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【メタンハイドレート関連株・銘柄】なぜ採掘しない?実用化は無理?関連企業や見通しを解説
最終更新日:2023年9月15日
メタンハイドレート関連株とは、メタンハイドレートの採掘や利用にかかわる会社の株で、国策銘柄※1です。
※1 国策銘柄(国策関連株)とは、国が目標を掲げて政策で後押しする分野の株です。建設、防衛、環境、インバウンド(訪日外国人客)、半導体などが代表的な国策関連の分野です。
この記事では、メタンハイドレート関連の代表的な銘柄や今後の見通しなどを解説するので、ぜひ参考にしてください。
メタンハイドレートとは?なぜ採掘しない?
メタンハイドレートは、「水」と「メタン※2」でできている、氷のような形をしている物質です。火を近づけるとメタンが燃えるので「燃える氷」と呼ばれており、CO2の排出が少ない燃料として注目されています。
※2 メタンは、無色・無臭の気体で、天然ガスの主成分です。強い温室効果ガスとして知られ、湿地や牛の消化過程、天然ガスの採掘など、さまざまな場所から放出されます。
出典:知っておきたいエネルギーの基礎用語 ~メタンハイドレートとは?|広報特集|資源エネルギー庁
メタンハイドレートは深い海床や永久凍土などに含まれており、日本の周辺海域にも広く分布しています。メタンから水素、水素からアンモニアが生成できることから、水素やアンモニアの原料としても期待されているのも特徴です。
政府は「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画※3」に基づき、2027年度をめどにメタンハイドレートの商業化を目指すとしていますが、実現に関して疑念の声も出ています。なぜなら、深海からのメタンハイドレートの回収に費用がかかりすぎれば、採算が取れない可能性があるからです。
※3「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」は、海底資源の開発を進めるための政府の計画です。
また、日本近海の埋蔵量は、天然ガスの国内使用量100年分とも言われていますが、濃度や質、分布にばらつきがあるので、そのすべてが技術的・経済的に利用可能というわけではありません。
そのため、今後の技術開発とコスト削減の進展が待たれます。
メタンハイドレート関連株・銘柄一覧
メタンハイドレートは、「表層型メタンハイドレート」と「砂層型メタンハイドレート」の大きく二種類に分けられます。
出典:メタンハイドレートとは?(産総研マガジン)
表層型メタンハイドレート
日本海側の水深500mほどの海底の表面上に少量ずつ塊(かたまり)となって点在しています。
三井海洋開発(6269)と、三井E&Sホールディングス(7003)および三菱重工(7011)の傘下のグループ会社各社が、メタンハイドレートの採掘、揚収(海上に引き揚げる)、分離(土砂とメタンを仕分ける)技術の開発に取り組んでいます。
砂層型メタンハイドレート
太平洋側の水深1,000mほどの海底からさらに数百メートル下の砂の層に分布しています。
INPEX(1605)、石油資源開発(1662)、三菱瓦斯化学(4182)、千代田化工建設(6366)は、砂層型メタンハイドレートの調査研究をおこなう「日本メタンハイドレート調査株式会社」に出資しています。
ENEOSホールディングス(5020)と日本製鉄(5401)はそれぞれの子会社を通じて出資しています。応用地質(9755)は深海の環境を再現した装置を試作しています。
今回取りあげた会社の多くは規模が大きく、メタンハイドレートは数ある事業のうちのひとつです。メタンハイドレート株を検討する際は、各社の主要事業の業績をチェックしましょう。
紹介した10銘柄の事業内容を以下の表にまとめたので、参考にしてください。
銘柄名 (クリックタップで最新株価) |
事業内容 |
---|---|
INPEX(1605) | 石油・ガス開発会社大手。日本メタンハイドレート調査株式会社に出資。新潟県で合成メタンの生産を2025年に開始。年間配当は30円を下限とし、総還元性向(会社から株主に渡る利益の割合)は40%以上を目途とする。 |
石油資源開発(1662) | 石油・ガス開発会社大手。日本メタンハイドレート調査株式会社に出資。渥美半島~志摩半島沖で行われた国の海洋産出試験に協力している。一株当たり年間50円配当の維持に努める。 |
三菱瓦斯化学(4182) | 化学品メーカー。日本メタンハイドレート調査株式会社に出資。佐渡沖で新潟大学などが行った表層型メタンハイドレートの探査・回収にも協力。総還元性向40%を中期的な目安とする。 |
ENEOSホールディングス(5020) | 国内首位の石油会社。子会社のJX石油開発が日本メタンハイドレート調査株式会社に出資。その傘下の日本海洋掘削はインド沖のメタンハイドレート掘削工事を受注した実績を持つ。 |
