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【IRTV SYT】シーラテクノロジーズ/他社クラファンとの差別化とは?

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年12月18日

シーラテクノロジーズ(NASDAQ:SYT)会長の杉本様が、不動産クラウドファンディングについてIRTV※1で解説しています。

※1 IRTVとは、IR Robotics社が運営する“投資家と企業をつなぐ上場企業のIR動画メディア”です。決算情報から事業モデル・経営戦略・成長可能性まで、トップ自らがわかりやすく、かつタイムリーに解説しています。

この記事は、IRTVの動画内容を書き起こししたものです。動画の内容を文字で確認したいときに、ぜひご活用ください!

(出典:IRTV for YouTube

売上予想と不動産業界の動向

IRTV : 本日は、シーラテクノロジーズ(NASDAQ:SYT)より杉本会長にお越しいただきました。よろしくお願いします。今日は、貴社の事業についていろいろお聞かせください。さっそくですが、まずは貴社の会社概要についておうかがいします。

杉本様 : 弊社は「不動産クラウドファンディング※2」と「不動産デベロッパー」の2本立てで事業を展開している会社です。

※2 不動産クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不特定多数の投資家から資金を集め、その資金をもとに不動産投資をおこなうサービスを指します。後ほど杉本様より詳しく説明していただきます。

IRTV : 今期(下のグラフの2023年)は売上高247億~267億円を見込まれており、事業は順調に伸びているのでしょうか。

<3ヵ年売上推移>

3ヵ年売上推移

※2023年10月時点
(出典:シーラテクノロジーズ 投資家向けプレゼンテーション

杉本様 : そうですね。今は円安の影響もあり、海外投資家が日本の不動産に投資しています。

IRTV : 海外投資家にとって日本の不動産は相当安くなっているのでしょうか。

杉本様 : 一昨日までニューヨークでIR※3をおこなってきましたが、アメリカ人は日本の不動産を“半額で”購入している感覚を持っているようです。

※3 IR(アイアール)とは、企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績の実績、今後の見通しなどを広報するための活動を指します。

IRTV : 海外の投資家には、日本の不動産市場がとても魅力的なマーケットとして映っているのですね。

杉本様 : はい。これはユーロ、ポンド、さらには中国の元に対しても同じことが言えるでしょう。円安や低金利、良好なファンダメンタルズ※4といったさまざまな要素で、日本の不動産業界に追い風が吹いています。

※4 ファンダメンタルズとは、国や企業などの経済状態などを表す指標のことで、国の場合、経済成長率や物価上昇率、財政収支などがあたります。

IRTV : 世界中のバイヤーが東京をはじめとする日本に熱視線を向けている感じですね。

杉本様 : はい。外部環境が追い風になっている今は、無理をせず、堅実に投資をおこないながら、不動産クラウドファンディング事業を将来のドライバーにすべく注力しています。

<売上予想と不動産業界の動向>

売上予想と不動産業界の動向

(出典:IRTV for YouTube

クラウドファンディング事業について

IRTV : クラウドファンディング事業は、投資家の方にとってわかりづらい面もあるかと思われます。この事業について詳しく説明をお願いします。その前に、貴社が運営するクラウドファンディング事業は「利回りくん」という名前が付いていますが、これには弊社が属するベクトルグループと関わりがあるようですね。

杉本様 : 私たちは当初「Gift(ギフト)」などいろいろな横文字の名前を考えましたが、サービスのプロモーションもお願いしていた(ベクトル社の)西江様にご相談したところ、「利回りくん」をご提案いただきました。キャッチーなネーミングで、とてもわかりやすい名前だと感じています。

IRTV : それでは、「利回りくん」のサービス内容をお聞かせください。

杉本様 : 不動産の売買は、例えばビルを1棟買ったり、平均購入価格が1億円を超えたと言われるマンションを買ったりする場合、通常は借入して、頭金を入れて買いますよね。一方、弊社の利回りくんは、一口1万円からみんなで投資をおこない不動産を運用していく仕組みになります。

