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ロックアップとは?意味や期間、株価への影響をわかりやすく解説

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年11月30日

ロックアップ」とは、会社が上場したときに、創業者やベンチャーキャピタル※1などに対してかけられる「一定期間、または一定の株価になるまで株式を売ってはいけない」という制限です。この制限を作る目的は、上場直後に株価が下がるのを防ぐためです。ロックアップが設定されているかどうかは、上場前に発表される有価証券届出書で開示されるほか、グループサイト『やさしいIPO株のはじめ方』で紹介しています。

※1 ベンチャーキャピタルとは、ベンチャー企業に出資する投資会社のことです。

このコラムでは、ロックアップについての説明や調べ方、解除の条件、株価への影響を説明していきます。

ロックアップとは?

ロックアップとは、会社が上場したときに、創業者やベンチャーキャピタルに対してかけられる「一定期間、または一定の株価になるまで株式を売ってはいけない」という制限です。具体的には、「上場後90日間は株を売ってはいけない」などの条件があります。

このような制限が設けられている理由は、上場時に投資した私たち一般投資家が大きな損失を抱えないようにするためです。実は、創業者やベンチャーキャピタルは、上場した後に持っている株を売って、利益を得ようとします。このような人たちは株数をたくさん持っているため、株を売る際に株価を押し下げてしまいます。そうすると、上場時に投資した一般投資家が損失を抱えてしまうので、この事態を防ぐために、ロックアップが設定されているのです。

この説明を読むと、創業者やベンチャーキャピタルが悪者に見えてしまいますが、必ずしもそうとは言い切れません。なぜなら、彼らは「会社が倒産するかもしれない」状況の中、リスクを取って投資してきたからです。リスクを取った分だけ、利益を得られないと、新しいサービスを作ったり成長のために投資したりするメリットがありません。こう考えると、創業者やベンチャーキャピタルが利益確定売りをする理由も、理解できますよね。

ロックアップの調べ方や解除の条件は?

ロックアップの調べ方

ロックアップの有無や詳しい条件は、上場前に発表される有価証券届出書に載っています。有価証券届出書は、EDINETで検索できます。実際に、有価証券届出書のどこに載っているのか、2020年6月24日に上場したフィーチャ(4052)を例に見ていきましょう。

下の画像は、フィーチャの有価証券届出書です。その中の「ロックアップについて」に、株主ごとにどのようなロックアップが掛かっているかが紹介されています。

フィーチャ(4052)の有価証券届出書>

フィーチャ(4052)有価証券届出書

(出典:フィーチャの有価証券届出書

フィーチャの場合は、「180日間」、「90日間&1.5倍」、「90日間」の3つの条件が設定されており、それぞれに当てはまる株主が紹介されています。

このように、有価証券届出書を読めば、株主ごとのロックアップ条件がわかります。しかし、株初心者にとって、有価証券届出書を読むのは少しハードルが高いです。そこで、グループサイト『やさしいIPO株のはじめ方』では、銘柄ごとにロックアップの条件を一覧表でまとめています

フィーチャ(4052)の株主構成とロックアップ>

フィーチャ(4052)株主構成とロックアップ

(出典:やさしいIPO株のはじめ方

この表を見れば、有価証券届出書を読まなくてもロックアップの情報がわかるので、ぜひご活用ください。銘柄ごとの条件は、IPO企業情報の一覧表から確認できます。

ロックアップの種類と期間

ロックアップは、「制度ロックアップ」と「任意ロックアップ」の2種類があります。それぞれ、ロックアップが掛かっている期間が違うので、一覧表にまとめました。

ロックアップの種類 ロックアップの設定方法 ロックアップの期間
制度ロックアップ 取引所の規制に基づいて設定 6か月間、1年間
任意ロックアップ 主幹事証券会社が任意に設定 90日間、180日間
※公募価格の1.5倍以上で売れる条項が付く場合も

