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【米国株】マクドナルド(MCD)
公開日:2020年6月16日
成長性 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
2.5 |
---|---|---|
割安性 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
2.5 |
収益性 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
5.0 |
財務健全性 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
2.0 |
世界トップのハンバーガーチェーン「マクドナルド」を運営する、米国株のマクドナルド(MCD)について、企業分析しました(マクドナルドの公式ホームページ)。使ったツールは、マネックス証券の「銘柄スカウター米国株」です。(分析担当:やさしい株のはじめ方編集部)
マクドナルド(MCD)の注目ポイントは、以下の2点です。
- 売上高が減っているのに営業利益率が上昇
- 連続増配
さっそく、順番に見ていきましょう!
注意
分析方法や予測、結果などは管理人の個人的な見解です。 銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。
基礎情報
まずは、基礎情報の確認です!マネックス証券の銘柄スカウター米国株を開くと、ページの上にまとまっています。

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)
時価総額は、約1,455億USDです。1ドル=100円として日本円に直すと、約14兆5,500億円となります。日本企業でいうと、時価総額約11兆円のソフトバンクグループ(9984)が近いです。かなり巨大な企業だとわかりますね。
株価推移(最近6か月)
株価推移は、画面上にある「株価/チャート」をクリックすると確認できます。

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)
マクドナルドは、3月~4月にかけて株価が下落しています。この理由は次の2点が考えられます。
- 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、マクドナルドの客足が減り、売上が落ちると予想されていた
- コロナショックによる相場下落に引っ張られた
一時は120ドル付近まで下がりましたが、その後は回復してきているのがわかりますね。マクドナルドにはドライブスルーがあり、テイクアウトメニューがあるので、新型コロナウイルスとの共存を目指す“withコロナ時代”でも業績が安定しやすい企業です。おそらく、この辺りが評価されて株価が戻ってきているのでしょう。
事業内容の要約
続いて、企業の概要をつかみましょう!企業概要は、先ほど確認した基礎情報の下にまとまっています。

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)
マクドナルドは言わずとしれた「ハンバーガーショップ」ですが、売上高の内訳に特徴があります。普段マクドナルドでハンバーガーを買っていると、「ハンバーガーの代金が積み上がってマクドナルド全体の売上高になる」というイメージを持つ方が多いでしょう。しかし、マクドナルドの売上高はそれだけではありません。売上高を分解すると以下のようになります。
売上高の計算式
売上高=直営店の売上+フランチャイズ(以下FC)のロイヤリティ収入・ライセンス収入
FCについて補足をします。FCとは、日本語でいうと「のれん分け」です。他人に“自分たちのブランドを使ってビジネスをしてよい”と許可を出して、同じ名前の店舗を増やすしくみです。この場合、ブランドの使用を許した相手(FCオーナー)と「ブランドの使用料として売上高の○%を毎月払う」と約束し、毎月収入を受け取ります。FCオーナーにとっては、ブランドの使用料を支払った残りの金額が収入となるのです。
売上高の内訳をよりわかりやすく示したのが、セグメント構成です。こちらは「セグメント業績」をクリックすると出てきます。

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)
FC店からの収入が売上高の55.3%を、直営店の売上が44.7%を占めているのがわかります。直営店でハンバーガーを売った売上よりも、FC店から受け取る収入のほうが多くなっているのです。
なぜこのように複雑な内訳になっているのか説明すると、マクドナルドはFCを上手に使ってビジネスを展開しているからです。2020年3月時点で、全世界に約39,000店舗を展開しているのですが、そのうちの約9割がFC店で構成されています。そのため、FC店から受け取るロイヤリティ収入とライセンス収入が多くなるわけです。
ちなみに、FC店は最初からFC店として出店するわけではなく、もともと直営店として運営していた店舗をFC店に変更して、数を増やしてきました。この取り組みが売上高と営業利益率に大きな影響を及ぼしています。かなりおもしろいネタなので、業績の部分で詳しく説明します。
財務諸表分析
損益計算書
銘柄スカウター米国株では、損益計算書の推移を確認できます。個別ページの「通期業績推移」と「四半期業績推移」に載っています。さっそく、「通期業績推移」から見ていきましょう。

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)
青色の棒グラフが「売上高」を、赤色の折れ線グラフが「営業利益」を表しています。まず気になるのが、2014年ごろから売上高が減っている点です。さらに、売上高が減っているのにもかかわらず、営業利益が増えているのも気になりますね。
ここで、通期業績推移のところにある「利益率」をクリックしてみましょう。すると、下のようなグラフに切り替わります。

