DCMホールディングスが島忠のTOBを検討!?株価はどうなる?

DCMホールディングスが島忠のTOBを検討!?株価はどうなる?

担当・ゆうと

最終更新日:2020年12月29日

(2020年12月29日追記)
ニトリホールディングスによる島忠のTOBが成立しました。詳しくは、こちらで解説しています。

2020年9月18日、DCMホールディングス(3050)が、島忠(8184)に対してTOB(株式公開買い付け)をおこなう予定であると、NHKが報道※1しました。TOBには、株式を全部買い取る「全部買付」と、一部だけを買い取る「一部買付」がありますが、今回は一部買付となるようです。そのため、TOBが成立しても、島忠は上場を維持することになります。

※1 参考:ホーマック展開のDCM 島忠を傘下に | NHKニュース

今回のTOBの目的は?

ホームセンター業界では、2020年6月にも、アークランドサカモト(9842)による・LIXILビバ(3564)のTOB※1がおこなわれており、業界の再編が進んでいます。

※1 LIXILビバは、アークランドサカモトによるTOBで完全子会社化。2020年10月20日上場廃止予定です。

<ホームセンター業界の売上高ランキング(2020年9月22日現在)>
順位 社名 売上高
(億円)※2
1 カインズ(非上場) 4,410
2 DCMホールディングス(3050) 4,374
3 コーナン商事(7516) 3,746
4 コメリ(8218) 3,486
5 アークランドサカモト(9842)LIXILビバ(3564) 3,012
6 ナフコ(2790) 2,178
7 島忠(8184) 1,464
8 ジョイフル本田(3191) 1,249
9 ケーヨー(8168) 1,076

※2 各社の売上高は、前期末の決算情報から引用しています。カインズは非上場であるため、同社Webサイトで公表されている情報から引用しています。

今回のTOBの目的は、全国に店舗を持つDCMホールディングスと、家具に強みのある島忠が協業することで、競争の激しいホームセンター業界のなかで生き残るためです。DCMホールディングスにとっては、家具などの商品ラインナップが充実することになり、島忠にとっては自社の家具を多くの店舗で販売できるようになります。

そのようなことから、今回のTOBは“友好的なTOB”になると思われます。

今後の株価への影響

9月18日のTOB報道を受けて、PTS取引(夜間取引)では、終値2,878円より500円高い3,378円まで株価が上昇しています。ただ、今回のTOBは、まだ正式に発表されていないため、TOB価格はわかりません。また、株価はTOB価格まで上がらない可能性もあるので注意が必要です。

<島忠(8184)の株価推移>

島忠(8184)の株価チャート

(出典:SBI証券

なぜなら、今回のTOBは一部買付に当たるため、島忠の株主全員が株式を買い取ってもらえる訳ではないからです。 そのため、一部買付の場合はTOBに応募しても、当選しなければ利益を得られないのです。

1株4,200円でTOBをおこない、完全子会社化すると発表(2020年10月2日追記)

2020年10月2日の取引時間終了後にTOB価格(4,200円)が発表されたことで、株価はTOB価格とほぼ同じ価格まで上昇すると思われます。 なぜなら、DCMホールディングスはTOBに応募したすべての株主から島忠の株式を買い取るためです。そのため、TOBが成立するのであれば、島忠の株主は、市場で株式を売却しても、TOBに応募しても、ほぼ同じ利益を手にすることができます。

島忠のTOBが成立するためには、最低でも株式50.00%の応募が必要です。また、DCMホールディングスは、パッシブ・インデックス運用のファンド※3が島忠の株式の25%程度を保有していると推定しており、これらのファンドが原則としてTOBに応募しない※4ものと考えています。

※3 日経平均やTOPIXの値動きに連動する運用を目指すファンドのことです。

※4 原則としてTOBに応募しないのは、応募することでファンドの資産構成が日経平均やTOPIXの値動きと連動しなくなる恐れがあるためです。

そのため、実質的にはその他の一般株主から2/3程度の株式が集まるかがカギになります。 今回のTOB価格は、長期チャートでみても高値圏なります。多くの株主にとって利益を手にすることができる価格であるため、TOBに納得して応募する株主が多くなるのではないでしょうか。

ニトリホールディングスが島忠に対してTOBを検討(2020年10月21日追記)

