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【SAF(持続可能な航空燃料)関連株・銘柄まとめ】バイオ燃料で二酸化炭素を削減!今後の見通しなどを解説

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2024年11月14日

SAF(持続可能な航空燃料)※1関連株は、「SAFの開発・製造・販売・利用にかかわる会社の株」です。

※1 SAF(持続可能な航空燃料:Sustainable Aviation Fuel)は、石油から作る従来のジェット燃料に比べてCO2の排出量を約80%減らすことができます。

この記事では、SAF(持続可能な航空燃料)関連株の今後の見通しや、関連銘柄10社をピックアップしてご紹介します。

SAF(持続可能な航空燃料)の利用が進む背景

航空業界が排出するCO2(二酸化炭素)は、世界の排出量の約2.5%を占めています※2。国際的な合意である「2050年カーボンゼロ※3」をふまえ、CO2排出量が少ないSAFなどの次世代航空燃料の利用が徐々に進む見込みです。

※2 参考:2050年までに、航空業界がネットゼロを達成するためには(世界経済フォーラム)
※3 2050年カーボンゼロは、2050年までに排出するCO2を差し引きゼロにする目標で、世界の百数十か国が賛同しています。

各国政府が参加するICAO(国際民間航空機関)は、2030年までにCO2排出量を5%減らす目標をかかげています※4。ICAOの方針を受けて、日本航空(9201)ANAHD(9202)は2030年までに航空燃料の10%をSAFに置きかえる計画です※5。これは日本政府の目標でもあります。また、足元の国内の航空燃料不足もSAFには追い風と言えるでしょう。

※4 参考:第5回 持続可能な航空燃料の導⼊促進に向けた官⺠協議会 事務局説明資料(資源エネルギー庁)
※5 参考:持続可能な航空燃料の導⼊促進に向けた施策の⽅向性について(経済産業省)

SAFは、使用済みの食用油や、エタノール、木くずや古紙、パルプ、藻類などのさまざまな原料から作ることができるので、関連銘柄も広い業種にわたります。各業界からSAF関連株をとりあげたので、ぜひ参考にしてください。

SAF(持続可能な航空燃料)関連株・銘柄一覧

SAFなどの次世代航空燃料の世界の利用率は0.2%にとどまっています※6。SAF利用の義務化が進む欧州をのぞけば、日本はSAFの需要が最も期待できる国です。とはいえ、国内のSAFの開発や製造販売は、今のところ上場会社の新規事業や環境事業として比較的小さな規模でおこなれています。

※6 参考:JBS社、畜産廃棄物を航空燃料などに利用(農畜産業振興機構)

目下の課題は製造コストの高さ(ジェット燃料の数倍)ですが、当面のあいだ政府の支援が入る見込みです。SAF関連事業の損益が大手の業績に影響をおよぼすのはまだ先となるので、SAF関連株を検討する際は各社の主な事業への目配りを欠かさないようにしましょう。

大型株

再生可能エネルギーの生産を増やすENEOSHD(5020)、内外でSAFを作る三井物産(8031)、次世代エネルギー開発で注目される三菱重工業(7011)東洋エンジニアリング(6330)をご紹介します。

このほか、使用済み食用油を集める日清食品HD(2897)、藻を使ったバイオ燃料を研究するデンソー(6902)、廃木材からSAF原料を作る段ボールメーカーのレンゴー(3941)をピックアップしました。

中小型株

藻類から食品や燃料を作るユーグレナ(2931)、ゴミ処理技術でSAFの開発に協力する大栄環境(9336)、環境ビジネスと水素エネルギーに力を入れる三菱化工機(6331)を取りあげます。

