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アピリッツ【カンパニーの学園化】人材が成長の源泉! M&Aで地方そして外国人材の活用も視野に
アピリッツ(4174)CFOの永山様が、中期経営計画についてIRTV※1で解説しています。
※1 IRTVとは、IR Robotics社が運営する“投資家と企業をつなぐ上場企業のIR動画メディア”です。決算情報から事業モデル・経営戦略・成長可能性まで、トップ自らがわかりやすく、かつタイムリーに解説しています。
この記事は、IRTVの動画内容を書き起こししたものです。動画の内容を文字で確認したいときに、ぜひご活用ください!
(出典:IRTV for YouTube)
カンパニーの学園化
IRTV : 本日のゲストは、アピリッツ(4174)CFOの永山様にお越しいただきました。よろしくお願いします。
永山様 : よろしくお願いします。
IRTV : 今日は少し毛色が違っておもしろいトピックかなと思いますが、「カンパニーの学園化」とそれに付随してM&A(合併・買収)など、諸々お聞かせください。
まず、一目見て「学園化」はおもしろいキーワードだなと思いました。
永山様 : そうですね。これは賛否両論がありました。発表するにあたり、「学園化」というと仕事をする雰囲気がないという懸念がありましたね。ただし、弊社のビジネスは開発などが主体のため、労働集約的な事業になります。1番大事なのは人ですよね。
昨今は離職率などさまざまな問題があり、昔と違って価値観が多様化してきました。対策として、オフィスを綺麗なところに移転したり、給料を上げたりするハード面の取り組みが挙げられます。しかし、昔の典型的なハード面を整えても、人材を社内につなぎ止めておくことがむずかしくなっています。
例えば、やりがい、働きがい、成長の時間が持てる、助け合いの文化があるなどを重視する人が増えています。一昔前の「バリバリ働いて給料をたくさんもらう」考え方以外に、考え方が多様化している状況です。
当然、上場してから給料の水準を上げ、今年の秋にも渋谷のオフィスに引っ越すといったことは順次段階的に進めています。もう一段魅力ある会社にして、みんなで何かを手掛けようとするときに、少しキャッチーではありますが、学園化を目指すことにしました。
学校は、例えば勉強が好きな人は当然行き、勉強が嫌いだけど部活したいからと言って行く人もいましたよね。そういうのはなくても、友達と会えるからなど、いろいろな意味で学校へ行っていたはずです。しかし、急に社会に出てしまうと、そういう感覚がなくなってしまいます。
IRTV : 生活のために行く感じですよね。
永山様 : そうです。会社が器となり、会社の中にいて大幅にスキルアップしたい人はそれをすれば良いし、仲間とモノ作りするのが楽しい人はそれを楽しめば良いです。
さまざまな価値観の人が来たときに、あらゆるタイプでも包み込めるような会社にしていくため、学園化を掲げました。特に学びのニーズが多いですね。やはり利益よりも自身のスキルがアップしたり、教え合う文化があったりということが重視されています。
弊社には暗黙知でそのような文化があり、自主的に勉強会を催していましたが、プロジェクト単位で仕事をおこなうため、横のプロジェクトが何をおこなっているかわかりませんでした。困ったときに助け合う文化をもう一段推し進めていくよというメッセージを出したほうが良いと考えましたね。
昔みたいに「勝手に取り組んでね」、「頑張れ」と声掛けするだけなく、会社が器や企画を用意するので、みんなでやりましょうよと、あえてわかりやすい言葉を使いました。
「潤いがある社会人人生」を送る人を増やしていくためにも、収入のためだけではなく、そこに属して何か役に立っている実感、成長している実感を味わってもらうことで、結果として収益が上がります。
永山様 : 最初の目的が収益を上げることではなく、それぞれの目的を持ち寄って満足できる環境をみんなで作ることで、結果として収益につながることを考えています。これによって業績が上がり、株主様への還元もできます。目的が収益や成長ではなく、結果として収益拡大につながるように明示したのが今回の肝です。
IRTV : メンバークラスの人は20代が多いですよね。
永山様 : そうですね。20代が6割を占めています。
IRTV : その年代の価値観に合わせていくイメージでしょうか。
永山様 : そのとおりです。「カンパニーの学園化」を投資家様が見たら、遊んでいるように見えてしまうのではという議論がありました。しかし、社中で話し合っているのであれば、社外にも発信していこうと考え、発表に至りました。
IRTV : 採用の面からも、このように明文化されているほうがわかりやすいですね。
永山様 : そうですね。わかりやすい、こういう会社だよというメッセージが伝わるかと思います。
