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アメリカの投資銀行がGCAのTOBを発表!株価はどうなる?
2021年8月3日、アメリカの投資銀行フーリハン・ローキーが、GCA(2174)に対して1株1,380円でTOB(株式公開買い付け)をおこなうと発表しました※1。買収総額は約681億円強となります。今回のTOBでは、フーリハン・ローキーがすべての株主から株式の取得を目指すため、TOBが成立すれば、GCAは上場廃止になります。
※1 参考:Houlihan Lokey, Inc.による GCA 株式会社(証券コード:2174)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ[PDF]
今回のTOBの目的は?
フーリハン・ローキーがGCAに対してTOBをおこなう目的は、ITやソフトウェアなどのテクノロジー分野のM&Aに強く、日本企業とのつながりが深いGCAを取り込むことで、日本企業へのM&Aの助言を増やすことです。
実際に日本企業によるM&A件数や金額は、新型コロナウイルス後も増加傾向にあり、新型コロナウイルスの影響が収まれば日本企業のM&Aはさらに活発になる可能性があります。
一方のGCAにとっても、日本企業がM&Aを検討する際に米国で実績のあるフーリハン・ローキーと組むことで、米国でのM&Aが支援しやすくなるというメリットがあります。そのため今回のTOBは両者にとってメリットがある友好的なTOBであると言えます。
GCAの直近の主な実績
出典:実績一覧|GCA
今後の株価への影響は?
今回のTOBでは、すべての株主から株式を取得する予定です。そのため、TOB価格である1,380円付近まで株価は上昇すると考えられます。発表を受けて、制限値幅上限(ストップ高水準)の1,351円まで株価が上昇しています(2021年8月3日11時現在)。
フーリハン・ローキーがTOB価格を引き上げると発表(2021年9月9日追記)
フーリハン・ローキーが、TOB価格を1,380円から1,398円に引き上げると発表しました。フーリハン・ローキーがTOB価格を引き上げたのは、GCAの業績が当初の想定より上回って推移しており、上方修正をおこなったからです。
GCAはM&Aアドバイザリー業界の活況を背景に、当初は成功する可能性が低いと思われた複数の大型案件が進展し、純利益ベースで約9億円業績が上振れることになりました。このような状況から、GCAはフーリハン・ローキーに対してTOB価格を引き上げることを求め、フーリハン・ローキーも受け入れたことで、今回のTOB価格の引き上げにつながりました。
ちなみに、TOB価格を1,398円に引き上げた根拠は、「1株あたりの業績の上振れた額※2が18円であり、その額をそれまでのTOB価格(1,380円)に足し合わせて決定した」、と発表しています。
※2 1株あたりの業績の上振れた額=純利益ベースでの業績の上振れ(9億円)÷フーリハン・ローキーによる買付予定株数(49,382,808株)
過去には、対抗的な買収者やアクティビストが現れた際に、TOB価格が引き上げられることはありましたが、今回のように業績の上振れを理由にTOB価格が引き上げられることは非常に珍しいと言えます。
フーリハン・ローキーのTOBが成立 (2021年9月29日追記)
フーリハン・ローキーによるGCAの公開買い付け期間が終わり、TOBの成立下限を上回る株式の応募があったため、TOBが成立しました。GCAは上場廃止になる予定※3です。
※3 参考:Houlihan Lokey, Inc.による当社株式等に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ[PDF]
まとめ
フーリハン・ローキーによるGCAのTOBについて解説しました。今回のTOBによって、フーリハン・ローキーにとっては日本企業へのM&Aの助言を増やすことにつながり、GCAにとっても米国でのM&A支援がしやすくなります。
今後、両者が組むことで、それぞれの顧客にとってもM&Aの助言・支援の幅が広がるため、日本企業・米国企業によるクロスボーダーM&A※4が増える可能性もあります。
※4 クロスボーダーM&Aとは、「国境を越えておこなう買収や合併」のことです。譲渡企業あるいは譲受企業のいずれかが海外企業によるものであるときのことです。例えば、日立製作所による米IT企業グローバルロジックの買収や、パナソニックによる米ソフトウェア企業ブルーヨンダーの買収などがクロスボーダーM&Aにあたります。
また、今回のTOBでは、公開買付期間中に業績の上振れを理由にTOB価格が引き上げられており、非常に珍しいケースだったとも言えるでしょう。
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