株の「損出し」とは?年末のクロス取引でお得に節税!

株の「損出し」とは? 年末のクロス取引でお得に節税!

年末に株の「損出し」をすると節税できます!お得な投資戦術を身につけて、かしこく楽しい投資家生活を送りましょう。損出しは、以下の2つを満たす人が対象です。

  • ①配当金や株取引で、利益が確定している
  • 含み損(評価額がマイナス)の株を持っている

損出しとは、年末に損失を確定させることです。その年に確定した利益や配当にかかる税金を相殺します。場合によっては、払い過ぎた税金(源泉徴収分)が戻ってきます。ポイントは、損切り(上がる見込みのない銘柄を処分売りすること)とは異なることです。節税することが狙いなので、売却した後に同一銘柄を買い戻します。

損出しをすると、こんなにも節税できます!

損出しのメリットをもう少し具体的に説明します。年内に、A株で30万円の利益が確定したとします。このままだと、かかる税金は6万945円(30万円×20.315%)です。一方、B株で20万円の含み損があったとします。この株の損失を、12月に一度確定するのです。すると、年間のトータル利益が10万円(30万円-20万円)となり、支払う税金は2万315円(10万円×20.315%)で済みます。これが損出しのメリットです。

損出しする場合 損出ししない場合
A株の利益:30万円
B株の損失:20万円
A株の利益:30万円
B株の損失:20万円
課税対象額:10万円 課税対象額:30万円
かかる税金:2万315円 かかる税金:6万945円
差額:6万945円-2万315円=4万630円

節税効果は4万630円です! 損出ししたほうが圧倒的にお得ですね。しかも、B株は損失を確定した後で買い戻しています。手持ちの銘柄に変化はありません。

損出しは「同一営業日」におこなってはいけません

例えば、1,000円で買った株が100株あったとします。これを600円で売って、同じ日に600円で買い戻した場合、取得単価は800円になってしまうのです。 同じ日に、同じ銘柄を複数回売買した場合、「買い」が先にあったものとみなして、取得単価が平均化されます。これは特定口座の制度上、仕方ないのです。

取得単価の平均化イメージ

取得単価は、(1,000円+600円)÷2=800円です。「平均800円で取得した200株のうち、100株を600円で売却した」ということになります。800円-600円=200円、つまり2万円しか損出しできないのです。そして手元には取得単価800円の株が100株残ります。平均化を避けるため翌日に買い戻そうとしても、同じ価格で買い戻せる保証はありません。もし高騰した場合は、安く売って高く買うことになり、損出しする以上に損をしてしまいます。

この取得単価の平均化は、現物のみで売買をした時におきます。そこで信用取引を利用した『クロス取引』を使うと、取得単価は平均化されず、現物売りと信用買いを同じ価格で取引することができます。

※信用買いとは?
証券会社からお金を借りて株式を買ったり、株券を借りて売ったりする取引のことを、信用取引といいます。信用買いは前者のことです。

例えば、株価が100円の銘柄100株を、証券会社から資金を借り入れて買い付けたとします。その銘柄は1週間後に120円まで値上がりしました。その100株を売却すれば、投資家は2,000円の利益を得ることができます。これが信用買いです。

クロス取引で無駄なく損出しをする方法を、くわしく解説していきます!

損出しのクロス取引テクニックをご紹介

損出しのクロス取引の手順はこのようになります。

  • ステップ①:損出ししたい銘柄を現物売り
  • ステップ②:ステップ①と同じ日に、同一銘柄を信用買い
  • ステップ③:翌営業日に信用買いした分を現引き
損出しクロス取引のイ流れ

まず、取引がはじまる前(8時59分まで)に、損出ししたい銘柄の売り注文を出しておきます(ステップ①)。それと同時に、同銘柄の信用買い注文を出します(ステップ②)。コツはどちらも成り行きで注文しておくことです。こうすることで、同じ価格で約定することができます。

翌日営業日に、信用買いした株を「現引き」して取引は完了です(ステップ③)。現引きとは、証券会社から借りていた株式を、自分の現金で引き取ることです。これにより、翌日の株価に左右されずに、株を手にすることができます。現引きをせずに持ち続けていると、信用買いによって発生する金利が増えていきます。できるだけ、翌営業日の15時までに現引きするようにしましょう。

損失は最大3年繰り越しできます!

損益を相殺した後も、マイナス分が残ることがあります。例えば、2018年に30万円の利益が出ていたとします。損出しで70万円の損失を確定した場合、40万円の損失が残ります。この損失は3年間繰り越すことができます。

■損失の3年繰り越しイメージ

大きな含み損を抱えている場合、ぜひ一度損出しして節税効果を高めてください!

損出しは、この3点に注意!

メリットの多い損出しですが、注意したいポイントが3つあります。

  • ①仮装売買と判断されてしまうことがある
  • ②買い戻した株が上がった場合、利益分の税金を支払う必要がある
  • ③権利付き最終日までに取引が完了していること

①仮装売買と判断されてしまうことがある

1つ目の仮装売買は、最も注意が必要なことです。仮装売買とは、同一人物が同じ価格で売買をぶつけて、相場が活況になっているように見せかけることいいます。相場操縦の一種で、詐欺行為にあたります。取引量が少なければ、ほとんど関係ありません。しかし、不人気で出来高の少ない小型株で損出しをおこなった場合、相場が大きく動いて仮装売買が疑われることもあります。取引は自己責任でお願いします。

取引量が多い人や、仮装売買のリスクを避けたい人は、立会外取引で注文すると確実です。下記はSBI証券の例です。売買手数料は高いので、その点だけ頭に入れておいてください。SBI証券の場合、最低手数料が1万円(税別)です。

SBI証券の立会外取引によるクロス取引概要)

②買い戻した株が上がった場合、利益分の税金を支払う必要がある

2つ目は、株価が上がって利益を確定した場合、当然その分の税金を支払わなければならないことです。例えば、1株5,000円(100株50万円)の株が1株1,000円(100株10万円)まで下がって、40万円を損出ししたとします。そこから再び5,000円まで値上がりました。そこで利益を確定した場合、40万円の利益が出ています。この分の税金は、支払わなければなりません。

③権利付き最終日までに取引が完了していること

3つ目は、株の受渡日を考慮して、権利付き最終日までに取引を完了する必要があります。権利付き最終日は、権利確定日の3営業日前です。例えば、2018年の権利確定日は12月28日なので、12月25日が損出しの最終日となります。買い戻しは26日以降でも問題ありません。

年間の「損益金額」や「源泉徴収額」はどこで確認できる?

実際に、年間でどれだけ損益が出ているかを確認してみましょう。例えばSBI証券の場合、ホームページへログイン後、「口座管理」>「取引履歴」>「譲渡益税明細」で、約定日を“2018年1月1日から現在”にします。下図のように、損益合計額や源泉徴収額が表示されるので、こちらで確認します。

年間の損益合計額の確認画面(SBI証券)

(出典:SBI証券

年末は損出しのチャンス!

年末は損出しの時期です。その年に利益が確定していて、なおかつ含み損が出ている場合は、損出しをすれば払いすぎた税金が戻ってくるかもしれません。それだけではなく、「損をした」という精神的ダメージを緩和させる効果もあります。資金を有効活用して、楽しい投資生活を送りましょう!