日本製鉄(5401) | 大手鉄鋼メーカー。子会社の日鉄エンジニアリングが、日本メタンハイドレート調査株式会社に出資している。排ガスから合成メタンを製造する技術の導入・検証をタイのセメントメーカーと協業しておこなう。 |
三井海洋開発(6269) | 浮体式海洋石油・ガス生産設備の設計、製造販売やリース、オペレーションなどをおこなう。大口径ドリルを用いた表層型メタンハイドレートの掘削や回収技術の開発に取り組む。 |
千代田化工建設(6366) | ガス、電力、石油などの設備工事会社。石油・天然ガスや鉱物資源の開発も行う。日本メタンハイドレート調査株式会社に出資。豪州の技術メーカー、中部電力と三社共同でメタンを原料とした水素などの生産効率化に取り組む。 |
三井E&Sホールディングス(7003) | 重工業メーカー大手。表層型メタンハイドレートの開発にあたり、傘下の三井E&S造船グループの掘削ドリルによる採掘とガスを使った揚収、船上での分離技術が有望視されている。 |
三菱重工(7011) | 国内首位の重工業メーカー。表層型メタンハイドレートの開発にあたり、傘下の三菱造船グループが持つ採掘技術と水中ポンプを使った揚収、海底での分離技術が有望視されている。 |
応用地質(9755) | 地質・地盤調査会社。メタンハイドレートの室内生成設備や水深1000メートルの採掘現場を再現した試験装置や環境モニタリング用の計測装置などを作製し、研究開発に貢献している。 |
メタンハイドレート関連株の見通し
メタンハイドレート関連株の見通しを「良い・普通・悪い」で表すと、「良い」と言えます。メタンハイドレートは、環境にやさしい国産の次世代エネルギーとして、国が開発と利用を推進しているからです。
では、メタンハイドレートのメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット
メタンハイドレートのメリットを3つ紹介します。
①CO2の排出が少ない燃料
メタンハイドレートをガスとして使用する時に発生するCO2や窒素酸化物は、石油などの化石燃料に比べて3割ほど少なくなります。
②水素やアンモニアの原料になる
メタンハイドレートは、水素やアンモニアの供給源としても注目されています。政府は2050年までに「温暖化ガスの排出をゼロ」とする目標を掲げており、利用時にCO2を出さない水素やアンモニアの原料確保を急いでいるからです。
③国産の資源エネルギーである
日本は、石油・ガスのほぼ全量を輸入に頼っています。エネルギー安全保障※4の観点からも、国産燃料としてメタンハイドレートの開発に期待がかかるでしょう。
※4 エネルギー安全保障は、日本の経済産業省や資源エネルギー庁によって「国民生活や経済・社会活動、国防等に必要なエネルギーを受容可能な価格で確保できること」として定義されています。
デメリット・懸念点
メタンハイドレートのデメリット・懸念点を3つまとめました。
① メタンガスが大気中に漏れ出す懸念がある
メタンハイドレートを採掘する際に、意図せずメタンが大気中に放出される可能性があります。メタンは二酸化炭素の28倍の温室効果を持つガスであり、環境への影響が心配されます。
② 採掘技術が確立されていない
政府は2027年度までにメタンハイドレートの利用を商業化するとしていますが、採掘・揚収・分離技術はまだ研究段階にあります。
③ 採掘コストが高い
深海に点在しているメタンハイドレートを採掘して地上に引き上げるには、高額な費用が必要です。メタンハイドレートの生産原価の試算は1立方メートルあたり46~174円と非常に幅が大きく、高止まりしている原油・ガスの価格と比べても安いとは言いきれません。
また、水素や合成メタン、アンモニアといった他の新しいエネルギーの実用化とコストダウンが進めば、メタンハイドレートの利用は二の次になる可能性もあります。
以上を踏まえ、技術開発や生産試験、効率化への取り組みなどの商業化に向けた進展を見守っていく必要があるでしょう。
注意
記載の見通しは、当サイト編集部の見解なので、結果を保証するものではありません。いかなる不利益が生じた際にも当サイトは一切の責任を負いませんので、すべてにおける最終判断はご自身でおこなってください。
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まとめ
メタンハイドレート関連株は、やや期待が先行しているとはいえ、国策銘柄として注目が集まりやすい株です。今後も関連ニュースが報道されるたびにこれまでと同様、値動きが大きくなると考えられます。
メタンハイドレート関連株の売買にあたっては、研究開発に関する報道に加えて、政府機関の動きも見逃さないようにしましょう。また、メタンハイドレート関連株を中長期で保有する際は、各社の主力事業の業績と見通しを判断材料に使うのがおすすめです。