MSワラント発行の日本一ソフトウェアが役員報酬の上限を引き上げ!

MSワラント発行の日本一ソフトウェアが役員報酬の上限を引き上げ!

担当・西尾

2019年6月17日時点で、家庭用ゲームソフトやスマホゲームを開発している「日本一ソフトウェア(3851)」の株価が下がっています。理由は、MSワラント発行後、6月13日に「役員報酬の上限を引き上げる」という株主総会の議案が発表され、多くの投資家が、「役員がお金を受け取るためにMSワラントを発行したのでは?」と思い、株が売られたからです。

しかし、実際は役員が増えるため、役員報酬の上限を引き上げるというのが真実です。以下で詳しくご紹介します(MSワラントの詳しい解説は、「悪魔の増資!MSワラントの仕組み」をご覧ください)。

 

日本一ソフトウェアの株価下落の背景

まずは、現状を整理しておきましょう。

5月17日
大和証券を割当先とするMSワラント発行を発表
6月13日
株主総会招集通知を公開。3号議案として役員報酬の上限引き上げ案を提示
6月14日
まとめサイトで「役員報酬が5倍に増額」と言う記事が投稿される
6月17日
株価が下落

今回の株価下落をもたらした一番の要因は、6月14日にまとめサイトへ投稿された、「役員報酬が5倍に増額」という趣旨の記事です。この記事を見た投資家が、「MSワラントで調達した資金を、役員が引き出そうとしている!」と激怒したことで、会社に見切りをつけた投資家による売りがたくさん入りました。

日本一ソフトウェア(3851)の株価推移(2019年6月14日~2019年6月18日)

日本一ソフトウェアの株価推移

(出典:SBI証券

しかし、招集通知をよく見ると、あくまで役員報酬の上限を引き上げるだけで、役員報酬の金額を上げるわけではないとわかります。実際に、招集通知を見てみましょう。

招集通知をチェック

日本一ソフトウェアの株主総会招集通知では、3号議案で以下のように役員報酬の上限引き上げが提案されています。

第3号議案 取締役の報酬額改定の件

 当社の取締役の報酬額は、平成16年6月30日開催の第11期定時株主総会において、取締役の報酬額を月額10,000千円以内(ただし、使用人分給与は含まない。)、別枠で平成29年6月22日開催の第24期定時株主総会において、ストック・オプション報酬額として年額200,000千円以内と決議いただき、今日に至っております。
 しかしながら、その後の経済情勢の変化、経営体制強化における取締役の増加及びその他諸般の事情を考慮いたしまして、取締役の報酬額を月額50,000千円以内(うち社外取締役分1,000千円)と改めさせていただきたいと存じます。また、取締役の報酬額には従来どおり使用人兼務取締役の使用人分給与は含まないものといたしたいと存じます。
 なお、現在の取締役の員数は4名(うち社外取締役は1名)でありますが、第2号議案(取締役1名選任の件)が承認可決されますと、取締役の員数は5名(うち社外取締役は1名)となります。

(出典:日本一ソフトウェア 第26期提示株主総会招集ご通知

このように、「月額50,000千円以内」と書かれているため、報酬金額ではなく報酬の上限額を表していることがわかります。つまり、インターネットで騒がれているように、役員報酬を5倍に引き上げたわけではない点に注意が必要です。

役員報酬の上限を引き上げる理由としては、取締役が1名増えるためでした。これまでは、月額1,000万円を4名の役員で分けていました。うち1名は社外取締役で月額100万円の報酬だと書いてあるので、残った900万円を3名の取締役で分けることになります。仮に均等に配分したとして、1名あたり300万円の月額報酬です。

ここで、1名取締役を増やした場合、最大で1,300万円の役員報酬の上限枠が必要となります。1,000万円の枠では足らないため、今回の株主総会で枠を増やそうとしているのです。上限を5,000万円とした理由は、公表はされていませんが、今後も役員が増えることを想定しているからではないでしょうか。

まとめ

今回の騒動では、「日本一ソフトウェアは、MSワラントで調達した資金を役員報酬で懐に入れるため、報酬額を5倍に増やした」という意見が多くみられます。しかし、招集通知をしっかり読むと、報酬額を増やしたのではなく、あくまで報酬の上限を引き上げただけ、ということがわかります。

日本一ソフトウェアは、ゲームソフトの開発にお金が必要であることに加え、従業員への給料支払いのために資金調達をしているため、役員報酬として全額調達資金を受け取るということは考えにくいでしょう。

西尾のプロフィール

・やさしい株のはじめ方の資産運用担当
・ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員の資格あり
・年間200銘柄以上を分析中

Twitter「@kabuotaku758」でも情報発信中です!