2020年10月20日の引け後に、ニトリホールディングスによる島忠の買収が報じられたことで、2020年10月21日12時32分現在、4,770円まで株価が上昇しています。

<島忠(8184)の株価推移>

島忠(8184)の株価チャート

(出典:SBI証券

その理由は、ニトリホールディングスが、DCMホールディングスによるTOB価格(4,200円)より高い価格で、TOBをおこなうのではないかという思惑からです。 ニトリホールディングスは、家具に強みのある島忠を買収することで、「店舗網の拡充」や「商品開発力の向上」などの狙いがあると思われます。

正式な発表はありませんが、ニトリホールディングスが島忠に対してTOBを実施する可能性は十分に考えられます。島忠はすでにDCMホールディングスのTOBに賛同を表明しているため、ニトリホールディングスがTOBを実施する場合、事前に島忠による賛同が得られる可能性は低いです。

そのため、ニトリホールディングスの島忠へのTOBは、敵対的TOB※5に発展する可能性があります。一方で、DCMホールディングスによる島忠のTOBも、現在の株価がTOB価格(4,200円)を大幅に上回って推移しているため、成立する可能性は低いと言えます。

※5 敵対的TOBについては、敵対的TOBとは?で詳しく説明しています。

ニトリホールディングスが島忠に対して1株5,500円でTOBを開始予定(2020年10月29日追記)

ニトリホールディングスもTOBを正式に発表したことで、DCMホールディングスとの「島忠争奪戦」に突入することになりました。ただ、ニトリホールディングスのTOB価格(5,500円)は、すでに実施されているDCMホールディングスによるTOB価格(4,200円)を1,300円も上回る価格です。そのため、現状ではニトリホールディングスが有利な状況です。

ただし、ニトリホールディングスのTOBは、次の3つの前提条件を満たせた場合におこなうとしています。

  • ①「法令」や「許認可」上の問題がないこと
  • ②島忠が純資産に対して10%以上の配当などをおこなわないこと
  • ②DCMホールディングスによる島忠のTOBが成立していないこと

①に関しては、島忠との事前協議をおこなっていないため、守らなければいけない「法令」や「許認可」の存在があるリスクを懸念しているようです。ただし、ニトリホールディングスは現時点でそのようなリスクは認識していないということなので、そこまで気にする必要はないと思われます。

②に関しては、島忠がニトリホールディングスのTOBに関して態度を示していないため、可能性がゼロとは言えません。実際に、前田建設工業が前田道路に対して敵対的TOBを実施したときには、対抗手段として特別配当を実施しています。このような事例もあるため、今後島忠の反応次第ではニトリホールディングスのTOBは、敵対的TOBに発展する可能性もあります。

③に関しては、ニトリホールディングスによる島忠の買収が報道されて以来、島忠の株価はDCMホールディングスのTOB価格(4,200円)を上回っている状況です。そのため、DCMホールディングスのTOBに応募する株主は居ないため、TOBの成立下限の株数(50.00%)は集まっていないものと思われます。

以上のことから、ニトリホールディングスがTOBをおこなう前提条件は満たせるのではないでしょうか。 また、ニトリホールディングスも島忠の完全子会社化を目指す予定です。そのため、ニトリホールディングスによるTOBが成立した場合でも、島忠は上場廃止になります。

ニトリホールディングスによるTOBの成立条件は、50.00%の株式を集めることです。この条件は、DCMホールディングスによる島忠のTOBと同じであるため、より高値を提示しているニトリホールディングスが優勢です。

島忠がニトリホールディングスのTOBを支持すると報道(2020年11月13日追記)

島忠は、もともとDCMホールディングスによるTOBに賛同していました。しかし、ニトリホールディングスがDCMホールディングスより高いTOB価格を提示したことで、島忠はニトリホールディングスによる買収提案を受け入れる見通し※6です。

※6 参考:島忠、ニトリの買収提案受諾 DCM案から転換

なぜなら、ニトリホールディングスは敵対的TOBを回避して、友好的にTOBを進めるができるようになるからです。また、友好的にTOBが進められれば、買収完了後もうまく連携してシナジーを得やすくなるなると思われます。

