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【全固体電池関連株・銘柄】リチウムイオン電池との違いや、今後の見通しを解説
最終更新日:2023年9月7日
全固体電池関連株とは、全固体電池の製造にかかわる電池・素材メーカーや、全固体電池を利用した製品を作る自動車メーカーなどの株です。
富士経済によれば、世界の全固体電池の市場規模は2040年に3兆8,605億円に達すると予測されており、全固体電池関連株への期待が高まっています※1。
※1 参考:全固体電池の世界市場を調査(富士経済グループ)
この記事では、全固体電池関連の代表的な銘柄や今後の見通しなどを解説するので、ぜひ参考にしてください。
全固体電池とは?
全固体電池は、従来のリチウムイオン電池※2の液体電解液を、固体に置き換えた新しいタイプのバッテリーです。そのため、リチウムイオン電池のような液漏れによる発火の危険性はありません。
※2 リチウムイオン電池とは、スマートフォンや家電、EVなどに使われている蓄電池のことです。充電して繰り返し使うことができます。
出典:全固体リチウムイオン電池の研究開発プロジェクトの第2期が始動(NEDO 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)
また、固体は液体よりも密に配置できるため、エネルギー密度が高まり、一度の充電でより長い時間動作します。さらに、固体電解質はバッテリー内の異常な金属成長を防ぐため、繰り返しの充電・放電にも強く、バッテリーの寿命が延びるのも特徴です。
日本の自動車メーカーは、全固体電池を搭載したEVを2020年代後半に発売すると相次いで表明しています※3。現在、普及している蓄電池の多くは中国や韓国製ですが、世界の分断による脱中国の流れのなか、今後は中国以外のメーカーがシェアを伸ばしていくでしょう。
※3 参考:トヨタが全固体電池を実用化へ、EV向けで27~28年を目標に(日経クロステック)、全固体電池 | イノベーション(日産自動車企業情報サイト)
そのため、全固体電池へのシフトは、日本の車・電池製造メーカーにとって挽回・逆転のチャンスと言えます。
全個体電池関連株・銘柄一覧
全個体電池関連株を、「① 全固体電池の製造にかかわる会社」と「② 全固体電池を利用する会社」の2つに分けて10銘柄ピックアップしました。
① 全固体電池の製造にかかわる会社
全固体電池は、正極(+)と負極(-)および、この両極を行き来して電気の流れを生み出す「リチウムイオン」と、電池の内部を満たす「電解質」で作られています。ここでは電解質の材料別に銘柄をご紹介します。
硫化物系全固体電池
硫化物系全固体電池は、EVや工場向けの出力が高いタイプです。関連株は、電解質に硫化リチウムを使う出光興産(5019)、アルジロダイト型電解質を使うマクセル(6810)、宇宙空間向けを開発する日立造船(7004)などがあります。
酸化物系全固体電池
酸化物系全固体電池は、硫化物系より出力は低いものの、安全性が高く医療機器や家電などに向いているのが特徴です。
関連株は、小型電池の開発で先行する村田製作所(6981)、ガラスセラミックスを電解質に使うオハラ(5218)、2023年度中に量産化を開始するFDK(6955)、傘下に電池メーカーを持つパナソニック ホールディングス(6752)などがあります。
出典:全固体電池とは?(産総研マガジン)
富士総研によれば、硫化物系の全固体電池の本格普及は2030年代、酸化物系の全固体電池の普及は2020年代に進むと予想されています※4。
※4 参考:全固体電池の世界市場を調査(富士経済グループ)
② 全固体電池を利用する会社
全固体電池の大口の買い手はEVメーカーです。関連株は、トヨタ自動車(7203)、日産自動車(7201)、本田技研工業(7267)などがあります。
ピックアップした10銘柄の事業内容を以下の表にまとめたので、参考にしてください。
銘柄名 (クリックタップで最新株価) |
事業内容 |
---|---|
出光興産(5019) | 大手石油会社。次世代エネルギー事業などを育成し、2030年までに化石燃料(石油やガス、石炭)による収益比率を95%から50%以下に引き下げる。硫化物固体電解質の特許を多数保有。硫化リチウムを使ったEV向け全固体電池の電解質の供給能力を強化する。 |
オハラ(5218) | ガラスメーカー。硫化物を使った全固体電池に関する複数の特許をトヨタ自動車(7203)と2016年に共同出願した経緯を持つ。ガラスセラミックスを用いた電解質を他社に先駆けて開発。酸化物系全固体電池の材料として拡充する。 |
パナソニック ホールディングス(6752) | 総合電機メーカー。傘下のパナソニックエナジーが米テスラにリチウムイオン電池を提供している。トヨタグループと車載用電池の開発に長年取り組んできた実績を持つ。セラミックスを利用した全固体電池を開発している。 |
マクセル(6810) | 電池メーカー大手。硫化物系のアルジロダイト型電解質を使った高品質の全固体電池を開発。世界ではじめて産業機械向けの大容量の全固体電池の量産に踏み切る。工場用ロボット向けを2023年夏に生産開始。 |
