純資産とは?

純資産とは?

担当:西尾

担当・西尾

最終更新日:2020年6月3日

純資産とは、“株主の資産”を指します。株主が会社に出資したお金である「資本金」や、企業が稼いだ利益の蓄積を表す「利益剰余金」などが、純資産の中身です。貸借対照表の中では、負債の部の下(下の図でいうと右下)に表示されており、資産の合計から負債の合計を引いた金額となります。

貸借対照表の内訳

また、純資産は負債と違って返済の必要がない点がポイントです。そのため、一般的には純資産の割合が高いほど財務健全性が高いと考えられています。

純資産に注目すると、企業の経営戦略や業績が見えてくるので、企業分析の際は注目すべき部分です。このコラムでは、純資産の中身や注目ポイントなどを紹介していきます。

純資産の中身は?

純資産の中身は、大きく分けると下の3つがあります。

  • 資本金
  • 資本剰余金
  • 利益剰余金

それぞれ紹介します。

資本金

会社を作るときに、株主が出資したお金です。資本金は年によって金額が変わるわけではないので、初心者の方はあまり気にしなくて大丈夫です。ただし、資本金が増えたり減ったりするときがあるので、その場合は理由を調べましょう。

資本金が増えたときは、増資した可能性があります。増資とは、文字どおり「資本金を増やす」ことです。投資家たちに新たに出資してもらい、新しい事業の開発などに充てようとしているのです。ただし、最近はMSワラントという、株主にマイナスの影響を与える増資もあるため、どういう方法で増資がおこなわれたのか注意深く見ておきましょう。

資本金が減ったときは、経営状態が苦しくて減資に踏み切ったかもしれません。減資とは、「資本金を減らす」ことです。

たとえば、赤字が何年も続いている企業の場合、貸借対照表の純資産の中に「繰越欠損金(くりこしけっそんきん)」が計上されます。繰越欠損金とは、「企業が稼いだ利益-その年にかかった費用」がマイナスのときに発生する勘定科目です。

繰越欠損金は、資本金からお金を取り崩して相殺できます。いわば貸借対照表から“経営が苦しい証”を消すためにおこなわれるのです。

資本金の注目度は低めですが、万が一大きな変化が見られたときは、その理由を探ってみましょう。企業が置かれた経営状態を読み解くきっかけとなります。

資本剰余金

会社を設立するときに株主から集めた出資金のうち、資本金にならなかったものです。会社法では、出資額の半分が資本金に、残りの半分が資本剰余金に振り分けられます。法律で決まっているので、「こういう仕組みなんだ」と理解しておけば十分です。

企業分析の際、資本剰余金に注目して分析する機会はあまりありません。純資産の中に含まれる勘定科目のひとつとして、頭の片隅に入れておきましょう。

利益剰余金

企業が生み出した純利益の蓄積額です。企業内部に蓄えられており、「内部留保金」とも呼ばれます。純利益は「企業の最終的な利益=株主の取り分」なので、利益剰余金が増えていれば、それだけ株主の取り分が増えているわけです。

このように、利益剰余金は株主にとって大事な資産です。企業分析の際は、利益剰余金が毎年順調に増えているかを確認しましょう。過去10年くらいの推移を追うのがベストです。その間ずっと利益剰余金が増え続けていれば、株主の取り分を増やしてくれる優良企業だと言えます。

反対に利益剰余金が減っている場合は、赤字が続いているかもしれません。経営状態が苦しい状態なので、注意が必要です。

その他純資産に含まれる勘定科目

また、純資産には新株予約権や非支配株主持分、自己株式といったものも含まれます。少しマニアックな部分なので、別の機会に改めて紹介します。

業種による傾向

純資産も流動資産や固定資産のように“業種”による傾向がありますが、それ以外に“経営方針”による傾向も出やすい部分です。例を使って説明していきます。

純資産の割合が大きい業種には、IT企業など利益が貯まりやすい業種があります。例として、レシピサイトを運営するクックパッド(2193)の貸借対照表を見てみましょう。赤枠の純資産が大きな割合を占めていますね。IT企業はコストがあまりかからない業種なので、利益が出やすく貯まりやすいのが理由です。

クックパッドの貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

最近苦戦中のクックパッドは、2019年に赤字を出してしまいました。赤字になると、その分利益剰余金からマイナスされるので、2019年の純資産額は前年よりも少し減っています。

このほかにも、無借金経営の企業利益率が高い企業などは、純資産の割合が高くなる傾向があります。

反対に、純資産の割合が小さい業種には、不動産業金融業などがあります。例えば、マンション販売などをおこなっている三井不動産(8801)の場合、販売するマンションを仕入れるために、銀行から多額の資金を借りています。そのため、純資産の割合が小さくなっているのです。

三井不動産の貸借対照表

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

ほかにも、買収などで多額の資金が必要な企業は、借金が増えて純資産の割合が小さくなります。

貸借対照表の調べ方

貸借対照表を調べる方法には、次の2つがあります。

  • 企業の有価証券報告書を読む
  • GMOクリック証券の財務分析ツールを使う

おすすめなのは、GMOクリック証券財務分析ツールを使う方法です。先ほど紹介したオリエンタルランドやクックパッドのように、貸借対照表をビジュアルで確認できます文字や数字の羅列を見なくてもイメージがつかめるので、企業分析をはじめたい方におすすめです。

財務分析ツールは、GMOクリック証券に口座開設するだけで誰でも無料で使えます。口座開設の手順は、「GMOクリック証券の口座開設ガイド」で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。

まとめ

純資産の中身は、主に「資本金」と「資本剰余金」、「利益剰余金」で構成されています。特に注目したいのが「利益剰余金」です。利益剰余金が毎年着実に増えている企業は、「しっかり利益が出せている=事業がうまく行っている」証拠となります。このような企業に投資したいですね。

西尾のプロフィール

・やさしい株のはじめ方の資産運用担当
・ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員の資格あり
・年間200銘柄以上を分析中

Twitter「@kabuotaku758」でも情報発信中です!