1. ホーム
  2. テーマ株・関連株まとめ
  3. 【海運関連株・銘柄まとめ】今後(2023年)の見通しはどうなる?造船株も解説

【海運関連株・銘柄まとめ】今後(2023年)の見通しはどうなる?造船株も解説

最終更新日:2022年10月19日

海運関連株は、船で物資を運ぶ海運業を営む海運会社や、海運業に必要な関連製品・サービスを提供する会社の銘柄です。代表的な銘柄には、海運大手3社と呼ばれる日本郵船(9101)商船三井(9104)川崎汽船(9107)や、船舶を建造する名村造船所(7014)などが挙げられます。

海運関連株は、業績も株価も景気の影響を受けやすい景気敏感株(シクリカル株)です。ボラティリティ(株価の変動度合)が大きく、景気動向によって株価が暴落したり高騰したりします。海運株には「高配当」という魅力がありますが、株価の乱高下で配当金も大きく増減する傾向にあるので注意が必要です。

海運株に投資するなら、日々の経済状況や景気動向を読み取っていく必要があるでしょう。この記事では海運関連株・関連銘柄について解説します。今後の見通しや代表的な10銘柄をピックアップしてご紹介するので、海運株に興味がある方はぜひ参考にしてください。

海運株とバルチック海運指数の相関関係

海運株投資でチェックしておきたいのは、バルチック海運指数です。バルチック海運指数とは、英国の「バルチック海運取引所」が1日1回公表する指数のこと。世界中で運行している外航不定期船(コンテナ輸送※1を主とする定期船以外の国際貨物船)の運賃を収集して算出されており、国際的な海上運賃の指標になっています。

※1 機械や部品、食料などさまざまな品物をコンテナに入れて運ぶ輸送方法です。コンテナ輸送は海洋輸送量の約半分を占めています。

また、バルチック海運指数は「世界の貿易が活発かどうか」を表しているのも特徴です。そのため、世界貿易の活動は、バルチック海運指数が上がれば活発化、下がれば沈静化していることがわかります。世界貿易の活動状況は世界経済にも影響を与えるので、バルチック海運指数は「世界経済の動きに2か月先行する」とも言われる重要な指数です。

したがって、世界貿易と密接な関係がある海運株の株価とバルチック海運指数は、株価連動性が高いと言えます。実際に、バルチック海運指数と海運大手3社の一角である商船三井(9104)の過去のチャート(約20年分)を比較してみましょう。

<バルチック海運指数のチャート(2000年~2022年10月まで)>

バルチック海運指数

(出典:TradingView

商船三井(9104)のチャート(2003年~2022年10月まで)>

商船三井

(出典:SBI証券

このように、バルチック海運指数と海運株の株価は同じような動きをしており、相関関係があることがわかります。海運株を売買する際は、バルチック海運指数もチェックしておきましょう。

海運関連株・銘柄一覧

海運関連株として、「海運会社」と「造船会社」の2ジャンルから合計10社をピックアップしました。

海運会社からは、海運大手3社と呼ばれる日本郵船(9101)商船三井(9104)川崎汽船(9107)や、LNG(液化天然ガス)や原油などのタンカーが中心の明治海運(9115)、バラ積み船が主力のNSユナイテッド海運(9110)など、計8社をピックアップしてあります。

