流動資産とは?

流動資産とは?

担当:西尾

担当・西尾

最終更新日:2020年5月27日

流動資産の「流動」は、「1か所にとどまらずれてく」という意味があります。ここから転じて、「流動資産=ずっと貸借対照表の中に残らない資産=1年以内に現金化できる資産」と表すようになりました。

流動資産には、現金や売掛金、棚卸資産などが含まれます。貸借対照表では、「資産の部の上側(下の図でいうと左上)」に表示されています。これは、上から現金化しやすい順番で書いていくルールがあるからです。

貸借対照表の内訳

中身をひとつずつ見ていくと、その企業が「どんなビジネスモデルなのか」、「経営状態はどうなっているか」が読み取れるようになります!いわば、謎解きのヒントが書いてあるイメージです。

流動資産についてざっくりと理解したところで、流動資産の具体的な中身や業種によって生まれる差を学んでいきましょう。

流動資産の中身は?

流動資産には、主に3つの資産が含まれています。

  • 現金
  • 売掛金
  • 棚卸資産

それぞれ見ていきましょう。

現金

特に説明する必要はありませんが、文字どおり現金です。IT企業やゲーム開発会社、バイオベンチャーなどは現金が多い傾向にあります。なぜこれらの企業は現金が多いのか、解説していきます。

IT企業は、巨額の設備投資が必要ないからです。極論を言うと、オフィスとパソコンさえあれば事業ができてしまいます。そのため、製造業のように巨大な工場に投資したり、飲食店のように店舗を新規出店したりする必要がありません。このような理由から、現金が貯まりやすくなっているのです。

ゲーム開発会社やバイオベンチャーが現金をたくさん持っている理由は、業績が不安定だからです。ゲーム開発会社であれば、ヒット作を生み出せなければ収益を得られません。バイオベンチャーも、作った薬が使い物にならなければ収益を得られません。だからこそ、手元に現金を積み上げて、ヒット作が生み出せなくても倒産しないようにしているのです。

また、企業を成長させるための投資をせずに、現金を貯め込んでいる企業もあります。そのような企業は業績が伸びないので、投資家からも人気がなく、株価も上がりにくいです。

以上から、必ずしも「現金をたくさん持っている=優良企業」ではないと言えます。現金をたくさん持っている企業に出会ったら、ビジネス上の理由なのか、単に経営者が現金を貯め込んでいるだけなのかを考えてみましょう。

売掛金

企業が商品を販売したときに計上される資産です。通常、企業どうしで取引する際は、お互いを信用して「ツケ」で取引します。会計用語では、この「ツケでの取引」を「掛け取引」といい、ツケで商品を売ったときに「売掛金」が発生します。多くの場合は1年以内に現金で回収します。そのため、流動資産として計上されています。

わかりやすい例で示すと、クレジットカード決済が挙げられます。たとえば、スーパーなどでクレジットカード払いを選んだとしましょう。このとき、クレジットカード払いを受け付けたスーパーは、その場で現金を受け取りません。後でカード会社から受け取ります。スーパーはツケで商品を売っているので、売掛金で処理するのです。

売掛金が多い業種は、企業向けに商品を販売する卸売業や製造業などです。反対に売掛金が少ない業種には、現金で決済される場合が多い飲食業があります。

売掛金を見る際は、過去と比べて増えたのか減ったのかも確認しましょう。売掛金が増えすぎると、代金回収が大変になります。売掛金が急激に増えている場合は注意しましょう。売掛金の分析方法については、「売掛金(うりかけきん)とは?」で詳しく説明しています。こちらもあわせてご覧ください。

棚卸資産

棚卸資産とは、ひとことで表すと「在庫」です。商品を作っている製造業や、商品を仕入れて販売するスーパーなどの小売業では、流動資産の中に「棚卸資産」が多く計上されています。売ってしまえばすぐ現金に換えられるため、流動資産として計上されています。

棚卸資産を見るときも、過去と比べて増えたのか減ったのかを確認しましょう。棚卸資産が増えすぎると、商品が売れなくなっている可能性があります。棚卸資産の分析方法について詳しく知りたい方は、「棚卸資産(たなおろししさん)とは?」をご覧ください。

業種による傾向

流動資産の大きさや中身は、業種ごとに違いがあります。この違いからビジネスモデルや業種の特徴を読み取れるので、ざっくりでよいので傾向を把握しておくと、企業分析の際に役立ちます。

流動資産が大きい業種には、IT企業金融業などがあります。IT企業は固定資産が不要な企業の代表例です。金融業は顧客に貸し出したお金が大量にあるため、流動資産が多くなっています。

例として、IT企業のクックパッド(2193)の貸借対照表を見てみましょう。赤枠で囲んだ流動資産の割合がとても大きくなっていますね。クックパッドを運営するためには、極論を言うとオフィスとパソコンさえあれば十分です。工場や店舗などの固定資産を持っていないので、貸借対照表がほとんど流動資産で構成されています。

クックパッドの貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

反対に流動資産が小さい業種には、鉄道業電力業などがあります。共通しているのは、巨大な設備が必要な点です。実際にJR東日本(9020)の貸借対照表には、電車や線路など大量の有形固定資産(緑色の部分)が計上されており、流動資産が小さくなっています。

JR東日本の貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

貸借対照表の調べ方

貸借対照表を調べる方法には、次の2つがあります。

  • 企業の有価証券報告書を読む
  • GMOクリック証券の財務分析ツールを使う

おすすめなのは、GMOクリック証券財務分析ツールを使う方法です。先ほど紹介したクックパッドやJR東日本のように、貸借対照表をビジュアルで確認できます文字や数字の羅列を見なくてもイメージがつかめるので、企業分析をはじめたい方におすすめです。

財務分析ツールは、GMOクリック証券に口座開設するだけで誰でも無料で使えます。口座開設の手順は、「GMOクリック証券の口座開設ガイド」で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。

まとめ

流動資産の中身には、現金や売掛金、棚卸資産が含まれます。業種によって流動資産の大きさが違い、中身の比率も異なります。ビジネスモデルや経営状態を読み解くヒントがたくさん書かれているので、流動資産の大きさや中身にも目を向けていきたいですね。

西尾のプロフィール

・やさしい株のはじめ方の資産運用担当
・ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員の資格あり
・年間200銘柄以上を分析中

Twitter「@kabuotaku758」でも情報発信中です!