計画的ナンピン買い

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2006年5月20日

株の相場の格言には、このようなモノがあります。『下手なナンピン、スカンピン』です。この格言の意味は、「下手にナンピン買いをすると、すっからかんになってしまいますよ~。」と、そのままです…(笑)。ただし、これは、“下手な”ナンピン買いの話であって、うまく使えばかなり使える買い方だと思っています。

まず、ナンピン買いとは何か?ということですが、保有している株価が下がったときに、さらに買い増しをして平均取得価格を下げることをいいます。ナンピン買いは、漢字で書くと“難平買い”と書きます。これが意味するものとは、買値をたくするのはしいとのことです。昔の人(?)は、うまいこと表現したものですね。

次に、ナンピン買いの具体的な例を挙げると、まず株価1,000円の株を100株持っていたとします。その株が800円まで下がりました。ここで100株購入するのです。そうすると買った株は合計で200株となり、平均取得価格が900円(1,000円+800円=1,800円 1,800円÷2=900円)となります。株数は200株と増えますが、平均取得価格を下げることができます。 

…と、まあメリットだけを見ると、取得単価が下がるのですばらしい面が強調されますが、同時にデメリットも見る必要があります。

この場合のデメリットは、さらに株価が下がった時に、損失が大きく膨らむことです。例えば、先ほどの例で見ますと、1,000円で100株買った株が(ナンピン買いしていない時に)700円まで下がったとします。このときの損失額は、30,000円〔=(1,000円 - 700円)×100株〕になります。

一方、800円で100株ナンピン買いをした時を見てみましょう。このときは、1,000円で100株、800円で100株購入しているわけですから、700円まで下がった時には、まず1,000円で100株買った分で30,000円〔=(1,000円-700円)×100株〕、さらに、800円で100株買った分で10,000円〔=(800円-700円)×100株〕と、合計すると損失額は40,000円になるわけです。

もしも、悲しいことにさらに下がってしまった場合には、100株分の損失ですんだところが、ナンピン買いをしたことにより200株分の損失が出てしまうのです(損失額は倍!)。ですから、無計画なナンピン買いはスカンピンになってしまうぞ~!と妙な韻(いん)をふめるわけです…(笑)。

それで、本題はここからになります。『無計画なナンピン買いが悪なら、計画的なナンピン買いなら善でいいんじゃないの?』ということです。

計画的なナンピン買い…。本来は、できることならナンピン買いはしたくないものです。ただ、株式市場は自分の思惑通り動くわけないんですよね。私の体験上、たいていが下に株価がぶれるんです(笑)。

…ということを踏まえて、私は一気には株を買いません。買う銘柄はドンと買って、自信を持ってホールドしていればいいんですけど、下落が続くと精神衛生上よくないです。ということで、市場から評価されるまで(株価が上がるまで)待つには、ナンピン買いでじっくり待つのが便利なんですよね。

株価が下がるということは、それだけお値打ちになっている』ということなんです(業績悪化など根本的にダメージを与える場合は除きます)。その時に買える準備をしておこうという話です。そのためには日頃から、ナンピン買いができるように準備しておく必要がありますね。

そう言う私も、通常時は3~4割程度しか株には投資していません。残りは、証券会社の口座でMRFとして待機をしています。これを最初から資金を100%株に移してしまっては、下落時には、損失回避のために売りに走ってしまうか、絶好の買い場をただただ指をくわえてみているしかできません。

資金を株に移さない分は、上昇時にもうけそこなう可能性が高くなりますが、損失をこうむる可能性は低くなります。現状の投資環境(2006年5月)を長期的に見て、上昇トレンドの相場であるからこそ、リスク管理ができる有効な投資法ではないのかな~?…と考えるわけです。

☆計画的なナンピン買いは、逆にリスクの低減につながります!

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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