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エル・ティー・エス【DXはもう古い?】欧米企業も注目するGXとは?エル・ティー・エスが狙うNEXT「X」変革

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2024年7月3日

エル・ティー・エス(6560)より、データ分析事業部長 兼 株式会社ME-Lab Japan代表取締役の坂内(ばんない)様と韓国科学技術院のキム教授が、株式会社ME-Lab JapanとMetaEarth Lab, Inc.の業務提携についてIRTV※1で解説しています。

※1 IRTVとは、IR Robotics社が運営する“投資家と企業をつなぐ上場企業のIR動画メディア”です。決算情報から事業モデル・経営戦略・成長可能性まで、トップ自らがわかりやすく、かつタイムリーに解説しています。

この記事は、IRTVの動画内容を書き起こししたものです。動画の内容を文字で確認したいときに、ぜひご活用ください!

(出典:IRTV for YouTube

事業概要

IRTV : 本日のゲストはエル・ティー・エス(6560)より、データ分析事業部長 兼 株式会社ME-Lab Japan代表取締役の坂内様と、韓国科学技術院教授のキム・ヒョンジュン先生のお二方にお越しいただきました。

今回のテーマは「株式会社ME-Lab Japanと韓国のMetaEarth Lab, Inc.の業務提携について」です。事前情報があったほうが理解しやすいと思いますので、坂内様からME-Lab Japanの事業内容について教えていただけますか。

坂内様 : ME-Lab Japanは、韓国のMetaEarth Lab, Inc.(KAIST発のスタートアップ)との連携を前提として設立した会社です。

具体的には、韓国のMetaEarth Labで開発された気候変動に関する最先端データや解析技術をエル・ティー・エスのコンサルティング機能に組み込み日本や世界のお客様企業に提供しています。

<事業概要①>

事業概要

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : エル・ティー・エス社の事業と気候変動が結びつかないのですが、どうしてこの領域に進出したのでしょうか?

坂内様 : 従来のエル・ティー・エスの基本的なサービスは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するものでした。エル・ティー・エスとしては、データはあくまで手段であり、DXの「X」、つまり変革側に重きを置いてきた会社です。

気候変動の領域では、「グリーントランスフォーメーション(GX)」という言葉が出てきています。このため、気候変動も広い意味での変革支援に含まれると考えています。我々としては、DXの延長線上でGX活動をおこなっています。

とはいえ、グリーンの領域や気候変動領域は、単純にDXの延長線上で対応できるものではありません。理由は、専門性が高い領域だからです。このため、大学機関と密に連携しながら事業を立ち上げています。今回の会社設立もその一環です。

<事業概要②>

事業概要

(出典:IRTV for YouTube

キム教授の経歴

IRTV : キム先生はプロフェッショナルですね。かんたんに自己紹介をお願いします。

キム様 : 私は「水文学(すいもんがく)」を勉強しています。この学問は、地球上で動いているエネルギーや水を衛星から観測したり、モデルを使ってシミュレーションしたりしています。

<キム教授の経歴>

キム教授の経歴

(出典:IRTV for YouTube

キム様 : 現在、地球温暖化が進んでいる関係で、循環が激しくなっています。循環が最も激しくなると、干ばつや洪水が発生するのです。昔と比べて今は災害が増えており、毎年「30年ぶりの豪雨」といった言葉を耳にするようになりました。

そこで、将来どうなるのか、世界のさまざまな研究機関がシミュレーションし、報告書を作っています。第1次報告書が1990年に出て、第6次報告書が去年出ました。私はその報告書で使われるコンピュータシミュレーションの一部を担当しています。

IRTV : その領域の第一人者なのですね。

業務提携の経緯

IRTV : なぜ、キム様はエル・ティー・エス様と一緒にお仕事するようになったのですか。

キム様 : 10数年前に仲の良かった方がエル・ティー・エスに入り、「こういうことをやりたいので、一緒にやってくれないか」と何回も誘われました。10数年かかってやっと実現しました。

IRTV : 10年前からのつながりがあって、今回ようやく実現したのですね。

CO2と気候の関連性

IRTV : GX(グリーントランスフォーメーション)についても教えてください。二酸化炭素を減らすイメージがありますが、気候変動とどうつながっているのでしょうか。

キム様 : 気候変動と二酸化炭素は、切っても切り離せない関係です。人間が社会経済発展を求めてエネルギーを作るときに、温室ガスが発生して地球を暖めます。こうして気候変動が起こるのです。

<CO2と気候の関連性①>

CO2と気候の関連性

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 切っても切り離せない関係なのですね。ありがとうございます。

キム様 : こちらのグラフをご覧ください。線一本のかんたんなグラフです。

<CO2と気候の関連性②>

CO2と気候の関連性

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 一次関数のグラフですね。

キム様 : そのとおりです。例えば、このグラフでY=1.5のとき、X=3000となっています。

実は、これが我々が排出した累積の二酸化炭素と地球の温度変化の関係なのです。二酸化炭素の量と温度上昇は比例の関係にあります。

つまり、二酸化炭素を多く排出すると温度が上がり、排出しなければ温度は上がりません。また、既存の二酸化炭素量を減らせば温度は下がります。比例関係にあるため、一見すると対応もかんたんに思えます。

