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割安性とは?わかりやすく解説します
割安性とは、企業が本来持っている価値よりも、安い価格が付いている可能性を表します。株式投資では「株をできる限り安く買って、高く売ること」で利益が出るので、手法にもよりますが、投資先が割安かどうかは大事なポイントです。
このコラムでは、割安性の意味や割安性の高い会社に投資するメリット・デメリット、割安性の高い会社の見つけ方などを、株初心者向けにわかりやすく解説しています。
割安性とは?
割安性とは、「企業が本来持っている価値よりも、安い価格が付いている可能性」です。株式投資の目的は、株価の値上がり益の獲得です。そして、値上がり益には、企業の成長に合わせた株価上昇によって得られるものと、バーゲンセール状態の株価が、適正な株価まで戻る際に得られるものがあります。
成長性が高い企業を、一時的なバーゲンセール状態(=割安性が高い状態)で買えば、株価の値上がり幅が広がります。この点で、割安性は株式投資に必要な条件のひとつだと言えるでしょう。
割安性が高い会社に投資する「メリット」
割安性が高い企業に投資するメリットは、適正な株価になるまでの値上がり益が狙える点です。冒頭でも説明したとおり、割安性が高い状態は、お店のバーゲンセールに似ています。企業が本来持っている価値は変わらないのに、付いている値段だけ安くなっているのです。
ここで、株価に関する大事な法則をご紹介します。それは、「株価は長い目で見ると、企業価値に収束する」法則です。つまり、一時的に割安な株価が付くときがあっても、いずれは本来の価値に戻るのです。そのため、割安性が高い企業に投資しておけば、適正株価までの値上がり益が手に入ります。
割安性が高い会社に投資する「デメリット」
デメリットは、バリュートラップに引っかかるかもしれない点です。バリュートラップとは、割安な銘柄が割安なまま放置される状態をいいます。このような銘柄には、次の要因があります。
- これまでは順調に業績を伸ばして来たが、先行きが良くない
- グロース株に注目が集まり、バリュー株が注目されにくい環境にある
- 東証スタンダードなど最上位市場や新興市場以外に上場している
- 知名度が低い
上の条件に当てはまる銘柄には、手を出さないほうが良いかもしれません。しかし、どんなに調べても「良い会社だ」と考えられる場合は、いずれ投資家から見直されるかもしれないので、長期保有を覚悟して投資しても良いでしょう。いずれにせよ、割安な会社に投資する際は、上の4点をチェックして、なぜ割安なのかを理解してから投資するのがおすすめです。
優秀な無料ツールで、割安性の高い企業を見つけよう!
割安性の高い企業を見つけるには、指標を使って分析する必要があります。今回は、業績分析に役立つ、マネックス証券の『銘柄スカウター』と、GMOクリック証券の『財務分析ツール』を使って、割安性を分析する方法をご紹介します!これらは、証券会社に口座開設するだけで無料で使えます。
割安性の分析で使う指標は、次の3つです。
今回は、日本を代表する自動車メーカーであるトヨタ自動車(7203)を例に、割安性の分析事例を紹介します。
PER(株価収益率)
PERは、利益から見た株価の割安度を計る指標です。PERの数字が小さいほど割安、大きいほど割高となります。PERの計算式は、下のとおりです。
計算式
PER=株価÷EPS(1株あたり純利益)
式はシンプルなのですが、「1株あたり純利益」を計算するのが少し厄介です。なぜなら、純利益を発行済株式数で割らないといけないからです。しかし、マネックス証券の銘柄スカウターでは、PERが表示されているので便利です!