FDK(6955) | 電池メーカー。富士通(6702)の子会社。酸化物系の全固体電池を開発。2023年度中にも工場設備向けに量産を開始する。ニッケルや水素などを使った次世代電池の開発にも注力。 |
村田製作所(6981) | 電子部品大手。ソニーグループ(6758)からリチウムイオン電池事業を2016年に譲受。セラミックスを使った酸化物系の高容量・耐熱の全固体電池の開発に成功。携帯機器向けなどの小型に強み。 |
日立造船(7004) | 造船大手。真空や高温冷温に対応した硫化物系の全固体電池をJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と共同で開発。2023年3月には従来比で5倍の高容量化を実現したと発表。 |
日産自動車(7201) | 大手自動車メーカー。仏ルノーが筆頭株主。自社開発の全固体電池を搭載したEVを2028年までに投入する予定。量産化のための試作ラインを2024年度までに横浜工場に設置する。 |
トヨタ自動車(7203) | 自動車メーカーの世界的大手。全固体電池の特許を多数保有。全固体電池を搭載したEVを2027ー2028年に市場投入する。全固体電池の研究開発費用は経済産業省が半額を補助する。 |
本田技研工業(7267) | 二輪車のホンダで知られる大手輸送機器メーカー。自社で開発する全固体電池を搭載したEVを2020年代後半に発売するとしている。約430億円を投じて、2024年春に実証ラインを立ち上げる。 |
全固体電池関連株の見通し
全固体電池関連株の見通しを「良い・普通・悪い」で表すと、「良い」と言えます。従来型のリチウムイオン電池は、いずれ全固体電池に置き換わっていくと予想されているからです。注目すべきポイントを5つに分けて紹介します。
① 開発の動向
我が国は経済安全保障※5の観点から電池の開発・製造を補助金などで後押ししています。
※5 経済安全保障:国家や国民の経済的な安全を保障すること。具体的には軍事に転用可能な技術・製品の輸出規制や保護などが挙げられます。我が国は「経済安全保障推進法」で蓄電池を特定重要物資に指定しています。
出典:蓄電池に係る安定供給確保を図るための取組方針(経済産業省)[PDF]
自動車メーカー各社は2020年代後半を目途に全固体電池を搭載したEVを発売する予定ですが、使用する電池は開発中であり詳細はまだわかっていません。日産自動車(7201)、本田技研工業(7267)やトヨタ自動車(7203)などがその支援対象となっていますが、電池の開発や調達が計画通り進んでいくか見極める必要があるでしょう。
② 各国の政策
電池の製造やEVの購入は、日本だけでなく多くの国々で支援・優遇されています。しかし、米国などのように、他国で生産したEVなどを優遇対象から外す動きが強まっている点は気がかりです。
③ 景気や充電料金
全固体電池の目下最大の用途は、EVの車載用です。EVの売れ行きには、金利や景気のほか充電料金も影響します。全固体電池を搭載したEVの販売がはじまる2020年後半頃に、これら事業環境がどうなるか注視していく必要があるでしょう。
④ 環境基準などの世界の共通規格
ほかの製品と同じように、全固体電池にも規格を統一しようとする動きが出てくるでしょう。特に海外の基準に乗り遅れないか注意が必要となります。輸出相手国の規格を満たさなければ輸出できなくなるからです。
EUでは電池の製造過程の記録である「電池パスポート(バッテリーパスポート)」を求めるルールが採択されており、米国やインドなどでも導入を検討中です。これを受けて日米の自動車メーカーなど世界の120社から成る企業連合が規格案の策定に取りかかっています。
出典:欧州におけるエネルギー関連政策の動向(NEDO 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)[PDF]
⑤ シェア獲得競争
全固体電池の普及が進むにつれ、特定の数社の電池がシェアを獲得していくでしょう。従来型のリチウムイオン電池は中韓のメーカー4社が7割超のシェアを握っています。しかし、台湾をめぐる中国と欧米諸国との対立が続けば、中国製の電池は他国製に置き換えられていく可能性もあるでしょう。
注意
記載の見通しは、当サイト編集部の見解なので、結果を保証するものではありません。いかなる不利益が生じた際にも当サイトは一切の責任を負いませんので、すべてにおける最終判断はご自身でおこなってください。
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まとめ
全固体電池関連株の先行きは明るいと言えます。なぜなら、従来型のリチウムイオン電池が、全固体電池に置き換わっていくと予想されているからです。比較的安全で扱いやすい全固体電池は、世界的な脱炭素化・EV化を背景に普及が進んでいくことになるでしょう。
そして、経済安全保障を意識した世界の分断と脱中国の動きは、日本の電池・EVメーカーにとってはシェア獲得の好機となりそうです。
全固体電池関連の銘柄を検討する際は、各社の製品開発状況のほか、国際情勢、各国の政策、規格を取り決める動き、市場シェアや景気の動向など幅広く目を配るようにしてください。