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【IRTV 3486】グローバル・リンク・マネジメント/環境配慮対応比率100%への挑戦
グローバル・リンク・マネジメント(3486)の金(きむ)社長と小澤執行役員が、ESGの取り組みについてIRTV※1で解説しています。
※1 IRTVとは、IR Robotics社が運営する“投資家と企業をつなぐ上場企業のIR動画メディア”です。決算情報から事業モデル・経営戦略・成長可能性まで、トップ自らがわかりやすく、かつタイムリーに解説しています。
この記事は、IRTVの動画内容を書き起こししたものです。動画の内容を文字で確認したいときに、ぜひご活用ください!
(出典:IRTV for YouTube)
ESGの取り組み
IRTV : 本日のゲストは、グローバル・リンク・マネジメント(3486)より代表の金様、執行役員サステナビリティ推進部長の小澤様にお越しいただきました。
金様、小澤様 : よろしくお願いします。
IRTV : 今日はお2人にお越しいただきました。弊社では、ESG※2に関する企業様の取り組みについて深掘りする番組を配信しています。今日は貴社のESGの取り組みについて、お話を聞いていきます。
※2 ESG(イーエスジー)とは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉です。企業が長期的に成長するためには、経営においてESGの3つの観点が必要だという考え方を指します。
手前味噌ですが、私自身は長い間貴社の動向を追いかけています。「JapanStockChannel」に出演されたころから、金社長が「環境・ESG・サステナビリティ」というワードを積極的に発信されていましたね。
貴社はESGを強く意識している印象を受けます。金社長が考えているグローバル・リンク・マネジメント社としてのサステナビリティ、ESGについてお話をお願いいたします。
金様 : 弊社では、2019年以降に不動産のコンパクトマンションデベロッパーとして、いち早く環境認証の取得に動き出しました。そうして建てたマンションを、我々は「環境配慮型不動産」と呼んでいます。
「ZEH(ゼッチ)」や「BELS(ベルス)」といった環境認証の取得にはコストがかかります。しかし、認証を取得して、環境に良い住宅を作り、消費エネルギーを下げて社会に貢献できる不動産を開発していく方針に舵を切りました。
<ESGの取り組み①>
(出典:IRTV for YouTube)
金様 : コストがかかるため、「方針転換が良いことなのかどうか」という疑問の声もありました。しかし、我々はESGを強力に推進していこうと考え、「環境配慮型不動産」というコンセプトを打ち出し、2019年から環境配慮対応比率100%の開発をはじめました。このような背景から、ESGを強く打ち出す流れになったと考えています。
<ESGの取り組み②>
(出典:IRTV for YouTube)
取り組みのきっかけ
IRTV : 2019年頃は、さほどESGやサステナビリティを前面に打ち出す企業はなかったと記憶しています。他社が積極的にデベロップして成長を目指す中、貴社がそのタイミングで舵を切ったのは、未来を何となく想像できていたのでしょうか。
金様 : 欧米では2019年以前から、ESGやサステナビリティを意識する流れになっており、建築デベロッパーや不動産の運用管理に対しても、省エネや環境に優しいものを作る・運用する機運が高まっていたのです。この流れは、間違いなく日本にもやって来ると感じました。
<取り組みのきっかけ>
(出典:IRTV for YouTube)
金様 : 我々としては、いち早くESG・環境配慮型建築を手掛けることに価値があるのではと考え、一気に舵を切りました。
環境認証の価値
IRTV : ようやく、他の会社様もESGに取り組まないといけない環境になってきていると思います。貴社がいち早く環境配慮対応比率100%にしたことは、業界の中で大きなリードになっているのではないでしょうか。
金様 : そうですね。実際に手掛けてみてわかったことがあります。それは、環境認証を取ることによって、価格への転嫁ができるようになったということです。
<環境認証の価値>
(出典:IRTV for YouTube)
金様 : 入居者の方や機関投資家※3、個人投資家の間で、弊社の住居は環境認証を取得しており、ハード面や運用面で環境に優しく、サポートが充実しているという認識が広がりました。これも、とてもポジティブな効果をもたらしているでしょう。
※3 機関投資家とは、顧客から拠出された資金を運用・管理する法人投資家の総称です。
