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割安性とは?わかりやすく解説します

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年11月30日

株価が割安な企業に投資しよう

割安性とは、企業が本来持っている価値よりも安い価格が付いている可能性を表します。株式投資では「株をできる限り安く買って、高く売ること」で利益が出るので、手法にもよりますが、投資先が割安かどうかは大事なポイントです。

このコラムでは、割安性の意味や割安性の高い会社に投資するメリット・デメリット、割安性の高い会社の見つけ方などを、株初心者向けにわかりやすく解説しています。

割安性とは?

割安性とは、「企業が本来持っている価値よりも、安い価格が付いている可能性」です。株式投資の目的は、株価の値上がり益の獲得です。そして、値上がり益には、企業の成長に合わせた株価上昇によって得られるものと、バーゲンセール状態の株価が、適正な株価まで戻る際に得られるものがあります。

成長性が高い企業を、一時的なバーゲンセール状態(=割安性が高い状態)で買えば、株価の値上がり幅が広がります。この点で、割安性は株式投資に必要な条件のひとつだと言えるでしょう。

割安性が高い会社に投資する「メリット」

割安性が高い企業に投資するメリットは、適正な株価になるまでの値上がり益が狙える点です。冒頭でも説明したとおり、割安性が高い状態は、お店のバーゲンセールに似ています。企業が本来持っている価値は変わらないのに、付いている値段だけ安くなっているのです。

ここで、株価に関する大事な法則をご紹介します。それは、「株価は長い目で見ると、企業価値に収束する」法則です。つまり、一時的に割安な株価が付くときがあっても、いずれは本来の価値に戻るのです。そのため、割安性が高い企業に投資しておけば、適正株価までの値上がり益が手に入ります。

割安性が高い会社に投資する「デメリット」

デメリットは、バリュートラップに引っかかるかもしれない点です。バリュートラップとは、割安な銘柄が割安なまま放置される状態をいいます。このような銘柄には、次の要因があります。

  • これまでは順調に業績を伸ばして来たが、先行きが良くない
  • グロース株に注目が集まり、バリュー株が注目されにくい環境にある
  • 東証スタンダードなど最上位市場や新興市場以外に上場している
  • 知名度が低い

上の条件に当てはまる銘柄には、手を出さないほうが良いかもしれません。しかし、どんなに調べても「良い会社だ」と考えられる場合は、いずれ投資家から見直されるかもしれないので、長期保有を覚悟して投資しても良いでしょう。いずれにせよ、割安な会社に投資する際は、上の4点をチェックして、なぜ割安なのかを理解してから投資するのがおすすめです。

優秀な無料ツールで、割安性の高い企業を見つけよう!

割安性の高い企業を見つけるには、指標を使って分析する必要があります。今回は、業績分析に役立つ、マネックス証券の『銘柄スカウター』と、GMOクリック証券の『財務分析ツール』を使って、割安性を分析する方法をご紹介します!これらは、証券会社に口座開設するだけで無料で使えます。

割安性の分析で使う指標は、次の3つです。

今回は、日本を代表する自動車メーカーであるトヨタ自動車(7203)を例に、割安性の分析事例を紹介します。

PER(株価収益率)

PERは、利益から見た株価の割安度を計る指標です。PERの数字が小さいほど割安、大きいほど割高となります。PERの計算式は、下のとおりです。

計算式

PER=株価÷EPS(1株あたり純利益)

式はシンプルなのですが、「1株あたり純利益」を計算するのが少し厄介です。なぜなら、純利益を発行済株式数で割らないといけないからです。しかし、マネックス証券銘柄スカウターでは、PERが表示されているので便利です!

トヨタ自動車(7203)のPER> トヨタ自動車(7203)のPER

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

このように、ツールを使うとかんたんにチェックできるPERですが、ひとつの企業だけを見て判断するべきではありません。おすすめは、以下の手順に沿った分析です。

  1. 日経平均のPERと比べる
  2. 業界平均のPERと比べる
  3. 競合企業のPERと比べる

まずは、日経平均のPERと比べてみましょう。日経平均のPERは、日本経済新聞社の「国内の株式指標」でチェックできます。日経平均のPERは13.3倍なので、PER12.1倍のトヨタ自動車は割安だと言えます。

