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【2026年6月最新】プライベートクレジット問題がやばいと言われる理由やできごとをわかりやすく解説

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2026年5月12日

プライベートクレジットをめぐって企業の破綻や投資家による解約請求が相次いでおり、市場では「やばい」、「2008年の世界金融危機(リーマンショック)のようなショックが起きるのではないか」といった警戒の声が高まっています。

結論としては、プライベートクレジットをめぐるリスクは高まっているものの、現時点ではリーマンショックのような金融システム全体を揺るがす事態に発展する可能性は低いと見られています。ただし、外部環境の悪化による融資先の経営難や、表に見えにくい構造的なリスクなども指摘されており、今後の展開次第では信用不安へと発展する可能性もあります。決して楽観視できる状況ではありません。

今後を見通すためにも、これまでに起きたできごとと新たな情報とを組み合わせて、その都度判断していく必要があります。このコラムでは、プライベートクレジットの基礎やリスク、これまでのできごと、現時点での今後の見通しを、株初心者向けにわかりやすく解説します。

プライベートクレジットとは?わかりやすく解説

プライベートクレジットとは、ひとことで説明すると「銀行を介さずに企業へ直接融資する仕組み」です。通常は、企業がお金を必要とする場合、銀行から負債を借り入れます。一方、プライベートクレジットでは、投資ファンドなどが投資家から集めたお金を、借り手となる企業に直接提供します。

少し乱暴な言い方にはなりますが、「銀行からお金を借りられない、あるいは借りづらい企業にお金を貸す仕組み」といったイメージでしょうか。これには、単に信用力が低いというだけでなく、「社債を発行できる規模ではない中堅企業である」といった理由や、「企業の買収資金などで、柔軟かつスピーディーな資金調達を求めている」といった事情も含まれます。

銀行融資の枠から外れた企業にお金を貸す投資家は、高いリスクを負うことになります。その代わり、融資で得られるリターン(利回り)は高めに設定されているのが特徴です。

プライベートクレジットの利用が広がった背景

プライベートクレジットの利用が拡大した背景には、主に2つの大きな流れがあります。背景と詳しい説明を表に整理しました。

プライベートクレジットの利用が広がった2つの背景
背景 詳しい説明
銀行規制の強化
(バーゼルⅢなど)
2008年の世界金融危機(リーマンショック)以降、銀行に対する自己資本規制※1が厳格化。銀行はリスクの高い中堅企業などへの融資を縮小せざるを得なくなった。そのすき間を埋める形で投資ファンドによる直接融資(プライベートクレジット)が広がった。
投資家の利回り追求 長期間続いた低金利環境や現在進行中のインフレ局面において、より高い利回りを求める投資家が、伝統的な債券に代わる投資先として、高利回りのプライベートクレジットに資金を振り向けた。

※1 自己資本規制とは、バーゼル銀行監督委員会が公表している、国際的に活動する銀行の自己資本比率などに関する国際統一基準のことです。「銀行は最低限これだけの自己資本を持っておかなければならない」という世界共通のルールと言えます。

銀行規制の強化によって、銀行融資を受けづらくなった中堅企業からの資金調達需要が高まっていたことと、高い利回りを求める投資家の需要がうまくかみ合い、プライベートクレジットという形で投資家から企業への直接融資が広がったのです。

プライベートクレジットの規模

プライベートクレジットの市場規模は大きく成長しています。2002年には約600億円(約9兆円)だった世界の運用残高は、2024年半ばに約2兆ドル(約300兆円)を突破しました。

住宅ローンや航空機リースなどの「資産担保型金融(アセット・ベースド・ファイナンス)」を含めると、市場規模は3.5兆ドルに及ぶという指摘もあります。

最大手の資産運用会社であるブラックロックによると、プライベートクレジット市場は2030年までに4.5兆ドル規模に達すると予測されています。

なお、2008年の世界金融危機(リーマンショック)を引き起こした「住宅ローン担保証券(MBS)」の規模は、約7兆2,000億ドルでした。

プライベートクレジットの規模はこれよりも小さいため、金融危機の発生を心配しなくてよいという指摘があります。ただし、プライベートクレジットは銀行融資と比べて規制が緩く、目に見えないだけで影響範囲はもっと大きいとも指摘されています。

プライベートクレジットをめぐるリスク

2025年9月頃、プライベートクレジット・ファンドが投資している企業で破綻が相次ぎました。これをきっかけに、融資先企業の返済能力が低下している可能性などが意識され、同ファンドを解約する投資家が増えました。

2026年5月現在、プライベートクレジットをめぐるリスクとして、主に4つが挙げられます。それぞれ表に整理しました。

プライベートクレジットをめぐるリスク
リスク 詳しい説明
倒産の増加 景気悪化と高金利の継続により、借り手の返済能力が低下。2025年9月には米国自動車ローン会社のトライカラーホールディングスや自動車部品メーカーのファースト・ブランズが破綻。2026年2月には英国の不動産向け住宅専門金融MFSが破綻。
AIによるSaaS※2企業淘汰 プライベートクレジットの約20%がテクノロジー分野、特にSaaS企業に集中。生成AI進化により「AIが既存ソフトを代替する(SaaSの死)」という懸念が広がり、これらの企業の収益性が急激に悪化するリスクが浮上。
借金の先送り増加 資金繰りに苦しむ企業が、借金の利息を現金で支払わず、元本に上乗せして先送りする「現物支給(PIK)ローン」の利用が増加。デフォルト予備軍が隠れている可能性に注意。
流動性の低さと解約制限 2026年に入り、プライベートクレジットに対して不安を感じた投資家からの解約請求が急増。モルガン・スタンレーなど大手ファンドが解約制限を発動。投資家が資金を引き出せなくなる事態が発生。