事業成長イメージ
永山様 : 学園化というキーワードだけでは誤解を生んでしまいますし、最終的にどのような形になるのか、事業成長イメージをご紹介します。
学園化を通じ、学んで人材が育成されることで、生産性が向上します。そうして作ったプロダクトが世の中の皆様にご利用いただけるものとなり、結果的に社会貢献ができるという成長イメージを描いています。
ステークホルダーに対しても同様の考えを持っています。従業員が満足しなければ、良いプロダクトは作れません。良いプロダクトが作れなければ、収益が上がりませんよね。そうすると、お客様に満足していただけませんし、株主様にも還元できません。
こうならないためにも、最初の起点となる従業員に注目しているのです。従業員が働きやすく、弊社に在籍することによって何かを得られる環境を作れば、良い循環が回ると考えています。
IRTV : 賛否両論の「否」の方も、この事業成長イメージを見ていただきたいですね。
永山様 : そうですね。単に社内の話ではなく、最後には業績や還元につながっています。
IRTV : 何よりも「人」が重要だと思いますし、そこにフォーカスされるのもあたり前のことですよね。
永山様 : 人がいないと作れないビジネスになります。
IRTV : 受託開発はどうしても「大変」や「作っているだけ」といった印象になりがちですが、その辺りも学園化の中で改善していくのでしょうか。
永山様 : そうですね。自社のプロダクトが世の中に出て使われているため、フィードバックを通じて、ユーザー様に喜んでいただいていることをわかりやすく伝えることも大事かなと思います。
IRTV : 続いては数字のところになります。
永山様 : 2030年には売上高200億円、営業利益20億円を目指します。途中の期については数字を開示しておらず、この点についてお叱りを受けることもあります。非開示の理由は、業績が読みづらいゲーム事業を手掛けているためです。
永山様 : 途中の期の業績に関して社内で議論があり、「業績を明示してローリングしていけば良い」という考えと、「外部に発信することは約束になるため、一概にローリングすれば良いとも言い切れない」という意見が出ました。そのような議論を経て、今回は一旦、2030年のターゲットだけを発表することとしました。
また、途中の期の業績が読みづらい理由として、M&Aも挙げられます。社内では学園化によって人材のスキルアップや定着に取り組み、良い循環を回して社員を増やしていきます。しかし、それだけでは成長性が担保できないため、M&Aを成長戦略の1つに置き、コンスタントに実施していく方針です。
過去に2社のM&Aを実施しており、5月31日には1社の買収を発表しました。M&Aをおこなう関係で途中の数字が読めないため、間の期の数字を抜いて公表しています。
IRTV : 今後6年間で現在の数字から2.5倍を目指すことになります。どのような成長イメージを描いていますか。
永山様 : この数字は、上場後の成長性を保守的に見ても、着実に積み重ねていけばここまではたどり着けると考えて設定しました。逆に、最低限この規模まで成長しなければ、市場で残っていけないと考えています。
IRTV : これは達成したい目標というよりも、確度の高い話なのでしょうか。
永山様 : そうですね。達成しなければいけない数字だと捉えています。
M&Aの方向性
IRTV : 先ほどお話に挙がったM&Aについては、方向性が示されており、とてもわかりやすいですね。今はデジタル人材の確保に重点を置いているのでしょうか。
永山様 : そうですね。基本的には、既存事業と同じ分野で、同じことを手掛けている企業を短期的にM&Aする方針です。
永山様 : 投資家様からは、弊社が持ってない新しい技術やSaaS※2プロダクトを作っている企業を買収するのも選択肢になり得るのではとご意見をいただきます。
※2 SaaS(サース/サーズ)とは、サービス提供事業者(サーバー)側で稼働しているソフトウェアを、インターネットなどのネットワークを経由し、ユーザーが利用できるサービスを指します。
当然、我々としてもそれは選択肢としてありますが、今は同じ業態の企業を優先している状況です。デューデリジェンス、資金調達、M&Aはステップを踏めばできますが、1番大事な事業統合のフェーズは現場の人たちにかかっています。
しかし、現場の人たちはM&Aに慣れていません。M&Aした企業が既存事業と同じビジネスを手掛けていれば、課題や共通言語、悩み、成長性、目指す場所が大体一緒なので、事業統合しやすいと考えられます。このように、現場感を重視して同じ業態の企業をM&Aしています。
IRTV : 単純に人材を獲得するというよりは、M&Aに慣れさせる意味合いがあるのですね。
