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【IRTV 3842】ネクストジェン島取締役/ボイスコミュニケーション事業のビジネスモデルについて

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年12月13日

ネクストジェン(3842)取締役の島様が、ボイスコミュニケーション事業についてIRTV※1で解説しています。

※1 IRTVとは、IR Robotics社が運営する“投資家と企業をつなぐ上場企業のIR動画メディア”です。決算情報から事業モデル・経営戦略・成長可能性まで、トップ自らがわかりやすく、かつタイムリーに解説しています。

この記事は、IRTVの動画内容を書き起こししたものです。動画の内容を文字で確認したいときに、ぜひご活用ください!

(出典:IRTV for YouTube

ボイスコミュニケーション事業

IRTV : 本日はネクストジェン(3842)より取締役執行役員ボイスコミュニケーション事業本部長の島様にお越しいただきました。よろしくお願いします。

島様 : よろしくお願いします。

IRTV : 今日は貴社のビジネスモデルについてお聞かせください。事業セグメントは「ボイスコミュニケーション事業」と「コミュニケーションDX※2事業」がありますが、本日はボイスコミュニケーション事業について解説していただきます。

※2 DX(でぃーえっくす)とは、デジタル技術を活用して生活やビジネスを変革することを指します。

さっそく、ボイスコミュニケーション事業はどのようなサービスを提供されているのかおうかがいさせてください。

島様 : 電話系ですね。テレフォニー※3と言われる音声系のサービスを通信事業者様もしくは法人様向けに展開している事業になります。一般的に通信キャリア様の電話の設備に我々の製品を使っていただいたり、法人向けのビジネスホンやPBX※4と言われるものに対しても、我々の電話ソリューションをお使いいただいている状況です。

※3 テレフォニーとは、通信サービスを提供する技術の総称を指します。
※4 PBX(ぴーびーえっくす)は、「Private Branch Exchange」の略で、外線と内線の接続や内線同士の接続制御をおこなう電話交換機のことです。主装置と呼ばれることもあります。

<ボイスコミュニケーション事業とは>

ボイスコミュニケーション事業とは

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 現在は法人向けのほうが割合は大きいでしょうか。

島様 : そうですね。ここ数年のPSTNマイグレーション※5と呼ばれる通信業者様のIP化が2025年1月末に完了する予定であり、現在、各事業者様が移行作業を進めている段階です。我々のソフトウェアはすでに使っていただいており、移行工事をしている段階のため、関連の開発案件はなくなりつつあります。我々としては法人向けビジネスのほうが活況と言えるでしょう。

※5 PSTNマイグレーションは、コアネットワークをPSTN(公衆交換電話網)からIP網へとマイグレーション(移行)することで事業者間の相互接続もIPベースになることです。コアネットワークの移行のため、電話機などの設備は継続利用ができます。

U-cube voiceとは

IRTV : 貴社の主力サービスである「U-cube voice(ユーキューブボイス)」についても詳しくお聞かせください。

島様 : 弊社のクラウドサービスを「U-cube」ブランドで展開しています。そのうちの一つが「U-cube voice」です。ひと言で言うと「クラウドPBXサービス」であり、今までオンプレミス※6であったPBX機能をクラウド型で提供するサービスになります。

※6 オンプレミスとは、システムの稼働やインフラの構築に必要となるサーバーやネットワーク機器、ソフトウェアなどを自社で持ち、運用するシステムの利用形態を指します。

<U-cube voiceとは①>

U-cube voiceとは①

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : この「U-cube voice」が貴社の主力事業という認識でよろしいでしょうか。

島様 : そうですね。多くの企業が設備の所有から利用へと移り、テレワークの機運が高まる中、音声通話をはじめクラウド化やサブスクリプション※7への移行が避けられない環境になっています。ユーザー様の方からクラウドPBXで使いたいというニーズをお聞きしているため、我々はそれに対応していかなければなりません。

