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【IRTV 9522】リニューアブル・ジャパン/山形県米沢市松川水力発電所の建設工事開始のお知らせ

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年7月24日

リニューアブル・ジャパン(9522)の眞邉(まなべ)代表が「山形県米沢市松川水力発電所の建設工事開始のお知らせ」について「IRTV※1」で解説しています。

※1 IRTVとは、IR Robotics社が運営する“投資家と企業をつなぐ上場企業のIR動画メディア”です。決算情報から事業モデル・経営戦略・成長可能性まで、トップ自らがわかりやすく、かつタイムリーに解説しています。

この記事では、IRTVの動画の書き起こしと、動画の内容を受けて当サイトの管理人ひっきーによるコメントを紹介しています。動画の内容を文字で確認したいときに、ぜひご活用ください!

(出典:IRTV for YouTube

日本の再生可能エネルギーの歴史

IRTV : 本日は、5月8日にリリースされた「山形県米沢市松川水力発電所の建設工事開始のお知らせ」についてお話を聞かせてください。私自身は「再生エネルギー=太陽光」という先入観を持っていたため、なぜ「水力」を選ばれたのか気になっています。

眞邉様 : わかりました。今日は「水力の話」に加えて、「再生可能エネルギー※2の歴史と将来」のお話をさせてください。

※2 再生可能エネルギー(Renewable Energy)とは太陽光・風力・水力・地熱など自然界に常に存在するエネルギーです。

IRTV : よろしくお願いします。

眞邉様 : まずはクイズから行きましょう。日本で唯一存在する“自然エネルギー100%”でできている地域はどこでしょうか?

IRTV : 「自給自足」で生活している地域があるのですね。

眞邉様 : ヒントが3つあります。1つ目は、「電力会社がその地域に3つある」というものです。通常であれば、地域ごとに1つだけ電力会社が存在しています。2つ目のヒントは、「離島である」ということです。

IRTV : だいぶ絞られてきましたね。

眞邉様 : 3つ目は「もののけ姫」です。さて、どこでしょうか?

IRTV : ジブリを見たことがほとんどなくて…。

眞邉様 : 正解は「鹿児島県の屋久島」です。実は、私の血は100%屋久島でできています。両親が2人とも屋久島出身で、屋久島弁で育ったので国語は不得意でした。

IRTV : 全然話す言葉が違いますね。

眞邉様 : そうですね。「屋久島では戦前から安定的な電力の供給ができていた」と言われています。私は生まれていなかったので知りませんが、母親がそう言っていました。

屋久島の電力供給について

(出典:IRTV for YouTube

電力が安定供給できていた理由は、水力発電所があったからです。つまり、日本の再生可能エネルギーは、水力発電からスタートしています。そのため、日本には水力発電がたくさんあるのです。

日本の電源構成の変化

眞邉様 : 先ほど、日本には水力発電がたくさんあるとお伝えしました。代表例が「ダム」ですが、最近はダムを作らなくなりました。

IRTV : 場所がないのでしょうか?

眞邉様 : 場所はあるかもしれないのですが、「作るために村を潰さなくてはいけない」ためです。いまの世の中、そのようなことはできないですよね。このため、大型発電所の建設がむずかしくなっているのです。

また、再生可能エネルギーの1つに「風力発電」があります。補助金を使ってスタートしたのですが、なかなかうまく行きませんでした。この件で金融機関は損失を抱えてしまい、再生可能エネルギーについて良いイメージが定着しなかったという過去があります。

このような状況の中、11年前に始まった『FIT固定買取制度※3』をきっかけに、日本で再生可能エネルギーが一気に広まりました。

※3 FIT(ふぃっと)とは、Feed-in Tariffの略で「固定価格買取制度」です。再生可能エネルギーから作られた電気を、電力会社が決まった価格で買い取ることを国が保証する制度となります。

IRTV : 太陽光発電が登場したことにより、イメージが改善したのでしょうか?

眞邉様 : 太陽光発電はキャッシュフローが安定していますからね。2000年時点の電源構成と比べてみましょう。当時は、唯一の再生可能エネルギーである水力発電が10%を構成していました。もしかしたら多少は太陽光発電があったかもしれませんが、構成比はほんのわずかだったと考えられます。この20年間で、再生可能エネルギーの構成比は10%から22%に増加し、12%も高まりました。

再生可能エネルギーの構成比が12%上昇

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : だいぶ変わっていますね。

眞邉様 : 2022年の電源構成は、水力が7.1%となっています。一見すると水力が減っているように見えますが、そういうわけではありません。ほかの再生可能エネルギー電源が増えたのが原因です。

固定買取制度が始まったのは11年前です。この制度がはじまったあと、再生可能エネルギーの比率が一気に高まりました。しかし、日本では石炭や天然ガス、火力といった“石油由来のエネルギー”が全体の3分の2を超えています。このような先進国はありません。

