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MBOとは?意味や目的、株価への影響をわかりやすく解説

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年11月30日

MBOとは「Management Buyout(マネジメント・バイアウト)」の略で、日本語では「経営陣買収」といいます。文字どおり、経営陣が既存株主から自社の株式を買い取り、オーナー経営者となる方法です。

このコラムでは、MBOの具体的な流れや目的、株価への影響、事例について、株初心者向けにわかりやすく解説しています。

MBOの具体的な流れ

MBOの具体的な流れを整理すると、下のようになっています。

  1. 経営陣がSPC(特別目的会社)を作る
  2. 金融機関から買収資金を借りる
  3. 既存株主から自社の株式を取得
  4. 自社がSPCと合併し、MBO完了

「買収」だけでもむずかしそうなのに、経営陣による買収と聞くと、まったくイメージできないかもしれません。しかし、MBOの流れは意外とシンプルで、上で説明した4つの手順で完了します。

第一段階で「SPC(特別目的会社)」という謎の会社を作っていますが、これは買収資金を集めるのに必要だからです。個人でも銀行からお金を借りられますが、会社を買収しようと思うと多額の資金が必要です。お金をたくさん借りるには会社を作ったほうが効率的なので、仮の会社としてSPCを作っています。「銀行からお金を借りるために作った」と理解しておけばOKです。

MBOの目的

上場企業がMBOで上場廃止を選ぶ目的は、大きく分けて3つあります。

  1. 長期的な経営のため
  2. 迅速な意思決定のため
  3. TOBへの対抗策のため

長期的な経営のため

まずは、「長期的な経営のため」についてです。株式を上場すると、誰でも株式を買って経営権を手に入れられます。幅広い意見が集まるのがメリットですが、株主が多すぎると意見がまとまらなくなるのがデメリットです。また、短期的な利益を要求する投資家が現れた場合、目先の業績アップや株主還元策の強化を求められる場合があり、長期的な目線での経営がむずかしくなります。

このような場合に、所有と経営をまとめるMBOが有効です。短期的な意見にまどわされずに、長期的な目線で腰を据えて経営できるようになります。

迅速な意思決定のため

次に、「迅速な意思決定のため」について説明します。1つ目の理由と少し被りますが、株主が多いと意見をまとめるのに時間がかかってしまいます。そこでMBOをおこなって経営権を経営陣に集中させれば、迅速に意思決定できます。経営状態が悪化していて、改善策をすばやく打たなければいけないときに使われる場合が多いです。

TOBへの対抗策のため

最後に、「TOBへの対抗策のため」について解説します。TOBとは、第三者が会社の経営権を手に入れる目的で株式を買い集めることです。TOBには買収する側と買収される側が同意している“友好的TOB”と、買収される側が同意しない“敵対的TOB”があり、後者のTOBから会社を守るための手段としてMBOが使われます。

株価はどうなる?

MBOが発表されると、株価が上がります。理由は、MBOの買収価格は、株価にプレミアを上乗せした価格が設定されるからです。つまり、MBOが発表された会社の株式を持っていれば、買収価格と株価の差額だけ儲かる仕組みとなっています。

この仕組みに目を付けた投資家たちは、上乗せ分を手に入れるために、MBOを発表した会社の株式を買おうとします。大量の買い注文が入るため、株価は買収価格に向かって上がっていくのです。

実際の事例を見てみましょう!今回は、2019年11月8日にMBOを発表したマイスターエンジニアリング(4695)の株価の動きを紹介します。

<マイスターエンジニアリング(4695)の株価推移>

チャート画面

(出典:SBI証券

11月8日に940円でMBOが発表されたため、翌営業日以降は株価が940円付近で推移しているのがわかりますね。さらに11月28日にMBO価格が1,150円に引き上げられたため、翌営業日に株価が1,150円付近まで上がりました。このように、MBOが発表されると買収価格まで株価が上がる傾向にあります。

MBOされたらどうすればいい?

自分の保有株がMBOされる場合、どう対応すれば良いのでしょうか?私たち個人投資家が取る方法には、下の3つがあります。

  1. MBOの代理人証券会社に株式を移管し、買い取ってもらう
  2. 株式市場で売却する
  3. 強制的に取得されるのを待つ

どの方法をとっても良いのですが、手間や株式の代金を受け取るまでの時間に差があるので注意が必要です。最も楽な方法は「③強制的に取得されるのを待つ」ですが、強制的に取得されて代金が入金されるまでに時間がかかります。その間は、他の銘柄の購入資金に充てられないので、機会損失が起きてしまいます。

反対に、最も手間がかかる方法は「①MBOの代理人証券会社に株式を移管し、買い取ってもらう」です。普段使っている証券会社がMBOの代理人証券会社であれば楽なのですが、口座を持っていない証券会社が代理人になっているときは大変です。その証券会社に口座開設し、そのあと株式の移管手続きをしなければいけません。時間も労力もかかるので、あまりおすすめできない方法です。

結論としては、「②株式市場で売却する」のが良いでしょう。この方法であれば、株式を移管する必要もありませんし、すぐにほかの銘柄の買い付け代金に充てられるからです。もし自分の保有株がMBOされることになったら、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

まとめ

MBOとは、経営陣による買収です。MBOが発表されると、買収価格付近まで株価が上がります。もし自分の保有株がMBOされた場合は、買収価格付近まで株価が上がったタイミングで、株式市場で売却するのがおすすめです。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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