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【IRTV 5836】エージェント・インシュアランス・グループ/3つの成長戦略とは!?

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2024年4月18日

エージェント・インシュアランス・グループ(5836)の一戸(いちのへ)社長が、3つの成長戦略についてIRTV※1で解説しています。

※1 IRTVとは、IR Robotics社が運営する“投資家と企業をつなぐ上場企業のIR動画メディア”です。決算情報から事業モデル・経営戦略・成長可能性まで、トップ自らがわかりやすく、かつタイムリーに解説しています。

この記事は、IRTVの動画内容を書き起こししたものです。動画の内容を文字で確認したいときに、ぜひご活用ください!

(出典:IRTV for YouTube

事業内容

IRTV : 本日のゲストは、エージェント・インシュアランス・グループ(5836)より一戸社長にお越しいただきました。よろしくお願いします。

一戸様 : よろしくお願いします。

IRTV : 今日は2回目の対談になりますね。前回はM&A※2のお話でした。

※2 M&A(エムアンドエー)とは、企業の合併・買収を指します。

今回は、エージェント・インシュアランス・グループ様が手掛ける既存ビジネスや今後の展開についてお聞きします。初めての方もいらっしゃると思いますので、改めて事業内容についてお聞かせください。

一戸様 : 皆様にもなじみがある保険代理店を運営しています。生命保険や損害保険を扱っており、国内と海外でサービスを展開しています。

収益のポートフォリオは、国内事業の73.5%が損害保険、その他が生命保険です。上場している保険代理店は複数社ありますが、一般市場の上場企業の中で損害保険中心のポートフォリオを展開しているのは弊社だけになります。

<事業内容①>

事業内容①

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 例えば、投資家の方が知っているFPパートナー様などは、生命保険中心のポートフォリオ展開をされているという認識でよろしいでしょうか。

一戸様 : そうですね。FPパートナー様、ブロードマインド様は生命保険中心の訪問型、アイリックコーポレーション様は店舗型でシステムも作られています。そのため、損害保険中心のポートフォリオを展開しているのは弊社だけになると認識していますね。

IRTV : 損害保険と生命保険は収益モデルも少し異なるのでしょうか。

<事業内容②>

事業内容②

(出典:IRTV for YouTube

一戸様 : 損害保険はストック型で、じわじわ積み上がっていくイメージです。農耕民族的な仕事と言えるでしょう。

一方、生命保険は狩猟民族的な仕事です。ワンショットを取ったときの契約手数料が比較的高く、それを毎年取り続けないといけないフロー型のビジネスモデルになります。

どちらが良い・悪いというものではありません。収益が成長フェーズにある場合、安定フェーズにある場合によって、どちらのビジネスモデルを選好すると良いというのはあると思いますが、私たちは損害保険のストック収益が主軸となっています。不動産の管理手数料と仲介手数料の比較と似ていますね。

M&Aについて

IRTV : 貴社を語る上で、膨大な数のM&Aを実施していることは避けて通れません。

一戸様 : M&Aというと、とても大きな案件を想像される方もいらっしゃると思いますが、去年末時点で累計531件のM&A及び事業承継を行いました。

このように私たちがM&A及び事業承継を行えるのには、時代背景、業界の時流があるため、そのことについてお話しします。

<M&Aについて>

M&Aについて

(出典:IRTV for YouTube

M&Aを続ける背景

一戸様 : 弊社が創業したのは、今から28年前の1996年です。当時は損害保険代理店が62万3千店ありました。企業数がこれほど多い業種はあまり存在しないのではないでしょうか。

2022年度には約50万店減の15万6千店となりました。廃業したり、私たちのように大型化している代理店に吸収されたり、買収されたりして急激に損害保険代理店数が減っています。

一方、緑の折れ線グラフを見ると、営業を行う保険募集人は180万人前後で推移している状況です。代理店の数は減っていますが、働いている人は横ばいで推移しているため、1つの代理店に在籍する人数が増え、大型化が進んでいることがわかります。