一方で、DCMホールディングスのTOBは、現在の株価がTOB価格(4,200円)を大幅に上回っているため、このままだと成立する可能性は低いです。TOB価格をニトリホールディングスのTOB価格(5,500円)と同等以上に引き上げない限り、不利な状況をくつがえすのはむずかしい状況となっています。

DCMホールディングスによる島忠のTOBが不成立(2020年12月15日追記)

DCMホールディングスによる島忠の公開買い付け期間が終わり、TOBの成立下限を下回ったためTOBが不成立となりました※7。不成立となった理由は、ニトリホールディングスがDCMホールディングスより高い価格でTOBをはじめ、島忠も賛同したためです。

※7 参考:株式会社島忠普通株式(証券コード 8184)に対する公開買付けの結果に関するお知らせ [PDF]

ニトリホールディングスと比べて企業規模で劣るDCMホールディングスにとっては、ニトリホールディングスより高い価格で対抗することは難しかったと思われます。また、無理に高値で買収を進めれば財務が悪化するリスクもあります。そのため、島忠のTOBから撤退するという判断は正しかったように感じます。

一方でニトリホールディングスにとっては、対抗する可能性のあったDCMホールディングスが撤退したことで、TOB成立の可能性が高まったと言えます。

ニトリホールディングスによる島忠のTOBが成立 (2020年12月29日追記)

ニトリホールディングスによる島忠の公開買い付け期間が終わり、TOBの成立下限を上回る株式の応募があったためTOBが成立しました※8。島忠は上場廃止になる予定です。

※8 参考:株式会社ニトリホールディングスによる当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ [PDF]

島忠をめぐるTOBを時系列で確認

最初にDCMホールディングスによる島忠の買収報道が出たところから、おもな出来事を時系列で見ていきましょう。

日付
(2020年)
内容
9月18日 DCMホールディングスが、TOBにより島忠の株式50%強を取得して子会社化すると報道。
10月2日 DCMホールディングスが、島忠に対してTOBを発表。1株4,200円完全子会社する方針。
10月21日 ニトリホールディングスが、島忠に対してTOBを検討していると報道。
10月21日 旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンが、島忠の株式8%強の取得を発表。島忠に対して広く買い手を募って、より高値での売却を目指すべきと指摘。
10月29日 ニトリホールディングスが島忠に対して、11月中旬からTOBを開始予定であると発表。1株5,500円完全子会社する方針。
11月13日 島忠が、ニトリホールディングスによるTOBに賛同。DCMホールディングスによるTOBの意見を、賛同から意見留保に変更
11月13日 ニトリホールディングスが、島忠に対してTOBを開始。
12月12日 DCMホールディングスによる島忠の公開買い付け期間が終了。TOBは不成立
12月29日 ニトリホールディングスによる島忠の公開買い付け期間が終了。TOBは成立。今後、島忠は上場廃止予定。

よりわかりやすく、簡易的にまとめました。TOB関連の出来事と一緒に、そのときのTOB価格や、島忠がどういう態度を示したのかも載せています。

日付
(2020年)
内容 TOB
価格
島忠の態度
10月2日 DCMホールディングスが島忠にTOBを開始 4,200円 賛同
10月29日 ニトリホールディングスが島忠にTOBを開始予定 5,500円 -
11月13日 ニトリホールディングスが島忠にTOB開始 5,500円 賛同
11月13日 DCMホールディングスのTOBを賛同から意見留保に変更 5,500円 意見保留

まとめ

島忠をめぐるTOBについて解説しました。ニトリホールディングスのTOBが成立した要因は、DCMホールディングスのTOB価格(4,200円)を大幅に上回る価格(5,500円)でTOBをおこなったからです。DCMホールディングスは公開買い付け期間の延長を繰り返したものの、ニトリホールディングスより企業規模などの体力が劣るため、TOBから撤退しました。

ニトリホールディングスは都心に店舗を持つ島忠を取り込むことで、店舗網を拡充することができます。一方で島忠にとっても、企業規模の大きいニトリホールディングスと組むことで、商品開発力向上などのシナジーを得られやすくなると思われます。両社にメリットがある、良いTOBだったのではないでしょうか。

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この記事の執筆者

ゆうと
投資歴8年の資産バリュー投資家です。いつも四季報を持ち歩き、1年の半分は株のことを考えている株オタク。若手投資家同士の交流を目的とした「名古屋若手投資家交流会」を主催しています。

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