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)
デフォルトだと赤色の折れ線グラフ「売上高営業利益率(以下、営業利益率)」、黄色の折れ線グラフ「ROE」、青色の折れ線グラフ「ROA」が表示されます。今回は営業利益率の動きを見やすくするため、グラフ右側にあるROEとROAのチェックを外して非表示にしました。
これによると、営業利益率は右肩上がりになっているのがわかります。しかも、2016年ごろから営業利益率が急上昇していますね。この動きをみると、単に“業績が悪くなった”わけではないように思えます。
実は、売上高が減っているのに営業利益が増え、営業利益率が上昇しているのには、「FC展開」が大きく関係しています!売上高が減った理由は、直営店をFC店に変えたためです。これは、直営店の売上とFC店からの収入に大きな違いがあるからです。
仮に、直営店とFC店を含めたマクドナルド全体の“1店舗あたりの売上”が100万円だったとします。直営店の場合は、100万円の売上すべてがマクドナルドの収入になります。しかし、FC店の場合は全額がマクドナルドの収入にはならず、「売上の○%」のように一部しか入ってきません。そのため、直営店をFC店に変えていくと、売上高が減ってしまうのです。
次に、営業利益と営業利益率について考えます。営業利益がどうやって計算されるかをおさらいしておきましょう。営業利益は以下の計算式で表されます。
営業利益の計算式
営業利益=売上高-費用
この計算式から考えると、売上高が減っている状態で営業利益が増えるには、費用が減らないといけません。それでは、直営店とFC店の費用にはどのようなものがあるのでしょうか?
直営店の売上にかかる費用は、ハンバーガーの原材料とハンバーガーを作るための人件費が中心です。対してFC店からの収入にかかる費用を考えてみましょう。FC店のハンバーガーは原材料をオーナー自身が仕入れており、ハンバーガーを作るための従業員もオーナー自身が雇っています。つまり、マクドナルド自身はFC店でハンバーガーを売るための費用を負担しておらず、FC店からの収入を得るのに必要な費用はほとんどないのです。
実際にどれくらい費用がかかっているのかを見てみましょう!マクドナルドの『Form10-K(日本で言う有価証券報告書)』からデータを拾います。

(出典:マクドナルドのForm10-K)
Form10-Kによると、FC店からの収入は11,655.7百万ドル、FC店からの収入を得るのにかかった費用は2,200.6百万ドルです。FC事業の営業利益は「11,655.7百万ドル-2,200.6百万ドル=9,455.1百万ドル」なので、営業利益率は約81%となります!
ここで直営店事業の売上高と費用を調べると、下の画像のようになります。

(出典:マクドナルドのForm10-K)
直営店の売上は9,420.8百万ドル、費用は9,806.1百万ドルです。直営店の営業利益は「9,420.8百万ドル-9,806.1百万ドル=▲385.3百万ドル」と赤字になっています。
つまり、マクドナルドは赤字が出る直営店を減らして、費用がかからず営業利益率が非常に高いFC店を増やしたため、営業利益率が上昇したのです。
以上をまとめると、マクドナルドは直営店をFC店に転換したことで売上高は減ったものの、FC店は高収益体質なので、FC店を増やすのに合わせて営業利益率が高まったとわかります。
このほかにも、四半期ごとの売上高や営業利益が調べられる「四半期業績推移」があります。

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)
四半期業績推移は、業績の季節要因を調べるのに役立ちます。企業によっては1Qに売上高が積み上がりやすいなど、四半期ごとに特徴が出る場合があるので、なにか特徴がないかサラッと見ておくとよいでしょう。
キャッシュフロー計算書