IRTV : 「環境に配慮した物件でなければ買いづらい」という感じになってきているのでしょうか。
金様 : そうですね。住宅ローンやグリーンローン※4の金利が優遇されます。実は、我々の開発資金にもグリーンローンが活用されており、ESG・サステナビリティへの注目度が高まっています。
※4 グリーンローンとは、グリーンプロジェクトに要する資金を調達するために用いる融資の方法を指します。
フレームワークを再定義
IRTV : 直近の決算資料を見ると、後半はESGやサステナビリティに多くのページを割いていますね。
<フレームワークを再定義>
(出典:2023年12月期決算説明資料[PDF])
金様 : 我々は昨年、サステナビリティ方針を立てました。企業理念から派生して、サステナビリティ方針、人材育成方針、社内環境整備方針、さらに2030年にかけての長期方針を策定しました。
このとき、最も大事にしたことがあります。それは「実践しなければ生き残れない重要課題として捉える」ことです。
「サステナブルで地球環境、社会環境に良いことをやったほうが良い」と考えるのではありません。「やらなければならない」という考えの下で、全社を挙げて真剣に議論し、作り上げました。
我々だけで骨組みや考え方、戦略を策定するのはむずかしかったため、ESGやサステナビリティのスペシャリストであり、講師を務めていた小澤さんに参画していただきました。No.1のサステナビリティ推進企業になるべく、小澤さんに現場の指揮を執っていただいています。
マテリアリティ策定
小澤様 : サステナビリティ方針を策定しましたが、方針はとても抽象度が高いものです。額縁に入れて飾り、眺めるだけにはしたくありませんでした。
そこで今回は、サステナビリティ方針の解像度を高めて事業活動の中に落とし込むため、「マテリアリティ」を特定しました。
マテリアリティは「重要課題」という意味です。弊社では「GLM VISION 2030」を達成するために解決しなければいけない重要課題として、E・S・G(環境・社会・ガバナンス)の観点から、9つのマテリアリティを設定しました。
<マテリアリティ策定①>
(出典:2023年12月期決算説明資料[PDF])
小澤様 : 9つのマテリアリティを決めるにあたり、ポイントになる部分があります。1つは「決め方」です。
さまざまな企業がマテリアリティを設定しており、同業他社のものを見ながら作文すれば、マテリアリティが作れます。コピーキャットの否定はしませんが、弊社ではそのようなことはおこなわず、経営会議のメンバーや取締役会のメンバーとワークショップを何回も実施しました。
最終的には、9つのマテリアリティとその言葉を決めました。言葉のチョイスは、みんなで何度も議論を重ねて決めました。
この際「いかにしてサステナビリティと財務の統合を図るか」に悩む企業様が多くいらっしゃいます。弊社はそのようなことはなく、Gの部分に「収益構造の最適化」や「資本効率の最適化と財務健全性の両立」を組み込みました。
気候変動問題は、2050年といった長期の時間軸で捉えられています。私たちも、2030年のビジョンが実現できたら終わりとは考えておらず、とても長期のトレンドだと考えています。
解決しなければならない課題がたくさんある中で、私たち自身が経営の根幹に据えてサステナビリティへの挑戦を継続するには、稼ぐ力がなかったら実践がむずかしいですよね。
<マテリアリティ策定②>
(出典:IRTV for YouTube)
小澤様 : 自社の現在の財務体質やビジネスモデルを可視化し、「私たちがいま何をしなければならないか」を意識するようになりました。
また、資本市場から資本コストを意識した経営が求められているので、「株主資本コストだけでなく負債コストも私たちのビジネスでは大事だ」という議論を、財務担当部署と経営陣でおこないました。
このマテリアリティは、言葉を整える作業をていねいにおこなったため、多くの時間を要しました。その代わり、みんなの魂が入ったものになっています。
マテリアリティは決めて終わりではなく、1年ごとに各事業部で活動計画を立てています。マテリアリティごとに関連部署を定めており、マテリアリティの推進自体も関連部署が作る年次の活動計画で、必ず目標を立てて実行に移す流れとなっています。
今後は目標を具体的に現場に落とし込み、会社の中でモニタリングしながら、より実効性の高いものにしていくのが次の挑戦になります。
人的資本経営の推進
IRTV : 先ほど、Eの部分は冒頭でお話いただきました。その他、金社長が「ここはとても重要」と捉えているところはありますか。
金様 : 9つすべてを重要課題と設定していますが、やはり1番はEの部分で環境、Sの部分では人的資本経営の推進ですね。
