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【IRTV 4264】セキュア/AI×監視カメラはどこまで進化する!?

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2024年1月29日

セキュア(4264)の谷口社長が、AI×監視カメラが実現するセキュリティ業界の未来についてIRTV※1で解説しています。

※1 IRTVとは、IR Robotics社が運営する“投資家と企業をつなぐ上場企業のIR動画メディア”です。決算情報から事業モデル・経営戦略・成長可能性まで、トップ自らがわかりやすく、かつタイムリーに解説しています。

この記事は、IRTVの動画内容を書き起こししたものです。動画の内容を文字で確認したいときに、ぜひご活用ください!

(出典:IRTV for YouTube

なぜセキュリティ業界か?

IRTV : 今回は、セキュア(4264)より、谷口代表にお越しいただきました。よろしくお願いします。

谷口様 : こんにちは。よろしくお願いします。

IRTV : 本日は、監視カメラだけでなく、入退室管理、顔認証などカバー領域が広いセキュリティ業界についていろいろとお聞かせください。

まずは、私から貴社の事業についてかんたんに説明します。世界中から調達してきたさまざまなカメラに、貴社で開発したソフトウェアを組み込んで販売する事業を手掛けていらっしゃいますね。谷口代表がセキュリティに興味を持ったきっかけから教えていただけますでしょうか。

谷口様 : 元々、私自身は事業をやる上で、「直接的に社会性のある事業をおこないたい」と考えていました。そのような中、2000年頃に監視カメラシステムに初めて触れました。2000年より前では、カメラから同軸ケーブル(昔のファミリーコンピュータをつなげていたケーブル)で、VHSのテープレコーダーに記録していたのが元々の監視カメラシステム記録媒体になります。

2000年前後には、カメラのケーブルを直接Windowsに差し込み、Windows上でアナログの画像をデジタル化してハードディスクに保存し、インターネットを経由して遠隔で見るなど、監視カメラのデジタル化が初めておこなわれました。それを見たときに「人工知能(AI)やIoT※2といった世界がいずれくるだろう」、また「監視カメラに頭脳が搭載されると、いろいろな可能性があるのではないか」と想像していました。

※2 IoTとは、あらゆるモノをインターネットに接続する技術であり、日本語ではモノのインターネットと訳されます。

<なぜセキュリティ業界か?①>

なぜセキュリティ業界か?①

(出典:IRTV for YouTube

谷口様 : 一方でセキュリティ業界は、セコム様が数十年前に、いわゆる「機械警備※3」というものを発明して以来、さほど大きなイノベーションが起きていなかった領域です。しかし、画像認識技術や画像のデジタル化という大きなトレンドの中でこれから大きなイノベーションが起きる領域になると考えました。

※3 機械警備とは、警備員の代わりに、センサーが建物への侵入や火災などの異常を検知し、監視センターに警報が届き、ガードマンが現場へ急行して初期対応をおこなう警備業態を指します。

大きくは事業の社会性と技術の先端性を見て、私自身にとってやりがいがあり、可能性のある事業だと見込みセキュリティに着目しました。

<なぜセキュリティ業界か?②>

なぜセキュリティ業界か?②

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 人間の欲求としても安全欲求はなくならないですよね。

谷口様 : 日本は長く水と安全はタダと言われてきましたが、やはり治安は悪くなってきており、すでに日本の中でも安全神話は崩れはじめてきています。安心安全のインフラはとても大切なものだという認識を、みなさんが持つようになってきたのではないでしょうか。

拡大する日本の市場規模

IRTV : 次に、市場の環境についてお聞きします。セキュリティというと一般的には監視カメラというイメージを持つ方が多いですが、現状のセキュリティの市場環境についてお聞かせください。

谷口様 : はい。今の日本には監視カメラが日本全国に約600万台設置されていると言われており、これは人口20人あたりに1台の計算になります。海外に目を向けると、世界の「飽和市場」、つまり1人あたりのカメラ設置台数が最も多いのがロンドンです。

ロンドンは昔、とてもテロが多い地域でもあったため、多くの監視カメラシステムがいろいろなところに設置されています。ロンドンでは人口3.5人に1台まで監視カメラが網羅されており、どこに行っても安心安全、セキュリティの傘の下でカメラに見守られているような状況で、これが飽和市場と言われる理由です。

