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【IRTV 6558】クックビズ 藪ノ代表/コロナ後人材不足が加速/年間20万人以上が転職する/海外人材が日本で働くメリットとは?/日本の食は国際競争力が高い

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年11月15日

クックビズ(6558)代表の藪ノ様が、飲食業界における人材サービスの展望についてIRTV※1で解説しています。

※1 IRTVとは、IR Robotics社が運営する“投資家と企業をつなぐ上場企業のIR動画メディア”です。決算情報から事業モデル・経営戦略・成長可能性まで、トップ自らがわかりやすく、かつタイムリーに解説しています。

この記事は、IRTVの動画内容を書き起こししたものです。動画の内容を文字で確認したいときに、ぜひご活用ください!

(出典:IRTV for YouTube

創業のきっかけ

IRTV : 今回は、クックビズ(6558)より、藪ノ代表にお越しいただきました。飲食業界についていろいろ質問しますのでよろしくお願いします。まずは、藪ノ代表が飲食業界の中でも「人材」の部分に注目したきっかけから教えてください。

藪ノ様 : 私は大学を卒業してから起業しており、クックビズは2社目の起業になります。1社目で違う事業を行っていた際に、自社の商品やサービスを売るビジネスをやりたいと思い、比較的元手が少なく済む人材事業をはじめようと考えました。

私は大阪出身で、今は神戸に住んでいます。関西は「天下の台所」という言葉があるように、日本の食の中でも関西には安くて美味しいものがたくさんありますよね。そこで、関西で起業するならば、関西らしく、日本の強みでもある“食に特化した人材事業”をはじめようと考えました。

<創業のきっかけ>

創業のきっかけ

(出典:IRTV for YouTube

藪ノ様 : 特化型人材サービスを調べると、私が起業した2007年前後は、エス・エム・エス様が2008年に上場するなど、同サービスが今後大きく成長する期待が高まっていた時期になります。介護や医療はこれからレッドオーシャン※2になると見込まれる中、日本発で世界を目指すことができ、関西の地の利も活かせる「食」に、後からフォーカスしました。

※2 レッドオーシャンとは、競争の激しい市場を指します。

飲食業界の市況

IRTV : コロナによって飲食業界も大きな打撃を受けましたが、現在の飲食業界の市況についてどのような見解をお持ちでしょうか。

藪ノ様 : 飲食業界においては、人々が外出を増やし、外国人観光客も少しずつ戻ってきています。最近は外国人も日本人も街に出て消費を再開しているため、業界としては回復しつつある状況です。

<飲食業界の市況①>

飲食業界の市況①

(出典:IRTV for YouTube

藪ノ様 : 業態によっては昨対を超え、コロナ前を超えている業態もあれば、居酒屋やバーのような、ナイトタイムに営業を行う業界は依然として回復していません。深夜営業になればなるほどコロナ前との対比で回復は鈍化しており、圧倒的に人手不足でもあります。

最近、ファストフード店が朝の時間に店を閉めたり、居酒屋はナイトタイムの営業時間を短縮したりしています。私自身、都内においても比較的早い時間帯に店が閉まってしまう経験をしました。要は、2、3交代制でシフトが回せないくらい人材不足が加速している状況です。

<飲食業界の市況②>

飲食業界の市況②

(出典:IRTV for YouTube

藪ノ様 : 一方、インバウンドに関しては、現状は月間200万人ほどの外国人観光客が来日していますが、政府は年間6,000万人の外国人観光客が訪れる観光立国の実現を目標に掲げています。今はそこまで達していませんが、来年以降もインバウンド需要が加速していくでしょう。

飲食業界の有効求人倍率

藪ノ様 : 飲食業界のコロナ前後の人材動向を比較したグラフをみると、コロナ前には正社員、パート、アルバイトを含め約430万人が外食産業に従事していました。この従事者がコロナの影響により大きく減った後、現在は390万人ほどまで戻ってきていますが、まだ30、40万人ほど足りません。供給が回復しきっていないため、すべての需要に応えられない状況です。

<飲食業界の有効求人倍率>

飲食業界の有効求人倍率

(出典:IRTV for YouTube

藪ノ様 : 飲食業界から離れた方々は、ドラッグストアなどのその他サービス業やトラックなどの物流関係、介護など別業界に流れていましたが、その人材が現在、飲食業界に少しずつ戻ってきています。