(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)
このように、ツールを使うとかんたんにチェックできるPERですが、ひとつの企業だけを見て判断するべきではありません。おすすめは、以下の手順に沿った分析です。
- 日経平均のPERと比べる
- 業界平均のPERと比べる
- 競合企業のPERと比べる
まずは、日経平均のPERと比べてみましょう。日経平均のPERは、日本経済新聞社の「国内の株式指標」でチェックできます。日経平均のPERは13.3倍なので、PER12.1倍のトヨタ自動車は割安だと言えます。
比較対象 | PER | 評価 |
---|---|---|
トヨタ自動車 (7203) |
12.1倍 | 割安 |
日経平均株価 | 13.3倍 |
(2021年8月現在)
続いて、業界平均のPERと比べてみましょう。業界平均のPERは、JPXの「規模別・業種別PER・PBR(連結・単体)一覧」で確認できます。トヨタ自動車が属する輸送用機械の業界平均PERは51.7倍なので、PER12.1倍のトヨタ自動車は割安だと言えます。
比較対象 | PER | 評価 |
---|---|---|
トヨタ自動車 (7203) |
12.1倍 | 割安 |
輸送用機械の業界平均 | 51.7倍 |
(2021年8月現在)
最後に、競合企業のPERと比べてみましょう。会社四季報の比較対象企業のPERを並べると、下の表のようになります。
比較対象 | PER | 評価 |
---|---|---|
トヨタ自動車 (7203) |
12.1倍 | 割高 |
日産自動車 (7201) |
40.4倍 | |
本田技研工業 (7267) |
9.1倍 |
(2021年8月現在)
競合企業と比べたとき、一見するとトヨタ自動車(7203)は割安とも割高とも言えない状態です。注意が必要なのは、日産自動車(7201)のPERです。同社のPERは40.4倍と数値が高くなっていますが、これは業績が悪化しているのが原因と考えられます。つまり、日産自動車(7201)のPERはあまり参考になりません。
今回、トヨタ自動車と比べるのに適した企業は、本田技研工業(7267)となるでしょう。同社のPERは9.1倍なので、トヨタ自動車は若干割高な水準とも言えます。このように、PERを使って割安か割高かを判断するときは、日経平均や業界平均以外に、類似企業との比較も必要です。さらに、類似企業と比較する際は、異常値が含まれる場合があるので、各企業の状態を調べてから比較しましょう。
PBR(株価純資産倍率)
PBRは、企業が持っている純資産から見た株価の割安度を計る指標です。PBRの見方もPERと同じで、数字が小さいほど割安、大きいほど割高ですが、一般的にはPBR1倍以下が割安と判断します。これは、企業の1株あたりの純資産価格よりも、株価が安い状態です。
PBRの計算式は、下のとおりです。
計算式
PBR=株価÷BPS(1株あたり純資産)
こちらも自分で計算する必要はなく、マネックス証券の銘柄スカウターでかんたんに入手できます。
<トヨタ自動車(7203)のPBR>
(出典:マネックス証券の銘柄スカウター)
物語コーポレーションのPBRは1.15倍でした。割安判断の基準となる「PBR1倍」よりも高いため、PBRで見た場合は割高だと判断できます。
理論株価
理論株価とは、企業が本来持っている価値を、1株あたりの価値に直したものです。判断の方法はPERと似ていて、現在付いている株価が理論株価を下回っていれば割安、上回っていれば割高と判断します。計算式にはいくつか種類があるのですが、この後で紹介するGMOクリック証券の財務分析ツールで採用されている計算式を紹介します。
計算式
理論株価=(事業価値+金融資産-有利子負債)÷発行済株式数
この時点で、「どういうこと?」と疑問をいだく人が多いのではないでしょうか。私も最初は「?」がたくさん浮かんできて、理解するのに苦しみました。理論株価を求めるには、このようなむずかしい計算式を解かないといけないのですが、GMOクリック証券が自動で理論株価を計算してくれる無料のツールを用意しているので、こちらを使うのがおすすめです!
<トヨタ自動車(7203)の理論株価>
(出典:GMOクリック証券の財務分析ツール)
こちらが、自動で理論株価を計算してくれる財務分析ツールです。ひと目で理論株価と現在の株価を比べられますね!このツールによれば、トヨタ自動車(7203)の理論株価は9,527円です。2021年8月4日現在の株価は9,970円なので、割高でも割安でもないフェアバリュー(適正株価)だとわかります。
まとめ
割安性とは、企業が本来持っている価値よりも、安い価格が付いている可能性を表します。株式投資では「株をできる限り安く買って、高く売ること」で利益が出ます。手法にもよりますが、投資先が割安かどうかチェックしたうえで投資しましょう。
また、割安性を判断する際は、PERやPBR、理論株価などを組み合わせて使うのがおすすめです。マネックス証券の銘柄スカウターや、GMOクリック証券の財務分析ツールを使うと、株初心者でも計算の手間なくかんたんに使えます。どちらのツールも無料で使えるので、まだ口座を持っていない方は、この機会に口座開設してみてはいかがでしょうか。
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