<利回りくん>

利回りくん

(出典:シーラテクノロジーズ公式ホームページ

杉本様 : 私たちは2年前ぐらいまで、インターネット上で物件のご説明をする場合、どれほどの資金を集められるのか懐疑的に感じていました。動画を使って物件の説明をしているものの、実物を見ないで投資される方が多いと考えられます。

そこで重要になるのが、「わかりやすさ」や「UI※5・UX※6」です。

※5 UI(ユーアイ)とは、ユーザーと製品やサービスとのインターフェース(接点)すべてを指します。
※6 UX(ユーエックス)とは、ユーザーが商品やサービスを通じて得られる体験を指します。

不動産投資をされる方は、不動産価格や家賃、金利の動向、そして何千万円~何億円も借り入れることに不安を感じています。このような不安を解消するため、「10万円投資すれば、4%の利回りが得られ、銀行預金の何千倍~何万倍ものお金が返ってくる」というわかりやすいサービスにすれば、顧客に受け入れられるだろうと仮説を立てたのです。実際、その仮説どおりの結果が得られました。

さらに、我々は地域創生や社会貢献という切り口も入れています。例えば、堀江様と一緒にロケット工場を作る応援型不動産クラウドファンディングを提供しました。北海道のある地方の田舎でお金は貸しづらく、さらにロケット工場は事業性評価がむずかしいため、銀行はお金を貸していただけません。

そこで、この応援型不動産クラウドファンディングは、堀江様の会社の夢をみなで実現しようよと試みた取り組みです。ファンドに投資した方はオーナーズプレートが付与されたり、ロケットの打ち上げを見る権利をもらえたりもするため、わかりやすいUI、UXが投資への動機になっていると言えるでしょう。

<クラウドファンディング事業について①>

クラウドファンディング事業について①

(出典:IRTV for YouTube

杉本様 : 「10万円投資しよう」「100万円投資しよう」という方々をネット上で募り、一緒に投資をしていく仕組みは、とてもシンプルなビジネスモデルです。

IRTV : そのようなシンプルなモデルでも、4~5%の利回りでお金が戻ってくるという認識でよろしいでしょうか。

杉本様 : そうですね。

IRTV : 今、募集をかけたら、どれほどの金額がどのくらいの期間で集まるのでしょうか。

杉本様 : ファンドによって異なりますが、少し時間を要するものもあれば、最短では一瞬で募集金額が集まり、人気のファンドは1分で3億円の投資が締め切られている状況です。

IRTV : 資金調達のリードタイムの短さは驚異的ですね。

杉本様 : おっしゃるとおりです。不動産クラウドファンディングの凄いところは、我々のような不動産開発会社が銀行に頼らず、コストをかけずにインターネット上で資金調達できることでしょう。

我々はエクイティで100億円、総資産で300億円のバランスシート※7を持ちます。利回りくんでは、5億円、13億円、40億円とファンド規模を拡大させています。インターネット上でお金を集めて顧客と一緒に投資する会社を、もう1社作っている感覚です。

※7 バランスシートとは、企業のある一定時点における、資産・負債・純資産の状態を表した書類を指します。

我々にとっては、銀行に頼らずインターネット上で資金調達ができる革命的なファイナンスと言えるでしょう。

<クラウドファンディング事業について②>

クラウドファンディング事業について②

(出典:IRTV for YouTube

利回りくんのキャッシュポイント

IRTV : ここからは、利回りくんの収益構造やキャッシュポイント※8などをお聞かせください。まずは、クラウドファンディングでお金を集めた後に物件を買われるのでしょうか。

※8 キャッシュポイントとは、収益を生み出す機会を指します。

杉本様 : そうですね、自ら物件を建てる開発型もあれば、でき上がっているものを買うケースもあります。区分のマンションを買うケースもあれば、オフィスビルや商業ビルを買うケースなど、いろいろなファンドがあります。