この要因として、コロナ禍で他の業界に転職したことにより、よりお金を稼ぎ、以前よりは残業時間が減ったものの、やりがいが損なわれてしまったことが挙げられるでしょう。顧客への対面サービスを楽しむ、もしくは料理を作るといった飲食業界ならではの就業体験を得るべく、不安を抱えながらも戻って来ようとする人たちの転職サポートを私達は積極的に行っています。

年間での転職規模

IRTV : 飲食業界の転職規模はどのくらいになるのでしょうか。

藪ノ様 : 我々は今、大規模な調査を行っています。飲食業界の従事者数が大体400万人となる中、正社員やフルタイムで働いている方は約100万人です。そして、離職率は約20%のため、毎年20万人の正社員が転職する巨大市場になっています。飲食業界は離職率が他の業界よりも高いのです。離職率が高いことは良い部分もあり悪い部分もあります。

<年間での転職規模①>

年間での転職規模①

(出典:IRTV for YouTube

藪ノ様 : 何度も何度も繰り返し転職するのは良くありませんが、一方で、コックさんは「修行」といって何年かに一度転職し、新たな環境で仕事を学ぶ慣習があります。2、3年経験を積み、店主から新たな職場を紹介してもらう人もおり、一概に転職がネガティブとは言えません。

ただし、ジョブホッパー※3のような方については、ミスマッチを防いで改善していきたいですね。転職者20万人のうち、半分の10万人ほどがハローワークや縁故、リファラル※4といった無料の媒体や媒介を通じて転職しています。

※3 ジョブホッパーとは、2、3年など短期間に転職を複数回繰り返す人を指します。
※4 リファラルとは、自社の社員から友人や知人などを紹介してもらう採用手法を指します。

もう半分ぐらいは、私達のような民間の人材紹介や求人広告を通じた転職です。

<年間での転職規模②>

年間での転職規模②

(出典:IRTV for YouTube

藪ノ様 : 全体の内訳では人材紹介が10%ほどのため、20万人のうち約2万人が人材紹介で転職しています。その人材紹介の中で私達のシェアが5%から10%ほどであり、業界のリーダー的なポジションを確保している状況です。

しかしながら、全体のシェアでみるとまだ1、2%程度になるため、まだまだ成長余地があるでしょう。また、「離職率20%」は毎年大きな変化がない数字で、毎年20万人がポジティブにもネガティブにも転職するため、的確にサポートを行うことでシェアを高めていければと考えています。

業界で取り組むべきこと

IRTV : 人材不足に対して、業界全体でどのように取り組んでいくお考えでしょうか。

藪ノ様 : 人材不足を解消する方法としては、「働く人材を増やす」、もしくは「労働生産性を上げる」必要があります。

<業界で取り組むべきこと①>

業界で取り組むべきこと①

(出典:IRTV for YouTube

藪ノ様 :  働く人材を増やすには、日本は生産人口も総人口も減っているため、外国人を呼んでくるしかないでしょう。

労働生産性を上げるには、外国人の人材に加え、飲食業界の対応が遅れているITやDX※5に投資し、これまで5人、10人で運営していたお店を3人で回すといったような、「省人化」や「省人力化」を図らなければなりません。

※5 DXとは、「Digital Transformation」の略称で、デジタルトランスフォーメーションのことです。デジタル技術を活用して生活やビジネスを変革することを指します。

飲食は女性の方が多く従事している業界であり、最近ではうどんやラーメンの業態でシニアの方も働きはじめています。そのため、テクノロジーや外国人の活用がキーワードになってくるでしょう。

IRTV : 人材不足に対して、貴社はどのような取り組みに注力しているのでしょうか。

藪ノ様 : 外国人の活用に関しては、2023年3月にワールドインワーカーを子会社化しました。2019年ぐらいに特定技能というビザができた後、コロナによって一時停止していましたが、最近になって特定技能ビザを取得して日本で働く外国人が増えてきています。

飲食店は「技能実習生が働けない業種」である点がポイントです。つまり、飲食店は留学生しかほぼ働けませんが、留学生は時間の制限があるため、アルバイトのヘルプにはなったとしても、コア人材としては働けません。

