関西スーパーマーケットをめぐる争奪戦・TOBについて解説!株価はどうなる?

担当・ゆうと

最終更新日:2021年9月3日

2021年9月2日、神奈川県を地盤に首都圏で「オーケーストア」を展開する オーケーが、関西スーパーマーケット(9919)に対して1株2,250円で対抗TOB(株式公開買い付け)をおこなう予定であると、日経新聞が報道※1しました。

すでに、H2Oリテイリング(8242)が関西スーパーマーケットの買収を発表※2しているため、関西スーパーマーケットをめぐる争奪戦に発展する可能性があります。この記事では、両者による買収の目的、関西スーパーマーケットにとってのメリット、株主にとってのメリットについて解説していきます。

※1 参考:オーケー、関西スーパーに買収提案 H2Oと争奪戦
※2 参考:関西スーパーマーケットとの経営統合、同社とイズミヤ、阪急オアシスの株式交換、同社の中間持株会社体制への移行、子会社等の異動[PDF]

H2Oリテイリングによる買収の目的は?

H2Oリテイリングが関西スーパーマーケットを買収する目的は、傘下の阪急オアシス・イズミヤと統合して、食品事業を強化するためです。実際、H2Oリテイリングは2021年5月の中期経営計画で、食品事業の営業利益を40億円から100億円まで伸ばす方針を発表しています。そのため、今回の買収もその一環であると見られます。

<スーパーマーケット・ディスカウントストア業界の売上高ランキング(2021年9月3日現在)>
順位 社名 売上高
(億円)※3
1 イオン(総合スーパー+スーパーマーケット事業) 63,351
2 セブン&アイ・ホールディングス(スーパーストア事業) 18,109
3 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 17,086
4 西友※4 ※5 7,850
5 ライフコーポレーション 7,591
6 バローホールディングス 7,302
7 イズミ 6,798
8 アークス 5,569
9 オーケー※4 5,089
10 ヤオコー 5,079
11 平和堂 4,393
12 トライアルホールディングス※4 4,251
13 関西スーパーマーケット+阪急オアシス・イズミヤ 3,915
14 万代※4 3,795

※3 各社の売上高は、前期末の決算情報から引用しています。
※4 非上場の会社は会社HPなどから引用しています。
※5 決算期の問題等で2020年の情報を引用しています。

一方の関西スーパーマーケットにとっては、H2Oリテイリング(阪急オアシス・イズミヤ)を取り込むことで、単純合計の売上高が3倍・経常利益が2倍へと急拡大し、中堅規模から一気に業界上位に近づく規模になります。

具体的には、経営統合により規模が拡大することで調達コストが引き下がり、利益率が改善することも期待されます。H2Oリテイリングによる買収成立後は、関西スーパーマーケットはH2Oリテイリングの傘下に入りますが上場を維持する予定です。

そのため、関西スーパーマーケットと阪急オアシス・イズミヤの統合がうまく進み、さらに収益を上げることができれば、オーケーによるTOB価格より株価が上昇する可能性があります。

オーケーによる買収の目的は?

オーケーが買収する目的は、関西スーパーマーケットを取り込んで関西へ進出するためです。実際、オーケーは2016年から営業強化や重要提案などをおこなう目的で、関西スーパーマーケット株を約8%保有しており、水面下で買収交渉をおこなっていたと報じられています。以前から関西スーパーマーケットを買収する機会を狙っていたのではないでしょうか。

<売上高5,000億円以上のスーパーマーケット・ディスカウントストアの利益率ランキング(2021年9月3日現在)>
順位 社名 経常利益率※6
1 オーケー 6.18%
2 イズミ 5.31%
3 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス 4.77%
4 ヤオコー 4.37%
5 バローホールディングス 3.89%
6 ライフコーポレーション 3.71%
7 アークス 3.50%
8 セブン&アイ・ホールディングス(スーパーストア事業)※7 1.64%
9 イオン(総合スーパー+スーパーマーケット事業)※7 0.55%

※6 経常利益率とは、会社の収益性を計る指標であり、一般的に高いほど優れていると言えます。ただし、業種や業界により平均が異なるため、競合他社などと比較する必要があります。「経常利益÷売上高×100%」で計算することができます。
※7 経常利益率が不明だったため、セグメント利益率で代用しています。

一方の関西スーパーマーケットにとっては、低価格路線で収益性の高いオーケーのノウハウを吸収することで、経常利益率の改善が期待できます※8

※8 関西スーパーマーケットの経常利益率は2.36%(2021年9月2日現在)。

オーケーは関西スーパーマーケットの完全子会社化を目指しているため、買収完了後は上場廃止になる予定です。そのため、TOBが成立すれば、すべての株主から1株2,250円で買い取られることになります。

しかしながら、オーケーによる対抗TOBの実施には、先行して進められているH2Oリテイリングによる関西スーパーマーケットの買収が失敗に終わることが条件となります。具体的には、2021年10月29日に開催予定の、「関西スーパーマーケットの臨時株主総会」で、阪急オアシス・イズミヤとの経営統合議案が1/3以上の反対票を集めて、否決されることが必要です。

今後の株価への影響

オーケーによる対抗TOBの報道を受けて、制限値幅上限(ストップ高水準)の1,674円まで株価が上昇しています(2021年9月3日14時現在)。ただ、今回のTOBは、まだ正式に発表されておらず、H2Oリテイリングによる買収が失敗に終わることが条件であるため、株価はTOB価格まで上がらない可能性もあるので注意が必要です。

関西スーパーマーケット(9919)の板情報>

>関西スーパーマーケット(9919)の板情報

(出典:SBI証券

争奪戦のカギを握っているのは、関西スーパーマーケットの経営陣と個人株主です。「H2Oリテイリング」と「オーケー」、どちらの提案が、より関西スーパーマーケットの企業価値を高められるかが重要と言えます。

まとめ

関西スーパーマーケットをめぐる争奪戦について解説しました。今回の争奪戦のポイントは関西スーパーマーケットの臨時株主総会で、阪急オアシス・イズミヤとの経営統合議案が否決されるかどうかです。

現状は関西スーパーマーケットの経営陣を味方につけているH2Oリテイリング陣営が優位と言えますが、個人株主の多くがオーケーのTOB価格に納得して反対票を投じれば否決になるかもしれません。そのため、特に個人株主の動向に注目する必要があります。

また、オーケーは阪急オアシス・イズミヤとの経営統合議案に反対すると見られるため、自ら主導して委任状争奪戦(プロキシ―ファイト)※9に発展する可能性も考えられます。まだオーケーからの提案については詳細が分からないため、新しい情報が発表されたらこの記事に追加していきます。

※9 委任状争奪戦(プロキシ―ファイト)とは、議決権行使の委任状をめぐって、株主や経営陣が争うことです。

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この記事の執筆者

ゆうと
投資歴8年の資産バリュー投資家です。いつも四季報を持ち歩き、1年の半分は株のことを考えている株オタク。若手投資家同士の交流を目的とした「名古屋若手投資家交流会」を主催しています。

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