制度ロックアップと任意ロックアップの違いは、大きく分けて2つあります。1つは、ロックアップの設定方法の違いです。制度ロックアップは、取引所の規制に基づいて設定されます。これに対し、任意ロックアップは、主幹事証券会社が設定します。

もう1つの違いは、ロックアップ期間の長さです。制度ロックアップの方が長く、6か月または1年間株が売れません。これに対して、任意ロックアップは期間が短く、最短だと90日後(約3か月後)に株が売れます。

また、任意ロックアップには「公募価格の1.5倍以上になったら株を売っても良い」といった解除条件が付く場合があります。この場合、ロックアップ期間中であっても、株価が公募価格の1.5倍以上である限り、売り注文を出せるようになります。

ロックアップ解除後の株価の動き

ロックアップが解除されたあと、創業者やベンチャーキャピタルが株式を売って利益を確定させる場合が多いです。そのため、一般的にロックアップ解除後は株価が下がります。ここで、先ほど紹介した、フィーチャの株価推移を見てみましょう。

フィーチャ(4052)の株価推移>

フィーチャ(4052)株価推移

(出典:SBI証券

フィーチャの場合、大量保有報告書と変更報告書で確認できたのは、「NVCC7号投資事業有限責任組合」と「名古屋大学・東海地区大学広域ベンチャー1号投資事業有限責任組合」を運営する日本ベンチャーキャピタルと、筆頭株主の曹暉氏(配偶者の王潞氏と連名)の2名です。

まず、日本ベンチャーキャピタル(以下、ベンチャーキャピタル)が、2020年6月末ごろに持っている株の50%を売りました。売った株数は189,000株で、上場時発行済株式数の3.5%にあたります。上場のタイミングでかなり高く初値が付き、利益を確定させる株主が多かったことも重なり、株価が一気に下がりました

ロックアップが掛かっているはずのベンチャーキャピタルが、上場後すぐに株を売ったのは、制限の内容が「90日間&1.5倍」だったからです。この制限は、「90日間株を売ってはいけないが、株価が公募価格の1.5倍に上昇した場合は株を売っても良い」というものです。フィーチャは、公募価格520円に対して初値が4,710円(公募価格比+805.8%)となったため、ロックアップの制限が外れたのです。

次に、曹暉氏(以下、筆頭株主)の売却についてです。変更報告書によると、2021年2月末に配偶者が持っている株の22%を売りました。売った株数は247,300株で、上場時発行済株式数の4.6%にあたります。この後、株価が下がりました

筆頭株主のロックアップを確認すると、「180日間」となっています。ベンチャーキャピタルのように「1.5倍」の条件が付いていないため、上場日から計算して180日後の2020年12月20日までは売れない状態となっていたのです。2021年に入ってから株価が上がったため、筆頭株主は利益確定のために一部を売ったと考えられます。

このように、筆頭株主やベンチャーキャピタルのロックアップが外れると、株価が下がります。IPOに当選した場合は、ロックアップが外れる前に売って利益を確定しておくのも良いでしょう。

また、ロックアップが外れて既存株主が利益確定し終わったあとに投資し、「決算での見直し買い」を狙って投資する方法もあります。いわゆる「IPOセカンダリー投資」と呼ばれる方法ですが、必ずしもすべての銘柄に「決算での見直し買い」があるとは限りません。その後も株価が下がり続ける場合があるので、注意が必要です。

まとめ

ロックアップは、会社が上場したときに、創業者やベンチャーキャピタルに対してかけられる「一定期間、または一定の株価になるまで株式を売ってはいけない」という制限です。上場直後に株価が急落しないようにするための制度なので、ロックアップが外れると株価が下がります

しかし、ロックアップが解除されて株価が下がりきったあと、決算などで「見直し買い」があり、株価が上がる場合があります。この性質を生かして、ロックアップ解除後、株価が下がりきってから投資する「IPOセカンダリー投資」にチャレンジするのもよいかもしれません。

ロックアップについて理解を深め、上手に投資に生かしていきたいですね。

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やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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