※2 SaaS(サース)とは、「Software as a Service(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」の略語です。“サービスとしてのソフトウェア”という意味で、インターネット経由でどこからでもアクセス・利用できるサービスを指します。会計ソフトや名刺管理ソフトなども、SaaS形式で提供されています。

【2026年6月最新】プライベートクレジットに関するできごと

ここからは、プライベートクレジットに関するできごとを、時系列で追いかけていきましょう。

【2026年6月最新】プライベートクレジットに関するできごと
日付 できごと
2025年9月頃 プライベートクレジット・ファンドが融資していた米国自動車ローン会社のトライカラーホールディングスや自動車部品メーカーのファースト・ブランズが破綻。日本の金融機関でも多額の損失が発生。
10月24日 米国の生命保険の運用資産の約3分の1がプライベートクレジットであり、格付け水増しの横行と危険性が報道。
2026年2月18日 プライベートクレジット・ファンドのブルー・アウルが、四半期ごとに受け付けていた投資家からの解約請求受付を停止すると発表
27日 英国の不動産向け住宅専門金融MFSが、担保の二重差し入れなどの不正会計により破綻。
3月初旬 米国の投資銀行JPモルガンがプライベートクレジット向け融資を制限し、ソフトウェア企業の担保価値切り下げを実施。
17日 米国の運用会社シックス・ストリートが、プライベートクレジット市場に「数年単位の調整が必要」と警告。
19日 米国の投資銀行モルガン・スタンレーがプライベートクレジット市場を3兆ドル規模※3と推計。米国の金融機関における融資残高の多さが判明。
21日 米国の投資銀行ゴールドマン・サックスのCEOが「信用サイクルは終わっていない」と警告し、CDXスプレッド※4が高騰。
24日 プライベートクレジット・ファンドのアレス・マネジメントとアポロ・グローバル・マネジメントで投資家による解約が殺到。ファンドは解約制限を発動。一方、米国証券取引委員会(SEC)委員長はプライベートクレジット問題を「小さな問題」と評価。
25日 米国の民間格付会社ムーディーズがKKR系ファンドをジャンク級に格下げ。
26日 英国の金融機関バークレイズが資産担保融資を縮小。ゴールドマン・サックス元CEOがプライベート市場の過大評価を警告。
27日 ゴールドマン・サックスやJPモルガンが、ヘッジファンド向けにプライベートクレジット市場の下落に賭ける手法の提供を開始。
30日 ブルー・アウルなどが2月に損失を計上。FRBのパウエル議長は「波及の兆候なし」と静観姿勢。
31日 ウォーレン・バフェット氏が銀行システムの脆弱性を警告。ドイツ第2位の銀行であるDZバンクがプライベートクレジットの連鎖反応リスクを明記。
4月1日 米国の資産運用会社ブラックロックのアジア太平洋プライベートクレジットファンドで、元本返済不能による初のデフォルトが発生。
2日 英国中央銀行(BOE)総裁がプライベートクレジットの不正リスクを警告。ブルー・アウル主力ファンドに巨額の解約請求(2つのファンドで合計約9,200億円)が殺到したことが明らかに。
3日 アポロ・グローバル・マネジメント社長が解約急増を「成長痛」と主張。ヘッジファンドの強制デレバレッジの連鎖が判明。
4日 市場調査で、プライベートクレジット危機本格化の最重要先行指標は「大手銀行の破綻」であると約半数が回答。
6日 JPモルガンCEOがプライベートクレジットの損失拡大を警告。米国の資産運用会社ベアリングスが解約請求の急増で償還制限。
7日 ブルー・アウルの解約請求が最大40%超に到達。ゴールドマン・サックスの解約請求も実質的に上限へ到達。
9日 米国の資産運用会社オークツリー・キャピタル・マネジメント創業者が、プライベートクレジットを1929年型バブルと類似視。日本の金融庁も実態調査を開始
10日 英国の経済紙フィナンシャル・タイムズが、2026年第1四半期(1~3月)のプライベートクレジット解約請求が全体で208億ドル(約3.3兆円)に達したと試算。米国の投資会社カーライル・グループもプライベートクレジット・ファンドの解約制限を発動。
11日 FRBが主要な金融機関に対してプライベートクレジットの詳細開示を要請。米国財務省も保険業界への波及リスク調査に着手。
13日 AI企業の「影の借金」リスクや、大型プライベートクレジット・ファンドにおける極めて高いレバレッジ実態が指摘。
14日 米国の大手銀行3行のプライベートクレジット向け融資総額が、少なくとも1,000億ドル規模に上ることが情報開示で判明。
21日 日銀が金融システムリポート内で「一部ファンドへの解約請求事例を踏まえ先行きに注意」と明記。
28日 米国の資産運用会社サバ・キャピタル・マネジメントなどが、ブルー・アウルの非上場ファンドの持ち分を大幅なディスカウントで買い取ることを投資家に提案するも、応募は1%未満にとどまった。
5月2日 バフェット氏が銀行とプライベートクレジットの結びつきによるリスクに警鐘。米国ブラウン大学の基金がブルー・アウルのプライベートクレジット・ファンドへの投資を半分以上削減。
4日 バフェット氏が銀行とプライベートクレジットの結びつきによるリスクに警鐘。米国ブラウン大学の基金がブルー・アウルのプライベートクレジット・ファンドへの投資を半分以上削減。
5日 プライベートクレジット大手3社がAIリスク(AIの急速発展によるソフトウェア企業の存続懸念)を「最小限」と自己評価。融資の約20%がソフトウェア向けと推計。
7日 アポロ・グローバル・マネジメントが約8,300億ドル規模のクレジット資産の純資産価値を、9月末までに日次で公表すると発表。

