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PO(公募・売出)とは?儲かるものなの?わかりやすく解説します

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年11月30日

PO(公募・売出)とは、すでに上場している企業が、新規で株式の発行(公募)や、発行済みの株式を売却(売出)をすることです。会社は成長力を高めるために、資金調達をする必要があります。POは、設備投資や人材獲得、企業買収などに必要な資金を、投資家から集めることを目的としています。

投資家は、企業から出された目論見書で投資するかを判断して、ブックビルディングに参加します。これだけ聞くと、IPO(新規公開株)と似ているようにも思えます。その違いは何でしょうか?

POとIPOの違いは?

まず、POの申し込みから購入までの流れを説明します。

  • ステップ①:目論見書の確認
  • ステップ②:ブックビルディングに参加
  • ステップ③:売出価格決定
  • ステップ④:抽選
  • ステップ⑤:当選したら購入申し込み

IPOとの一番の違いは、ステップ②のブックビルディングです。POの場合、今の株価から何%安く買うか、ディスカウント率を提示するのです。具体的には、仮条件として「2.0%、2.5%、3.0%」などと提示された中から、投資家が一つ選ぶのです。

当選するかどうかは、以下のように判断されます。AさんとBさんが、とある企業のブックビルディングに参加したとします。Aさんは“2.0%”、Bさんは“3.0%”を選びました。

POのブックビルディングの説明

その後、売出価格として割引率は2.4%に決定しました。それよりも割引率が低い金額を提示したAさんが当選し、購入へ進むことになります。

一般的に価格決定日の翌日から3日間で購入申込期間となり、およそ1週間後に株が発行されます。例えば、2018年10月3日にPOを発表した東急不動産ホールディングス(3289)のスケジュールはこのようになっています。

東急不動産ホールディングス(3289)のPOスケジュール
PO発表日 10月3日
抽選申込期間
(ブックビルディング)
10月4日~10月22日
価格決定日 10月22日
抽選結果発表日 10月23日
受渡日 10月30日

(参考:大和証券

注意したいのは、購入してから株券が手に入るまで1週間程度タイムラグが発生することです。東急不動産ホールディングス(3289)の場合、23日に当選が確定したとしても、30日まで売却はできません。

結局、POは儲かるの?

POは、短期でみると儲かりにくいです。その理由は2つあります。

  1. 株式の需給が悪化し、株価が下がりやすい
  2. 調達した資金が長期的な使途となる

1つ目は、純粋に市場に出回る株式の数が多くなり、希少性が失われるということです。これを「株式の希薄化」といいます。希薄化が起こると、株価は下がる傾向があります。

2つ目は企業が調達した資金は設備投資などに回され、短期的な業績には結びつきにくいということです。先ほどの東急不動産ホールディングス(3289)を例にとると、調達資金は渋谷区の再開発に充当するとあります。このプロジェクトは2023年度に完成を目指す巨大なもの。その成果が業績に跳ね返るのに、何年もかかります。

では、東急不動産ホールディングス(3289)の株式を、POで購入した場合のシミュレーションをしてみましょう。

東急不動産ホールディングス(3289)のPOスケジュール
日付 内容 株価
10月3日 PO発表日の終値 778円
10月22日 価格決定日の終値 649円
- 公募価格 629円
10月30日 受渡日の終値 630円(公募価格+1円

受渡日(10月30日)の終値は630円で、公募価格に対して、たった1円しか上がっていません。受渡日の始値は647円だったので、仮にここで売ったとしても、+18円(2.86%)です。IPOのように、初値売りで数十%の利益が得られるものではありません。短期的な利益を狙いにくいものであることがわかります。

しかしながら、渋谷再開発プロジェクトは、将来的に価値の高いものであることは明白です。目論見書や決算書を読み、企業のビジョンや経営計画、資金調達の使い道に共感できるかどうかが、PO投資のカギとなります。

POと立会外分売の違いは?

株をディスカウント価格で買えるものとして、POの他に「立会外分売(たちあいがいぶんばい)」があります。これは、株主の数を増やすことを目的としておこなわれるものです。POと立会外分売の一番の違いは、規模です。

例えば2018年11月29日に、はごろもフーズ(2831)がおこなった立会外分売の株数は、“50,000株”です。POをおこなった東急不動産ホールディングス(3289)の“71,158,000株”と比べると、規模の差は歴然です。また、申込期間にも大きな差があります。立会外分売の申込期間は、前日の18時から翌日の8時までの“14時間”ほどしかありません。POは銘柄にもよりますが、約2週間ほどあります。

立会外分売のメリットは、決定日の翌日にはもう売却可能なことです。1週間ほど待たなければならないPOと違い、立会外分売は利益が出たと判断した瞬間に動ける点は大きいです。

POをうまく使って株式投資の達人になろう

これまで見てきたとおり、POは基本的に株価が下がる要因となります。POに参加する場合は、企業のことをよく知り、事業内容や成長性を理解した上で、投資することをおすすめします

最後に一つ、PO投資のヒントをお伝えします。POが悪材料になりにくいカテゴリが一つあります。それは「リート」です。リートは投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業ビル、マンションなどを所有し、入居者募るものです。リートは所有する不動産が多ければ多いほど、業績に直結する傾向があります。

2017年のリート銘柄で、PO騰落率(発行価格と受け渡し日の始値)の勝率は100%でした。2017年の東証1部の銘柄の勝率は72.5%です。

ただし、2018年は産業ファンド投資法人や、三菱地所物流リート投資法人など、騰落率がマイナスの銘柄も出ています。必ずしも、リートが値上がりするわけではありません。やはり、「調達した資金で何をしようとしているのか」を理解することが重要です。

株式投資の奥深さを理解して自分にあった投資戦術を

POは企業が一段と成長するための手段として、とても重要です。目先の株価に右往左往することなく、企業の長期的な成長性やビジョンを理解して投資ができるようになると、また違う世界が見えてきます。短期的に利益を得る方法や、中長期を見据えた投資術を身に着けて、自分の性格やライフスタイルにあった投資をしましょう!

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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