<M&Aを続ける背景①>

M&Aを続ける背景①

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 近年は代理店数の減少が落ち着いているように見えます。

一戸様 : そうですね。しかし、今後5~7年ほどで代理店の数は約3万店になると言われています。現在は業界再編が激しく、代理店を運営するにあたっての情報管理や体制整備コンプライアンスの面などの規制が厳格化されていることに加え、IT化にも対応できない代理店が増えており、大型化しているのが現状です。

IRTV : 約10万店の保険代理店が受け皿を探すことになりますね。貴社はその受け皿の大きな1つになるのでしょうか。

一戸様 : そうですね。もう1つの背景としては、代理店店主の高齢化が挙げられるでしょう。50歳以上の代理店店主の割合は75.5%、さらに60歳以上が40%と、相当高齢化しています。年齢分布は税理士業界ととても似ております。税理士業界は平均で67歳くらいと先日聞きました。

<M&Aを続ける背景②>

M&Aを続ける背景②

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 若い人が入ってこないのでしょうか。

一戸様 : 今までは、保険代理店に職業魅力がないと思われてしまっていました。そのため、職業魅力を作っていくことも私たちの仕事だと思っています。

海外にある大型代理店のマーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズやエーオン、ウイリス・タワーズワトソンというビッグブローカーも、新卒採用のための募集をしても人が来ない状況だそうです。

國分さんも、「保険代理店に就職しよう」とあまり思ったことがないですよね。

IRTV : 確かに選択肢としてはなかったかもしれません。

一戸様 : 恐らく世の中の方々が、保険代理店という業種のことをあまり知らなかったためでしょう。

IRTV : 保険会社は商品を作っている側で人気がありますよね。

一戸様 : そうです。これからは積極的に保険代理店業の魅力を伝える取り組みをしなければいけないと考えています。

成長戦略について

IRTV : これまで既存のビジネスについてお聞きしましたので、ここからは今後の成長戦略についてもお話を聞かせてください。まず「兼業代理店」とはどのようなものでしょうか。

一戸様 : 今まで私たちがM&A及び事業承継を行っていたのは、保険だけを取り扱っている専業代理店でした。いわゆる、「まちの保険代理店」ですね。

日本の損害保険市場規模は、全体で約9兆円になります。その内の専業代理店の市場規模は、実は3.5兆円しかないのですが、業界の潮流もあり、私たちはこのマーケットで代理店のM&A及び事業承継を積極的に実施してきました。

しかし、これからは兼業代理店のM&A及び事業承継に重点的に取り組んでいきたいと考えております。例えば、車のディーラーの代理店、家を買うときに火災保険の提案も行う代理店、不動産屋でありながら引越しの際に火災保険も提案する代理店などが挙げられます。そのような兼業代理店と提携、もしくはM&A及び事業承継を検討していく方針です。

<成長戦略について①>

成長戦略について①

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 兼業代理店の保険の部分だけM&Aを実施するのでしょうか。

一戸様 : おっしゃる通りです。

IRTV : これまでにそのような流れはなかったのでしょうか。

一戸様 : 実は、アメリカには兼業代理店は1つもありません。ビックブローカーかプロの中小保険ブローカー/代理店しかなく、利益相反の観点から法律で兼業は禁止されています。

IRTV : 日本の中古車業界で起きた事例がそれにあたりますね。

一戸様 : はい。中古車販売と保険事業を一緒に手掛けていたがゆえに、利益相反が起きてしまったと思います。

このようなことを起こさないためにも、兼業代理店のあり方を見直す必要があり、私たちのようなプロの代理店との提携などを通じて統廃合を進めていくのが、保険会社の流れになると思います。

IRTV : 専業代理店もまだ再編の余地があり、そこでM&A及び事業承継をしながら、より規模の大きい兼業代理店も受け入れていく形でしょうか。

一戸様 : そうですね。IR※3を行っていると、専業代理店の再編は何年で終わるのかという話が挙がります。私は5年から7年ぐらいと伝えていますが、その先にも兼業代理店という大きな市場があるため、M&A及び事業承継による業界再編の流れは続く見込みです。