取締役のスキルマトリックス※5を開示することが義務付けられています。会社を長期的に成長させ、将来のビジョンを実現するためには、取締役にどのようなスキルが必要かを開示しています。また、社員の方々にはそのスキルをいかに育成、採用していくかを示すことが重要になるでしょう。
※5 スキルマトリックスとは、取締役が備える知識や経験などを一覧にしたものを指します。
我々は、人的資本経営を推進する中、全社員のスキルを可視化し、1人1人のキャリアステップの道筋を示しています。プロフェッショナルであるスペシャリストになりながら、ゼネラリストとして社内のさまざまな事業のスキルについてプランを立てながら学べる体制を作り、1人1人の可能性を最大化していく方針です。
<マテリアリティ策定③>
(出典:IRTV for YouTube)
金様 : 社員の年齢層や性別ごとに、どのようなスキルを獲得すれば、どのように活躍できるのかを示しています。長期の成長を考えたときに、会社にどういった年齢層のどういったスキルの人間が育成、採用されているのかを可視化することが、我々の資本であり強みと言えるでしょう。
このことを社内で明文化し、適切に開示していくことで、投資家の皆様も会社のビジョンや人材育成などの達成状況を見通しやすくなると考えています。
IRTV : 「S」の部分で、そこまで具体的に取り組んでいる企業はそれほどないですよね。サステナビリティの実践において、貴社は業界をリードされています。
平均賃金などお金の話が多くなっていますが、貴社は育成の部分に深く入り込んでいく中、小澤様も人的資本の形成について意識した点はありますか。
小澤様 : 弊社がこれから成長していく上で、マテリアリティを達成するうえで社員に必要なスキルを可視化し、解像度を高めることです。
これによって、会社は自分たちに何を求めていて、どのように努力すれば良いのか、何のスキルを充足したら良いのかがわかります。ここが可視化できていないと、どのように行動すべきか判断がむずかしいですよね。
<マテリアリティ策定④>
(出典:IRTV for YouTube)
小澤様 : 戦略を実現する上で必要なスキルが何かを考えているため、適材適所の考え方になります。
取締役はスキルマトリックスを出していますが、それを全社で実践することが大事です。コンセプトだけでなく、スキルマネジメント自体も、現場に落とし込んで弊社の力にしていくことが大きなポイントとなります。
サステナビリティ方針と人材育成方針、社内環境整備方針の3つは、有価証券報告書での開示義務化がなされたものです。それに合った形で、私たちの中で考え方として存在したものを言語化しました。
これらの方針の重要性について議論する中で、企業理念・ミッション・ビジョン・バリューの下に位置付けるのが良いと考えました。
その下には、GLM VISION 2030とマテリアリティを置いています。今回掲げた人材育成方針やサステナビリティ方針などを、企業理念の真下にあるぐらい重要度の高いものとして位置付けているところも、特徴として挙げられるでしょう。
IRTV : お話を聞けば聞くほど、本気度が伝わってきます。
最後に
IRTV : 最後に、投資家の皆様にメッセージをお願いします。
小澤様 : 今回、9つのマテリアリティを定めていますが、言葉で決めたということだけでなく、各関連部署の事業活動の中に落とし込んでいます。これからモニタリングして、さらに実効性の高いものにしていくステージに入りました。
今後は株主や投資家の皆様に、ESG・サステナビリティに関連したマテリアリティの進捗についても、積極的に開示していきます。ホームページや決算説明の際には、ぜひ開示を楽しみにしていただければと思います。
金様 : ESGやサステナビリティに関しては、「やったほうが良い」という考え方ではなく「生き延びるための絶対的な最重要課題」として位置付けています。
真摯に向き合って言語化し、計画を立てて着実に推進すれば、必ず事業価値を創造し、拡大できると考えています。実際に、弊社の幹部全員がそれを信じて一致団結して進んでいる状況です。
新規事業を積極的に立ち上げています。ESGやサステナビリティの方針は、事業を拡大させるための核になるものだと思います。
整理したばかりですが、会社が大きく成長する中で、ESGやサステナビリティを前面に押し出した会社と理解していただき、見守っていただけるとありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします。
IRTV : 今日はお二人にお話を聞かせていただきました。どうもありがとうございました。
金様、小澤様 : ありがとうございました。
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