気候変動への対策

キム様 : 気候変動の対策には2つの柱があります。1つは「緩和」です。カーボンニュートラルとも言いますが、化石燃料を使った発電を再生可能エネルギーに変えることなどを指します。

もう一つは「適用」です。適用は気候が変わることを認め、その変わった環境にどう適用するかを考える戦略です。

<気候変動への対策①>

気候変動への対策

(出典:IRTV for YouTube

キム様 : 2つの柱は両方とも必要です。しかし、どちらも膨大な試験や資本が必要となるため、最適化した戦略が必要となります。このため、アカデミアの最先端の科学技術を企業の戦略的判断に持ち込む必要があります。

<気候変動への対策②>

気候変動への対策

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 「緩和」はよく聞きますが、「適用」はあまり印象にありません。

キム様 : まさにそれが現在の問題と言えます。「緩和」は別の言葉で「移行」といい、企業がどのように二酸化炭素を減らすか、今の事業にどのような問題があるのかを考えることを指します。これはコンサルタントや財務系の専門家が対応できる問題です。

しかし、「適用」に取り組む上で必要なのは、いつどこで気候変動に起因する災害が起こるのかという情報です。それがなければ、企業の資産リスクや事業領域の災害リスクがわかりません。

だからこそ、大学由来の知識と技術を持ち込む必要があります。そうでなければ、この問題を解決することができません。

非財務情報の開示

IRTV : 「適用」に関して、企業が具体的なリスクを開示しなければならない流れになっているのでしょうか。

坂内様 : はい。特に上場企業については、気候変動で災害が激甚化するリスクをしっかり分析しマーケットや投資家に対して開示する制度がグローバルで進められています。基本的には義務化の流れです。

<非財務情報の開示>

非財務情報の開示

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : ヨーロッパでは適用の開示も当たり前に行われている印象がありますが、実際はどうでしょうか。

坂内様 : そうですね。緩和だけでなく適用も開示の要件に含まれているので、企業は対応しなければなりません。さらに、ヨーロッパでは気候変動だけでなく自然資本や人的資本など、ESGのEだけでなくSの要素についても開示しなければならず、進んだ情報開示が求められています。

IRTV : 日本も遅れてその波が来そうですね。

坂内様 : そうですね。いつ来るのかというタイミングも発表されています。

ESGに対する企業の悩み

IRTV : 上場企業はどのようなところでつまずいたり、困ったりするのでしょうか。

坂内様 : 気候やESGのテーマは新しいテーマではありませんが、特に経営層や環境部、ESG部の方々には非常に大きな問題として認識されています。

しかし、事業部や現場の人々には「ニュースでは聞くけど、自分の仕事には関係ない」という感覚があります。それ以上に、現場では売上を稼ぐことがメインになっています。経営と現場の意識の乖離が問題です。

<ESGに対する企業の悩み>

ESGに対する企業の悩み

(出典:IRTV for YouTube

坂内様 : 特に日本の会社では、現場の意思が非常に重要です。環境部や経営が方針を決めても、現場が動かなければ意味がありません。

エル・ティー・エスは経営支援だけでなく、現場支援も大切にしています。グリーン領域でも、現場が気候変動の問題を自分の事業と紐づけて理解し、何を変えていくべきかを考える支援をおこなっています。

アカデミアとビジネスの繋がり

IRTV : キム様のご経歴を拝見したところ、アカデミックな背景がありながら、韓国で会社を作り、新会社の取締役にも就任されています。ビジネス領域に参入した理由は何でしょうか。

キム様 : ビジネスとアカデミアの間に、気候変動に関する企業が必要と考えて会社を設立しました。ここでもう一度グラフをご覧ください。グラフ内の赤い点はX=2500を表しています。これは累積の二酸化炭素排出量が2500ギガトンであることを表しています。この量には2017年ごろに到達しました。

<アカデミアとビジネスの繋がり①>

アカデミアとビジネスの繋がり

(出典:IRTV for YouTube

キム様 : 気候変動を語る上で、「1.5度」という数字をよく耳にするのではないでしょうか。そして、温度上昇が1.5度に到達するまでに排出できる二酸化炭素の量を「カーボンバジェット」と言います。

1.5度を守るためには、3000ギガトンまで二酸化炭素を排出できます。しかし、累積二酸化炭素排出量はすでに2500ギガトンを超えています。毎年50ギガトンの二酸化炭素を排出しているので、残りのカーボンバジェットは40年もありません。5~6年で限界に達します。

アカデミアの役割は、基本的に長期間続きます。我々は前を見て、未知の道を探索していきます。我々が取り組んでいる研究は社会で絶対に必要な情報ですが、それを社会で提供するには大学として限界があります。やはり企業がプレイヤーになる必要があるのです。