造船会社からは、造船3位の名村造船所(7014)、小型船の造船を得意とする内海造船(7018)の2社を取り挙げました。

銘柄名
クリックタップで最新株価)
事業内容
名村造船所(7014) 造船大手。佐世保重工を2014年に子会社化。大型船の建造がメイン。2022年3月期には連結ベースで6年連続の営業損失となり経営が悪化。足元では不況時に受注した低船価船などの収益が円安効果で大幅改善の見込み。
内海造船(7018) 造船会社。新造船と修繕の二つが事業の柱。日立造船が筆頭株主。国内フェリーをはじめ、コンテナ船、ばら積み貨物船、タンカー船、自動車船など多彩な船種を建造。修繕は官公庁船、練習船、特殊船も対象に含む。三菱造船から特許権侵害に基づく12億4,000万円の損害賠償請求訴訟を提起され現在係争中。
日本郵船(9101) 海運国内首位。定期船を主力事業とし、航空運送、物流、不定期船、不動産事業を営む。コンテナ船会社「Ocean Network Express Japan」に海運大手3社で共同出資。
商船三井(9104) 海運国内2位。鉄鋼鋼材などの各種専用船、原油やLNGを運ぶタンカー、自動車船、コンテナ船を運行。コンテナ船会社「Ocean Network Express Japan」に海運大手3社で共同出資。
川崎汽船(9107) 海運大手3社の一角。鉄鉱石・石炭・穀物のばら積み船、自動車船、LNG船、LPG船(ブタン・プロパンなどの液化石油ガスを輸送)。コンテナ船会社「Ocean Network Express Japan」に海運大手3社で共同出資。
NSユナイテッド海運(9110) 海運会社。旧新和海運。2010年に日鉄海運と合併。鉄鋼鋼材のバラ積み船を中心に石炭、穀物なども輸送。筆頭株主である日本製鉄向けの売上が4割。日本郵船(9101)とも船舶の貸渡しなどを通じた協業・資本関係にある。
明治海運(9115) 海運会社。LNG・原油・石油化学製品のタンカーを中心に、自動車専用船、大型コンテナ船、木材チップ専用船、ばら積み船などを保有し船舶貸渡業(船舶を同業他社に貸す)と運行管理をおこなう。ホテル、不動産、保育、介護事業にも進出。売上の2割前後が日本郵船(9101)向け。
飯野海運(9119) 海運会社。大型原油タンカー、大型ガス(LPG・LNG)船、化学品タンカー、中小型ばら積み船、小型ガス船などを運行。東京の劇場「イイノホール」や賃貸マンション運営などの不動産業も手がける。
共栄タンカー(9130) 海運会社。大型原油タンカーの長期貸船契約(長期に渡って船舶を同業他社に貸し出す契約)が事業の主体。船隊構成は原油船5割、LPG船2割、ばら積み船3割。日本郵船(9101)が筆頭株主。2024年初に竣工予定のLPG船を建設中。
乾汽船(9308) 海運会社。海運事業、倉庫・運送事業、不動産事業を展開。バラ積み小型船による輸送と船舶貸渡業が主力。倉庫、賃貸物流施設や配送サービスを提供。勝どき・月島エリアの賃貸マンションを運営。

海運関連株・関連銘柄の見通し(2023年)

海運株の2023年の見通しを「良い・普通・悪い」で表すと、「普通~悪い」と言えます。世界景気の減速とともに、世界の海運需要は縮小に向かっているからです。

海運需要のひっ迫で高騰していた船舶の賃料は、2021年秋をピークに下落。海運関連会社は、輸送需要のピークアウトに直面しています。米格付け大手のムーディーズは、国際海運市況はピークを過ぎて縮小に転じ、2023年の世界の海運会社の利益は2022年比で7割減少する発表しました。

また、コロナ禍とウクライナ侵攻の影響で、燃料や原材料などのさまざまな物資が不足。世界中でインフレが進行する事態となり、景気過熱を抑えるために各国は金利の引き上げを急いでいます。金利の引き上げは人々の消費や会社の設備投資意欲を低下させるので、物資の流通量が少なくなり、海運需要も減速に向かうでしょう。

ただし、足元の円安は運賃をドル建てで受け取る海運会社にとっては追い風です。海運需要の減速による悪い影響と、円安メリットによる良い影響のどちらも考慮する必要があるでしょう。

このように、海運株全体を見ると見通しはあまり良くありません。しかし「造船業」や「船舶貸出業」など、部分的に見ていくと見通しは「良い」ので、それぞれかんたんにご紹介します。

造船株の見通しは「良い」

造船株の見通しは「良い」と言えます。インドの調査会社「Mordor Intelligence」の調べによれば、世界の造船市場は年率4.84%で成長し、2021年の1,325.2億米ドルから2027年には1,759.8億米ドルに達するとされています※2

