整理銘柄とは?意味や株価への影響をわかりやすく解説します

整理銘柄とは?意味や株価への影響をわかりやすく解説します

担当:西尾

担当・にしけい

最終更新日:2021年4月7日

整理銘柄(せいりめいがら)」とは、上場廃止が決まった銘柄を指します。わざわざ「整理銘柄」と名前を付けている理由は、上場廃止が決まったことを投資家に知らせるためです。

整理銘柄に指定されると、すぐに上場廃止とはならず、1か月間の猶予期間が与えられます。猶予期間があるのは、整理銘柄の株主に、保有株を市場で売る時間を用意するためです。上場廃止になると、その後は株券を売買しにくくなるほか、会社が倒産して株券が紙くずになるケースがあります。投資家を守るために、猶予期間が用意されているのです。

似た言葉に「監理銘柄(かんりめいがら)」があります。こちらは、整理銘柄とは違って、上場廃止になるかもしれない銘柄が指定されます。監理銘柄は、必ずしも上場廃止になるわけではありません。

整理銘柄になると株価はどうなる?

整理銘柄に指定されると、株価はどうなるのでしょうか?実際に整理銘柄となった会社を例に、株価への影響を紹介します。まず、整理銘柄に指定される銘柄には、大きく分けて次の2種類があります。

  • ①業績が悪化した銘柄
  • TOBMBOされる銘柄

それぞれ、事例を使って説明します。

①業績が悪化した銘柄

<レナウン(3606)の株価チャート>

レナウン(3606)の株価チャート

(出典:株ドラゴン

上の株価チャートは、2020年6月16日に経営破綻により上場廃止となった「レナウン(3606)」の株価チャートです。レナウンは、アパレルブランド『ダーバン』などを持っており、1990年代には世界最大の規模を誇っていました。しかし、近年はブランド力の低下やファストファッションの台頭により、業績が悪化していました。

この状況の中で、2020年に新型コロナウイルスの感染が拡大します。外出自粛などの影響もあり、百貨店を中心に店舗を出店しているレナウンは、業績がさらに悪くなりました。さらに、グループ会社である香港の企業から売掛金回収ができなくなり経営破綻してしまったのです。

レナウンは上場廃止が決まり、2020年5月15日に整理銘柄に指定されました。翌営業日の5月18日は、株価が前日比-38.46%の48円となり、その後も株価は下がり続けていきます最終的に、上場廃止日は4円で取引を終えました。上場廃止が発表される直前の株価は78円なので、100株あたり7,400円の損失が出た計算です。

レナウンの事例から、業績悪化が理由で整理銘柄に指定された場合は、なるべく早く市場で売ったほうが良いと言えます。

信用取引の経験がある方なら、「上場廃止日にかけて株価が下がるのだから、整理銘柄に指定された後に空売りすれば利益が出るだろう」と考えますよね。しかし、整理銘柄に指定されると信用取引ができなくなるので、整理銘柄を空売りして利益を得ることはできません。

②TOBやMBOされる銘柄

<LINE(3938)の株価チャート>

LINE(3938)の株価チャート

(出典:株ドラゴン

上の株価チャートは、2020年12月29日に上場廃止となった「LINE(3938)」の株価チャートです。上場廃止となった理由は、ソフトバンクとNAVERがLINEをTOBして、完全子会社化したためです。

完全子会社化が目的の場合、TOBですべての銘柄が買い取られてしまうので、その銘柄は上場廃止となります。なお、LINEが整理銘柄になったのは2020年12月15日なのですが、それよりも前の2020年8月ごろから、株価が5,300円台後半で落ち着いているのが特徴です。

整理銘柄になる前から株価が5,300円台後半で落ち着いているのは、買付価格「5,380円」が事前に発表されていたからです。TOBされる場合、株価は買付価格付近で動く傾向があります。そのため、LINEの株価は買付価格「5,380円」付近で動いていたのです。

