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監理銘柄とは?意味や株価への影響をわかりやすく解説します
監理銘柄(かんりめいがら)とは、上場廃止になる可能性が高い銘柄です。わざわざ「監理銘柄」と名前を付けている理由は、上場廃止になるかもしれないことを投資家に知らせるためです。
このコラムでは、監理銘柄の意味と株価への影響、確認方法について、株初心者向けにわかりやすく解説しています。
監理銘柄とは?
監理銘柄とは、上場廃止になる可能性が高い銘柄を指します。もう少し正確に説明すると、上場廃止基準に当てはまる可能性が高い銘柄です。わざわざ「監理銘柄」と名前を付けている理由は、上場廃止になるかもしれないことを投資家に知らせるためです。
監理銘柄に指定される銘柄には、次の2種類があります。
- TOBにより上場廃止が見込まれる銘柄
- 2年連続の債務超過などにより上場廃止が見込まれる銘柄
似た言葉に「整理銘柄(せいりめいがら)」があります。こちらは、監理銘柄とは違い、上場廃止が決まった銘柄が指定されます。整理銘柄に指定された場合は、取引の猶予期間(1か月)が過ぎると上場廃止となりますが、監理銘柄の場合は必ずしも上場廃止にはなりません。
監理銘柄になると、株価はどうなる?
監理銘柄に指定されると、株価は上がる場合と下がる場合があります。株価が上がるのは、TOBやMBOなどで上場廃止となる企業です。一方で、株価が下がるのは、業績が悪くなっている企業となります。株価が上がった事例は船井電機(6839)、株価が下がった事例はオンキヨーホームエンターテイメント(6628)を使って説明します。
株価が上がる場合
<船井電機(6839)の株価推移>
(出典:SBI証券)
2020年3月23日、出版事業を展開する秀和システムホールディングスが、船井電機(6839)に対するTOBをおこなうと発表しました。このTOBでは、秀和システムホールディングスが船井電機の全株式を「1株918円」で買い取ります。船井電機自身もこのTOBに賛同しているので、予定どおりTOBになる見通しです。
TOBが発表された2020年3月23日の終値は、733円でした。買付価格との差額を狙った買い注文が入り、918円付近まで株価が上がりました。このように、TOBやMBOによって上場廃止となる場合は、買付価格と現在の株価との差額を狙った買い注文がたくさん入るので、株価が上昇します。
株価が下がる場合
<オンキヨーホームエンターテイメント(6628)の株価推移>
(出典:SBI証券)
2021年3月31日、音響機器メーカーのオンキヨーホームエンターテイメント(6628)が、上場廃止基準に抵触する見込みだと発表しました。業績が悪化し、2年連続の債務超過※1になってしまったのが原因です。これを受けて、東京証券取引所はオンキヨーホームエンターテイメント(以下、オンキヨー)を監理銘柄に指定しました。
※1 債務超過とは、会社が持っている資産よりも、借金のほうが多い状態です。会社の資産をすべて売ったとしても、そのお金では借金を全額返済できないので、財務状態としてはかなり悪くなっています。会社の存続がむずかしい状態です。詳しくは、信用リスクとは?で説明しています。
監理銘柄なので、すぐに上場廃止になるわけではありません。6月に発表予定の有価証券報告書を確認し、上場廃止基準に抵触していると判断された場合に、整理銘柄に指定される見通しです。整理銘柄になった後は、1か月の猶予期間を経て、7月ごろに上場廃止となると考えられます。
とはいえ、オンキヨーは上場廃止がほぼ確実※です。そのため、監理銘柄に指定された後、株価が急落しました。2021年4月7日現在の株価は6円で、当日の高値は7円、安値は5円でした。株価の動きを見ると、この間で上下を繰り返しています。中長期でオンキヨー株を持ちたい人はおらず、1~2円の値上がりを狙ったマネーゲームの対象になっているのがわかります。
※オンキヨーホームエンターテイメント(6628)は、2021年8月1日に上場廃止となることが確定しました。
このように、監理銘柄に指定された銘柄のうち、業績悪化が原因の銘柄は、株価が急落し、数円の値上がり益を狙った短期売買がおこなわれます。マネーゲームの状態であり、タイミングを間違えると損が出てしまうので、株初心者の方は手を出さないようにしましょう。
監理銘柄の確認方法
