原油価格が下落!今後はどうなる?

原油価格が下落!今後はどうなる?

担当:西尾

担当・西尾

最終更新日:2020年4月21日

(2020年4月21日追記)
2020年4月21日、ニューヨーク原油先物市場で「5月物」の原油価格がマイナスになりました。原油価格がマイナスになるのは史上初のできごとです。詳しくはこちらで説明しています。

2019年から2020年の年初にかけて「1バレル※1 50~60ドル」で取引されていた原油が、2020年4月現在は、その3分の1にあたる「1バレル20ドル」付近まで原油安が進んでいますしかし、このままの原油価格が続くとは考えにくく、長い目で見れば原油価格が上がっていくと予想できます。その理由を説明していきます。

※1 … バレルとは、原油の取引単位です。1バレル=約159リットルとなっています。バレルは英語で「樽」を意味しており、原油を樽に入れて運んだことから、取引の単位として使われるようになりました。

原油価格が下落

下のチャートは、アメリカの代表的な原油の先物商品「WTI原油先物」の3年間の動きです。取引量と取引の参加者が多いため、世界中の投資家が注目している原油の指標です。

WTI原油先物のチャート

(出典:SBI証券

原油価格が下がっている理由は、次の2つです。

  • ①新型コロナウイルスの感染拡大によって、原油の需要が減った
  • ②石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどとの協調減産が終了した

それぞれ詳しく見ていきましょう。

まずは、「①新型コロナウイルスの感染拡大によって原油の需要が減った」について説明します。新型コロナウイルスの感染が広がるのを食い止めるため、世界中の国々で、航空機の減便や工場の生産停止が相次いでいます。これらは原油を使う業種なので、減便や生産停止によって原油の需要が大きく減ってしまいました

続いて、「②石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどとの協調減産が終了した」について説明します。協調減産とは、原油価格が下がるのを防ぐために、原油が取れる国(産油国)が協力して、原油の産出量を減らすことです。なぜ協調減産をする必要があったのでしょうか?

理由は、原油よりも生産コストが高い「シェールガス」が登場したからです。産油国は協力してシェールガスを追い出すため、原油価格を引き下げるために、あえて原油の産出量を増やしました。しかし、原油の収入に頼っている産油国は、原油価格の下落で収入が減ってしまい、自分で首を絞める結果となったのです。そこで、産油国どうしが協力して原油の産出量を減らし、原油価格を高く維持するようになりました。

このような背景から、産油国どうしの協調減産が維持されていたのですが、2020年3月上旬にOPECとロシアなどの非加盟産油国との減産強化の交渉が決裂しました。その結果、各国が4月から原油を増産せざるを得なくなったのです。増産すると需要に対して供給が多くなるので、原油の価格が下がります

以上の2つの理由によって、原油価格の急落が引き起こされたのです。

今後どうなると上がるのか?

原油価格が上がるには、「需要の増加」か「減産」が必要となります。

まずは、「需要の増加」についてです。原油の需要が減ってしまったのは、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、航空機の減便や工場の停止がおこなわれたからでした。つまり、新型コロナウイルスの感染が収まり、航空機の便数が元に戻ったり、工場が稼働しはじめたりすれば、原油の需要が増えます。需要が増えれば価格が上がるので、原油価格も上がっていくでしょう。

続いて、「減産」についてです。原油の産出量が増えたのは、OPECとロシアなど非加盟産油国の“協調減産”が決裂したからでした。増産によって原油価格が下がっている状態は、原油による収入で成り立っている産油国にとっては、マイナス要素でしかありません。最悪の場合、経済が回らなくなるとも考えられます。いずれは再び“協調減産”が始まると予想できるので、そうなれば原油価格も上がっていくのではないでしょうか。

リーマンショック時はどうだったか?