IRTV : 購入物件を数年抱え、その間に発生した賃料を投資家に返す際の「アクイジションフィー」が貴社にとっての収益の1つになるのでしょうか。

杉本様 : そうですね。また、ファンドを管理する「アセットマネジメントフィー」として約1%、プロジェクトによって金額は異なりますが、物件を売却した際の「エグジットフィー」もいただきます。

利回りくんのキャッシュポイント

  1. アクイジションフィー
  2. アセットマネジメントフィー
  3. エグジットフィー

IRTV : 大きく分けて3つのポイントでキャッシュが入ってくるという認識でよろしいでしょうか。

杉本様 : そうですね。

IRTV : 今後は、アセットマネジメントを増やしていく方針ですが、売却した後の物件の管理を手掛けて収益を積み上げていくイメージでしょうか。

杉本様 : そうですね。我々のような不動産デベロッパーは、景気や金利に大きく左右されるため、毎月ゼロから収益を上げていくビジネスは大変なものになります。そこで、我々はこのビジネスモデルからの脱却を図っている状況です。

アメリカの投資家から問われるIRR※9ROE※10、キャッシュコンバージョンサイクル※11といった観点からすると効率は悪くなります。しかしながら、家賃収入やアセットマネジメントフィー、建物管理(BM)、賃貸管理(PM)といった岩盤収益を積み上げていくことで、今では社員の給与を岩盤収益で払えるようになりました。

※9 IRR(アイアールアール)とは、投資資金をどれくらいの期間で回収できるかを考慮し、投資の効率性を測る指標を指します。
※10 ROE(アールオーイー)は、株主が出資したお金を元手に、企業がどれだけの利益を上げたのかを数値化したものです。企業がどれぐらい効率良くお金を稼いでいるかを示す財務指標になります。
※11 キャッシュコンバージョンサイクルとは、企業が仕入れのために現金を投入した後どのくらいの日数で現金を回収できるかを表す指標を指します。

<利回りくんのキャッシュポイント①>

利回りくんのキャッシュポイント①

(出典:IRTV for YouTube

杉本様 : 販管費全体は賄えていませんが、社員の給料やオフィスの賃料に関わるコストの半分ぐらいは家賃収入とアセットマネジメント、PM、BMの岩盤収益で賄えています。クラウドファンディングによって資金調達することで、リーマン・ショックのような金融危機など景気に大きく左右されず、無理して売上を積み上げずとも、持続可能な経営判断を下すことができるようになりました。

<利回りくんのキャッシュポイント②>

利回りくんのキャッシュポイント②

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 今はどれほどのアセットマネジメントフィーが積み上がっているのでしょうか。

杉本様 : 年間で17億円入ってくる中で、サブリースなどもあるため、月間収益は約8,500万円の粗利が出ている状況です。この金額が毎月継続的に積み上がっており、3年以内に2億円を達成する目標を立てています。

<利回りくんのキャッシュポイント③>

利回りくんのキャッシュポイント③

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 不動産業界においては、自社で物件を建設し、所有し、売却したほうが、売上も利益も大きくなると認識しています。それなのに、クラウドファンディングをはじめた意図をお聞かせください。

杉本様 : 1つは、先ほど申し上げたように、インターネット上で銀行に頼ることなく資金調達ができるからです。今は金利が5%と高くなっています。金利1%で調達できれば、わざわざ金利の高い銀行借入を使う必要はありません。

もう1つは、我々が銀行以外からの資金調達と、銀行からの借り入れを組み合わせて、不動産クラウドファンディングサービスを提供できる免許を取得しました。例えば、10億円のファンドを組成する際、5億円は銀行から1%で調達するとともに、エクイティとしてキャッシュで出ていく部分は顧客と一緒に集めることで、資金効率が圧倒的に良くなります

<利回りくんのキャッシュポイント④>

利回りくんのキャッシュポイント④

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 今まではそのようなサービスを提供できなかったのでしょうか。

杉本様 : 免許が必要になります。1号免許を取り、その後にまた2段階で申請をおこなう形です。国土交通省より許認可をもらわなければならず、すべての会社ができるサービスではありません。