日本は、人口1人あたりの犯罪認知件数で見ると、世界の中でもとても低水準で治安の良い国になります。データによると、今は全国に600万台、つまり20人に1台になりますが、将来的には10人に1台、1,200万台までは設置されると言われています。さらに、カメラセキュリティだけなく、AIと組み合わせることでいろいろな応用が生まれ、とても大きな成長の可能性を秘めているマーケットと言えるのではないでしょうか。

<拡大する日本の市場規模>

拡大する日本の市場規模

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 確かに治安という部分で、海外は需要が高いという認識を持っていますが、日本も市場は成長していく見通しなのですね。

谷口様 : そうですね。例えば、最近では犯罪捜査に監視カメラが使われるようになってきています。以前の犯罪と最近の犯罪の傾向で大きく違うのは、以前は縁故の関係で犯罪が起きていましたが、最近は憎悪の対象が例えば社会や特定の組織となり、無差別的、突発的に犯罪が起きていますよね。関係性を特定するのに多くの時間を要するため、犯罪捜査へのカメラの利活用が進んでいる状況です。

いろいろなところで生命と財産を守るだけでなく、最近は企業では内部不正対策としても利用されています。SNS上で風評被害にさらされ、とても大きな経済的ダメージを受けるため、自己防衛のためにも安心安全な環境を作っていくことが今とても重視されていますよね。そのような観点においても、カメラの需要は今後も大きく広がっていくと考えています。

海外の先進的な事例

IRTV : 現在はコンプライアンスも強化されている時代ですよね。併せて海外の先進的な事例も教えてください。

谷口様 : 日本にはなくて海外にある大きなマーケットとして「パブリックセーフティ」というマーケットがあり、日本はこの部分の市場規模が大きくないですが、いずれこの市場が大きくなると見ています。

パブリックセーフティとは、街中にカメラを設置し、治安維持のために警察や自治体が運用していく仕組みです。先ほどのロンドンの事例のように、先進国の主要都市には人口に応じて一定数のカメラが設置されています。現在は警察官も人手不足が深刻のため、カメラを運用することで治安維持をおこなっている状況です。

アメリカでは、犯罪が起きたことをAIが発見するのではなく、犯罪が起きそうな地域をAIで予測する新たな取り組みもおこなわれています。「この地域で犯罪が起きるかもしれない」という予測において、AIを活用した研究や実証実験も進んでいますね。

<海外の先進的な事例>

海外の先進的な事例

(出典:IRTV for YouTube

市場におけるセキュアの役割

IRTV : 今教えていただいたセキュリティ業界の中で、貴社はどのような位置にいるのでしょうか。

谷口様 : 私たちは監視カメラを運用してより効果を発揮すると共に、セキュリティを含む多様なニーズに対しソフトウェアとハードウェアを組み合わせて運用ニーズに確実に応えられるようなポジションをとっています。

<市場におけるセキュアの役割>

市場におけるセキュアの役割

(出典:IRTV for YouTube

谷口様 : 先ほど、日本では監視カメラが約600万台ついているとお話させていただきました。そのほとんどは何か問題が生じたときに証拠映像として残しておく、あるいはカメラがついていることによる抑止効果となり、普段さほど使われていないですよね。

しかし、普段からカメラを使うと、先ほどお話したような犯罪をすぐに発見したり、発見することで2次被害を防いだりできます。また、例えばお店に設置しておけば、カメラはリアル空間で起きていることをすべてデータとして記録しており、それを解析することによって店内で来店客の行動分析として活用できますよね。そのような形で運用していきたい顧客に対し、的確なシステムを提供していくのが我々の事業です。

セキュアの販売戦略

IRTV : 運用のニーズを貴社が叶えていくのですね。販売のいろいろなニーズに対応していますが、どのような販売の仕組みを構築しているのでしょうか。

谷口様 : 基本的に、9割パートナー様を経由してのご依頼になります。最近では、スタートアップの界隈でも顧客獲得に向けてマーケティングに力を入れている企業が多くなっていますが、我々は1番手に声がかかるというよりも、2番手に声がかかる状況です。

AIに対する期待値が高くなりすぎたり、価格感が合わない中での要望もあったりする中で、まずは他社様でいろいろとトライアルしていただきます。そして、ユーザー様が技術と価格の相場感を把握し、ユーザーが抱える課題を最も効率的に解決できるところを探していただくと、弊社にたどり着く形になっています。