リーマンショック時も原油価格は急落しました。1バレル140ドルまで上がっていた原油価格は、半年で40ドルまで急落しました。景気後退による工場停止などによって、原油の需要が大幅に減ったのが原因です。その後は景気回復に合わせて上昇しています。

つまり、原油の需要が元に戻れば、リーマンショック後と同じように原油価格も上がっていくと考えられるのです。

原油に関する最新情報

こちらでは、原油に関する最新情報を更新中です。新たなニュースが発表され次第、わかりやすく解説していきます。

OPECと非加盟産油国が減産を発表

2020年4月10日、石油輸出国機構(OPEC)と、ロシアなど非加盟の主要産油国で構成するOPECプラスが減産を発表しました。減産の理由は、「新型コロナウイルスによる需要の減少」です。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために工場など閉鎖されたため、世界中で原油の消費量が減っています。「原油の増産」と「需要の減少」でどんどん原油価格が下がり、産油国の経済が厳しくなるため、減産に踏み切ったと考えられます。

減産が発表された前後の「WTI原油先物」の値動きは、下のようになっています。

WTI原油先物のチャート

(出典:SBI証券

今回は小幅な減産でしたが、これをきっかけに“大幅な協調減産”になると期待され、原油先物が買われました。一時は1バレル28ドル付近まで上昇しています。しかし、その後は一気に23ドル付近まで下がってしまいました。「この量の減産では、需要減少による収益の悪化を補いきれない」との見方が強くなったのが原因です。

OPECと非加盟産油国が日量970万バレルを協調減産

2020年4月13日に公表された日本経済新聞の記事によると、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国で構成するOPECプラスが、日量970万バレルの減産で最終合意しました。減産の期間は5月1日からの2か月間の予定です。

4月10日に1,000万バレルの減産を発表していましたが、メキシコが減産幅の受け入れを渋っていたため、30万バレル減産幅を小さくして合意に至りました。日量970万バレルは、世界で供給されている原油の1割にあたり、過去最大の協調減産となります。

“この減産量ではコロナショックによる需要の減少を補えない”と考えられていましたが、「WTI原油先物」の価格は上昇しています。

WTI原油先物のチャート

(出典:SBI証券

原油価格が史上初のマイナスに

2020年4月20日、ニューヨーク原油先物市場で「5月物」の原油先物価格が-37.63ドルになりました。原油先物価格がマイナスになるのは史上初のできごとなので、インターネット上で話題になっています。

まず、「5月物」とは何かを説明します。これは、「5月中に原油を引き渡してもらえる権利」です。この権利は4月21日に取引を終える決まりになっており、暴落したのはその前日にあたります。

次に、“原油先物価格がマイナス”とは、どういう状況なのか説明します。たとえば1バレル分の先物を持っていた場合、「原油1バレルと37.63ドルがもらえる」状況です。通常は原油しか引き渡されないのに、現金までもらえる異常事態なのです。逆に原油の売り手側に立てば、「1バレルあたり37.63ドル支払って原油を引き取ってもらう」のを意味します。

このような異常事態になった原因は、「原油需要の激減」です。新型コロナウイルスの感染拡大によって世界中で原油を使う工場などが閉鎖されており、原油の需要が大幅に減っています。使われないままの原油が世界中にあふれており、世界中の貯蔵庫にこれ以上原油を入れられない状態なのです。

当然、原油を引き取っても保管する場所がないため、原油を受け取りたくない投資家たちが「5月物」を投げ売りし、価格が暴落してしまいました。ちなみに、「6月物」などは暴落していません。理由は、「6月末には需要が戻っている可能性が高い」と考えられているからです。

まとめ

原油価格が下落した理由と、今後の動きについて紹介しました。今回の原油価格の下落には、「①新型コロナウイルスの感染拡大」と「②協調減産の終了」の2つの理由がありました。いずれの理由も、長い目で見れば解消されて、原油価格は再び上がっていくと予想できます。

ただし、短期的には原油価格が安い状態が続きそうです。現在は「6月物」の原油先物価格は暴落していませんが、新型コロナウイルスの感染状況次第では、5月物と同じような動きになるかもしれません。

また、原油に投資する方法について、「原油に投資をする方法を教えてください」で紹介しています。こちらもあわせてご覧ください。

西尾のプロフィール

・やさしい株のはじめ方の資産運用担当
・ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員の資格あり
・年間200銘柄以上を分析中

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