IRTV : クラウドファンディングでは、資金の構成を柔軟におこなえることもとても重要なのですね。

杉本様 : はい。我々は不動産クラウドファンディングがフロンティア(未開の領域、新しい分野)だと信じています。2年前はみなさんが同事業の収益性に疑問を呈されていましたよね。我々は自社のバランスシートに加え、もう1つバランスシートを持っているかのように柔軟な資金構成を作れます。

<利回りくんのキャッシュポイント⑤>

利回りくんのキャッシュポイント⑤

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 利回りくんに関して、資金を集めてくる対象は一般の方から機関投資家まで多岐にわたっているのでしょうか。

杉本様 : はい。最年少となる18歳の大学生から70歳まで幅広い層の方々から投資をおこなっていただいています。

IRTV : 幅広い顧客を集めてくるのは大変ではないのですね。

楽天グループとの資本業務提携

杉本様 : 顧客層を拡大させる上で楽天グループ様と資本業務提携を締結させていただきました。クラウドファンディングにおいては優先的にマーケティングをさせていただいており、楽天ユーザーの顧客が弊社にコンバージョン※12していただいたくと、ログインするだけで「楽天ポイント」が1ポイントつきます。

※12 コンバージョンとは、Webサイトに訪れたユーザーが何かしらのアクションを起こし、行動が成果に転換することを指します。

100万円以上投資するとさらにランクが上がっていき、2ポイントついたり、楽天くじが毎週引けるようになったり、誕生日に100ポイントをもらえたりする特典も設けました。ゲーミフィケーション※13を採り入れることで、顧客のわくわく感を喚起し、お金やポイントが貯まっていくのが感じ取れるようなUI、UXを意識した仕組みとなります。自身のマイページで貯まったポイントや家賃収入をグラフで見ることもできますね。

※13 ゲーミフィケーションとは、ゲーミフィケーションとは、参加者間の競争や協力、自身の挑戦や達成といったさまざまなゲームの要素を、ゲーム以外の分野に応用することを指します。

また、楽天グループ様と資本業務提携した際、7,800万人いる楽天ユーザーのうち、1.5%にあたる100万人ほどは不動産投資に興味を持っていると三木谷様にお伝えしました。統計では13%の国民が不動産投資信託(REIT※14)や不動産に投資をした経験があることが示されており、アメリカはその3倍ぐらいになります。

※14 REIT(リート)とは、投資者から集めた資金で不動産への投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や不動産の売買益を原資として投資者に配当する商品を指します。

<楽天グループとの資本業務提携>

楽天グループとの資本業務提携

(出典:IRTV for YouTube

杉本様 : その統計に基づくと、不動産に興味を持つユーザーは1.5%おり、弊社はコンバージョンしてくれた100万人の顧客には毎日楽天ポイントを提供している状況です。そして、その顧客が楽天に戻って買い物をするため、三木谷様にはデメリットのない取り組みになるとお伝えし、ご理解をいただきました。

IRTV : 集客マーケティングにおいて楽天経済圏を使えることは、コスト面で大きなメリットになるのではないでしょうか。

杉本様 : そうですね。今はID連携もさせていただいたため、楽天ユーザーの顧客は入力の手間も省け、eKYC※15でマイナンバーカード、ICチップを利用して最短1分で登録できます。そして、投資するファンドを選んでいただくと、即座に投資することができる仕組みです。

※15 eKYC(イーケーワイシー)とは、電子本人確認と訳され、銀行や証券会社の口座開設やクレジットカードを発行するときなどにおける身元確認をオンラインで実施することを指します。

また、楽天ポイントを利回りくんポイントに交換して投資をおこなえるようになりました。事実上、楽天ポイントで投資もできるため、楽天ユーザーにとってとても大きい点になるのではないでしょうか。我々のユーザーの8割くらいは、楽天ポイントでポイ活をされている方になります。楽天グループ様との提携を通じた取り組みは、我々にとって大きな成長ドライバーの1つになっていると言えるでしょう。