金融安定理事会がプライベートクレジット市場の脆弱性に関する報告書を発表。プライベートクレジットの借り手企業は信用力が低い傾向にあること、金利上昇による資金繰り悪化の兆候として、現金ではなく元本に利息を組み入れる「現物支給(PIK)ローン」の利用増加を指摘。広義のデフォルト(債務不履行)率が上昇傾向にあることも示した。
12日 2026年第1四半期(1~3月)におけるプライベートクレジット・ファンドの融資額が14%減少するとともに、新規調達が60%落ち込んだ。代わりに銀行融資が12.7%増加した。

※3 2008年に発生した世界金融危機(リーマン・ショック)の引き金となった「住宅ローン担保証券(MBS)」の規模は約7兆2,000億ドルでした。プライベートクレジットの規模はこれと比べて小さいですが、銀行融資よりも規制が緩く、影響範囲がもっと大きい可能性も指摘されています。
※4 CDXスプレッドとは、複数企業のデフォルト(債務不履行)リスクに対する「保証料率」を指数化したものです。スプレッドが高いほど市場の信用不安が大きいことを示します。単位はbps(1bps=0.01%)です。

プライベートクレジット問題は今後どうなる?

結論として、プライベートクレジット問題の今後を見通すことはむずかしいです。事態が収束に向かう可能性もある一方で、水面下で問題が進行していて信用不安に発展する可能性もあります

現時点で私たちができることは、プライベートクレジットをめぐるリスクを客観的に受け止めて分析し、冷静に投資判断を下すことだけです。分析の結果、問題ないと考えられれば、リスクの小さい領域に投資するのがよいでしょう。もし危険だと感じれば、一時的に現金を多くしておくのも手です。

プライベートクレジットをめぐるリスク※5

  1. 倒産の増加
  2. AIによるSaaS企業淘汰
  3. 借金の先送り増加
  4. 流動性の低さと解約制限

※5 プライベートクレジットをめぐるリスクについて、詳しい説明はこちらをご覧ください。

プライベートクレジットをめぐって、報道では「銀行とは無関係」とされることも多く、金融システムへの悪影響は小さいイメージがあります。

しかし、米国の大手銀行は、少なくとも1,000億ドル(約15兆円)規模の資金をプライベートクレジットに貸し付けていると報道されています。さらに、米国の生命保険会社は、運用資産の約3分の1をプライベートクレジットに投資しているのです。

したがって、企業の倒産が相次いだ場合には、問題が連鎖して銀行に影響が及ぶ可能性があるでしょう。世界中の金融当局が実態調査に乗り出しており、警戒を強めている点からも、念のため注意しておくほうがよいと考えられます。

さらに、プライベートクレジット・ファンドは解約を制限しています。もともと解約制限の付いた仕組みではあるのですが、投資家に対する説明不足だったという指摘もあります。

今後、リスク回避を目的に現金化を急ぐ投資家が増えた場合、プライベートクレジットの解約ができないため、それ以外の資産を売却する可能性もあります。パニック売りがほかの市場に連鎖するリスクも捨てきれません。

プライベートクレジットをめぐる問題は、引き続き毎日チェックしておく必要があります。冷静に日々の情報を分析して、自分の投資に活かしていきたいですね。

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まとめ

プライベートクレジット問題の今後を見通すことは、とてもむずかしいことと言えます。事態が収束に向かう可能性もある一方で、水面下で問題が進行して信用不安に発展するおそれもあります。

私たちが現在できることは、「借金の先送り(PIK)増加」や「AIによるSaaS企業淘汰」といった爆弾になりうるリスクを客観的に受け止め、毎日情報収集をし、冷静に投資判断を下すことです。

米国の大手銀行や生命保険会社も巨額の資金をプライベートクレジットに投資しており、金融システムへの悪影響やパニック売りの連鎖リスクも捨てきれません。

日々の最新情報をこまめにチェックし、自分の投資に活かしていきましょう。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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