※3 IR(アイアール)とは、企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績の実績、今後の見通しなどを広報するための活動を指します。

<成長戦略について②>

成長戦略について②

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 今回の日本の中古車市場における問題を考えると、アメリカのやり方に少し近づく可能性がありそうですね。

一戸様 : じわじわ近づいていくと思います。

IRTV : それが本格的になると一気に提携・買収の話が出てくるかもしれませんね。市場の流れを見ながら進めていく感じでしょうか。

一戸様 : そうですね。

M&Aと事業承継戦略

IRTV : 先日のIR TVでも、生命保険中心の保険代理店、ファイナンシャル・ジャパン様のM&Aについてお話をお聞きしました。

一戸様 : 私たちは損害保険を中心にサービスを提供してきました。先ほど収益の違いについてお話しましたが、これからより劇的に成長していくためには生命保険の代理店ビジネスにも本格的に取り組まなくてはいけないと考えています。

自社でアップセル・クロスセルを進めていますが、プロとして生命保険を取り扱う会社が我々のグループに加われば、さらなる成長が見込めます。このため、ファイナンシャル・ジャパンを買収しました。

IRTV : 事業の見え方もバランスが取れていますね。収益構造についても、ストックをベースにしつつフローで大きく伸びる仕組みですね。

一戸様 : はい。保険会社も、持株会社の傘下に事業会社として損害保険、生命保険、海外事業を持っていると思いますが、私たちもそのような形で事業を構築すべく、ホールディングス化を検討しております。

<M&Aと事業承継戦略>

M&Aと事業承継戦略

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 日本の損保会社のような形態でしょうか。

一戸様 : 東京海上日動ホールディングス様も、傘下に東京海上日動火災保険様、東京海上日動あんしん生命様、Tokio Marine North America様などを収めており、私たちもそのような形に移行しようと思っています。

利益率への影響

IRTV : 生命保険を中心に取り扱っている会社様は、利益率が高い印象があります。一方、貴社は損害保険がメインなので、利益率が若干低くなると見ていました。その辺りはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

一戸様 : 損害保険を取り扱っているから営業利益率が低い、というわけではありません。そこで活躍している保険の募集人がどれだけ稼げるかを考えつつ、自社の利益率を考える必要があります。

かんたんに言うと、私たちが利益を取りすぎると、募集人が手にするお金が減ってしまいます。1つのパイの中でのパワーゲームになるため、その割り振りの話です。

私たちは、営業利益率の適正水準は7~8%だと考えています。時には10%まで上がることもあるでしょう。その辺りが、我々の会社=プラットフォームを活用して働いてくださる募集人に分配するには適正の利益率水準だと考えています。

<利益率への影響>

利益率への影響

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 基本的に7~8%を維持しながら、売上高(トップライン)をいかに伸ばしていくかがポイントになるのでしょうか。

一戸様 : そうですね。トップラインが伸びることは、お客様の数が増えることと同じです。今回、ファイナンシャル・ジャパンと企業結合したことにより、お客様の数は26万人超となりました。日本でトップの保険代理店の会社のお客様の数は約60万人なので、その半分ほどのお客様の数になりました。

保険は電気・水道・ガスのようなインフラビジネスです。インフラビジネスで1番のKPI(重要業績評価指標)はお客様の数だと思います。お客様の数が増えれば、流通させる商品やサービスが増えます。

一方、弊社は工場などの設備に投資することはあまりありません。そこで、このような業界再編のフェーズにおいては、お客様の数を増やすための投資としてM&A及び事業承継に注力していく方針です。

テクノロジーの活用について

IRTV : この業界の問題としてIT化が遅れている話もありますが、テクノロジーの活用がやはり差別化のポイントになるのでしょうか。

一戸様 : そう考えています。テクノロジーの活用には2つの観点があると考えております。1つはお客様向けの環境整備、もう1つは代理店向け業務基幹システムの提供です。