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)
上のグラフは、マクドナルドのキャッシュフロー(CF)を表したものです。キャッシュフロー計算書ではじめにチェックすべきなのが、「営業キャッシュフローの推移」です。営業キャッシュフローの動きから、経営がうまく行っているかどうかがわかります。
営業キャッシュフローは、本業に関するお金の出入りを表しています。プラスなら本業からお金が入ってきている状態、マイナスだと本業をおこなうとお金が出ていく状態です。マクドナルドの場合は、営業キャッシュフロー(赤色の棒グラフ)がプラスで推移しています。つまり、本業でしっかりと利益を出してお金が入ってきている状態なので、売上高が減っていても事業は上手く行っているのがわかります。
売上高が減っているのに、営業キャッシュフローがプラスで推移している理由は、次の2つあります。
- 代金を現金で受け取る場合が多い
- FC店からの多額の収入が入る
マクドナルドでは、ハンバーガーが1つ300円程度と低価格帯で展開されています。低価格であるがゆえに、消費者はわざわざクレジットカードなどで払おうとは考えず、基本的に現金で支払います。現金で受け取る場合は、代金をあとから受け取るクレジットカード払いと違って、すぐに現金が手元に入ってくるため、営業キャッシュフローがプラスになりやすいのです。
また、安定的にFC店から多額の収入が入ってくるのも、営業キャッシュフローにとってプラス要因です。FC店もハンバーガーの代金は現金で受け取る場合が多く、マクドナルドに対してすぐにロイヤルティが支払えます。このような理由もあって、営業キャッシュフローがプラスを維持できています。
この他にも特徴的なのが、紫色の棒グラフである「財務キャッシュフロー」です。これは、資金調達や返済に関するお金の流れを表したものです。具体例をあげると、銀行から借金をすればプラスに、借金を返済すればマイナスとなります。
マクドナルドの場合は、財務キャッシュフローが2015年を除いてずっとマイナスで推移しています。そして、2016年には巨額のマイナスを計上しています。なぜマイナスが続いているのでしょうか?その理由を探るため、再びForm10-Kを読み込んでみました。

(出典:マクドナルドのForm10-K)
数字の並びの右端が2016年の財務キャッシュフローの内訳を表しています。赤枠で囲んだのは、「自社株買い」の金額です。左隣の2017年や2018年と比べて、多額の資金を使って自社株買いしているのがわかります。これが、2016年に財務キャッシュフローが大きくマイナスになった理由です。
2017年と2018年も、2016年ほどではないものの、かなりの金額を自社株買いに使っています。マクドナルドの財務キャッシュフローがマイナスなのは、積極的な自社株買いによるものなのです。後ほど説明しますが、マクドナルドは配当金の支払いも積極的におこなっています。株主還元を積極的におこなう会社だとわかりますね。
配当をチェック
銘柄スカウター米国株では、配当金の推移を確認できます。下の画像のように、「配当」をクリックすると配当金の情報が表示されます。

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)
上の画像は、年間配当履歴です。過去に配当金を増やす「増配」をしてきたのか、配当金を減らす「減配」したことがあるのかがわかるので、配当金の受け取りを目的に米国株を買いたい方におすすめです。こちらで確認できるのは2015年以降のデータですが、マクドナルドは毎年増配しているのがわかります。
このほかにも、「四半期ごとの配当の履歴」や「配当利回り」、「配当性向」も載っています。
株価指標をチェック
各銘柄のPERやPBRの推移が確認できます。下の画像のように、「株価指標」をクリックするとページが出てきます。

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)
上の画像はPERの推移です。赤色の折れ線グラフがPERの推移を、青色の折れ線グラフが株価の推移を表しています。2020年6月現在のPERは25.6倍で、これは過去の平均値よりも少し下です。PER25.6倍と聞くと割高な印象がありますが、マクドナルドの過去の平均と比べれば割安な水準です。PERの数字だけを見るのではなく、過去と比較すると、その企業が本当に割高なのかどうかを判断するのに役立つでしょう。
このほかにも、PBRと配当利回りの推移が載っているので、PERの推移を見るのに慣れてきたらチェックしてみてください。
まとめ
私たちが普段何気なく使っているマクドナルドは、直営店をFC店に転換しているため、売上高が減って営業利益率が高まっています。また、連続増配や自社株買いを実施しており株主還元に積極的な会社です。業績を見ていくと、私たちが持っているマクドナルドのイメージとは違った一面が見えてくるので、とてもおもしろいですよね!
これまでは、米国株の情報を得ようと思うと、このページでも紹介した「Form10-K」を読むのが基本でした。英語で書かれているので読むのが大変でしたが、銘柄スカウター米国株の登場によって、その手間が省略できます!サクサク米国株の分析ができるので、米国株への投資を考えている方はぜひ使ってみてください!銘柄スカウター米国株は、マネックス証券に口座開設し、外国株の取引口座を作れば誰でも無料で使えます!
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注意
ここで紹介している分析方法や結果等は個人的な視点のもので、銘柄を推奨するものではございません。投資判断等は自己責任にてお願いいたします。また、このページの分析は、記事公開時の情報に基づいています。同日以降に発表されたIR情報は反映していませんので、あらかじめご了承ください。