率を計算してみます。上の画像の右下を見ると、2019年3月期通期のコンセンサス経常利益は約41億円となっています。

2019年3月期の3Qまでの経常利益は約30億円なので、進捗率は30億円÷41億円=73%だと計算できました。ちなみに、2018年3月期の3Q時点での進捗率を計算すると、25億円÷33億円=75%となります。前年よりも進捗率が2ポイント悪化しているので、もしかしたらコンセンサスを下回るかもしれません。

万が一、業績がコンセンサス予想を下回った場合、失望売りで株価が下がってしまうかもしれないので、注意が必要です。

2019年5月15日追記)2019年5月14日に、じげんの2019年3月期の決算短信が発表されました。これによると、2019年3月期も増収増益となっており、通期の経常利益はコンセンサスを上回る結果となりました。主力の人材系サイトや不動産系サイト、その他新規事業などが順調に成長したためです。

2020年3月期は、これまでの成長率43.7%からは失速するものの、増収増益となる見込みです。

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2.なぜ、じげんに注目したのか?

じげん(3679)に注目した理由は、次の2点です。

1つ目は、『成長余地が大きい』ことです。じげんの主力サイトが属する人材業界や不動産業界は、広告の市場規模がかなり大きくなっています。じげんの決算説明資料によると、人材の広告市場は約1.2兆円、不動産の広告市場は約1.3兆円であり、じげんの人材サイトの売上高は約74億円、不動産サイトの売上高は約19億円です。

どちらの領域も、拡大余地がとても大きいことがわかりますね。じげんは、今後も市場シェアの拡大を目指して事業を運営すると発表しているので、業績が伸びていくことは想像しやすいのではないでしょうか。

2つ目は、『営業利益率が高い』ことです。2018年3月期の営業利益率は32.4%です。インターネットメディアは、作るのに大きな設備が必要なく、パソコンとエンジニアがいれば作れてしまいます。そのため、原価率が抑えられて、営業利益率が高くなります。

営業利益率が高いほど、稼げるビジネスモデルであると言えます。投資先を選ぶうえで、収益性の高い企業を選べば、株主の取り分が増えます。この点でも、じげんのように営業利益率が高い企業に投資すると良いでしょう。

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3.財務諸表分析

3-1.貸借対照表

貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

じげんの貸借対照表です。有価証券報告書には数字しか書かれていないので、上に載せたGMOクリック証券の財務分析ツールを使うと、その中身を目でチェックできるので便利です。

2018年の貸借対照表について、『①無形固定資産(薄い黄緑色の部分)』と、『②株主資本(黄色の部分)』に注目しましょう。

①無形固定資産が多い理由は、事業拡大のために企業を買収しており、そのときに発生した「のれん」がたくさん計上されているためです。ちなみに、のれんとは企業を買収する際に、買収先の株主に支払う上乗せ額のことです。買収先の純資産額を支払うだけでは株主が応じてくれないので、プラスアルファでお金を上乗せすることが一般的です。

企業分析コーナーでたびたび登場する「のれん」は、会計基準ごとにその取扱いが違います。のれんは実体がなく、ブランド力のようなものです。そのため、日本で多く採用されている日本基準では、のれんを毎年償却(価値を減らすということ)します。しかし、じげんでは、のれんを毎年償却しないIFRSという国際的な会計基準を使っています。

そのため、じげんの貸借対照表には、のれんが残り続けることになります。ただし、のれんの価値は毎年チェックすることが義務付けられています。万が一のれんの価値が減ってしまった場合、一度に損失を計上しなければなりません。そうすると、純利益が大きく減ってしまったり、最悪の場合赤字になったりします。

②株主資本が多い理由は、インターネットメディアというビジネスの性格上、営業利益率が高く、株主資本を構成する利益剰余金が増えやすいからです。そのため、株主資本比率は61%と高く、買収の費用も自己資本である程度まかなうことができているようです。

過去10年分の貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

今度は、過去10年分の貸借対照表の推移をチェックしましょう。10年分さかのぼってチェックすることで、「分析している企業が、どのように変化してきたか」がわかります。

じげんは2013年上場なので、貸借対照表のデータは2012年以降のみです。なめらかな右肩上がりではありませんが、着実に貸借対照表が成長していますね。さきほど着目した、『無形固定資産(薄い黄緑色)』と『株主資本(黄色)』も毎年増えており、企業を買収しながら事業を拡大し、利益を着実に蓄えていることが読み取れます。

貸借対照表についてまとめます。じげんは、事業拡大のために複数の企業を買収しており、のれんが多く計上されています。IFRS採用企業のため、のれんの定期的な償却はありませんが、のれんの価値が下がった場合は多額の減損損失が計上される可能性があるので、注意が必要です。また、ネットメディアというビジネスの特性上、株主資本比率が高くなる傾向にあります。

3-2.損益計算書

過去~現在~未来まで8年分

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の図は、過去8年分の損益計算書をグラフ化したものです。売上高も営業利益も右肩上がりです。これは、自社で新規事業開発をおこなったり、企業を買収したりして、毎年事業を大きくしているためです。ちなみに、売上高は毎年平均して43.7%で成長しています。

四半期ごとの業績

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

上の図は、じげんの損益計算書を、四半期ごとにグラフ化したものです。多少のでこぼこはありますが、四半期の業績も毎年順調に伸びています。季節要因は特になさそうですね。

損益計算書についてのまとめです。新規事業開発や企業の買収によって、売上高も営業利益も、毎年順調に右肩上がりになっています。今後もこの傾向が続くと考えられるでしょう。