<テクノロジーの活用について①>

テクノロジーの活用について①

(出典:IRTV for YouTube

一戸様 : 1つ目のお客様向けの環境整備では、お客様がより流入しやすいルートを作ることが大切だと考えています。今日も、オンライン保険診断アプリ「ほけチョイス」について、この収録前にミーティングしていました。

<テクノロジーの活用について②>

テクノロジーの活用について②

(出典:IRTV for YouTube

一戸様 : 2つ目の、代理店向け業務基幹システムの提供についてですが、保険の営業スタッフの1日は、実は半分が移動時間になります。地方に行けば行くほど、車でお客様先まで行くのに時間がかかるため、さらに効率が悪くなります。移動時間を効率化する手法として、DX※4の推進が考えられます。

※4 DX(ディーエックス)とは、デジタル技術を活用して生活やビジネスを変革することを指します。

具体的には、オンラインのお客様面談が挙げられます。ほけチョイスなどで流入経路を作り、面談をオンラインで実施することで大幅に効率化できます。現在それらに一生懸命取り組んでいます。

当社が開発している業務基幹システムは常にブラッシュアップしております。いずれ、我々が開発したシステムをいろいろな代理店の方々に使っていただけるように考えながら作っている状況です。

巨大な米国市場への参入

IRTV : 3つ目はアメリカ市場についてです。市場規模だけを見ると、夢のあるマーケットですね。

一戸様 : いろいろな障壁があるとは思いますが、保険に対しての需要がとても高い市場です。リスクも多くあるため、それに対してファイナンスするのが損害保険になります。

去年は会社全体の利益の4分の1ほどをアメリカで稼いでおり、ここを伸ばしていこうと思っています。プロデューサー(営業スタッフ)1人あたりの生産性もとても高いです。

<巨大な米国市場への参入>

巨大な米国市場への参入

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : アメリカにいる日本の駐在員の方や日本法人がメインのお客様となっていますが、今後は現地の人や会社に営業していく可能性はあるのでしょうか。

一戸様 : 現在、80%超が日系企業や日系の駐在員の方、現地に住んでいる方になります。やはり、現地の企業にどれだけ入っていけるかが肝要だと思っていますね。

これまでは、日本語を喋れるスタッフばかりでしたが、初めて英語しか喋れないスタッフを採用しました。日本で採用したスタッフは1人だけであり、ほとんど現地採用しています。

また、日本でも取り組んでいるアップセル・クロスセルを積極的に推進しています。

米国の代理店 再編状況

IRTV : 現地採用して販売していくことに加え、これまで国内で行なってきたように代理店を買収していく予定があると思いますが、アメリカの代理店の再編状況はどのような感じでしょうか。

一戸様 : 1月にプレスリリースを出した通り、アトランタの日系ブローカー「Hasegawa Insurance Agency」を買収しました。同社は高齢の方が経営していたので、私たちが引継ぎました。

アメリカにあるローカルの保険ブローカーも日系の保険ブローカーも高齢化が進んでおり、深刻な社会課題だと感じています。

若い経営者が出てきて、私たちのようなところが買収する、もしくは大手の金融系の会社が日本から進出して現地のブローカーを買収するなど、そのような形で再編されていくのではないでしょうか。

IRTV : アメリカ市場もまだ伸びる余地がありそうですね。

今日お話を聞いてこれからがとても楽しみだなと感じました。引き続き投資家の皆様も注目して見ていただければと思います。今日はどうもありがとうございました。

一戸様 : ありがとうございました。

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ディスクレーマー

当記事では、筆者独自の見解を述べることがありますが、証券及びその他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的ではなく証券及びその他の金融商品に関する助言や推奨をするものではありません。また、個別企業の業績予想や株価予想、投資推奨を提供する予定はありません。投資判断等は、自己責任でお願いいたします。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

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