他社との違い①

IRTV : 2~3年前から、不動産クラウドファンディングを手掛ける企業が増えています。貴社のサービスは他社とどう違うのでしょうか。

杉本様 : まず、圧倒的な違いは、地域創生や社会貢献を絡めた応援投資というコンセプトで事業をおこなっている点です。単に都心の不動産で収益を上げようとするものではありません。堀江様のロケットファンドのように、顧客が夢を持ち、面白さを見出すとともに、我々がプロジェクトを精査し、一緒に投資をして実利を伴うと判断をしたプロジェクトのみでファンドを組成しています。

<他社との違い①-1>

他社との違い①

(出典:IRTV for YouTube

杉本様 : また、前澤様と一緒に「イヌネコヒルズ」を作りました。前澤様は以前より財団で“犬猫の殺処分をゼロにする取り組み”をおこなっていますが、いろいろな社会的な要因を探っていくと、都心では多頭飼いできるマンションがありません。1頭を飼うのが限界で、中型犬を飼えるマンションはないため、我々が改装し、サブスクで犬猫の健康食を買えるようにしています。

リードフックやキャットウォーク、ドッグランといった犬猫が住みやすい環境を作り、隣には動物病院、ペットホテルを併設し、さらに市場と同じぐらいの賃貸価格で提供できるようにしました。これが、社会貢献と地域創生を含めた顧客のペインポイント※16をゲインポイント※17に変えていく取り組みです。

※16 ペインポイントとは、想定顧客の悩みの種のことを指します。
※17 ゲインポイントとは、まだ顕在化していない、顧客が潜在的に求める要素のことを指します。

そのことに賛同していただきファンドにもお金が集まりました。前澤様の社会貢献をしたいという思いから寄付もしていただき、ドッグランやリードフック、キャットウォークなどを作ることができています。サステナビリティな資本主義社会を目指す上で、ただ寄付を受け、助けてもらうだけでは持続性がないですよね。

少しの補助でサステナブルに事業を継続していくことが一番大事だと考えており、前澤様と一緒に持続可能な資本主義を目指したプロジェクトを実現しました。銀行は当初「50室で4頭ずつ犬猫を飼えるとした場合、マンション全体で200頭も犬猫がいるのはおかしいのではないか」と疑念を抱いていましたが、そのマンションの稼働率は100%となりました。後から融資を申し出る銀行もいらっしゃいました。

<他社との違い①-2>

他社との違い①

(出典:IRTV for YouTube

杉本様 : 入居者全員が犬猫4頭を飼うわけでなく、1~2頭に留める方が多いです。また、飼い主が住みやすい環境も整ってきました。融資を申し出る銀行も出てきて、現在は人気ファンドになっています。一部の部屋は分譲したこともあります。

地域創生と事業性について

IRTV : 地方創生や古民家再生は事業性があるのか疑問に感じています。貴社の場合は、事業性のあるものだけファンドとして組成し、利回りが出るようにしているという認識でよろしいでしょうか。

杉本様 : そうですね。直近でも古民家再生のファンドを出します。古香里庵(こかりあん)様は、築60年以上経った古民家を再生して庭も作り直し、1泊15~20万円ぐらいの設定となる高級旅館です。広さは100坪で枯山水の庭があり、中は改装されてアマンレジデンスのような高級ホテルと同じぐらいの仕様になっています。また、周囲には多くの観光資源があります。

「1泊15~20万円でも泊まってみたい」「1泊15~20万円の価値がある」と感じていただける場所だったため、我々はそのプロジェクトに賛同しました。しかし、銀行はこのようなプロジェクトにお金を出してくれません。

富裕層の方々は、そういうところ(高級旅館など)に泊まりに行き、価値を理解しています。そこで、我々は顧客と一緒に「ホテルコンドミニアム※18事業」をはじめました。元々、私自身の別荘でもあった場所で、ピーク時には1泊50万円で提供しています。我々が価値を見出せていないものも、観光資源を活かせば価値を生み出すことができるでしょう。

