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連結決算とは?単体決算(単独決算)との違いもわかりやすく解説します

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年11月30日

連結決算(れんけつけっさん)」とは、子会社などを含めたグループ全体の業績を表すデータです。よく似た言葉に「単体決算(単独決算)」がありますが、こちらは親会社(提出会社)のみの決算データとなります。つまり、子会社を持つ会社は連結決算と単体決算の両方を発表し、子会社を持たない会社は単体決算のみを開示します。

このコラムでは、連結決算を発表する会社の例や、連結決算を発表する理由などについて解説していきます。

連結決算を発表する会社の例

連結決算を発表する会社の例
銘柄名
(銘柄コード)
概要
トヨタ自動車
(7203)
世界販売台数でトップの大手自動車メーカー。トヨタファイナンスや日野自動車などの子会社を持つ
ソフトバンクグループ
(9984)
通信事業のほか10兆円ファンドを運営。ソフトバンクやZホールディングスなどの子会社を持つ
ニトリホールディングス
(9843)
家具やインテリアの製造小売事業を運営。海外の現地法人やホームセンターの島忠を子会社に持つ
オリエンタルランド
(4661)
東京ディズニーランド・シーを運営。周辺のホテルやモノレール運営会社を子会社に持つ

上で紹介した連結決算を発表する会社は、決算短信の1枚目や有価証券報告書の業績が載っている部分に、必ず「連結」と書かれています。決算書を読むときは、分析対象の会社が連結決算を開示しているかどうかを、忘れずにチェックしましょう。

連結決算がある理由

連結決算があるのは、次の2つのメリットがあるからです。

  1. グループ全体の業績を把握できる
  2. 不正会計を防げる

グループ全体の業績を把握できる

もし子会社を多く持っている会社が、単体決算しか発表しなかったとしたらどうなるでしょうか?単体決算からは、親会社の業績しか読み取れません。そのため、子会社を含めたグループ全体の業績が把握できなくなります。

具体例を使って、単体決算しか開示されない場合に、どんなデメリットが起きるのかを見ていきましょう。例として、家具の製造販売をおこなうニトリホールディングス(9843)を紹介します。はじめに、こちらの事業系統図を見てください。

まずは、赤枠で囲んだ「ニトリホールディングス」に注目です。ニトリホールディングスは「親会社」にあたる会社です。矢印の横に「グループ経営管理、不動産の賃貸」とあるとおり、ニトリホールディングスは親会社として子会社の経営管理と、店舗などの不動産賃貸をしているとわかります。

続いて赤枠で囲んだのは、ニトリホールディングスの子会社です。この子会社たちは、「一般のお客様・得意先」に対して、「商品の販売」をしています。つまり、親会社は商品の販売をしておらず小売の部分は子会社が担当しているのです。

連結決算と単体決算の話に戻りましょう。単体決算は、親会社のみの業績を表すものでした。つまり、単体決算しか発表されない場合、ニトリホールディングスの本業である「家具の販売」に関する業績は一切世の中に出てこないので、子会社への不動産賃貸という副業の状況しか把握できないのです。

これでは、ニトリホールディングスの本業がどのように経営されているかを知りたくても、その情報が得られなくなってしまいます。以上の理由から、子会社を持っている会社の実態は連結決算を見ないとわからないため、連結決算の開示が求められているのです。

不正会計を防げる

連結決算を開示するメリットの2つ目は、不正会計の防止です。少しむずかしい話なので、株初心者の方は「不正会計が防げる」ことだけ知っておけば問題ありません。

先ほどと同じように、ニトリホールディングスを例に説明していきます。もし単体決算しか開示されなかったら、グループ全体の業績はわからないのでしたね。そのため、子会社に対して無理やり大量の不動産を賃貸したり大量の商品を販売したりすれば、かんたんに親会社の業績を伸ばせてしまいます。

親会社と子会社は「身内」の関係です。それが故に、このような不正会計がおこなわれやすい特徴があります。もし不正会計がおこなわれれば、会社の経営状態が正しく投資家に伝わりません。このような事態を防ぐためにも、連結決算が開示されています。

単体決算がある理由

ここまで連結決算を学んできた方なら、「連結決算だけ開示すれば十分なのに、なぜ単体決算も開示しているのか?」と疑問に思うでしょう。この答えはとてもシンプルで、「単体決算を公表するルールになっているから」です。

ルールと言ってしまえばそれまでですが、単体決算を開示する理由は他にもあると考えられます。例えば、親会社自身が本業をおこなっている場合、単体決算が重要な資料となります。理由は、単体決算から本業だけの経営状態を正確に把握できるからです。

親会社が本業を展開している事例として、東京ディズニーランド・シーを運営するオリエンタルランド(4661)を紹介します。有価証券報告書の【事業の内容】には、下のように書いてあります。

このように、親会社のオリエンタルランド自身が、本業にあたる東京ディズニーランド・シーの運営をおこなっています。つまり、単体決算を見ればディズニーランドの経営状況がわかるのです。

つまり、オリエンタルランドのグループ全体の経営状態を知りたいときは「連結決算」を、ディズニーランドだけの経営状態を知りたいときは「単体決算」を見れば良いわけです。会社によっては、単体決算も十分に役立つ情報源となります。

以上をまとめます。基本的には、連結決算を見ておけば十分です。しかし、親会社が本業を展開している会社は、単体決算も合わせて分析すると、本業だけの経営状態が読み解けます。会社をもっと深く知りたいと考えている方は、単体決算も合わせて分析すると良いでしょう。

連結決算と単体決算、投資家はどちらを見るべき?

投資家が見るべきなのは、連結決算でしょう。理由は、連結決算がグループ全体の業績を表しているからです。株式投資は「会社のオーナーになる」のと同じなので、子会社を抱えている会社に投資するのならば、全体の業績を把握しなければいけません。投資先の決算を読み解く際には、必ず連結決算を見て分析しましょう。

まとめ

連結決算の説明と、単体決算との違いを説明してきました。連結決算を発表している会社の場合、決算書の中に連結決算と単体決算の2つが載っており、どちらを重点的に読めば良いか悩む方が多いと思います。そのときは、連結決算を重視して読んでください。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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