銘柄名
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事業内容
ENEOSHD(5020) 石油会社として初めて輸入SAFを日本航空(9201)に提供。水素とCO2から作る合成燃料の製造実験設備を2024年10月に完成させた。SAFやガソリンなどの幅広い製品の原料として使うことができる。
三井物産(8031) 5大総合商社の一角。米LanzaJet社と技術提携しエタノールを原料とするSAFの現地大量生産に取り組む。同じ製法を使ってコスモ石油と共同で2027年度までに年間22万klのSAF国内生産・供給計画を検討中。
三菱重工業(7011) 重工メーカー首位。東洋エンジニアリング(6330)などと4社共同で、木くずを分解しガスを発生させて作るSAFの開発に成功。日本航空(9201)の定期便に提供した。
東洋エンジニアリング(6330) プラント建設会社。米国 Velocys社のFT合成技術※7と同社の技術を組み合わせて、木くずや都市ゴミ、工場から排出されるCO2を使ったSAFなどの製造と商業化に取組む。
デンソー(6902) トヨタグループの部品メーカー。特許を持つ新種の藻にCO2を吸収させてバイオ燃料を生産する研究に取り組んでいる。藻を使ったバイオジェット燃料の4社共同研究では、藻の培養を安定させる役割を引き受けた。
レンゴー(3941) 段ボールメーカー首位。バイオマス技術を持つベンチャーを2024年4月に子会社化した。SAFの原料となるバイオエタノールを廃木材から作り、2027年に量産化を開始する。
日清食品HD(2897) 『カップヌードル』で知られるインスタント麺の世界的大手。2030年度をゴールとする環境戦略の一つとして、SAFの原料となる廃食用油などの供給体制づくりに協力する方針。
ユーグレナ(2931) 健康食品・化粧品メーカー。バイオ燃料開発のパイオニア。SAFの原料として注目されている藻類「ユーグレナ」を生産している。2021年には使用済み食用油と藻類を使って作ったSAFの初供給を実現した。
大栄環境(9336) ゴミ処理・リサイクル会社。ゴミを原料とした国産SAFの製造に4社共同で取組む。ゴミから燃料ガス、廃木材からエタノールを作る自社技術を活かし、原料となるゴミの前処理を主に担当する。
三菱化工機(6331) プラント建設と機械の製造が主な事業。国内初となる使用済み食用油を原料としたSAFの大量生産の実験に日揮HD(1963)などと4社共同で取り組む。同社は廃油から不純物を取りのぞく遠心分離機を提供する。

※7 FT合成は、合成ガスから触媒を用いて液状炭化水素を合成する技術です。

SAF(持続可能な航空燃料)関連株・銘柄の見通し

SAF(持続可能な航空燃料)関連株の見通しは「良い・普通・悪い」で表すと、「良い」と言えます。

2030年には航空燃料の10%にあたる172万klのジェット燃料がSAFに置きかわる見込みだからです※8。航空会社がSAFを利用できるよう、各石油会社には一定量のSAFの生産・供給が義務付けられる方向です。

※8 参考:3アプローチの取組状況等(国土交通省)

それでは、各社のSAF開発・生産への取り組みを原料別に少しくわしく見てみましょう。

水素とCO2(二酸化炭素)

水素とCO2を使ったSAFは、原料の入手にこまることがない夢の次世代燃料ですが、高コストが課題です。ENEOSHD(5020)東洋エンジニアリング(6330)のほか、出光興産(5019)IHI(7013)などが開発に取り組んでいます。

使用済みの油(廃食油)

使用済みの油から作るSAFは製造方法は確立されていますが、原料の収集がネックです。ENEOSHD(5020)はSAFの製造にあたり、廃食油の収集について有田市と協定を結びました。廃食油の回収には、ホテルやゴルフ場を運営する東急不動産HD(3289)、『丸亀製麺』を運営するトリドール(3397)や『スシロー』で知られるFOOD & LIFE COMPANIES(3563)などの飲食チェーンも協力しています。

藻類

ユーグレナ(2931)デンソー(6902)は藻類を使ったバイオ燃料づくりに早くから取り組んでいます。製造コストが石油由来のジェット燃料の数倍かかる点が実用化のハードルです。

バイオエタノール

コーンやさとうきびなどの植物由来のバイオエタノールを使ってSAFを作ります。富士石油(5017)が18万klのSAF製造・供給を2027年度にスタートさせる計画を立てています。出光興産(5019)はSAFの10万kLの供給を2028年に開始する方針です。

また、製紙会社各社もバイオエタノールの生産に意欲的です。大王製紙(3880)日本製紙(3863)王子HD(3861)は古紙、木材やパルプなどを使ったバイオエタノールの開発・生産を進めています。

ゴミ

ゴミから作ったガスを液体に変えてSAFなどの燃料を作ります。三菱重工業(7011)東洋エンジニアリング(6330)が取り組む製造手法です。

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まとめ

地球温暖化に歯止めをかけるために、環境にやさしい次世代燃料の利用は、飛行機だけでなく船や車、発電所、工場などのあらゆるところで進んでいくことになるでしょう。SAF関連株には、業界を超えたビジネスの広がりが期待できそうです。

航空業界では、SAFなどの次世代燃料の利用のほか、水素電池を使った飛行機の開発も進行中です。水素飛行機の実用化は2026年以降と少し先ですが、CO2の排出を減らす試みはさまざま存在することを頭に入れておきましょう。環境を守るために工夫を重ねる会社をぜひ応援したいですね。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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