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【下水道関連株・銘柄まとめ】老朽化が進むなかで下水道管メーカーに恩恵!話題のドローン検査や今後の見通しも解説

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2025年5月29日

お知らせ
(2025年5月29日追記)日本経済新聞によると、日本政府は老朽化が進んだ下水道の更新工事を2030年度までに完了させるとのことです。報道を受けて下水道関連株に注目が集まっています。

下水道関連株は、下水道にかかわる会社の株です。下水道は、家庭や工場で使い終わった水や雨水を処理場と川まで運ぶ一連の設備を指します。

下水道の多くが高度経済成長期に作られたため、老朽化が進んでいます。2025年1月には、埼玉県八潮市(やしおし)で古い下水道管からあふれた水が周りの土をくずして、道路に穴が開く事故が起きました。このような事故によって、下水道の更新需要が高まると考えられます。

この記事では、下水道関連株にはどのような銘柄があるのか、今後どうなるのかを、株初心者向けにわかりやすく解説します。

下水道の基礎知識をわかりやすく解説

下水道とは、家庭や工場で使い終わった水や雨水を、下水道管を通して処理場と川まで運ぶ一連の設備を指します。多くの下水道は高度経済成長期に作られたため、老朽化が進んでいる状況です。

冒頭でもお伝えしたように、2025年1月には埼玉県八潮市で古い下水道管が破裂し、道路が陥没する事故が起きました。このような下水道管の破損による道路の陥没は、年間約2,600件※1発生しています。

※1 2022年のデータです。

下水道管の破裂による道路の陥没は年間2,600件発生

出典:国土交通省 | 令和5年度 下水道管路メンテナンス年報

日本中に張り巡らされた下水道管の長さは約49万kmです。このうち、耐久年数の50年を超える下水道管の長さは、2022年度時点で約3万km(全体の7%)となっています。10年後には2割弱、20年後には約4割に達する見込みです。近年、相次ぐ水害や地震への対策も相まって、下水道の更新需要は高まっていくでしょう。

管路施設の年度別管理延長(令和4年度末)

出典:国土交通省 | 令和5年度 下水道管路メンテナンス年報

一方で、人口の減少に合わせて下水道の使用料収入が減っていくので、下水道事業をになう市町村は財政的にきびしい状況に置かれることになりそうです。下水道関連各社は、作業の効率化とコストダウンにつながる新工法や、レーダーやドローンによる地下調査などのさまざまな工夫を重ねて下水道事業に貢献しています。

下水道関連株・銘柄一覧

下水道関連株には、大きく分けて下の2種類があります。

それぞれ、どのような会社があるか紹介しますね。

① 下水道のコンサルティングや調査をおこなう会社

上下水道の調査や計画などに強みを持つオリジナル設計(4642)NJS(2325)日水コン(261A)の3社をピックアップしました。

加えて、上下水道管やガス管などの地中インフラの位置情報を提供する応用地質(9755)も合わせて紹介します。

② 下水道管を作る会社

下水道管は、傷みにくく小さな管も作りやすい塩化ビニール製が現在の主流ですが、下水道には鋼管やコンクリート管も多く使われています。

塩化ビニール製の下水道管を製造する前澤化成工業(7925)旭有機材(4216)、下水道用の鉄管を製造する栗本鐵工所(5602)日本鋳鉄管(5612)、コンクリート製の水道管を作る日本ヒューム(5262)を取り上げます。