比較対象 PER 評価
トヨタ自動車
(7203)
12.1倍 割安
日経平均株価 13.3倍

(2021年8月現在)

続いて、業界平均のPERと比べてみましょう。業界平均のPERは、JPXの「規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧」で確認できます。トヨタ自動車が属する輸送用機械の業界平均PERは51.7倍なので、PER12.1倍のトヨタ自動車は割安だと言えます。

比較対象 PER 評価
トヨタ自動車
(7203)
12.1倍 割安
輸送用機械の業界平均 51.7倍

(2021年8月現在)

最後に、競合企業のPERと比べてみましょう。会社四季報の比較対象企業のPERを並べると、下の表のようになります。

比較対象 PER 評価
トヨタ自動車
(7203)
12.1倍 割高
日産自動車
(7201)
40.4倍
本田技研工業
(7267)
9.1倍

(2021年8月現在)

競合企業と比べたとき、一見するとトヨタ自動車(7203)は割安とも割高とも言えない状態です。注意が必要なのは、日産自動車(7201)PERです。同社のPERは40.4倍と数値が高くなっていますが、これは業績が悪化しているのが原因と考えられます。つまり、日産自動車(7201)のPERはあまり参考になりません。

今回、トヨタ自動車と比べるのに適した企業は、本田技研工業(7267)となるでしょう。同社のPERは9.1倍なので、トヨタ自動車は若干割高な水準とも言えます。このように、PERを使って割安か割高かを判断するときは、日経平均や業界平均以外に類似企業との比較も必要です。さらに、類似企業と比較する際は、異常値が含まれる場合があるので、各企業の状態を調べてから比較しましょう。

PBR(株価純資産倍率)

PBRは、企業が持っている純資産から見た株価の割安度を計る指標です。PBRの見方もPERと同じで、数字が小さいほど割安、大きいほど割高ですが、一般的にはPBR1倍以下が割安と判断します。これは、企業の1株あたりの純資産価格よりも、株価が安い状態です。

PBRの計算式は、下のとおりです。

計算式

PBR=株価÷BPS(1株あたり純資産)

こちらも自分で計算する必要はなく、マネックス証券銘柄スカウターでかんたんに入手できます。

トヨタ自動車(7203)のPBR>

トヨタ自動車(7203)のPBR

(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)

物語コーポレーションのPBRは1.15倍でした。割安判断の基準となる「PBR1倍」よりも高いため、PBRで見た場合は割高だと判断できます。

理論株価

理論株価とは、企業が本来持っている価値を1株あたりの価値に直したものです。判断の方法はPERと似ていて、現在付いている株価が理論株価を下回っていれば割安、上回っていれば割高と判断します。計算式にはいくつか種類があるのですが、この後で紹介するGMOクリック証券財務分析ツールで採用されている計算式を紹介します。

計算式

理論株価=(事業価値+金融資産-有利子負債)÷発行済株式数

この時点で、「どういうこと?」と疑問をいだく人が多いのではないでしょうか。私も最初は「?」がたくさん浮かんできて、理解するのに苦しみました。理論株価を求めるには、このようなむずかしい計算式を解かないといけないのですが、GMOクリック証券自動で理論株価を計算してくれる無料のツールを用意しているので、こちらを使うのがおすすめです!

トヨタ自動車(7203)の理論株価>

理論株価

(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)

こちらが、自動で理論株価を計算してくれる財務分析ツールです。ひと目で理論株価と現在の株価を比べられますね!このツールによれば、トヨタ自動車(7203)の理論株価は9,527円です。2021年8月4日現在の株価は9,970円なので、割高でも割安でもないフェアバリュー(適正株価)だとわかります。

まとめ

割安性とは、企業が本来持っている価値よりも安い価格が付いている可能性を表します。株式投資では「株をできる限り安く買って、高く売ること」で利益が出ます。手法にもよりますが、投資先が割安かどうかチェックしたうえで投資しましょう。

また、割安性を判断する際は、PERPBR理論株価などを組み合わせて使うのがおすすめです。マネックス証券銘柄スカウターや、GMOクリック証券財務分析ツールを使うと、株初心者でも計算の手間なくかんたんに使えます。どちらのツールも無料で使えるので、まだ口座を持っていない方は、この機会に口座開設してみてはいかがでしょうか。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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