為替リスクとは?

やさしい株のはじめ方編集部担当:やさしい株のはじめ方編集部

最終更新日:2023年11月30日

為替リスクとは、「円と外貨の為替レートの変動により、外貨建ての資産価値が減ってしまうリスク」を指します。一般的には、「円と米ドル」のように外貨取引に対して使われますが、株式投資においては、外貨で利益を受け取る上場企業の株式に対して使われます。

たとえば、代表的なトヨタ自動車(7203)を例に見てみましょう。
米国で自動車が売れたら、もちろんお金はドルで受け取ります。ですが、受け取ったトヨタ自動車側が実際に販売額を帳簿に入力する際は、円換算をする必要があります。そのときに使うのが、“円”と“ドル”の為替レートです。ただし、自動車を買う時は多くの方がローンを使うので、実際にお金が入ってくる(為替レートが確定する)のはずっと後になります。ドル建ての売り上げは自動車が売れた時に確定していますが、その時はまだ為替レートが不確定なので、このままでは円建ての売り上げを帳簿に入力できません。

ドル換算の販売額は確定、円換算の販売額は不確定

そこで、トヨタ自動車のような企業は、自社が想定する一定期間の平均為替レート(社内レート)を採用し、ひとまずそれに応じた数値を入力しています。もちろん、この社内レートと後から実際に適用される為替レートは違ってきます。そのズレが大きくなるほど、想定していた利益も大きく修正されます。例えば、想定していた為替レートが1ドル=100円、実際の為替レートが1ドル=90円だった場合、90円-100円=-10円となり、1ドルにつき10円の為替差損が発生します。想定していたより円高が進んでしまった例です。

このように、円高になると輸出企業は損をします。円高になると日経平均株価も連動して下がる傾向がありますが、その理由は、日本は輸出企業が多いからです。反対に円安になると、輸出企業の儲けが多くなります。1ドル=100円が1ドル=110円になれば、ドルを円に交換する際に10円多くもらえますよね。

輸出企業の業界例をあげますと、自動車や自動車部品をはじめ、鉄鋼、半導体などの電子部品が代表です。輸入企業の業界例は、原油や紙・パルプ、外食などです。下図にかんたんにまとめました。

円高 円安 業界例
輸入企業 メリット デメリット 原油
紙・パルプ
外食
輸出企業 デメリット メリット 自動車
鉄鋼
電子部品

今回例にあげたトヨタ自動車のように、為替レートの急激な変動によって、当初想定していた利益が大きく目減りしてしまうような上場企業の株式に対して、“為替リスクが高い”と言います。

☆為替リスクは、輸出企業などの株式に投資をする上で知っておかねばならないリスクです。

やさしい株のはじめ方編集部

この記事の執筆者

やさしい株のはじめ方編集部 

FP2級や証券外務員二種、日本証券アナリスト協会検定会員補を持つ複数のメンバーが「株初心者の方に株式投資をわかりやすく理解していただく」をモットーに、記事を執筆しています。

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