※7 サブスクリプションとは、定期購読、継続購入を意味し、商品やサービスを所有・購入するのではなく、利用できる権利に対して料金を支払うビジネスモデルを指します。

<U-cube voiceとは②>

U-cube voiceとは②

(出典:IRTV for YouTube

島様 : 一方、オンプレのPBXがまったくなくなるわけではなく、クラウドサービスとして利用するよりも、セキュリティの観点から必要とするお客様も一定数いらっしゃいます。例えば、自社で設備を持ち、クローズ型で利用したいという金融機関様に対しては、引き続きオンプレで提供することになるでしょう。

IRTV : オンプレも一定のニーズがあるのですね。

島様 : はい。弊社は、クラウドサービスとオンプレも同じソフトウェア資産を使って提供しています。元々通信キャリア様向けに提供していた高信頼性、高性能のキャリア用のソフトウェア資産を活用しています。

オンプレの場合はユーザー様の規模に応じて最適なハードウェアを用意していただくことで、ユーザー様の規模に対応したご提案もできます。また、我々がクラウドサービスを展開していく上で自社のソフトウェアとしても使われているため、別々に開発投資をおこなわず、一つのソフトウェア資産をオンプレ・クラウドの形で活用できることが強みになります。

<U-cube voiceとは③>

U-cube voiceとは③

(出典:IRTV for YouTube

直近の動向

IRTV : 事業の観点では、オンプレは最初に大きな売上が立つ一方、クラウドは月額モデルです。クラウドのほうが安定しているため、そちらのビジネスを拡大させたい考えをお持ちでしょうか。

島様 : そうですね。ビジネスモデルとしては、これまでライセンスを一括でソフトウェア使用許諾権として提供し、保守契約を結ぶものでした。保守契約については、設立当初から堅調で、売上も順調に推移しています。引き続き、クラウド・サブスクリプションサービスを強化し、ストック型ビジネス※8で収入の安定化と平準化を進めていく方針です。

※8 ストック型ビジネスとは、継続的に収入が積み上がっていくタイプの事業を指します。

<直近の動向>

直近の動向

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 直近の決算において、売上高が若干減っている要因としては、クラウドへの切り替えの影響が大きいのでしょうか。

島様 : はい。ワンショットで売上が上がる部分と月々のサービス料では、クラウドへの移行が進むことで、前期は売上高が若干減ってしまいました。

IRTV : ただし、筋肉質な経営体質に転換を図れているのではないでしょうか。

島様 : そうですね。一つの案件、大きな案件の獲得に一喜一憂する形ではなくなり、事業計画が立てやすくなると考えています。

enabler型ビジネスモデル

IRTV : 「enabler(イネーブラー)型」のビジネスモデルは興味深いですね。初めて聞くビジネスモデルのため解説をお願いします。

島様 : イネーブラー型は、基本的に販売はパートナー企業に委託する形式をとっており、直販はほとんどしないビジネスモデルです。我々は小規模から大規模の市場を取るために、エンドユーザー様をお持ちのパートナー様に売ってもらうのが一番良いのではと判断し、オンプレのソフトウェアや「サービス卸※9」もさせていただいています。

※9 サービス卸とは、光回線の新たな貸し出し形態のことです。従来は通信設備の相互接続だけで参入障壁が高かったですが、サービス卸はいわゆる再販モデルとなり、1回線単位で貸し出します。

<enabler型ビジネスモデル①>

enabler型ビジネスモデル①

(出典:IRTV for YouTube

島様 : また、パートナー様が自社ブランドで提供したり、付加価値をつけたり、差別化をしたりして提供するときに、弊社から「イネーブラー型サービス」をご提案させていただいている状況です。

IRTV : これはOEM※10とは異なるものなのでしょうか。

※10 OEMとは、メーカーが自社ではないブランドの製品を製造することを指します。

島様 : OEMとは若干異なり、パートナー様ごとに専用の基盤を提供し、自身のサービスとして販売していただくことが大きな特徴です。

<enabler型ビジネスモデル②>

enabler型ビジネスモデル②

(出典:IRTV for YouTube

島様 : 弊社は「U-cube voice」を含む「U-cube」ブランドでいろいろなクラウドサービスを展開しています。イネーブラーモデルに明確な定義はなく、クラウドサービスを提供する上で、パートナー様ができるところは自身で対応し、できないところをお手伝いする仕組みです。パートナー様が自社サービスとしてエンドユーザー様に提供できるような形をとっています。