加えて、上下水道関連の土木工事をおこなう大盛工業(1844)も紹介します。

銘柄名
クリックタップで最新株価)
事業内容
オリジナル設計
(4642)
上下水道を軸とするコンサルタント会社。高解像度カメラを取り付けたドローンによる下水道点検に取り組む。能登半島の上下水道の被災調査も請け負う。
NJS
(2325)
水道関連のコンサルタント会社。上下水道の整備、運用などをおこなう。ドローン専業のACSL(6232)と共同で、下水道管の中を点検するドローンを開発した。
日水コン
(261A)
上下水道のコンサルタント会社。2024年10月に新規上場。売上の半分超を下水道が占めている。ブルーイノベーション(5597)社製のドローンを使った下水道管の点検に取り組む。
応用地質
(9755)
建設コンサルタント会社。地質・地盤に関わる技術に強い。八潮市の事故を受けて同社の空洞探査サービスが注目されている。レーダーを搭載した車を使って道路の下の空洞や管を調べ、日立製作所(6501)が提供するAIで分析する仕組み。
大盛工業
(1844)
建設会社。東京都内を中心に上下水道の土木工事をおこなう。すでに敷設されている水道管のなかに新しい管を作る『ピカルス工法(パイプ・イン・パイプ工法)』を開発し特許を取得。
前澤化成工業
(7925)
「水のマエザワ」として、上水道・下水道・環境関連機器や水処理システムなどを開発・製造・販売する。耐久性に優れた硬質ポリ塩化ビニール製の下水道管を提供。
旭有機材
(4216)
樹脂製品メーカー。上下水道や農業用水、工場に使われる樹脂製バルブやパイプを製造している。傘下のグループ会社が、事業所向けの排水処理や上下水道施設の水処理などを手がける。
栗本鐵工所
(5602)
鉄鋼製品メーカー。水道管をはじめとするライフライン関連が売上の約半分を占める。下水道用のダクタイル鉄管(球状の黒鉛を使った丈夫な鉄管)を提供している。2025年3月期の配当を21円引き上げた。
日本鋳鉄管
(5612)
水道管メーカー。上下水道・ガスなどの公共インフラ事業を展開。鉄管、ポリエチレン管、マンホールのふたを製造販売する。ダクタイル鉄管の製造をおこなう合弁会社の設立についてクボタ(6326)と合意した。
日本ヒューム
(5262)
コンクリート製品メーカー。雨水対策に用いられるヒューム管などの下水道関連製品や工事を提供している。洪水・浸水を防ぐための雨水貯留管や貯留施設などの工事も請け負う。

下水道関連株・銘柄の見通し

下水道関連株の見通しを「良い・普通・悪い」で表すと、「良い」と言えます。古い下水道設備の割合が高まるにつれ、調査や工事の依頼が増えていくからです。政府が災害に強い国づくりをかかげ、地震や水害、老朽化への対策を支援していることも追い風となります。

また、八潮市の下水道管事故を受けて、下水道関連銘柄の株価は値上がりしました。全国の下水道設備の老朽化が繰り返し報道され、関連銘柄の注目度が高まったからです。

業績面では、関連製品・サービスの値上げが進みつつあることが良い材料と言えるでしょう。配当利回りが3%前後を超える銘柄が少なくないので、配当をもらいつつ値上がり益をねらう投資も可能ですね。

まずは、下水道事業が置かれている状況について説明します。

下水道事業のきびしい経営状況

全国の下水道の維持管理には、毎年1兆円超の費用がかかっています。市町村の下水道事業では、雨水の処理にかかる費用は税金で支払い、汚水の処理にかかる費用は原則、使用している住民が支払います。

下水道経営の現状:維持管理費は約1.1兆円

出典:国土交通省 | 下水道事業の持続的な運営に向けて

しかし、人口が1万人未満の市町村では使用料の収入が不足しており、処理費用の約6割しかまかなえていません。今後、人口が減るにつれて維持に苦しむ下水道事業が増えることが予想されます。

続いて、各分野の状況について銘柄を交えながら紹介します。

下水道のコンサルティング

下水道事業の維持と効率化をはかるために、民間や近隣の市町村との広域連携、上水道との一体化などの工夫や対応が求められています。下水道事業の課題解決を支援するオリジナル設計(4642)NJS(2325)や日水コン(261A)には活躍のチャンスです。

下水道の調査

人手不足を背景に、下水道管を効率的に調査できるレーダーや高解像度テレビカメラ、ドローンの引き合いが高まっています。

八潮市の道路陥没事故では、下水道管内で行方不明になっていたトラックの運転席をドローンが発見して話題を呼びました。ACSL(6232)ブルーイノベーション(5597)Liberaware(218A)のドローン3銘柄には要注目です。

下水道管の製造・修理

下水道管をはじめとする下水施設の建設や更新には、全国で毎年1.6兆円ほどかかっています。

下水道管の製造に関わる会社としては、銘柄一覧の水道管メーカー4社のほか、農業機械のクボタ(6326)が挙げられます。クボタは、耐震型ダクタイル鉄管の開発に世界で初めて成功しました。

下水道管の修理については、古い下水道管のなかに新しい下水道管を作る技術が、道路を掘り返さずに済むとして期待を集めています。クボタ(6326)大盛工業(1844)が提供している工法です。

テーマ株・関連株の投資に役立つ、おすすめ証券会社

まとめ

八潮市の道路陥没事故をめぐり、下水道の老朽化が繰り返し報道され、関連銘柄が注目を浴びました。この事故の復旧には、2~3年かかるとの見方が有力です。いったん事故が起きてしまうと、大きな犠牲や労力、時間が必要となることにあらめて気づかされた人も多いでしょう。

次の事故の発生を防ぐために、全国の古い下水道の調査や補強、更新などの対策が急がれます。日々の暮らしに欠かせないライフラインを守る下水道関連株を今後もぜひ応援したいですね。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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