3-3.キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー分析(簡易版)

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

上のグラフは、じげんのキャッシュフロー(CF)を表したものです。2018年は、「営業CF:+、投資CF:-、財務CF:+、フリーCF:+」となっています。金額は、「営業CF:29億円、投資CF:▲26億円、財務CF:8億円、フリーCF:3億円」です。今回は、営業CFと投資CF、フリーCFに注目します。

『営業CF(水色のグラフ)』は、毎年右肩上がりです。特にこれといった要因はなく、本業が好調なためです。

『投資CF(黄緑色のグラフ)』は、2015年と2017年、2018年に大きくマイナスになっています。原因は、企業の買収による支出が多かったからです。今後も、じげんでは事業拡大のために企業を買収すると考えられます。その際は、投資CFが大きくマイナスとなるでしょう。

『フリーCF(赤色のグラフ)』は、企業が自由に使えるお金のことで、「営業CF+投資CF」で計算できます。そのため、企業を買収して投資CFが大きくマイナスになると、フリーCFの数値も小さくなったりマイナスになったりします。一般的には、フリーCFはプラスが望ましいですが、じげんのように将来に向けた投資によってマイナスになっている場合は、悲観しなくてよいでしょう。

キャッシュフロー計算書についてまとめます。じげんは毎年増収増益を続けているので、営業CFは右肩上がりになっています。企業の買収を積極的におこなうため、投資CFがマイナスになったり、フリーCFがマイナスになったりすることがあります。フリーCFはプラスが良いと言われますが、将来の成長に向けた投資によるマイナスであれば、悲観する必要はなさそうです。

3-4.企業価値評価(株価と理論株価の関係)

企業価値評価

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

※↑具体的な図の見方やツールの使い方などは、こちら(財務分析ツールの紹介)をご参考ください。

(図の見方)
株価理論株価” となっていれば割安です。

「売上成長率」、「営業利益率」、「償却」、「設備投資」は過去3年の値を、「割引率」は推奨値を使って、理論株価を出してみました。じげんの場合、2019年5月13日現在の株価547円に対して、理論株価1,234円であり、55%割安となっています。

(ツールの使い方〔手順〕)
口座開設(GMOクリック証券) → ログイン → 『株式』 → 銘柄を選ぶ → 『財務分析』

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4.将来予想

4-1.今後のシナリオ(将来予測)

じげんの今後のシナリオとしては、今までどおり新規事業開発と企業の買収を中心に、事業を拡大していくことを想定しています。事業内容に大きな変化が起きることは想定していませんが、売上高は年平均で25~40%程度で成長していくのではないでしょうか。

PER別の株価

ここで、向こう2年間の予想株価を計算してみましょう。予想株価は、「EPS×PER」で計算できます。

まずは、2019年3月期の予想株価から計算してみます。決算短信によれば、2019年3月期の予想EPSは24円です。現在のPER21倍を使って計算すると、2019年3月期の予想株価は500円となります。

続いて、2020年3月期の予想株価を計算してみましょう。決算短信には、2020年3月期の予想EPSが載っていないため、SBI証券で配信されている、会社四季報の予想EPSを使います。

会社四季報によると、2020年3月期の予想PESは27円でした。こちらも現在のPER21倍で計算してみると、2020年3月期の予想株価は600円となります。

4-2.今後考えられるリスク

今後考えられるリスクは、景気の動向競合の存在があります。

じげんのビジネスモデルをひとことで表すと、「広告ビジネス」となります。じげんが運営するインターネットメディアに個人を集め、企業に広告を出してもらうことや、企業と個人をマッチングさせることで収益を得ているからです。広告ビジネスは景気の影響を受けやすく、景気が悪化すると広告掲載による収入が減る可能性があるのです。

また、じげんが運営している人材系のサイトや不動産系のサイトなどは、世の中にたくさんの競合が存在しています。そのため、いかに競合と差別化できるかが、今後成長していくためのポイントとなります。じげんとしては、自分たちがこれまで培ってきたマッチングテクノロジーと呼ばれる仕組みやノウハウを駆使することで、競合との差別化を図る方針を取っています。

5.じげんを分析するときに参考にした、無料のサービス

ツール 提供している
証券会社
ポイント
会社四季報 SBI証券 銘柄選択に向いています!
財務分析ツール GMOクリック証券 バリュー投資に向いています!
銘柄スカウター マネックス証券 簡易分析に向いています!

※いずれのサービスも、各証券会社に口座開設していれば、無料で使えます♪

6.まとめ

じげんは、新規事業開発と企業の買収で事業を拡大することで、運営するインターネットメディアの価値を高め、成長していく企業だと言えます。じげんに投資する場合は、毎年業績が伸びているかのチェックはもちろんのこと、新規事業開発や買収がうまく進んでいるか周りの人でじげんのサービスを使う人が増えているかなどをチェックすると良いでしょう。

新規事業開発や買収の進捗は、毎四半期ごとに発表される決算短信の中で書かれていますので、定期的に確認しましょう。じげんがこれまで培ってきた仕組みとノウハウを駆使して、今後も企業を大きく成長させてほしいですね。

注)ここで紹介している分析方法や結果等は個人的な視点のもので、銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。
注)このページの分析は、2019年5月15日現在の情報に基づいています。同日以降に発表されたIR情報は反映していませんので、あらかじめご了承ください。

西尾のプロフィール

・やさしい株のはじめ方の資産運用担当
・ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員の資格あり
・年間200銘柄以上を分析中

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