CLO(ローン担保証券)とは?

CLO(ローン担保証券)とは?

担当:西尾

担当・西尾

CLOとは、「Collateralized Loan Obligation」の略で、日本語では「ローン担保証券」と言います。高リスクの債権をまとめた金融商品で、ローンの元利金を担保に発行されます。複雑な金融商品なので、図を使ってかんたんに説明します。

<CLOのしくみ>

CLOのしくみ

まず、銀行は企業にお金を貸し出して利ザヤを稼ぐビジネスなので、「①企業に融資」します。このとき、倒産リスクが低い大企業に融資する場合もあれば、倒産リスクの高い中小企業に融資する場合もあります。つまり、銀行は利ザヤを手に入れる代わりに、融資先が倒産すれば“貸し出したお金が返ってこなくなるリスク(貸し倒れリスク)”を抱えるのです。

銀行としては、貸し倒れリスクをできるだけ小さくしたいと考えます。そこで、このリスクを肩代わりしてもらおうと、“お金を返してもらう権利(債権)”をまとめて「②CLOを発行」します。このCLOには、投資家に欲しいと思ってもらえるように、高い利回りを保証します

高い利回りを魅力的に思った投資家がCLOを買い、銀行は「③投資家から代金を得る」ことに成功します。銀行は貸し倒れリスクを背負わなくてもよくなり、さらに現金が手に入るので、新たに融資をおこなって利ザヤを手に入れられるのです。

銀行がCLOを発行するメリットは?

銀行がCLOを発行するメリットは、次の2つです。

  • ①融資先の貸し倒れリスクを負わなくて済む
  • ②資金を調達できるので、他の企業に融資して利ザヤを稼げる

このように、銀行にとってはメリットが大きくなっています。

CLOが経済にもたらした影響

CLOが発行された影響で、特にアメリカでは景気が右肩上がりとなりました。その理由を説明します。高いリターンを求める投資家が多いため、銀行はCLOを発行すればスムーズに資金調達ができます。集めた現金は、他の企業に融資するため、企業は銀行からお金を借りやすくなったのです。

その結果、設備投資などが活発になり、企業が成長しました。企業が成長すれば、従業員の給料が増えます。給料が増えるとその分消費が増えるので、世の中の金回りがスムーズになり、景気が良くなるというわけです。2008年のリーマン・ショックの後、アメリカ経済が右肩上がりで成長していたのは、背景にCLOの存在があったからだと言われています。

このような時代背景があり、CLOの発行残高も急増しています。 下のグラフを見ると、2018年には6,600億ドルまで増えているのがわかりますね。

<CLOの残高>

CLOの残高

CLOのリスク

CLOは、「景気後退を加速させる」リスクを持っています。その理由は、以下のとおりです。

仮に、景気後退がはじまったとします。企業の業績が悪化するので、銀行からの借金を返せない企業が出てきます。CLOは、貸し倒れリスクの高い企業のローンも担保にしているため、投資家はCLOへの投資が危険だと判断して売却します。

他の投資家も同じように考えて行動するので、CLOの価格はどんどん下がっていくでしょう。当然、CLOを買おうとする投資家がいなくなるので、銀行はリスクを取って融資しなくなります。景気悪化で経営が苦しいのに、銀行から融資を受けられない企業が増えるので、倒産する企業も出てくるでしょう。このように、CLOは景気の悪化を加速させるリスクがあるのです。

また、CLOの価格低下によって、CLOに投資している投資家は損失を抱えます。日本では、下の表のように農林中央金庫や三菱UFJ銀行などのメガバンクがCLOに投資しています。これらの金融機関が損失を抱えれば、日本経済にも悪影響が及ぶと考えられます。

金融機関名 CLOの保有残高(2018年末時点)
農林中央金庫 6兆8,000億円
三菱UFJフィナンシャル・グループ 2兆5,000億円
ゆうちょ銀行 1兆円
みずほ銀行 5,000億円
三井住友トラスト・ホールディングス 3,000億円
三井住友銀行 775億円