石油由来のエネルギーは、発電の際に多くの二酸化炭素を排出します。このため、石油由来のエネルギーの比率を下げるためにも、再生可能エネルギーを広めていかなければなりません。「私たちがいま頑張らないといけない」状況にあるわけです。

IRTV : 表の「緑色の枠線部分」の割合が、今後さらに増えなければならないのですね。

眞邉様 : そうですね。

2021年に水力発電所を取得

眞邉様 : 実は2021年に、他社が所有する水力発電所(赤芝水力発電所)を買いました。

赤芝水力発電所

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : そのお話を聞いて、とても驚きました。

眞邉様 : 私たちとしては、非常にラッキーでした。赤芝水力発電所は1954年に建設された築60年の発電所です。

松川水力発電所について

IRTV : 1件目の赤芝水力発電所は既存のものを買われたとのことですが、今回の松川水力発電所は新しく作られるのですね。

眞邉様 : 今回は1から作ります。いま画面に表示している写真は、松川水力発電所の安全祈願祭の様子です。

安全祈願祭の様子

(出典:IRTV for YouTube

眞邉様 : 松川水力発電所は、山形県米沢市松川にあります。発電容量が約1メガ弱、売電単価29円です。今回はFITでスタートしていますが、先ほどの赤芝水力発電所はFITではありません。直接事業会社に売電しています。ポイントは、民間の会社が水力発電所を開発するのはとても珍しい事例だという点です。

安全祈願祭の様子

(出典:IRTV for YouTube

眞邉様 : 私たちは太陽光発電以外にも、さまざまな電源に挑戦したいと考えているため、今後も水力発電所の開発に取り組んでいきます

IRTV : 松川水力発電所は、以前取得された赤芝水力発電所と比べると規模が小さいのでしょうか?

眞邉様 : 2021年に取得した赤芝水力発電所と同じ規模のものを1から開発するのは、とてもむずかしいと考えています。そのため、私たちが赤芝水力発電所を取得できたのは、かなりラッキーなことです。

水力発電の特徴

IRTV : 水力発電の特徴を教えてください。

眞邉様 : 水力発電は、河川の高低差を利用して水を落とし、その位置エネルギーを使って発電する仕組みです。

水力発電の仕組み

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : また、「水力発電はクリーンエネルギーの中で最も発電効率が高い」と書かれていますね。とても興味深かったです。

エネルギー変換効率

(出典:IRTV for YouTube

眞邉様 : そうなのです。水力発電はとても効率が良い発電方法と言えます。日本にはたくさんの水力発電に適した場所が存在していますが、まだ十分に活用できていないのではないか、と感じています。

IRTV : 水力発電のポテンシャルは大きいのですね。

第6次エネルギー基本計画について

眞邉様 : 続いて、“日本の再生可能エネルギーの将来”についてお話します。2021年に『第6次エネルギー基本計画』が閣議決定されました。この計画は、再生可能エネルギーの比率を従来の「22~24%」から「36~38%」へと1.5倍に増加させるものです。

第6次エネルギー基本計画

(出典:IRTV for YouTube

また、当時の政府は「2050年にカーボンニュートラル※4を実現する」という目標を掲げました。これを実現するためにも、再生可能エネルギーの比率を50~60%に引き上げていかなければならないと盛り上がっていた時代だったのです。

※4 カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量をつり合わせることを意味します。詳しくは、環境省の「2050年カーボンニュートラルの実現に向けて」をご覧ください。

IRTV : 盛り上がっていましたよね。

眞邉様 : 再生可能エネルギーの比率を高めていくために、どういった電源が増える予定なのかを見ていきましょう。下のスライドからもわかるとおり、「太陽光」と「風力」を中心に電源構成比率を高めていく計画です。

第6次エネルギー基本計画

(出典:IRTV for YouTube

眞邉様 : この計画は“2030年度まで”のもので、中期的にインパクトがある太陽光発電に重点を置いたものとなります。具体的には、太陽光発電を倍増させつつ、風力発電も増やしていく計画となっています。そして、2030年より先は「洋上風力発電」をどんどん増やしていく計画となっています。

IRTV : 洋上風力とは何ですか?

眞邉様 : 海上に風車を設置し、発電する方法です。洋上風力発電には、海底に設置するもの(着床式)と海上に浮かべるもの(浮体式)があります。こういった電源も増やして行こうとしているのです。

IRTV : 風力発電をおこなう場所は、山の上だけではないのですね。

眞邉様 : そのとおりです。洋上風力発電で得た電気は、地下ケーブルで電力会社までつなぐ計画になっています。

IRTV : 壮大な計画があるのですね。

眞邉様 : こういった取り組みをしないと、カーボンニュートラルは達成できませんからね。「太陽光発電や風力発電だけではなく、さまざまな電源に取り組んでいきましょう」という内容が、『第6次エネルギー基本計画』に含まれています。ただし、足もとでは計画があまり進んでいません。

IRTV : なぜでしょうか?