そこで、ビジネスとアカデミアの間に気候変動に関する通訳の役割を持つ会社が必要だと考え会社を設立しました。このことを私はよく「Climate Translator」と言います。

<アカデミアとビジネスの繋がり②>

アカデミアとビジネスの繋がり

(出典:IRTV for YouTube

キム様 : ただし、私の本業は学者なので、企業のプレイヤーとしてはまだ力が足りません。しかし、エル・ティー・エス社とはデータサイエンスやESGで長いお付き合いがあるため、コミュニケーションをより効率的にできる相手だと思い、今回このような取り組みをはじめることになりました。

IRTV : キム様にはさまざまな企業から声がかかっていたのではないかと思いますが、長い付き合いもありエル・ティー・エス様を選ばれたのですね。

キム様 : そうですね。やはり信頼関係が大事です。コミュニケーションで時間を取られたり誤解されたりすることを避けたいと思っています。エル・ティー・エス社とは信頼関係があるので、一緒に働くことができました。

気候変動リスク

IRTV : ありがとうございます。先ほどキム様のお話にあったように、どこでどういう気候変動が起こるか予測するのは企業には不可能ですよね。そういった情報を教えて欲しいとキム様に依頼が来るのですか。

キム様 : 「気候」と「気象」を分けて考えなければなりません。気象は今日の気分のようなもので、気候は人の性質のようなものです。気象を予測するのは2週間を超えるとほぼ不可能ですが、気候は地域ごとにどのような特性を持つかを予測できます。

IRTV : 具体的にどのようなイメージでしょうか。

キム様 : 例えば、台風であれば「20年後に何回来るのか」、「雨がどれくらい降るのか」は確率的に予測できます。しかし、台風19号のような大きな台風が具体的にいつ来るのかを予測することはできません。

2011年にタイで大きな洪水が発生し、その時に日本の自動車メーカーも大きな被害を受けました。このため、企業は将来の気候変動リスクを見据えて経営判断を下さなくてはなりません。

20年後の気候変動リスクを予測することが可能なため、メーカーであれば「どのような立地で工場を建てるべきなのか」の判断に活かせます。森林資源が大切な会社であれば、20年後や30年後にどれくらい山火事のリスクがあるのかを確認可能です。

<気候変動リスク>

気候変動リスク

(出典:IRTV for YouTube

エル・ティー・エスのビジネスモデル

IRTV : 新会社としては、気候に関する情報をコンサルティングサービスとして提供していくのでしょうか。

坂内様 : そうですね。一般の企業様が直接高度な技術を使うのはむずかしいと思います。我々が通訳として、また企業様が適応するためのサポーターとして、適用しやすい形に個別でカスタマイズして提供しています。

<エル・ティー・エスのビジネスモデル①>

エル・ティー・エスのビジネスモデル

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 今、同じような事業を手掛けている会社はありますか。

坂内様 : コンサルティング系の企業様が何社か取り組んでいます。我々と他社との違いは、韓国の大学だけでなく東京大学とも一部連携して、最先端の科学的知見に基づいたサービスを提供していることです。

IRTV : キム様も大きな役割を果たしていらっしゃるのですね。

キム様 : 世界的に標準とされるサービスが2つほどあり、企業はそこからデータを購入してリスク推定などに取り組んでいます。私はその会社が使っている元データを作る側で働いており、技術レベルはトップレベルと言えます。

<エル・ティー・エスのビジネスモデル②>

エル・ティー・エスのビジネスモデル

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : データビジネスの第一人者なのですね。エル・ティー・エス様は、DXを推進する企業に対してGXを支援したり、その逆もおこなったりしているのでしょうか。

坂内様 : そのとおりです。DXとGXは切っても切り離せません。GXへの対応は会社として大きな変革であり、その際にはデータやAI、デジタルの活用が前提となります。これまでDXの領域で培ってきたAIやデータサイエンスの知識を手段として活用しながら、お客様のGXを支援していきます。

現在のニーズ

IRTV : 国内でもニーズが高まっているのでしょうか。

坂内様 : そうですね。特に金融機関や保険会社でニーズが高まっています。保険会社であれば、気候変動が災害に影響を与えるため、昔から力を入れて自社で商品開発に取り組んでいます。

製造業でも気候変動を念頭に置いて工場の立地やサプライチェーンの拠点を見直す必要が出てきており、引き合いが増えています。

IRTV : 特定のエリアに拠点を集中させてしまうと、災害が起きた場合に製造が止まってしまいますしね。非常におもしろそうな分野だと思いました。

今後メインストリームになっていくと思いますので、長い目でご注目ください。今日はお二方にお越しいただきました。どうもありがとうございました。

坂内様キム様 : ありがとうございました。

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当記事では、筆者独自の見解を述べることがありますが、証券およびその他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的ではなく証券およびその他の金融商品に関する助言や推奨をするものではありません。また、個別企業の業績予想や株価予想、投資推奨を提供する予定はありません。投資判断等は、自己責任でお願いいたします。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

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