※三井住友トラスト・ホールディングスと三井住友銀行は、米国のCLOに限定した残高です。

CLOの発行が景気を押し上げた半面、景気が悪くなると逆回転して、さらに景気を悪くさせる要因となりかねないのです。

CLOはリーマン・ショックの引き金になったRMBSと似ている

RMBSとは、「Residential Mortgage Backed Securities」の略で、日本語では「住宅ローン担保証券」と呼ばれています。ひとことで表すと、銀行が貸し出した住宅ローンをまとめて証券化したものです。これが、リーマン・ショックの引き金を引いたと言われています。

<RMBSのしくみ>

RMBSのしくみ

RMBSのしくみはCLOとよく似ています。銀行の融資先が企業ではなく個人なのが違いますが、“銀行が貸し倒れリスクを抱える”点は同じです。銀行は住宅ローンの貸し倒れリスクを負いたくないので、RMBSとして証券化し、投資家に売っているのです。

では、なぜRMBSがリーマン・ショックの引き金となったのでしょうか。それは、RMBSの中に「サブプライムローン」を証券化したものがあったからです。サブプライムローンとは、信用度の低い借り手(サブプライム層)に対して貸し付けられたものを指します。そのため、RMBSの中でもよりリスクが高い金融商品だったのです。これらは他の証券とまとめられ、CDO※1という高利回りの金融商品となり、多くの投資家が買っていました。

2007年ごろから、サブプライムローンが延滞されはじめたのをきっかけに、「貸し倒れによってCDOが紙くずになる」のを恐れた投資家が、サブプライムローンが組み込まれたCDOを売却しました。それによって価格が急落し、CDOを買っていたほかの投資家が巨額の損失を抱えたのです。これが、世界的な金融危機につながりました(リーマン・ショック)。

※1 CDOとは、「Collateralized Debt Obligation」の略で、日本語では「債務担保証券」と呼ばれます。CLOとよく似ていて、ローンや債券などをまとめて証券化したものです。リーマン・ショックが起きる前に、高いリターンが得られる金融商品として、世界中の投資家が買っていました。しかし、サブプライムローンが組み込まれていたため、リーマン・ショックによって価格が急落し、投資家は巨額の損失を抱えてしまいました。

新型コロナウイルスの感染拡大とCLO

新型コロナウイルスの感染拡大とCLOは、関連性がないようで実は関連しています。ポイントは、「CLOが企業への融資をもとにしている」点です。

新型コロナウイルスの感染拡大により、日本はもちろんアメリカなど世界中で、イベントや外出を控える動きが出ています。さらに、アメリカやヨーロッパ諸国では、飲食店や娯楽施設が閉鎖されています。つまり、飲食店や娯楽施設を経営している企業は、大幅に業績が悪化するわけです。

これによって、銀行からの借金を予定どおりに返済できなくなったり、場合によっては倒産したりする企業が出てくるかもしれません。CLOに投資している投資家は、「貸し倒れによってCLOが紙くずになる」と想定して、CLOを売るでしょう。すると、CLOの価格が下がるので、CLOに投資している銀行などは損失を抱えます。この流れは、リーマン・ショックの流れとよく似ています。

以上をまとめると、新型コロナウイルスの感染拡大によって、リーマン・ショックのような金融危機が起きる可能性が考えられるのです。

まとめ

CLOのしくみとメリット、リスクについて学んできました。CLOの注意点は、「①企業への融資がもとになっている」点と「②リーマン・ショックの引き金となったRMBSと似ている」点です。

この記事を書いている2020年3月時点では、新型コロナウイルスの感染拡大によって株価が大きく下がっています。今回の下落は金融危機をきっかけにするものではありませんが、経済活動が制限されるなかで企業業績が悪化し、結果的に金融危機が起きる可能性があります。

最悪の事態は起きてほしくないですが、このようなリスクが潜んでいるのを忘れずに、慎重に株式投資をしていきましょう。

西尾のプロフィール

・やさしい株のはじめ方の資産運用担当
・ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員の資格あり
・年間200銘柄以上を分析中

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