永山様 : そうです。売上を上げる、利益を嵩上げするような、箱を買うイメージではありません。やはり人が重要になります。弊社に加わってくれる人が、一緒になることによってさらに成長したり、相互補完したりしてくれればと考えています。
例えば、人が足りないのであれば、弊社のブランディングを使って採用し、弊社がリーチしていない顧客を持っているのであれば、相互で送客することなどができますよね。以上の理由から、短期的には現在手掛けているビジネスでM&Aを実施していく方針です。
IRTV : 画面右側にある「STEP2 新規事業展開」は、新たなサービスを自社に取り込むためのM&Aというイメージでしょうか。
永山様 : そのとおりです。経営層と従業員がM&Aの実施とそれによる成長に慣れてきた頃に、ゼロイチで新しいビジネスを作るよりも、新規事業や未着手のサービスを取り込んで横展開していこうと考えています。
IRTV : 時間軸として、STEP2に取り組むタイミングは2030年までの間でいつぐらいを想定していますか。
永山様 : 後半になると思います。今は既存ビジネスの市場環境がとても活況なので、二兎を追うよりは今伸びる余地がある既存の事業で大きく成長させるイメージを持っています。
IRTV : 良いチャンスがあれば、後半に勝負することもあるのですね。
永山様 : おっしゃるとおりです。
『Bee2B』完全子会社化
IRTV : 5月31日にBee2B株式会社のM&Aを発表されました。
永山様 : 今回も同領域でM&Aしました。Bee2Bは単なるSIではなく、上流工程のコンサルから関わり、企画設計や運用保守まですべて請け負っている企業です。
IRTV : 領域的にもほとんど同じでしょうか。
永山様 : まったく一緒ですね。
IRTV : 今回のBee2Bを含めて、これまでに3件のM&Aを実施されましたね。現場の従業員がM&Aに慣れてきた感じはありますか。
永山様 : そう感じています。デューデリジェンスをおこなって発表した後、従業員のみんなが能動的に動いてくれています。事業計画に沿って取り組むべきことだけでなく、お客様の様子なども考慮してくれていますね。管理系でも、経理担当者は業務の仕方や流れに慣れてきています。
IRTV : Bee2Bとのシナジーについてお聞かせください。
永山様 : 人材の交流やノウハウの共有、顧客の相互送客などが挙げられます。例えば、Bee2Bは規模が小さく、人手が足らないために受けられなかった仕事を、弊社から人材を送ることで受注できるようになります。また、弊社のお客様をBee2Bへ紹介できるので、ノウハウなどシナジーが生まれるでしょう。
永山様 : Bee2Bでは、外国人を採用して定着させています。ベトナムなどに人脈を持っており、ボードメンバーの中に1人、ベトナム人の方がいらっしゃいます。
本体のアピリッツ社では、現在は若手を採用して育成し、規模を拡大しています。しかし、規模が大きくなると人手が足りません。
投資家様からは、市場関係が良いので採用面を改善してはどうかとご意見をいただくのですが、弊社としても認識は一緒です。今までは日本人が本体を運営してきましたが、海外に伝手を持っている企業と一緒になることで、外国人の積極的な活用にも活路が見出せる点が魅力でした。
IRTV : 急に自社で海外人材を採用するのはハードルが高いですよね。
永山様 : そうですね。ノウハウがなく、情報収集しながら採用をおこなうのは時間がかかります。そのような伝手を持っている企業を傘下に収めることで、足りない部分を弊社がバックアップし、活路を見いだせます。
IRTV : STEP1のM&Aは、例えば東南アジア地域に拠点を持っている企業をターゲットにするのでしょうか。
永山様 : 候補には入っています。日本国内の地方に拠点を置く企業も対象です。弊社では、新卒採用で地方在住の方も採用しています。地方出身者は、東京に出てくる方と地方に残る方にわかれますが、東京にいても地方にいても能力の差はありません。地方で採用するのであれば、地方で地場を築いている企業のほうが、学生さんからしても就職しやすいでしょう。
最近は、ロケーションを選ばずに仕事ができるため、実家の近くで仕事したい人を取り込むためにも、地方に拠点を持っている企業や、地方に本体を置いている企業も候補に入れています。
日本の地方に拠点を持っている企業や、Bee2Bのように海外に作り手を担う人を残せるノウハウ持っている企業と一緒に事業を展開したいと考えています。
IRTV : 今後、リリースがたくさん出てきそうですね。
永山様 : 焦ってはいけませんが、積極的に出したいです。
IRTV : 引き続き、アピリッツ社に注目してください。ありがとうございました。
永山様 : ありがとうございました。
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