流動性リスクとは?
株式投資における流動性とは、売買がどれだけ活発におこなわれているかを表す言葉です。流動性リスクとは、この流動性が低く、「売りたい時に売れない、買いたい時に買えないリスク」を指します。つまり、売買が成立するときに価格が大きく変動してしまう可能性があるのです。しかも、注文が少ない状態は、たくさんの株をまとめて売買することが難しくなります。
流動性が高さ・低さは、銘柄によって大きく異なります。下記の2つの方法で、チェックできます。
- 出来高(できだか)
- 板情報
まずは、「1. 出来高」から見ていきましょう。
1.「出来高」の推移で流動性を判断する
流動性を確認する上で一番わかりやすいのが、その日の「出来高」の推移です。
出来高とは、その銘柄の株が1日で売買された数量です。この数量が多ければ多いほど、活発に売買がおこなわれています。つまり、“流動性が高い”と判断できます(=流動性リスクは低い)。
例えば、下図のヤフー(4689)を見てみると、出来高を表すグレーの棒グラフの単位が“M”となっています。これは100万(Millionの頭文字“M”)単位で売買されているということなので、頻繁に売買されているのがひと目でわかります。これなら、売買できなくて困るという状況にはなりにくいですし、思わぬ高値で買ってしまうリスクも少ないでしょう。流動性が高い(=出来高が多い)ので、流動性リスクは低いです。
<出来高が多い(流動性が高い=流動性リスクは低い)>

(※SBI証券の画面)
反対に、下図のエスビー食品(2805)の出来高を見ると、1日でたったの800株しか売買がおこなわれていません(先ほどのヤフーは1,500万株売買されていました)。全く取引されていない時間帯もあります。買いたい人も売りたい人も少ないため、希望の株価で売買するのが難しいでしょう。流動性は非常に低いので、流動性リスクは高いです。
<出来高が少ない(流動性が低い=流動性リスクは高い)>

2.「板」情報で流動性を判断する
出来高に続いてわかりやすいのは、「板」を見ることです。
板というのは、株を買いたい人と売りたい人が、いくらで注文を入れているかがひと目でわかる表のことです(詳しくは「板を使いこなす」をご覧ください)。
先ほどの「ヤフー」と「エスビー食品」を例にとって見ていきましょう。まず、流動性の高い「ヤフー」の場合、下図左の板のように、1円刻みで大量の買い注文と売り注文が出ており、自分が買い・売りどちらをおこなっても、株価が大きく動くことはありません。このような株式に対しては、「流動性リスクがない」と言います。

しかし、流動性の低い株式であれば、エスビー食品(右画像)のように、10円以上離れた価格にしか買い注文と売り注文が出ておらず、自分が買い・売りどちらをおこなっても、株価が大きく変動してしまいます。このような株式に対しては、「流動性リスクがある」と言います。
ちなみに、エスビー食品の株価は「10,310円」でしたが、板の気配値を見ると一番低くても「10,440円」からしか売りがでていません。なんと、現在値から130円も高い株価です…。売買単位は100株ですから、130円×100株=13,000円分も高い価格で買うことになります。このように、売買できる価格が限られてしまうのが流動性リスクです。
☆実際に株を購入する前に、その株の流動性リスクがどれくらいなのか確認しましょう!