<enabler型ビジネスモデル③>

enabler型ビジネスモデル③

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : パートナー様のためにクラウドサービスを1つ作っているイメージでしょうか。

島様 : そうですね。パートナー様は自社で運用することがむずかしいため、我々が運用をお手伝いしますよ、ということです。最初の段階では、弊社のサービス基盤を使ってOEMのように提供することもありますが、ユーザー数が増えてきて事業を拡大したい、差別化をしたいといった、パートナー様が望むことを自由におこなう場合に、専用の基盤を構築していただき、サービスを展開してもらう形がイネーブラーモデルになります。

IRTV : フルカスタマイズでサービスを提供する企業はさほどないという認識でよろしいでしょうか。

島様 : はい。さほどありません。

IRTV : なかなかユニークな戦略ですね。

島様 : ありがとうございます。

市場環境について

IRTV : PBXの業界では、多くの上場企業が自社で開発をおこない、オリジナル製品を売っています。貴社はそのような企業と競合しつつも、市場シェアを取っていくという認識でよろしいでしょうか。

島様 : 最近では、アプライアンス※11と呼ばれるハード型のPBXについては後継機種を作らないというメーカー様も結構出てきています。我々はソフトウェアを提供しており、後継機種がないメーカー様、販売会社様が我々のパートナー様として資本業務提携を結ぶ中、各パートナー様が激しく競合してマーケットを取り合う状況ではありません。現在は、海外の「Teams Phone※12」などの提案を望まれることが多くなってきているのではないでしょうか。

※11 アプライアンスとは、アプライアンスとは、特定の機能や用途に特化した専用機器を指します。
※12 Teams Phoneとは、Microsoft社が提供するインターネット上で通話の発着信ができるサービスです。

我々としては、販売会社様が自社の既存顧客を引き留めるための商材として、弊社のサービスを使って提案していただければと考えています。

<市場環境について①>

市場環境について①

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 貴社にとって販路を拡大していくには、パートナー様を増やしていく必要があるという認識でよろしいでしょうか。

島様 : そこが一番ポイントになります。

IRTV : パートナー様からすると、製品・サービスを作ってもらえるのは大きなメリットになるのではないでしょうか。

島様 : そうですね。自社製サービスで開発に対応できる点がパートナー様から期待されている部分だと思っています。

<市場環境について②>

市場環境について②

(出典:IRTV for YouTube

SBCについて

IRTV : 貴社にとって成長戦略の一つである「SBC※13」について詳しくお聞かせください。

※13 SBC(えすびーしー)とは、「Session Border Controller」の略で、IPネットワーク上での音声通信において、セキュリティを確保しながら異なるネットワーク間の相互接続をおこなうゲートウェイ装置のことです。

島様 : これは電話のシステムを提供する中の一つの装置です。PBXは電話をつなぐ装置であるのに対し、SBCはゲートウェイ装置になります。PBXは内線同士を接続する電話交換装置であり、SBC接続ゲートウェイについては外線と接続するための装置です。外側から電話がかかってこなければ仕事にならないため、とても重要な機能になります。

IRTV : PBXだけ導入すると内線でしか通話できなくなってしまうのでしょうか。

島様 : そうなります。SBCは法人向けの接続ゲートウェイであり、通信事業者様でも使われている必要な設備です。

IRTV : こちらも強い引き合いが来ているのでしょうか。

島様 : そうですね。ユーザー企業様のIP化の過程で必要になる製品であり、SBCは「U-cube friends」というクラウド接続サービスとして「U-cube voice」と連携させることで、フルクラウドでの提供を実現しています。

<SBCについて①>

SBCについて①

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : フルクラウドは競争優位性のあるサービスなのでしょうか。

島様 : そうですね。ユーザー様にとっては宅内にものを置かなくて良くなるほか、あらかじめクラウドに回線を用意しておけば、サービスも早く開始できるといったメリットもあります。