戦略としては、1番手として声がかかるというよりは、2番手候補の中から最初に声がかかるようなポジションを取っています。最近は規模が拡大したこともあり、マーケティングも強化していますが、業界のニーズや技術的なボトルネックの解決を強みとしてお伝えすることで顧客から引き合いをいただいている状況です。

<セキュアの販売戦略>

セキュアの販売戦略

(出典:IRTV for YouTube

ソフト×ハードを提供できる強み

IRTV : ソフトとハードを組み合わせて提供できるのは貴社の強みになりますね。

谷口様 : この部分の良さは、サービスを1回利用するだけでは、なかなかわからないかもしれません。例えば、ソフトウェアとハードウェアを1対1で組み合わせるわけではなく、中堅・中小企業(SMB)から大手企業(エンタープライズ)にいたる我々の顧客は、カメラ台数が1,000台、多いところでは10万台、20万台になります。

膨大なカメラを運用していくときの課題は、一度使ってみないとわかりません。そのような中、我々は顧客が実際に使っていただく過程で、使いにくさや技術的な課題を顧客にお伝えしています。

AIによるソリューション事例

IRTV : 業界としては、AIを用いたソリューションとして具体的にどのような事例があるのでしょうか。

谷口様 : 例えばオフィス関連では、顔認証の引き合いが増えてきています。これまではカードを使ってオフィスの出入りをしていました。基本的には物理的に誰が何を持っているか管理しなければなりません。カード化してしまえば、成りすましもできてしまうため、セキュリティとしては課題がありました。

<AIによるソリューション事例>

AIによるソリューション事例

(出典:IRTV for YouTube

谷口様 : そこでAIを活用することで、確実に本人であることを確認でき、オフィスの出入りで顔の表情から体調を分析したり、勤怠と組み合わせたりしたソリューションを提供できます。また、最近はコロナによってテレワークやフリーアドレスが進む中、オフィスの混雑度やオフィスの中の滞在者も把握できるでしょう。ワンタイムパスを発行することもできます。

最近では24時間営業のフィットネスジムがとても増えてきていますが、ジムは半無人化で運営されていますよね。ICタグやカードでは、成りすましをしたり、会員でない友達を連れていってしまったりできます。既存の会員様にとっては混雑することで不満足を与え、店舗運営する側には機会損失が生まれてしまうでしょう。

AIを活用すれば、本人でないと入れず、ユーザー様は手ぶらで行けるため利便性が高まります。また、1人しか認証してないのに2人が入室した場合、AIでそれを認識してアラームを鳴らすこともできるでしょう。さらに、地域や会員属性によって好まれるマシンが多少異なるため、カメラを使って各マシンの稼働状況を分析することもできます。

ソフトウェア運用できないカメラの今後

IRTV : 画像認識できる領域は幅広くなっているのですね。まだ運用されていないカメラや運用できないカメラは、今後どのようになるのかお考えをお聞かせください。

谷口様 : 単純に綺麗に写す、安いだけのカメラはレッドオーシャン、つまり競争がきびしくなっていくでしょう。

監視カメラ×AIの進化予測

谷口様 : 一方でカメラの進化については、今生成AIがとても話題になっていますが、カメラ動画像を使った部分のAIの進化は黎明期です。ロケーションがバラバラで、光と影といったノイズがたくさんあるため、動画をAIで解析するのは難易度が高いものになります。

現時点でAIは「人がいます」、「人がナイフを持っています」といった物体の認識はできますが、状況の判断まではできません。しかし、今後はそのような状況判断もできるようになるでしょう。具体的に言うと、例えば「厨房で刃物を持っている人」は正常な一方、「教室で刃物を持っている」のはとても異常な行動であり、そのような状況を判断します。大切なのは認識をするだけでなく、認識をした後、どういうアクションを取るかです。

<監視カメラ×AIの進化予測>

監視カメラ×AIの進化予測

(出典:IRTV for YouTube

谷口様 : 今後はカメラシステム、自動ドア、エスカレーター、エレベーター、他の制御機器と連携して自動で動作を止める、あるいは扉を開く、アラーム鳴らすことができるような形に進化していくのではないでしょうか。

IRTV : 企業によってニーズはさまざまですよね。

谷口様 : 各社、地域によって求められるAIは異なります。地域、用途、業種に特化した形でAIを進化させていくことが必要でしょう。

どのような要望が多い?