一方、特定技能はフルタイムで働けますし、期限がない「特定2号」というビザに切り替えることもできます。ほぼ日本人と同等の条件で日本において働くことができる、とても重要なビザです。ワールドインワーカーは、飲食店や介護、食品工場といった分野で特定技能外国人の人材紹介を行っており、私達への事業譲渡に応じていただきました。

<業界で取り組むべきこと②>

業界で取り組むべきこと②

(出典:IRTV for YouTube

外国人が日本で働くメリット

IRTV : 外国人労働者が日本を選ぶメリットが気になります。

藪ノ様 : 最近は円安のため、日本で働くメリットがなくなってきていますね。ただし、日本の食に関しては、例えばミシュランの星の数が世界的に見ても圧倒的に多いでしょう。日本は縦長の地形で北海道と九州で採れるものがまったく違い、四季もあります。多種多様な飲食業態が日本全国に広がっているため、技術を習得する環境が整っています

<外国人が日本で働くメリット>

外国人が日本で働くメリット

(出典:IRTV for YouTube

藪ノ様 : 他の産業は円安のために働くメリットが薄れていますが、飲食業界では日本で5年、10年働き、例えばベトナムやインドネシアといった母国に帰ってそのやり方を真似して展開すれば、地域一番店になり得るでしょう。

そのため、単に出稼ぎしたいという人にとってはメリットが小さいかもしれませんが、将来的に独立・起業したいという外国人にとっては、日本の飲食業界で働くメリットは大きいと言えます。

労働生産性について

藪ノ様 : ただし、外国人だけで人手不足が解消できるわけではなく、働く効率を上げていく必要があり、これは人材においてもとても重要な意味があります。現在は、皿洗いや接客、予約管理といった、人でもITやDXでもできることを人が行っている状態です。つまり、付加価値が低い仕事を行っていれば、なかなか年収が上がりませんよね。

付加価値が高い仕事を行うことで年収は上がっていきます。飲食業界もDX化して積極的に業務を効率化していくことにより、料理のメニュー開発や店舗のマネージメントのような高付加価値の仕事に就けば、日本人も外国人も自然と給料が上がっていくでしょう。一方で、人でなくてもできる仕事はDXに任せることで、業界の給与水準を引き上げることもできます

<労働生産性について>

労働生産性について

(出典:IRTV for YouTube

藪ノ様 : 飲食は業界の平均年収が低く人気がない業界です。しかしながら、海外を見据えると、日本の飲食業界で働くことは外国人のみならず日本人にもメリットがあるため、年収を上げていけるような、より付加価値の高い仕事を人が行えるようにする工夫が必要になってくるでしょう。

そのような背景を踏まえ、DXの投資を今後進めていく方針であり、CASTという事業をM&A※6で取得しました。CASTはシフト管理や勤怠管理を事業領域としており、まずはHRテック※7から参入し、少しずつDXの領域を広げていきたいと考えています。

※6 M&Aとは、企業の合併・買収を指します。
※7 HRテックとは、従来の人材管理システムに対し、人工知能(AI)だけではなく、モバイルやソーシャルメディア、アナリティクスなどの先進的な技術を組み込み、人事部門の業務に変革をもたらす技術を指します。

飲食以外の展開余地

藪ノ様 : シフト管理や外国人の採用は、外食に限らず、ドラッグストアやコンビニなどでも行われています。私達は飲食に特化していることが強みでしたが、コロナにおいてそれが弱みにもなることを痛感しましたので、食という領域をメインとしつつ、他の領域にも展開余地を作っていきます

<飲食以外の展開余地>

飲食以外の展開余地

(出典:IRTV for YouTube

藪ノ様 : 現在、M&Aを通じて取得しているサービスに関しても、食の業界だけでなく、他の業界でも展開することを模索している状況です。例えばワールドインワーカーでは、介護や食品工場などにも人材紹介を行っており、CASTは小売業全般に顧客を有するため、食に絞らずサービス業全般に広げていければと考えています。

クックビズの独自性

藪ノ様 : 私達は今期16年目であり、「食 × 人材」の領域では老舗になってきているため、顧客もユーザーも圧倒的です。正社員やフルタイムが約100万人いる中、私達のサービスの直近登録者数は23万人と増えてきています。老舗であるが故に、すでに弊社を知っている、使ったことがあるという顧客・ユーザーが多く、先行者利益をとれていると言えるでしょう。