日本取引所グループの公式ホームページを見ると、監理銘柄の一覧が公表されています。
(出典:日本取引所グループ)
「詳細」のPDFマークをクリックすると、監理銘柄に指定された理由についての書類が読めます。保有株が監理銘柄になった場合は、企業が発表する情報だけでなく、こちらのページも合わせて見ましょう。
「確認中」と「審査中」の違い
監理銘柄の確認方法で、日本取引所グループの公式ホームページを紹介しました。こちらをよく見ると、「監理銘柄(確認中)」と「監理銘柄(審査中)」の2種類があります。
(出典:日本取引所グループ)
どのような違いがあるのか、一覧表に整理しました。
形式的要件での判断 | 証券取引所の状況判断 | |
---|---|---|
監理銘柄(確認中) | ||
監理銘柄(審査中) |
監理銘柄に指定されて上場廃止が検討されるときは、「2年連続で債務超過」などの形式的要件に当てはめて判断される場合と、形式的要件に加えて証券取引所の状況判断によって判断される場合があります。どちらも同じ監理銘柄なので、見分けが付くように前者を「監理銘柄(確認中)」、後者を「監理銘柄(審査中)」と呼び分けているのです。
証券取引所の状況判断について、補足で説明します。状況判断が必要となるケースとしては、「有価証券報告書の虚偽申請」が有名です。いわゆる、損失を隠すための粉飾決算がこれにあたります。過去には、原発事業で巨額の損失を抱えた東芝(6502)が、内部管理体制に問題があるとして監理銘柄(審査中)に指定されました。
保有株が監理銘柄になった場合の対処法
保有株が監理銘柄になった場合、整理銘柄に指定されたときとは違い、必ずしも売るのが良いとは言えません。また、整理銘柄となった理由が、業績の悪化なのか、TOBやMBOなのかにより、取れる選択肢が変わってきます。具体的にどんな選択肢があるのか、理由ごとに紹介します。
業績悪化
業績の悪化により「監理銘柄(確認中)」に指定された場合は、上場廃止の条件に当てはまっている可能性が高いです。その後のチェックで上場廃止が確定した場合、整理銘柄に指定されて上場廃止となります。株価が下がっていくので、早めに市場で売るほうが良いでしょう。
しかし、「監理銘柄(審査中)」に指定された場合は、上場が維持されるかもしれません。過去には、原発事業で巨額の損失を抱えた東芝(6502)が、監理銘柄(審査中)から解除されたケースがあります。東芝の株価を追うと、監理銘柄(審査中)から解除された後、ゆるやかに株価が上昇しています。
監理銘柄から解除されるかどうかは、証券取引所次第です。監理銘柄から解除されると見込んで持ち続けるのもむずかしいですが、東芝のように上場を維持し、株価が上がっていくケースもあるので、頭の片隅に置いておきましょう。
TOBやMBO
この場合は、業績悪化による上場廃止とは違い、株価が上がる場合があります。なぜなら、TOBやMBOでは、市場で付いている株価よりも高い値段で、株式を買い取るケースが多いからです。そのため、監理銘柄に指定された後は、株価が買付価格付近で動きます。
TOBやMBOによって上場廃止となる場合は、株主が取れる選択肢は次の2つがあります。
- 市場で売る
- 指定の証券会社に買い取りを申し込む
おすすめの方法は、①市場で売る方法です。通常の取引と同じように、証券会社の取引画面で「売却」ボタンを押すだけで済むからです。TOBやMBOの買付価格では売れないかもしれませんが、それに近い金額で売れます。手間をかけずに利益が手に入るので、おすすめです。
②指定の証券会社に買い取りを申し込む方法もありますが、株式の移管や申込手続きなどが必要です。①の方法と比べて、かなり手間がかかってしまいます。
保有株がTOBされた場合の対処法はTOB(株式公開買い付け)とは?意味や事例をわかりやすく解説しますで、MBOされた場合の対処法はMBOとは?意味や目的、株価への影響をわかりやすく解説で詳しく紹介しています。
まとめ
監理銘柄とは、上場廃止基準に当てはまる可能性が高い銘柄です。上場廃止が決まった銘柄が指定される整理銘柄とは違い、すぐに上場廃止になるわけではなく、上場廃止にならない場合もあります。保有株が監理銘柄に指定された場合、TOBやMBOによるものは株価が上がり、業績悪化によるものは株価が下がる傾向にあります。
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