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【ツイキャス】マイスターエンジニアリング(4695) の適時開示チェック

投資家ゆうとのプロフィール

担当・ゆうと

最終更新日:2019年11月29日

2019年11月28日に、マイスターエンジニアリングがMBO価格を引き上げたので、内容を一部追記・変更しています。

▼2019年11月28日に追加で公表された内容の解説

第一弾の2019年11月19日に配信したツイキャスはこちらで視聴できます。

概要

マイスターエンジニアリング(4695)が、MBOを発表。

ポイント・結論

マイスターエンジニアリングのMBOが成立条件を下回り、不成立になるのではないか。

(2019年11月29日追記)

マイスターエンジニアリングがMBO価格を940円から1,150円に引き上げました

詳細

・MBOを発表 : 平野大介氏(社長)がすべての株を買い取って、非公開化をします。

※平野茂夫氏(会長)の持ち株、自社株は除く

ポイント・結論の理由

①MBOの成立条件に届かない可能性がある

今回のMBOには、買付予定数の下限があるので、この下限を下回る応募しかない場合は、MBOは不成立となります。実際に、マイスターエンジニアリングのMBOの成立条件は、以下のようになっています。

<マイスターエンジニアリングのMBOの成立条件>

発行済株式総数 買付予定数の下限 発行済株式総数に占める
買付予定数の下限割合
9,125,000株 3,664,900株 約40%

マイスターエンジニアリングの場合は、発行済株式総数の40%の株主が、MBOに応募しなければ不成立となります。

この成立条件を、満たさない可能性があります。その理由が、次の2つです。

  • 1.自社株と不応募株数の多さ
  • 2.光通信の買い増し

1.自社株と不応募株数の多さ
自社株(1,232,319株)は、MBOの対象となりませんので、除きます。また、今回のMBOには、不応募株があります。筆頭株主の平野茂夫氏(会長)の持ち株(1,596,900株)は、MBOに応募しません。

合計すると、2,829,219株は、買い取ることができません。

2.光通信の買い増し

光通信の買い増し
光通信の買い増し

(光通信の変更報告書)

MBOが発表されたのは、11月8日です。光通信は、MBOが発表された翌営業日(11月11日)から、合計9%近く買い増しています。また、マイスターエンジニアリングのチャートを確認すると、MBO発表以降、株価は一度もMBO価格(940円)を下回っていません。つまり、光通信はMBO価格以上で買い増しをおこなってきていることになります。

このことから、光通信の持ち株(1,330,200株)も、MBOに応募する可能性はかなり低いと考えられます。

チャート画面

(出典:SBI証券

以上の自社株、平野茂夫氏、光通信の持ち株を合計すると、3,586,719株になります。この株数は、応募しない可能性が高いため、発行済株式総数から差し引いて、再度、成立条件を考えます。発行済株式総数9,125,000株から、4,159,419株を差し引くと、4,965,581株になります。

<差し引いた後の、マイスターエンジニアリングのMBOの成立条件>

  発行済株式総数 買付予定数の下限 発行済株式総数に占める
買付予定数の下限割合
差し引き前 9,125,000株 3,664,900株 約40%
差し引き後 4,965,581株 3,664,900株 約74%

上の図からわかるように、実際には、一般の株主からの3/4以上の応募がなければ、MBOが不成立となることが推測できます。一般株主が1/4以上MBOに応募しなかったり、光通信が今後も買い増しを行ったりすると、MBOが不成立になる可能性が高いです。

このことから、MBOの成立のハードルは高いように思います。

(2019年11月29日追記)

経営陣も光通信が買い増していることは、変更報告書から分かっていました。経営陣は、このままだとMBOが不成立になると考えて、MBO価格の引き上げることにしたと思います。

②MBOプレミアムが小さい

一般的に、TOB・MBO価格のプレミアムは30~40%と言われています。実際に、今年のTOB・MBOの31件のプレミアムを調べたところ、平均して35%のプレミアムがありました。

※2019年1月から2019年11月19日まで。なお、株式交換はカウントしていません

マイスターエンジニアリングのMBOプレミアムは約17%と、平均的なプレミアムを下回ります。 このようにMBOプレミアムの低さから、一般株主からの応募が少ないのではないかと思います。

(2019年11月29日追記)

MBO価格の引き上げ前(2019年11月28日)は、マイスターエンジニアリングの終値1,000円でした。MBO価格を引き上げて1,150円になったため、前営業日からのMBOプレミアムは15%です。また、MBO開始前からのMBOプレミアムは43%になり、MBO開始前からみると、一般的なプレミアムの水準になります。

③株価

先に説明したように、マイスターエンジニアリングの株価は、MBO発表以降、一度もMBO価格(940円)を下回っていません。このような状況から、一般株主はMBOに応募するより、市場で株を売ったほうが儲かることになります。

MBOへの応募は、お金が振り込まれるまで時間や手間がかかります。そのため、市場の株価のほうが高ければ、MBOに応募する株主はいません。今後、市場の株価が、MBO価格を下回る状況になれば、MBOの成立する可能性も変わってくると思います。

(2019年11月29日追記)

MBO価格が引き上げられましたが、MBO価格を上回って株価が推移すれば、一般株主は、応募するより、市場で株を売ったほうが儲かることになります。一方で、MBO価格を下回って株価が推移すれば、一般株主は、MBOに応募する選択もできます。

今回のMBO価格は、プレミアムも一般的な水準で、会社の持つ資産価値からみても妥当なラインだと思いますが、今回のMBOが成立するかどうかも、株価の推移によって変わってくると思います。

MBOが成立するかどうかは、光通信がMBOに応募するかどうかにかかっています。今後も、光通信が買い増してくるようなことがあれば、このMBO価格でも成立は難しいと言えます。

問題点

一番の問題は、「MBOを行いたい経営陣と、株主の利益が相反する」ことです。経営陣は、MBOをするときに、できるだけMBO価格を下げたいという意思が働きます。実際に、会社の利益計画を操作して、安値でMBOを行おうとした事例があります。このような利益相反行為は、コーポレートガバナンス(企業統治)が浸透していないことを示します。

上記のように、一般投資家を食いものにするような上場企業が多ければ、外国人投資家や機関投資家が日本の株式市場から離れていってしまう可能性もあります。

その他、基礎情報

過去には、今回のマイスターエンジニアリングのMBOと、光通信の買い増し、MBO価格の引き上げと似たケースがありました。2017年・2018年の2度MBOを行なった東栄リーファラインのケースです。

東栄リーファラインは、2017年11月に1回目のMBOをおこないました。1回目のMBOは、村上ファンド系の投資会社のレノが、対抗して株を買い集めたため失敗しました。東栄リーファラインは、約3か月後の2018年2月に2回目のMBOをおこないました。1回目のMBO価格は600円でしたが、価格を800円に引き上げることで、2回目のMBOは成立しました。

今回のMBO価格の引き上げ幅(940円から1,150円)も、東栄リーファラインのケース(600円から800円)とほぼ同じくらいです。経営陣も過去の事例を参考に、MBO価格を1,150円に引き上げたのではないかと思います。

ゆうとのプロフィール

投資家ゆうとのプロフィール

・投資歴6年、資産バリュー投資家
・オフ会を主催、年間100回近くオフ会に参加
・いつも四季報を持ち歩き、1年の半分は株のことを考えている株オタク

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