IRTV : 資料にある従来の電話番号(0AB-J)とは、「03」や「06」といった番号でしょうか。

島様 : はい。地域を特定する番号になります。それとは別に、携帯の番号として多用されている「050」は元々IP電話用に採用されている番号のため、地域性は不要でどこでも使える番号です。

IRTV : クラウドPBXのサービスをいろいろ見ると、大体みなさん、番号をそのまま使えますと言った文言が書かれています。

島様 : そうですね。クラウドで0AB-Jを使う方法はいろいろあると思います。地域に紐づいたデータセンターを設置し、そこから転送して0AB-Jで発着信できるようにするのが一般的です。

<SBCについて②>

SBCについて②

(出典:IRTV for YouTube

島様 : 我々では、一つのデータセンターに回線を引き、そこから全国の番号を提供できる仕組みを今年度中に提供することに取り組んでいます。

<SBCについて③>

SBCについて③

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 地域にデータセンターがないところはこれまでサービスを使えなかったのでしょうか。

島様 : そうですね。我々も複数のキャリア様とそのようなサービスを手がけていたときは、全国で全部の0AB-J番号が使えるわけではなく、幾つかサービスを提供できない地域もありました。しかしながら、クラウド0AB-Jでは基本的にほとんどの番号が使えるようになるため、強いニーズがあるのではと期待しています。

IRTV : 全国でフルクラウドを提供できるのは革新的なサービスですね。

今後の成長戦略

IRTV : ボイスコミュニケーション事業の成長戦略をお聞かせください。

島様 : パートナー様を増やして販路を拡大していくことがポイントです。パートナー様が、我々の製品に付加価値をつけて展開してもらうこともとても重要になるでしょう。

「U-cube voice」クラウドPBX自体に新しい機能を加えることはないのですが、人工知能(AI)などクラウドPBXに付加価値サービスを積極的に追加する必要が出てくるでしょう。

<今後の成長戦略①>

今後の成長戦略①

(出典:IRTV for YouTube

島様 : 付加価値サービスを提供するためのプラットフォームとしては、「U-cube CPaaS※14」と呼ばれるサービスを提供しています。このサービスを活用し、パートナー様にさまざまな付加価値アプリケーションを作ってもらい、「U-cube voice」に独自の付加価値をつけて展開してもらう仕組みです。

※14 U-cube CPaaS(ゆーきゅーぶ しーぱーす)は、通信機能をAPIで接続するクラウドサービスです。

IRTV : 日本でこの領域で展開されているのは貴社のみでしょうか。

島様 : そうですね。CPaaSの領域では、Twilio(トゥイリオ)様、Vonage(ボネージ)様、Infobip(インフォビップ)様など、海外のCPaaS基盤はいろいろありますが、日本国内ではビジネスが大きく拡大している状態ではありません。

我々としてはCPaaS事業者様と激しく競合するよりも、CPaaSというマーケットを海外の企業と一緒に開拓している状況です。

<今後の成長戦略②>

今後の成長戦略②

(出典:IRTV for YouTube

島様 : そのような中、我々は「NextGen CaMP(ネクストジェン キャンプ)」を発足しました。これはCPaaSを使ったアプリケーションを「NextGen CaMP」のメンバー間で融通しながら使っていく取り組みになります。CPaaSに関わる情報を交換しながら進めていく方針です。

「U-cube CPaaS」は「U-cube voice」への付加価値の追加もできますし、「U-cube CPaaS」単体で新しいサービスを作ることもできる基盤のため、パートナー様と情報交換をしながら「NextGen CaMP」を盛り上げていきたいと考えています。

<今後の成長戦略③>

今後の成長戦略③

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : はい、今日はボイスコミュニケーション事業について島様におうかがいしました。どうもありがとうございました。

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ディスクレーマー

当記事では、筆者独自の見解を述べることがありますが、証券およびその他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的ではなく証券およびその他の金融商品に関する助言や推奨をするものではありません。また、個別企業の業績予想や株価予想、投資推奨を提供する予定はありません。投資判断等は、自己責任でお願いいたします。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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