ソフトバンクとNAVERによるLINEへのTOBについては、ヤフーとLINE(ライン)の経営統合を発表!株主や株価への影響はどうなる?で解説しています。こちらもぜひご覧ください。

保有株が整理銘柄になった場合の対処法

保有株が整理銘柄になった場合、猶予期間中に市場で売ってしまうのが基本の対処法です。しかし、整理銘柄となった理由が、業績の悪化なのか、TOBMBOなのかにより、取れる選択肢が変わってきます。具体的にどんな選択肢があるのか、理由ごとに紹介します。

業績悪化

業績悪化によって上場廃止となる場合、株価はゼロ円に向かって下がっていきます。そのまま株券を持ち、経営を立て直して再び上場するのを待つ方法もありますが、倒産する可能性もあるので、猶予期間中に市場で売ってしまうほうが良いでしょう。

TOBやMBO

この場合は、業績悪化による上場廃止とは違い、株価が上がる場合があります。なぜなら、TOBMBOでは、市場で付いている株価よりも高い値段で、株式を買い取るケースが多いからです。そのため、整理銘柄に指定された後は、株価が買付価格付近で動きます。

TOBやMBOによって上場廃止となる場合は、株主が取れる選択肢は次の2つがあります。

  • ①市場で売る
  • ②指定の証券会社に買い取りを申し込む

おすすめの方法は、①市場で売る方法です。通常の取引と同じように、証券会社の取引画面で「売却」ボタンを押すだけで済むからです。TOBやMBOの買付価格では売れないかもしれませんが、それに近い金額で売れます。手間をかけずに利益が手に入るので、おすすめです。

②指定の証券会社に買い取りを申し込む方法もありますが、株式の移管や申込手続きなどが必要です。①の方法と比べて、かなり手間がかかってしまいます。

保有株がTOBされた場合の対処法はTOBとは?で、MBOされた場合の対処法はMBOとは?意味や目的、株価への影響をわかりやすく解説で詳しく紹介しています。

一部の投資家が整理銘柄を買う理由

整理銘柄は、1か月以内に上場廃止が決まっている銘柄です。特に業績が悪くなって上場廃止となった場合は、上場廃止日までにその株を売ってしまうのが基本と紹介しました。しかし、整理銘柄の株価を追っていると、大量の買い注文が入り値動きが激しくなっている銘柄があります。

先ほど紹介したレナウン(3606)も、整理銘柄になって初めて値が付いた2020年5月19日以降、出来高が急増しています。出来高は売りと買いの取引が成立した株数を表すので、出来高が増えている=買い注文が多く入っていると言えます。株価の動きも激しく、前日比+50%の日があれば、前日比-33%の日もあります。

<レナウン(3606)の株価と出来高の推移>

レナウン(3606)の株価と出来高の推移

(出典:株ドラゴン

整理銘柄に買い注文が入る理由は、投機目的で買う人が一定数いるからです。業績が悪くなって上場廃止になる場合、株価はゼロ円に向かって下がっていきます。そのため、株価が数円~数十円で動くことが多く、株価がたった数円上がるだけで、上昇率は数十%になります。

このため、整理銘柄を数百万株単位で買えば、わずかな値上がりで大きな利益が手に入ります。整理銘柄に買い注文が入る理由は、このような値上がりを狙っている人がいるからなのです。ただし、だんだんと売り圧力が強くなる中で売り抜けないと意味がないので、プロのトレーダーにとっても難易度が高い手法になります。株初心者は手を出さないほうが良いでしょう。

まとめ

整理銘柄は、上場廃止が決まった銘柄です。業績が悪化した銘柄のほか、TOBMBOによって上場廃止となる銘柄が含まれます。整理銘柄に指定されたあとは、1か月の取引猶予期間が設けられます。保有株が整理銘柄になった場合は、この期間内に売ってしまいましょう。

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この記事の執筆者

にしけい
「やさしい株のはじめ方」の資産運用担当です。ファイナンシャルプランナー2級、証券外務員の資格を保有しています。年間200銘柄以上を分析中。

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