※18 ホテルコンドミニアムとは、ホテルの客室を購入して自ら利用し、利用しないときは一般向けのホテル客室として貸し出し、稼働に応じて賃料収入を受け取ることを指します。

<地域創生と事業性について>

地域創生と事業性について

(出典:IRTV for YouTube

杉本様 : このような取り組みに価値を感じていただける顧客は絶対いらっしゃいます。ただし、プロジェクトを一つひとつ慎重に見定めて事業として成り立たせていくために、交通アクセスや運営サイドの実績を確認しなければなりません。

他社との違い②

IRTV : 貴社と他社の違いについて2点目もお聞かせください。

杉本様 : もう1つの違いは、我々がデベロッパーであることです。他社様はでき上がりのものを買っており、デベロップも手がけている会社はほとんどないと認識しています。

IRTV : みなさんは、すでにあるものを買ってきて、ファンドを組成しているのでしょうか。

杉本様 : はい。我々はデベロップメント事業を13年間取り組んできており、土地を仕入れ、設計、デザインを手掛け、構造計算や建築をおこない、でき上がったものを販売しています。さらに、部屋の管理と建物の管理をおこない、顧客が売却を望むときには仲介まで手掛け、一気通貫で全部内製化してサービスを提供している状況です。

<他社との違い②>

他社との違い②

(出典:IRTV for YouTube

杉本様 : 全部の事業を自前でおこなっている会社は1社もありません。我々は創業から13年の間に、一つひとつ内製化して作り上げてきました。

例えば、でき上がりのものを買う場合との違いは、“こだわりのある設計”という心理的な部分だけではありません。全部を内製化しているため、「ゼネコンに20%、設計に3%、デザインに1.5%、管理に3%」のように、外部にお金を支払わなくて良い点もあります。土地から精査しているため、価格的にも、物件のアセットでも価値を出せているのです。

IRTV : 利益率も全然違いますよね。

杉本様 : そうですね。

今後の成長戦略

IRTV : 今後の成長戦略についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

杉本様 : 1つは、インターネット上で資金を集め、デベロップしたり、物件を売買したりする不動産クラウドファンディング事業にはとても伸びしろがあると考えています。実績数値として、この3年間は毎年3倍伸びている市場であり、このような市場はなかなかないですよね。この事実があるからこそ、我々は不動産クラウドファンディング市場がフロンティアだと信じ、この2年間は我慢強く投資を続けてきました。

<不動産クラウドファンディング市場の成長性>

不動産クラウドファンディング市場の成長性

(出典:シーラテクノロジーズ 投資家向けプレゼンテーション

杉本様 : 楽天様とのマーケティングの成果でもありますが、実際に5億円、13億円、40億円とファンドが積み上がってきています。日本人のマインドセットが少しずつ変わってきている影響も大きいのではないでしょうか。1つは、みなさんが預金されている金利は0.001%で、タンス預金はいつでも引き出せますが金利はゼロですよね。0.001%だった場合、1億円以上預けていないと、1回ATMで引き出したら損失が生じます。

<日本の不動産市場を取り巻く環境>

日本の不動産市場を取り巻く環境

(出典:シーラテクノロジーズ 投資家向けプレゼンテーション

杉本様 : これは運用しているとは言わないですよね。岸田総理は「インベスト・イン・岸田」をキャッチフレーズに掲げ、投資戦略特区を作り、規制緩和をおこなうことで、積極的に投資を呼び込み、貯蓄から投資への流れを作るための施策を講じる方針です。

アメリカ人は16%しか預金をせず、84%の方が投資をおこなっている一方、日本人の56%は預金しています。そして、この20年間の間にアメリカ人と日本人が持っている金融資産は、経済力の格差を踏まえると大体2倍ぐらいでしたが、今では14倍にまで差が開きました。0.001%の金利で預金している国民と、投資による収益機会の獲得を探っている国民の行動の違いが、日本人が貧しくなってしまった大きな要因の一つでしょう。

