棚卸資産(たなおろししさん)とは?

棚卸資産(たなおろししさん)とは?

棚卸資産(たなおろししさん)とは、販売するための資産のことです。いわゆる「在庫」ですね。1年以内で現金化できると考えられるため、流動資産に計上されます。具体的には、下の4種類があります。

  • ①購入した「商品」や、自社で製造した「製品
  • ②作りかけの「仕掛品
  • ③製品を作るための「原材料
  • ④梱包材などの「消耗品

例えば、ケーキ屋さんで考えると、以下のようなイメージです。

①商品や製品 ショーケースの中に並んでいるケーキ
②仕掛品 作りかけのスポンジケーキ
③原材料 小麦粉や砂糖、イチゴなど
④消耗品 ケーキを入れる箱

棚卸資産は、「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」に載っています。例として、『バーモンドカレー』や『フルーチェ』で有名な、大手食品メーカーハウス食品グループ本社(2810)の貸借対照表を見てみましょう。赤枠部分が棚卸資産です。

ハウス食品グループ本社の貸借対照表

(出典:ハウス食品グループ本社の貸借対照表)

棚卸資産の特徴

棚卸資産の特徴は、現金や有価証券などと比べて、現金化までに時間がかかることです。万が一、棚卸資産の販売予定が遅れると、資金回収の予定も遅れることになります。

また、食品など腐りやすい商品を扱っていたり、時間の経過とともに劣化しやすい商品を販売していたりする場合、棚卸資産が販売できないと、不良在庫になるリスクがあります。不良在庫になると、値引き販売しないと売れなかったり、捨てることになったりするので、会社にとっては損失です。

このように、棚卸資産は会社の売上につながる分、販売できないと損失をもたらすリスクがあります。

優秀な無料ツールで、棚卸資産を分析しよう!

棚卸資産の分析をおこなう上で、貸借対照表のチェックは欠かせません。しかし、実際に見てみると、文字と数字が並んでいるだけで、初心者にはむずかしく感じます。そこで、貸借対照表の中身をビジュアルで把握できる、GMOクリック証券の『財務分析ツール』がおすすめです。今回は、こちらの財務分析ツールを使って、棚卸資産の分析方法を見ていきます。

※財務分析ツールは、GMOクリック証券に口座開設するだけで、誰でも無料で使えます。

棚卸資産に注目すると、会社の将来の業績を予想できるほか、会社の経営状態を知ることができます。その際にチェックするのは、下の2点です。それぞれ見ていきましょう!

  • 棚卸資産回転日数
  • 棚卸資産の中身

①棚卸資産から読み解く、『会社の経営状態』

大手食品メーカーハウス食品グループ本社(2810)を例に、経営状態を分析していきます。

棚卸資産を使って経営分析をするときに使うのが、「棚卸資産回転日数」という指標です。計算式は下のとおりですが、GMOクリック証券の財務分析ツール内にある“経営分析”を使うと、自動で表示してくれるので、無理に覚える必要はありません。

経営分析の使い方は、経営分析ツールの紹介をご覧ください。

棚卸資産回転日数=棚卸資産÷(売上高÷365)

棚卸資産回転日数は、棚卸資産が何日分あるのかを表す指標です。事業内容によって日数が違い、飲食店は短く、メーカーは長い傾向にあります。そのため、会社どうしを比べるときは、必ず同業他社で比べなければいけません。

過去との比較も大切です。棚卸資産回転日数が過去と比べて長くなるほど、商品が売れなくなっている可能性が高いと言えます。これは、業績悪化のサインだと考えられるので、注意が必要です。

<ハウス食品グループ本社(2810)の棚卸資産回転日数>

ハウス食品グループ本社の棚卸資産回転日数

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

注目ポイントは、「過去と比べて日数が伸びているか」という点です。上の画像を見ると、2015年は「23.39日」2019年は「24.95日」となっています。グラフの底の数字は書かれていませんが、21~22日前後と推測できます。1~2日ほどの変化があったものの、これくらいは誤差の範囲と考えて大丈夫でしょう。

念のため、棚卸資産回転日数がわずかに長くなった理由を探るため、売上高の変化を追いましょう。

<ハウス食品グループ本社(2810)の業績推移>

ハウス食品グループ本社の業績推移

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

売上高(水色の棒グラフ)は、右肩上がりで推移しています。そのため、ハウス食品グループ本社の商品が売れなくなっているわけではなさそうです。棚卸資産回転日数が少し長くなったのは、売上高が増えるのに合わせて、商品の生産を増やしたためだと予想できます。

②棚卸資産の中身から会社の将来の業績を読み解く

余力がある人は、棚卸資産の中身をチェックしましょう。そのときに大事なのは、時系列で比べることです。棚卸資産全体ではなく、「原材料」と「商品」、「仕掛品」が過去と比べてどう変化したかを見ることが大事です。

下のグラフは、ハウス食品グループ本社の売上高と棚卸資産の中身の変化を追ったものです。

ハウス食品グループ本社の売上高と棚卸資産の推移

(出典:有価証券報告書)

緑色の「仕掛品」と、青色の「原材料及び貯蔵品」が少し増え、オレンジ色の商品が増えていることが読み取れます。売上高が増えるのに合わせて、生産を増やしているからだと考えられます。その結果、商品も増えて棚卸資産回転日数がわずかに長くなっているようです。

以上から、会社の経営状態に問題はなく、しばらく売上高が伸びていくのではないでしょうか。もし、「原材料」や「商品」が増えているのに「仕掛品」が減った場合は、商品が売れないため生産を減らしていると考えられます。今後このような兆候があれば、注意が必要です。

まとめ

棚卸資産を分析するときは、下の2点を意識しましょう。

  • 棚卸資産回転日数が長くなっていないか、過去と比べる
  • 棚卸資産の中身を過去と比べる

棚卸資産ひとつで、経営分析から将来の業績予想までできてしまいます。GMOクリック証券の財務分析ツールを使って、気になっている会社の棚卸資産を分析してみてくださいね!