IRTV : 貴社に対しては、どのような要望が一番多いでしょうか。

谷口様 : 今はどの会社も人手不足になってきています。例えば、今まで店舗に3人の店員を配置していたところ、1人だけになってしまうと、万引きが増えるなどの問題が起きるため、人手が減ることによる「セキュリティ強化」が挙げられますね。それ以外にも、例えばデータセンターなど、「遠隔運用」や「半無人化運用」、「省人化運用」が増えており、そのような分野でのニーズがとても高まっている状況です。

海外展開について

IRTV : 海外展開については、現在進行形で取り組まれているのでしょうか。

谷口様 : そうですね。すでに東南アジアの一部地域で商業施設にセキュリティのカメラ、AIを用いた混雑度の把握、フロアごとの人の滞留チェックなどのサービスを導入しています。

今後、東南アジア・中東・南米・アフリカ地域で大都市の開発が進んでいくときに、電気・ガス・水道と同じように、安心安全のインフラとしてのセキュリティが大規模に設置されるプロジェクトが展開されるでしょう。それらの市場に対し、中長期的に着実に取り組んでいく方針です。

IRTV : 都市が発達していけば、それに比例してセキュリティの需要も上がっていきそうですね。

セキュリティ業界の未来

IRTV : 今後、いろいろなカメラが運用されていく中、今後どのようにセキュリティ技術を使って展開していくお考えでしょうか。

谷口様 : 複数の選択肢がありますが、今私たちが注力しているのは「リテールDX※4」です。店舗系の顧客に対するカメラの利活用を進めていきたいと考えています。今は人手不足のため、小売店は人が集められず、お店はできているもののオープンできない状態です。コンビニも24時間営業していましたが、なかなか人が集められないため、深夜営業をやめるといったことが起きてきています。

※4 DX(ディーエックス)とは、デジタル技術を活用して生活やビジネスを変革することを指します。

人手不足のところに対して我々は「無人店舗」、「AI STORE」という形で新しい取り組みをおこなっており、無人化、省人化のための新しいソリューションを提供できるでしょう。また、リテールメディアと連携させることで、1to1(1対1)のターゲティング広告や、来店客が買い物をするサポートとしてのサイネージの利活用などにもつなげられ、それらの分野に力を入れていく方針です。

今後の成長戦略

IRTV : 最後に、業界として、また貴社としての今後の成長戦略をお聞かせください。

谷口様 : まず、私たちは成長戦略として3つ掲げています。

<今後の成長戦略>

今後の成長戦略

(出典:IRTV for YouTube

谷口様 : 1つは既存ビジネスです。セキュリティの需要が今後も高まる見込みである中、我々は堅実に運用をして効果を発揮し、多目的に使うためのソフトとハードを組み合わせたソリューションを得意としています。この部分は伸び代が大きいと見ており、まず1つ目はここの部分で着実に成長させていく方針です。

2つ目は、先ほどお話したリテールDXになります。今、AI STOREのPoC※5をおこなっていますが、こちらを軸にしたリテールDXのソリューションを、セキュリティと掛け合わせて提供していく意向です。

※5 PoC(ピーオーシー)とは、日本語で「概念実証」と言います。新しいアイデアやコンセプトの実現可能性をチェックすることを指します。

そして3つ目は、東南アジアを中心とした海外展開に中長期的に取り組み、今後も大きく成長させていこうと考えています。

IRTV : ありがとうございます。「画像認識×カメラ」は時代の流れに合わせて応用、進化していきそうで楽しみですね。投資家のみなさんも、セキュア社をはじめセキュリティ業界について注目してみてください。高評価、質問、コメントなどもお待ちしております。

本日はセキュア社の谷口代表にお越しいただきました。ありがとうございました。

谷口様 : ありがとうございました。

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ディスクレーマー

当記事では、筆者独自の見解を述べることがありますが、証券およびその他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的ではなく証券およびその他の金融商品に関する助言や推奨をするものではありません。また、個別企業の業績予想や株価予想、投資推奨を提供する予定はありません。投資判断等は、自己責任でお願いいたします。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

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