円安に加え、ドルベースのGDP※19でドイツに追い抜かれたといった枝葉末節(しようまっせつ)の話はありますが、一番大事なことは、日本人が0.001%の金利で1,100兆円を20年間以上運用し続けてしまったことでしょう。

※19 GDP(ジーディーピー)とは、「Gross Domestic Product」の略です。日本語では「国内総生産」と呼ばれます。1年間など、一定期間内に国内で産出された付加価値の総額で、国の経済活動状況を示します。

低金利な預金を続けるマインドセットを変えるべく流れが変わってきています。預金では資産形成がむずかしいと感じる方が増えてきており、インターネット上で18歳から70歳までの顧客がスマホを利用して投資するケースも拡大しているという追い風もとても感じています。

<今後の成長戦略①>

今後の成長戦略①

(出典:IRTV for YouTube

杉本様 :  1,100兆円の国債のうち800兆円を日銀と銀行が持っています。金利が上がると債券価格が下がるため、債券価格が10%下がった場合、銀行団は100兆円の損失を出すことになりますよね。そのため、金利を上げたくてもなかなか上げられない状況になっています。

海外投資家はこのような構造をわかっているため、多くの方が円安は当面続き、円高になったとしても130円ぐらいの水準であると見ていますよね。冒頭で申し上げたように、ニューヨークでIRを実施して投資家のみなさんの声を聞いていると、15社との面談とディナーに参加しましたが、全員一致で「日本の環境は良好だから買うべきだ」と考えているようです。

さらに、7割ぐらいの方が、最近日本を訪れています。日本は25年間ぐらいジャパン・パッシング※20の状態で、バブル崩壊以降、金融危機が起きてから忘れ去られた日本が、今は突如として注目を浴びている状況です。

※20 ジャパン・パッシングとは、外国政府や海外企業などによる日本への関心の低さを示す用語です。

世界で最もファンダメンタルズが良いのは日本」というのが、みなさんの一致した意見になります。日本人はわかっていませんが、海外はみな、今、日本に投資すべきだと考えていますね。為替は円安で経済状況も良く、賃上げもおこなわれ、CPI※21もアメリカの3.7%に追いつきました。物価が上がることで、企業業績が良くなり、さらに減税もおこなわれ、消費も上向いてくるため、海外の投資家は日本のファンダメンタルズが良いと判断しているのでしょう。

※21 CPIとは、消費者物価指数のことで、消費者が購入する各種の消費やサービスの小売価格の変動を調査・算出した経済指標です。

冒頭で申し上げたように、そのような追い風があるとともに、日本人のマインドセットが変わってきています。このような中、上場企業である弊社が精査した“4%の利回りが見込める案件”にインターネット上で投資できるという「UI・UXの手軽さ」が、顧客に受け入れられているようです。この流れは2~3年ほど続くのではないでしょうか。

また、楽天ユーザーの顧客のコンバージョンは27万人に達しており、楽天様でマーケティングを展開させていただきながら、当面100万人ぐらいまではコンバージョンが続いていくでしょう。その後の成長戦略については、経済の状況も変わってくるため、3年から4年ぐらいの成長戦略は会員拡大路線を確実に達成していくことが重要だと考えています。

<今後の成長戦略②>

今後の成長戦略②

(出典:IRTV for YouTube

杉本様 : やるべきことがはっきりしているため、これを着実に実践していく方針です。

IRTV : お話を聞いていると、今後が楽しみでしかないですね。投資家のみなさんもシーラテクノロジーズ社に注目してください。杉本会長、今日はどうもありがとうございました。

杉本様 : ありがとうございました。

注意

YouTube投稿時の情報です。最新の業績についてはシーラテクノロジーズの公式ホームページをご覧ください。

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ディスクレーマー

当記事では、筆者独自の見解を述べることがありますが、証券およびその他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的ではなく証券およびその他の金融商品に関する助言や推奨をするものではありません。また、個別企業の業績予想や株価予想、投資推奨を提供する予定はありません。投資判断等は、自己責任でお願いいたします。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。当サイトを見て、少しでも“勉強になった”と思っていただければ幸いです。

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