眞邉様 : “新型コロナウイルス感染拡大の影響”です。新型コロナの影響で、世界的にインフレが進みました。その結果、事業性とコストが見合わなくなってしまったためです。

事業性とコストが見合わなくなってしまった

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : 作るコストがかなり上がったのですか?

眞邉様 : そうなのです。世界的にコストが増えてしまったのですが、日本の場合は円安も加わっています。

IRTV : なるほど。調達コストなどいろいろあるのですね。

眞邉様 : ほかにも、日本は他国よりも人件費が高い点も挙げられます。もともと人件費が高い日本で物価が上がり円安が進行したことにより、“トリプルパンチ”を受けている状況なのです。このため、一部は補助金に頼らざるを得ません。

足もとでは、『Non-FIT(ノンフィット)※5』と呼ばれる“国民負担に頼らない再生可能エネルギー由来の電気”が注目されています。Non-FITは現在3年目で、徐々に増えている状況です。

※5 Non-FITとは、国民負担に頼らない再生可能エネルギー由来の電気を指します。従来の再生可能エネルギーの電気は、FIT法(固定価格買取制度)の下、国が決めた価格で電力会社に買取義務があり、その費用を国民が負担していました。

しかし、再生可能エネルギーの構成比率を2030年には2倍に、2050年にはそれ以上に増やさなければならない状況なので、本来であれば指数関数的に増えていかなければなりません。現在はそのようなカーブを描けていない状況です。

IRTV : じわじわと拡大している状況なのですね。

眞邉様 : どちらかというと、盛り上がりに欠けている印象です。弊社ではスペインでNon-FITの太陽光発電所を保有していますが、とても盛り上がっています。同じように日本も盛り上げていきたいです。

IRTV : いずれは日本もスペインと同じようになるのでしょうか?

眞邉様 : 時間が解決すると考えています。現在、世界的なインフレは落ち着きつつありますよね。このため、発電所を作るときのコストが安くなり、事業性が高まると考えられるのです。

今後は事業性が上がる

(出典:IRTV for YouTube

今後の再生エネルギー事業について

眞邉様 : 今後の日本の再生エネルギーについて、昨年有名な雑誌のインタビューを受けました。

その際、日本の再生可能エネルギーの将来性について質問があり、私は「日本の再生可能エネルギーは今後も広がるだろう」と答えました。コストが高くつくことについても意見を求められましたが、私としては「時間が解決するため問題ない」と考えています。

例えば、太陽光発電のFIT価格※6は1kWhあたり「40円」から「10円」まで下落しました。固定買取価格が下がったタイミングで、事業の継続がむずかしいと判断し、撤退を選ぶ企業がかなり存在したのです。

※6 FIT価格とは、再生可能エネルギーで発電した電気の買取価格です。「1kWhあたりの買取価格」を表します。なお、「kWh(キロワットアワー)」は電力量の単位です。1kW(キロワット)の電気を1時間使用した際の電力量を表します。

しかし、FIT価格が4分の1に低下した現在でも、太陽光発電事業は継続できています。政府が再生可能エネルギーの拡大を後押ししている点も追い風です。

FIT価格が4分の1に低下

(出典:IRTV for YouTube

眞邉様 : いまは苦しいかもしれませんが、あきらめずに事業を続けていけば、必ず再生可能エネルギーは広がるでしょう。海外でもそうなっていますしね。

インタビューの最後に、「3年後に再び眞邉さんのところに取材に来たら、何て答えますか?」と質問されました。「I told you(言ったとおりになったでしょ)」と答えました。すべてではないかもしれませんが、言ったとおりに変わったでしょとお話したいです。

信じること、あきらめないこと」、つまり「再生可能エネルギーの将来を信じて、あきらめないで事業を続けていくこと」が大切だと思っています。

信じること、あきらめないこと

(出典:IRTV for YouTube

IRTV : ありがとうございます。再生可能エネルギーはまだまだこれから伸びていく印象を受けました。引き続き、リニューアブル・ジャパン様に注目してください。今日はどうもありがとうございました。

眞邉様 : ありがとうございました。

ひっきー's Eye

指さしひっきー

リニューアブル・ジャパン社の眞邉代表との対談書き起こし記事、いかがでしたか?再生可能エネルギーの歴史と仕組み、今後について理解を深められる内容でしたね。再生可能エネルギーは、カーボンニュートラル達成のために、政府が拡大を後押ししています。今後どのように市場が広がっていくのか楽しみですね!

IRTVでは、このほかにも上場企業の経営者との対談動画をアップしています。企業の事業内容はもちろん、今後の成長戦略を読み解くヒントがたくさん散りばめられているので、個人投資家のみなさまにぜひご覧いただきたいメディアです!

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ディスクレーマー

当記事では、筆者独自の見解を述べることがありますが、証券およびその他の金融商品の売買や引受けを勧誘する目的ではなく証券およびその他の金融商品に関する助言や推奨をするものではありません。また、個別企業の業績予想や株価予想、投資推奨を提供する予定はありません。投資判断等は、自己責任でお願いいたします。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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