※2 参考:造船市場-成長、傾向、COVID-19の影響、および予測(2022年-2027年)(Mordor Intelligence)

造船需要の拡大は、日本の造船株にとってプラスです。日本船舶輸出組合が発表した2021年の新造船契約実績は、環境対応船が好調で前年の2.1倍に増加しました。名村造船所(7014)は、LNG(液化天然ガス)やLPG(液化石油ガス)を主燃料とする大型船を相次いで受注しています。ドル建ての売上が増えることで、円安メリットも受けられるでしょう。

近年、日本の造船業は世界首位を争う中国、韓国に圧倒されてきましたが、船舶の低・脱炭素化が進むにつれ、日本の優れた技術が再び注目されることになりそうです。

原油・LNGタンカー需要は世界的に増加

原油やLNG(液化天然ガス)を運ぶタンカー※3の需要は世界的に増加しているので、船舶貸出業でタンカーを貸し出している会社の業績見通しは「良い」と言えます。

※3 タンカーとは、液体を輸送するタンク構造の貿易船のことです。

タンカー需要の拡大は、ウクライナ侵攻をめぐりロシア産の原油やLNGタンカーの利用が制限されたことが要因です。そのため、特に欧州においては遠方から燃料を運ぶ必要性があり、世界の燃料の輸送距離は延びる傾向にあります。

原油・LNGのタンカーを得意とする明治海運(9115)飯野海運(9119)共栄タンカー(9130)の関連事業は、業績が堅調と言えそうです。

注意

記載の見通しは、当サイト編集部の見解なので、結果を保証するものではありません。いかなる不利益が生じた際にも当サイトは一切の責任を負いませんので、すべてにおける最終判断はご自身でおこなってください。

テーマ株・関連株の投資に役立つ、おすすめ証券会社

テーマ株・関連株に投資するなら、証券会社が提供しているサービスやツールがおすすめです。

証券会社名
(公式サイトへ)
サービス名 特徴 詳細
SBI証券
レポート&2,500円
プレゼント
テーマキラー ・買付手数料が無料
・成長期待のテーマ株10社に分散投資できる
5万円から購入できる

詳細

松井証券
最大33,000円
キャッシュバック
テーマ
投資ガイド
・人気テーマのランキングが見られる
・経済ニュースや決算情報が配信される
・口座開設すれば無料で利用できる

詳細

DMM株
抽選で2,000円
プレゼント
DMM株
(スマホアプリ版)
・人気テーマのランキングが見られる
アメリカのテーマ株も見られる
・米国株の売買手数料が無料

詳細

2023年9月現在)

どれもテーマ投資をするうえでとても役立つので、ぜひ使ってみてください。特におすすめの証券会社は、SBI証券です。

テーマキラーを使えば、成長が期待できるテーマ株10社に、最低5万円から分散投資ができます。また、一日の約定代金の合計が100万円以下なら国内株の売買手数料が無料で、単元未満株(1株単位)の取引でも買付手数料は実質無料です。

そのほか、会社四季報が見られたり、銘柄分析ができる「分析の匠」が使えたり、投資に役立つサービスやツールも無料で使い放題です。

当サイト限定タイアップ企画で、口座開設+2万円以上の入金・振替で、もれなく現金2,500円とオリジナルレポート「株初心者でも見つかる株の選び方」がもらえるキャンペーンを実施しているので、ぜひ口座開設してくださいね。

SBI証券に口座開設

口座開設料・年会費などは一切かかりません。

まとめ

海運関連株の見通しは良いとは言えません。海運会社の利益のピークが過ぎたことが業績面で明らかになれば、先行して下落している株価を追うかたちで配当金額も縮小していくことになるでしょう。

しかし、ピークを超えたとはいえ海運市況の活況と、円安が続く当面の事業環境は、日本の海運会社にとって悪い状況ではありません。円安に歯止めがかかるまでの間は、脱炭素化を目指すための余力を蓄えるチャンスと言えるので、今後も動向を追っていきたいですね。

ページ上部へ移動