<クックビズの独自性>

クックビズの独自性

(出典:IRTV for YouTube

藪ノ様 : 「食 × 人材」の中でも正社員領域においては、ほぼリーディングカンパニーが存在していませんでした。この領域では人材紹介や求人メディアの強いプレーヤーがいませんでしたが、我々が15年ぐらいかけてコツコツと市場を作り、一定のシェアを取っています。

強みと特徴(競争力の源泉)

藪ノ様 : 人材紹介については、「年収 × 料率」で単価が決まりますが、飲食の場合は年収も低いし、料率も低く、1人あたりの紹介料は90万円台ほどです。ホワイトカラーは150万、200万ぐらいの紹介料となります。飲食業界の特性上、人材紹介の生産性を他の業界の倍にしないと収益が立ちません。

そこで競争力の源泉となる、「弊社独自の分業体制」についてご紹介しましょう。私達はRA(リクルーティングアドバイザー)という営業と、CA(キャリアアドバイザー)の分業体制を敷いています。尚かつ、求職者登録ではコーディネーターがサポートしており、3つ、4つぐらいの部署に分けて登録から内定・入社までを管理している状態です。業務を特化して分業制にすると、人材育成が早期に完了し、全体の生産性向上に寄与します

<強みと特徴>

強みと特徴

(出典:IRTV for YouTube

飲食や介護、建設など、年収が低く手数料が安い業界においては、業界特性に合わせて分業制を確立することがポイントとなります。私達がそれを15年ぐらいかけて築いてきた点には、一日の長があると言えるでしょう。

今後の展開について

藪ノ様 : 私達の戦略はとてもシンプルで、今までは「食 × 人材」領域だけを手掛けてきました。ただし、人材ビジネスは変化が激しい業界になるため、私達は人材支援の中でDXなどの経営支援や事業再生領域にも注力しています。

現在は、ホタテの加工事業を取得して、再生を行っている状況です。食の領域の中でも人材支援の枠を超え、多角化させています。食の領域ではコロナ禍で飲食店がダメージを受けましたが、ホタテの加工会社は飲食店以外に卸すことで、同じ食ビジネスを手掛けていても、ほぼダメージを受けませんでした。

私も食の世界から少し視野を広げ、飲食から飲を取り、外食から外を取り、食ビジネスの変革支援をテーマに、事業再生や経営支援など事業の多角化を図る方針です。

<今後の展開について①>

今後の展開について①

(出典:IRTV for YouTube

藪ノ様 : 投資家の方より、弊社は人材会社であるため、「飲食と近しい特性のある業種に展開することで事業が拡大するのでは」とのアドバイスをいただくことがあり、私自身、それは仰る通りだと思います。

しかしながら、日本の食は国際競争力があり、今後成長が見込まれる東南アジアや東アジアにとても近く、グローバルにおいてはプレゼンスが高いため、その領域で盛り上げていった方が、国のため、世の中のためになるはずです。

そのため、食という日本の優位性を活かしながら事業展開をしていく方針です。現在、日本人が海外に積極的に出て行き、高い年収を得られていますよね。食を取り巻く人材は、英語が少し苦手でも確固とした技術を有しています。日本のレストランの衛生管理は世界トップクラスです。食は語学以外のところが強みとして生きる業種であり、人材を呼び込み育てていくことで、海外でも活躍できるようにしていけば人気業界になるでしょう。

<今後の展開について②>

今後の展開について②

(出典:IRTV for YouTube

藪ノ様 : 今後、日本のレストランの海外展開が進んでいく見込みです。そのような領域にも私達が関わっていくことで、食を通じて日本を盛り上げる取り組みを引き続き行っていきたいと考えています。

IRTV : 海外から見ても日本の飲食はとても魅力的であるため、その魅力を積極的に発信し続けていくのですね。かなりニーズがあり今後の展開が楽しみです。

それでは投資家のみなさんも、クックビズをはじめ飲食という分野に注目してみてください。本日はクックビズの藪ノ代表にお越しいただきました。ありがとうございました。

藪ノ様 : ありがとうございました。

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ディスクレーマー

当記事では、筆者独自の見解を述べることがありますが、証券およびその他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的ではなく証券およびその他の金融商品に関する助言や推奨をするものではありません。また、個別企業の業績予想や株価予想、投資推奨を提供する予定はありません。投資判断等は、自己責任でお願いいたします。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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